noteに読書記録や仕事の話を書いています。 https://note.com/nat_kc
A random translator and booknerd living in Tokyo/Vancouver. Humanities.
社会学者ディディエ・エリボンは、フランス北東部で最底辺労働者階級の家庭に生まれた。学業優秀なために家族で唯一高等教育を受ける機会を得て、大学では哲学の勉強に励み、アグレガシオン(最難関の教員資格試験)を目指すも、結局試験には2度も失敗する。そもそも彼は、この試験を突破するための王道であるグランゼコールの存在さえ知らなかったのだ。なんという酷い経緯。(続く→)
社会学者ディディエ・エリボンは、フランス北東部で最底辺労働者階級の家庭に生まれた。学業優秀なために家族で唯一高等教育を受ける機会を得て、大学では哲学の勉強に励み、アグレガシオン(最難関の教員資格試験)を目指すも、結局試験には2度も失敗する。そもそも彼は、この試験を突破するための王道であるグランゼコールの存在さえ知らなかったのだ。なんという酷い経緯。(続く→)
マキューアンの『贖罪』やパワーズの『舞踏会へ向かう三人の農夫』でも描かれている「ありえたかもしれない世界」。それは小説のなかに語り込まれ、残酷な現実の反転さながら生命の祝福に溢れている。怒り、悲しみ、慚愧。激しい負の情動によって生成された「ありえたかもしれない世界」は、物語による鎮魂と救済だ。
広島の産業奨励館が戦後復興の象徴となるか、「原爆ドーム」として反戦の象徴となるか。見世物小屋一家が原爆の犠牲になるか、新しい身体を手に入れるか。異形の一家の運命は、科学技術の驚異の進歩に翻弄されるわたしたちのそれでもあります。
マキューアンの『贖罪』やパワーズの『舞踏会へ向かう三人の農夫』でも描かれている「ありえたかもしれない世界」。それは小説のなかに語り込まれ、残酷な現実の反転さながら生命の祝福に溢れている。怒り、悲しみ、慚愧。激しい負の情動によって生成された「ありえたかもしれない世界」は、物語による鎮魂と救済だ。
広島の産業奨励館が戦後復興の象徴となるか、「原爆ドーム」として反戦の象徴となるか。見世物小屋一家が原爆の犠牲になるか、新しい身体を手に入れるか。異形の一家の運命は、科学技術の驚異の進歩に翻弄されるわたしたちのそれでもあります。
藤原辰史 人文書院
〈食〉は、なんとなく私的な領域、自分でコントロール可能であると思わされている領域ではないだろうか。「工夫」「努力」「我慢」…〈食〉は自己責任であるとわたしたちは思わされている。さらに「働かざる者食うべからず」とくる。
〈食〉は「権力者」が一見合理的な説明のもとで、簡単に無名の民の生殺与奪を握るための装置となりうる。本書ではこれを「食権力」と呼ぶ。国家・穀物メジャー・西欧の植民地主義が複雑に絡み合って発揮される食権力は、効率的に、殺戮者自身の手は汚さず、罪悪感は与えずに利益を与えながら、弱い生き物から順番に確実に殺す(→続)
藤原辰史 人文書院
〈食〉は、なんとなく私的な領域、自分でコントロール可能であると思わされている領域ではないだろうか。「工夫」「努力」「我慢」…〈食〉は自己責任であるとわたしたちは思わされている。さらに「働かざる者食うべからず」とくる。
〈食〉は「権力者」が一見合理的な説明のもとで、簡単に無名の民の生殺与奪を握るための装置となりうる。本書ではこれを「食権力」と呼ぶ。国家・穀物メジャー・西欧の植民地主義が複雑に絡み合って発揮される食権力は、効率的に、殺戮者自身の手は汚さず、罪悪感は与えずに利益を与えながら、弱い生き物から順番に確実に殺す(→続)
久しぶりの良いニュース🥳マムダニ市長
久しぶりの良いニュース🥳マムダニ市長
広島の紀伊國屋書店「郷土」コーナーで出会った本5冊。広大率高め。
(奥田民生本は友人へのお土産)
平和記念資料館で買った『ヒロシマ・ノート』大江健三郎
広島の紀伊國屋書店「郷土」コーナーで出会った本5冊。広大率高め。
(奥田民生本は友人へのお土産)
平和記念資料館で買った『ヒロシマ・ノート』大江健三郎
certainly more to come from me when the dust has settled more, but to my knowledge, after today, there will be no politics staffers at Teen Vogue.
certainly more to come from me when the dust has settled more, but to my knowledge, after today, there will be no politics staffers at Teen Vogue.
原爆ドーム。平和記念資料館。嗚咽を堪えるのに精一杯。
80年が経ち、今後どのようにこの痛みと悔しさの記憶を継承していくか。当時も原爆の翌年にはすでに「あの凄愴が薄れていく」感覚があった。そう書いて、死んでいった若者がいたのだ。うんと勉強して留学したいと渇望しながら。
原爆ドーム。平和記念資料館。嗚咽を堪えるのに精一杯。
80年が経ち、今後どのようにこの痛みと悔しさの記憶を継承していくか。当時も原爆の翌年にはすでに「あの凄愴が薄れていく」感覚があった。そう書いて、死んでいった若者がいたのだ。うんと勉強して留学したいと渇望しながら。
スナウラ・テイラー、今津有梨 訳、洛北出版
在庫はまだありますが、ねんのため、重版(第3刷)の製作をはじめました。
「もし動物と障害者の抑圧がもつれあっているのなら、もし健常者を中心とする制度と人間を中心とする倫理がつながっているのなら、解放への道のりもまた、交差しているのではないか。
壊れやすく、依存的なわたしたち動物は、ぎこちなく、不完全に、互いに互いの世話をみる。本書はそのような未来への招待状である。アメリカン・ブック・アワード(2018年度)受賞作品!」
rakuhoku-pub.jp/products/boo...
スナウラ・テイラー、今津有梨 訳、洛北出版
在庫はまだありますが、ねんのため、重版(第3刷)の製作をはじめました。
「もし動物と障害者の抑圧がもつれあっているのなら、もし健常者を中心とする制度と人間を中心とする倫理がつながっているのなら、解放への道のりもまた、交差しているのではないか。
壊れやすく、依存的なわたしたち動物は、ぎこちなく、不完全に、互いに互いの世話をみる。本書はそのような未来への招待状である。アメリカン・ブック・アワード(2018年度)受賞作品!」
rakuhoku-pub.jp/products/boo...
2巻までがんばった。内容は深くて面白いし、この話を好きだという確信はある。続きを早く知りたい。
でも怖いんです。処刑やリンチがいっぱいでてくるところが。
昔から、映画や漫画で、殺人や殺戮のシーンがでてくると、即退場してました。フィクションだと頭ではわかっているのですが、ほんとうに体調が悪くなってしまうのです。
「異端」の迫害が描かれなければこの物語は成立しないので、わたしは自分の恐怖心を克服しなければなりません。
薄目で読めば大丈夫でしょうか。恐る恐る試してみます。
2巻までがんばった。内容は深くて面白いし、この話を好きだという確信はある。続きを早く知りたい。
でも怖いんです。処刑やリンチがいっぱいでてくるところが。
昔から、映画や漫画で、殺人や殺戮のシーンがでてくると、即退場してました。フィクションだと頭ではわかっているのですが、ほんとうに体調が悪くなってしまうのです。
「異端」の迫害が描かれなければこの物語は成立しないので、わたしは自分の恐怖心を克服しなければなりません。
薄目で読めば大丈夫でしょうか。恐る恐る試してみます。
『私家版・ユダヤ文化論』 内田樹
『大衆の反逆』オルテガ・イ・ガセット
『ジェントルマン』山田詠美
スリリングなユダヤ文化論。
歴史や文化への畏怖と自省を促さずにはいない国家論。
ある“ジェントルマン”をめぐる恐るべき小説。
ジャンルや書かれた時代はバラバラですが、ある普遍的なテーマが共有されている、といったら強引に過ぎるでしょうか。
そのテーマとは、自己と他者とのあいだに引く線の問題です。線の太さや深さや強さ、材質、線の引きかた。そもそもどうして線を引きたくなるのか。その線はどうやって他者と共有するのか。頭のなかで線引きに励んでばかりいると、やがてそれは、(続く→)
『私家版・ユダヤ文化論』 内田樹
『大衆の反逆』オルテガ・イ・ガセット
『ジェントルマン』山田詠美
スリリングなユダヤ文化論。
歴史や文化への畏怖と自省を促さずにはいない国家論。
ある“ジェントルマン”をめぐる恐るべき小説。
ジャンルや書かれた時代はバラバラですが、ある普遍的なテーマが共有されている、といったら強引に過ぎるでしょうか。
そのテーマとは、自己と他者とのあいだに引く線の問題です。線の太さや深さや強さ、材質、線の引きかた。そもそもどうして線を引きたくなるのか。その線はどうやって他者と共有するのか。頭のなかで線引きに励んでばかりいると、やがてそれは、(続く→)
Dialogues des Carmélites Georges Bernanos
革命下のフランスで実際に断頭台で処刑されたカルメル会修道女たちの話を、ベルナノスが脚本にした作品。プーランクのオペラで有名です。
主人公ブランシュは大変な怖がりですが、最後には運命を受け入れます。何が修道女たちをこんなに強くしたのか。女子修道会が友愛の共同体だったから、軋轢や迫害を祈りによってともに乗り越えた仲間と一緒だったから。彼女たちは誇り高く聖歌を歌いながら、宗教的法悦のなかで死を受け入れます。
とても美しい祈りそのもののような作品。でも(→続く)
Dialogues des Carmélites Georges Bernanos
革命下のフランスで実際に断頭台で処刑されたカルメル会修道女たちの話を、ベルナノスが脚本にした作品。プーランクのオペラで有名です。
主人公ブランシュは大変な怖がりですが、最後には運命を受け入れます。何が修道女たちをこんなに強くしたのか。女子修道会が友愛の共同体だったから、軋轢や迫害を祈りによってともに乗り越えた仲間と一緒だったから。彼女たちは誇り高く聖歌を歌いながら、宗教的法悦のなかで死を受け入れます。
とても美しい祈りそのもののような作品。でも(→続く)
連休はひとり読書合宿するのが楽しみです😊
連休はひとり読書合宿するのが楽しみです😊
山田詠美さまデビュー40周年特集です‼️🎊😭㊗️
山田詠美さまデビュー40周年特集です‼️🎊😭㊗️
会場ではD4Pカレンダー(パレスチナの写真含む)やポストカードセット、高橋美香さんのフォトブックやプリント、著書などのほかに、町田尚子さん、おぷうのきょうだいのお二人、坂本千明さん、小泉さよさん、松田奈那子さん作のチャリティグッズの販売も。
ぜひお越し下さい。詳細はこちらに。
d4p.world/news/33163/
会場ではD4Pカレンダー(パレスチナの写真含む)やポストカードセット、高橋美香さんのフォトブックやプリント、著書などのほかに、町田尚子さん、おぷうのきょうだいのお二人、坂本千明さん、小泉さよさん、松田奈那子さん作のチャリティグッズの販売も。
ぜひお越し下さい。詳細はこちらに。
d4p.world/news/33163/
令和のスマホテキスト文化に毒された目を、たまには高度に洗練された耽美な文で洗い清めたいものです。しかしその文章が美しければ美しいほど、作者の気味悪いたくらみがこちらに迫ってくるのが、川端の小説です。『眠れる美女』の感想文でも書いたその凄さキモさを、今回も堪能しました。〈三人称島村一人視点〉の、審美と感傷に満ちた「島村劇場」は、たしかにうつくしいけれど、作者の意地悪な目線がなかったら、醤油なしの刺身のように生臭く、とても完食することはできません。
川端作品を読むと狂暴な感想文しか書けない気が↓
note.com/nat_kc/n/n16...
令和のスマホテキスト文化に毒された目を、たまには高度に洗練された耽美な文で洗い清めたいものです。しかしその文章が美しければ美しいほど、作者の気味悪いたくらみがこちらに迫ってくるのが、川端の小説です。『眠れる美女』の感想文でも書いたその凄さキモさを、今回も堪能しました。〈三人称島村一人視点〉の、審美と感傷に満ちた「島村劇場」は、たしかにうつくしいけれど、作者の意地悪な目線がなかったら、醤油なしの刺身のように生臭く、とても完食することはできません。
川端作品を読むと狂暴な感想文しか書けない気が↓
note.com/nat_kc/n/n16...
「尊厳を傷つけられた人間の怒りのエネルギーは、途方もなく大きい。女たちは、怒りがあるうちは破局(break)という最悪の事態さえも回避できる、と安堵します。この甚大なエネルギーはやがて、「怒りの葡萄」を実らせるに違いないのです。」――Natさん、ありがとうございます😭
note.com/nat_kc/n/ne9...
1883年生まれって?1983年とかじゃなくて??今生きている人じゃないって??
1883年生まれって?1983年とかじゃなくて??今生きている人じゃないって??
トニ・モリスン 荒このみ訳
人種主義とは、悪のなかの悪だ。
法や習慣や暴力によって、「亡霊やファンタジー」でしかないものに忠誠を従わせ、「よそ者」を否定し、「人類の共通性」に抵抗させようとする現実世界の圧力だからだ。
「黒人」とはアメリカにしか存在しない呼称。モリスンは代表的なアメリカ文学作品の批判的な読みを通して、米国の人種差別および奴隷制度の歴史を精査し、米国における「黒人」、つまり「白人」にとっての「他者」はいかにして形成され、制度や社会慣習に取り込まれてきたのかを語る。
トニ・モリスン 荒このみ訳
人種主義とは、悪のなかの悪だ。
法や習慣や暴力によって、「亡霊やファンタジー」でしかないものに忠誠を従わせ、「よそ者」を否定し、「人類の共通性」に抵抗させようとする現実世界の圧力だからだ。
「黒人」とはアメリカにしか存在しない呼称。モリスンは代表的なアメリカ文学作品の批判的な読みを通して、米国の人種差別および奴隷制度の歴史を精査し、米国における「黒人」、つまり「白人」にとっての「他者」はいかにして形成され、制度や社会慣習に取り込まれてきたのかを語る。
上映会もあるんだ
>作家ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞を契機に、「韓国の本=K-BOOK」は今、世界から熱い視線を浴びています。
社会の課題を映し出しながら読者の深い共感を呼び、国を問わず支持を広げてきたK-BOOK。その最前線を体感できる日本で唯一の祭典「K-BOOKフェスティバル2025」が、11月22日(土)・23日(日)に東京・神保町で開催されます。
k-bookfes.com/information/...
上映会もあるんだ
>作家ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞を契機に、「韓国の本=K-BOOK」は今、世界から熱い視線を浴びています。
社会の課題を映し出しながら読者の深い共感を呼び、国を問わず支持を広げてきたK-BOOK。その最前線を体感できる日本で唯一の祭典「K-BOOKフェスティバル2025」が、11月22日(土)・23日(日)に東京・神保町で開催されます。
k-bookfes.com/information/...