杉田俊介
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杉田俊介
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批評家

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バトラーは、サイード『フロイトと非ヨーロッパ人』に触れ、モーセはエジプト人であり、つまりユダヤ人の根源にはユダヤ人の他者、アラブ人がいたのであり、そもそも自己と他者の混交、自己離脱、ディアスポラ的な経験があったのだ、と述べる。イスラエルとパレスチナを考える上でサイードのこの著書に勇気を貰ったと(『分かれ道』58頁)。
バトラーは、イスラエルの国家暴力と植民地主義的なシオニズムを批判しつつ、またユダヤ教信仰の絶対化も退けつつ、しかし差別的な反ユダヤ主義にも抵抗しながら、(歴史的に蓄積されてきた慣習としての)文化的精神的ユダヤ性を擁護する。ユダヤ性の根源としての、その他者性とディアスポラ性を。
November 19, 2025 at 12:00 PM
飯盛元章『暗黒の形而上学』を読み返していたが、『ファイアパンチ』への言及あった。自己の破壊的変身を伴うような高次の闇堕ちの形態がある、と。その場合の破壊性とは、自然法則の必然性すらもが偶然的に書き換わるようなメイヤスー的破壊性であり、あるいはマラブー的な破壊的可塑性である。
その先には、死すらも終わりではないような、「過剰創発」的な宇宙が展望されるようだ(219頁)。これはおそらく、歴史的存在が絶え間なく書き換えられ、絶対的な記憶の穴(忘却の忘却)に落ちていく『チェンソーマン』の世界の秘密に関わるだろう。木澤佐登志による『チェンソーマン』言及も参照。
November 19, 2025 at 8:54 AM
メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』は、怪物の訴えが突き刺さる。男性学的にいえば、怪物はこの世界の根深いルッキズムの犠牲者であり、産まれてこなかったことを夢見る反出生主義者であり、異性からの「心の共感」を求めるインセルでもある。また科学技術のプロメテウス主義=加速主義の犠牲者とも言える。
怪物には理性があり、感情や共感があり、善良な良心もあった。怪物が人間たちから怪物と呼ばれるのは、とにかく徹底的に「外見」の問題である。外見があまりに醜くおぞましいがゆえに、全人類から嫌われ、恐怖される。ただひとつの願いが「異性の怪物を作ってくれ」であるのが、あまりに悲しい。
November 19, 2025 at 6:38 AM
外国人を排除したりレッドパージしたり熊を絶滅させたりすれば、純粋で安全な「日本」が甦るはず、という幻想は、白黒や善悪で片付かない現実の複雑さを見たくないのみならず、「日本」がじわじわと衰退し停滞し滅びていく、という唯物論的で単純な崩壊過程に耐えられない、という事でもあるのだろうな
November 19, 2025 at 4:21 AM
自分の中には、反出生主義的な欲動と再生産未来主義的な欲望との、そのどちらもあり、論理的には解消できないアンチノミーとしてせめぎ合っている(フィリップ・K・ディックの『ユービック』のように…)。存在肯定と誕生否定、存在無条件肯定と優生思想的なもの、エロスとタナトス、それらのアンチノミー=取り乱し=非解決主義によって生きられたのが、ウーマンリブであったり、青い芝の解放運動であったりしたのだと思う。そして「イズム」化する手前のリブ的なものは、自分の根源的かつ捻れた加害性(殺させられちゃった)を自覚しつつ、その矛盾ごと社会や文明にぶつかっていく、という革命的な実践を開いていくものだった…
November 18, 2025 at 3:39 PM
髙山花子『世界のかなしみ』(月曜社)。『苦海浄土』三部作を熟読=精読し、石牟礼道子にまつわる「前近代」「無文字」などの神話を丁寧に解きほぐし、『苦海浄土』になお見られる人間中心主義を慎重に批判しつつも、テクストに刻印された微細で聴こえ難い複数の声たちを聞き取る。見かけは地味だが、静かな凄みを感じた。
November 18, 2025 at 2:18 PM
相変わらず読書欲はあるものの、原稿を積極的に書こうとする意欲が戻ってこない。もともと、書くことに快楽や楽しさは全くなく、苦行や苦難としか思えなかったから、たんに素に戻っただけかもしれない。「書かねばならないものがある」という謎の義務感はあるが、「書きたくはない」という欲望の問題は如何ともしがたい。このギャップをどうするか。
November 18, 2025 at 2:15 PM
蓮實重彦の本を初期のものから読み直しているのだが、たとえば『映画の神話学』(1979年)、映画とは不可視で不在の稠密な闇なのであり、その前での崩壊感覚こそが批評体験である、と。ほとんど映画=神を前にした否定神学というかロマン的イロニーのようにみえる。映画という神との無意味な戯れ=享楽こそが文化の最先端だ、という救いと福音を当時の読者に与えてくれたのかもしれない。
November 18, 2025 at 2:01 PM
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『男性解放批評序論ーーフェミニズム・トランスジェンダー・メンズリブ』
杉田俊介(集英社)

男性性を問い直していくという営みと、批評という行為が融合して交差していくスリリングな一冊。
男らしさからの解放を展望し、かつ、人間としての喜びに満ちた自由を目指す。
#読書週間 #読書の秋2025
October 28, 2025 at 1:45 AM
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読了。
杉田俊介『鬱病日記』

書店で衝動的に買っていた。鬱病に伏していた8ヶ月間の記録。あまりにも重い。鬱病を軽く見ている人にこそ読んでもらいたい本。自分も現在進行形で鬱と付き合っていて、飲んでいる薬の名前もさりげなく出てくる。無気力、自己嫌悪、セルフネグレクトを覚える感覚こそ、鬱病なのだ。
October 25, 2025 at 1:13 PM
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BT フェミニズムの勉強普通にしたい…とずっと思いつつわたくしも全然読めてないですが、ぱっと思いついた軽めに読める本でいうと、
太田啓子『これからの男の子たちへ:「男らしさ」から自由になるためのレッスン』
杉田俊介『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か』
藤高和輝『バトラー入門』
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』
などかな?まっすぐ「フェミニズム」そのものを勉強するための本ではないかも。
October 22, 2025 at 6:43 AM
ありがとうございます。
#読了 #読書 #青空読書部
#読書好きな人と繋がりたい
#杉田俊介 #晶文社

作者はやはり生粋の書き手、表現者なのだと思う。

鬱病当事者の記録だけあり、大半は絶望、葛藤、自己否定の記録である。

それでも、随所に笑えるところがある。

葛藤、絶望の中にある笑い、それを極めて自然な形で表現出来ることは並大抵ではない。

だからこそ、自分がきつくなった時に読み返したい。
October 19, 2025 at 12:14 PM
October 10, 2025 at 9:01 AM
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【新入荷②】
頭木弘樹『痛いところから見えるもの』(文藝春秋)
杉田俊介『男性解放批評序説 フェミニズム・トランスジェンダー・メンズリブ』(ホーム社)
October 8, 2025 at 8:52 AM
noteに、「対抗言論」2号の座談会「在日コリアン文学15冊を読む」(康潤伊×櫻井信栄×杉田俊介)より、三人で『骨片』について話し合った部分のうち、杉田の発言のみを抜粋したものをアップしました。金泰生に関心をもってくれる読者が少しでも増えることを願います。

note.com/sssugita/n/n...
金泰生(キムテセン)『骨片』(創樹社、1977年)について|杉田俊介
※先ごろ、在日コリアンの作家・金泰生(キムテセン)の『私の日本地図』『旅人伝説』の2冊が琥珀書房から復刊されたという。以下には、「対抗言論」2号(法政大学出版局)の座談会「在日コリアン文学15冊を読む」(康潤伊×櫻井信栄×杉田俊介)より、三人で『骨片』について話し合った部分のうち、杉田の発言のみを抜粋した。金泰生に関心をもってくれる読者が少しでも増えることを願う。 杉田――年齢的には第一世代の人...
note.com
October 6, 2025 at 12:58 PM
Reposted by 杉田俊介
本日の平台。先日、第36回歴程新鋭賞を受賞された『sleeping cloth スリーピング クロス』(田中さとみ/左右社)もサイン入りであります。個人誌の『HECTOR vol.2』 (田中さとみ編著/小鳥書房)もともにいかがでしょうか。『トピーカ・スクール』(ベン・ラーナー/川野太郎訳/明庭社)も残り一冊。『神と革命の文芸批評』(杉田俊介/法政大学出版局)は、杉田氏初の文芸批評集。無能力や弱さ、加害と向き合ってきた著者による論考は今読みたい一冊ですね。後藤明生の小説論は、新たな近代文学史を提示した書物として勉強したいところです。

#海と夕焼入荷 #新刊 #本屋 #読書
October 4, 2025 at 4:44 AM
Reposted by 杉田俊介
【拡散希望】新刊『男性解放批評序説 フェミニズム・トランスジェンダー・メンズリブ』(ホーム社)が刊行されます。タイトル、サブタイトルのワードに関心のある方はぜひ。お値段も控えめなので、予約&購入してもらえると(主に僕や関係者が)喜びます。ヨロシクドウゾ
www.shueisha.co.jp/books/items/...
男性解放批評序説 フェミニズム・トランスジェンダー・メンズリブ/杉田 俊介 | 集英社 ― SHUEISHA ―
男性特権にいかに向き合うか、「弱者男性論」は差別的か、自らの「痛み」を消さない男性学はあるか――。著者が近年さまざまな媒体で発表した、フェミニズムやトランスジェンダー、そしてメンズリブなどジェンダーに関わる重要な考察を一冊にまとめた、著者初の男性学批評集。加害と疎外が複雑に絡み合う「男性問題」のジレンマを、丁寧に解きほぐす一冊。◆目次◆はじめに――これからの男性解放批評のために【1】男が男を省みる...
www.shueisha.co.jp
August 19, 2025 at 7:49 AM
noteに短いコラムをひとつ。(今さらながら)実験的にChatGPTに「文章をわかりやすくして!」と何度か調整してみた。AIと色々遊んでみようと思います

note.com/sssugita/n/n...
ジョージ(メンズコーチ)の話を聞いてみた|杉田俊介
ジョージ(メンズコーチ)というインフルエンサーがいる。 YouTubeの登録者数は現在およそ40万人で、プロフィールには「日本一のメンズ自己啓発チャンネル運営」と記されている。 ジョージによれば、現代の日本の男性たちは身体的にも精神的にも「弱っている」のだという。その原因は「危機感の欠如」にあるとされる。 かつての男性は、自分や家族を守るために、生き残る術として自然と強さを求められていた。し...
note.com
September 20, 2025 at 12:48 AM
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「未来が訪れている、そしてそれは(文字通り)晴れている:太陽光発電革命についての覚書」レベッカ・ソルニット

化石燃料業界から巨額の資金援助を受けているトランプとか極右フレンズが、必死に気候変動否定デマをばらまいたり再生可能エネルギーを潰そうとしているが、なぜ必死かといえば、再エネ(特に太陽光)が文字通りの意味で「革命的」なエネルギーだから。
ここでいう「革命」とは単なるレトリックではなく、化石燃料によって築かれた既存の強固な権力構造をひっくり返し、局所的だった「力」を民衆に分散させるということ。
www.meditationsinanemergency.com/the-future-i...
The Future Is Coming and It's (Literally) Sunny: Notes on the Solar Revolution
I drove home to San Francisco from New Mexico last weekend, and in the western Mojave desert of California I passed in quick succession three vast renewable energy sites: the first was three solar con...
www.meditationsinanemergency.com
September 19, 2025 at 5:29 AM
Reposted by 杉田俊介
"Xを中心にSNSでも大反響! オンタイムでWeb上に公表された克明な鬱病体験記。透徹な視線で赤裸々な心情を丹念に描写する、「創作論」"

"現代は鬱病の時代であると言われます。誰もが鬱病になる可能性を持っているとも言われます(風邪/骨折/癌などのように)。そのわりには、鬱病者が具体的な生活の中でどんな困難を強いられ、心の中でどんな葛藤や絶望を抱え込んでいるのかは、案外まだ十分には知られていないのではないでしょうか"

杉田俊介 『鬱病日記』
comingbook.honzuki.jp?detail=97847...
『鬱病日記』
推薦:坂口恭平氏<br>「杉田俊介が生きはじめたと思えて、僕は嬉しかった。<br>からだが気...
comingbook.honzuki.jp
September 12, 2025 at 4:48 AM
『鬱病日記』(晶文社)のAmazonでの予約が始まりました。坂口恭平さんが推薦コメントを寄せてくれています。色々な意味で事前予約して頂けるとありがたいです。価格もひかえめ。よろしくどうぞ!

www.amazon.co.jp/dp/479498021...
Amazon.co.jp: 鬱病日記 : 杉田俊介: 本
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September 13, 2025 at 7:12 AM