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おもに読んだ本について呟きます。訳書のお知らせもします。日英仏翻訳者。
noteに読書記録や仕事の話を書いています。 https://note.com/nat_kc
A random translator and booknerd living in Tokyo/Vancouver. Humanities.
(続き)岡野八代先生のことばを思い出した。「「すべては文脈次第」であれば、個人の選択のように見える行為も、社会状況の帰結でしかない」(『世界』2025.12)状況そのものを変化させていくこと。それが闘いの方法なのである、と。
エリボンも「社会のどんな側面も決して見落とさず、抑圧のどんな領域も、支配のどんな勢力圏も、劣等感のどんな割り当ても、侮辱的呼びかけに結びつくどんな恥の感情も、認識と行動の地平の外部にとり逃さないことを私たちに可能にするような言説と理論を構築する試み」が必要だと述べている。

読書記録です:
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【読書記録】『ランスへの帰郷』ディディエ・エリボン 塚原史訳|Nat
『ランスへの帰郷』ディディエ・エリボン  塚原史訳 三島憲一解説 みすず書房 2020年 世界の不平等性は複雑で多様であり、全体像はもちろん、個々の事象や因果関係を把握するのは困難だ。だから、多くの「もたざる」人びとにとって、自由で自主的な選択は、じつは社会的状況下のきわめて限られた範囲内でしか可能ではない。ほかの可能性や機会が存在することさえ、そもそも知りえないのだから。しかも新自由主義的文脈...
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November 16, 2025 at 10:23 AM
(続き)ゲイ(性的領域)と出自(社会・階級的領域)という、できれば隠したかったみずからの属性に立ち向かったり逃げたりしながら、「フランス・ブルジョワジーの凄まじい文化的暴力」を浴び続けつつ、文化資本ゼロ(マイナスかもしれない)の階級から一流知識人になったエリボン。その来し方は、労働者階級の共産党支持から右傾化への変遷や、地元民や知識人による性的少数者への精神的暴力などの社会的背景とともに描かれる。
「もたざる」人びとは不平等を感じていても、それを俯瞰できているわけではない。根深い疎外によって、社会・文化的状況において知らないことは知りえないままになる。(続く→)
November 16, 2025 at 10:23 AM
先日広島を訪れました。闇の中で柔らかい灯りをともされて佇む原爆ドーム。平和祈念資料館で見た戦前の広島市の様子。「ありえたかもしれない世界」のことを考えました。

「原爆は、一度使えば使った側が非難を免れないほど強力な兵器です。落とすと、あとにはもはや何も残らない。戦勝国が収奪するものすら無くなる。つまり、少なくとも二重の意味で、核は戦争を正当化できない」
(須藤輝彦、「距離の問題――あるいは戦争と批評」、『世界』2025年11月号、岩波書店)

読書記録です:
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【読書記録】原爆ドームと『五色の舟』津原泰水/近藤ようこ|Nat
『五色の舟』(漫画:近藤ようこ/原作:津原奏水)KADOKAWA 2014 先日、連休を利用して初めて広島に行きました。 いつかは行こうと思いながら、あと延ばしにしていたのですが、今年8月6日に開催された広島平和記念式典での湯崎英彦知事のあいさつに背中を押されました。 国破れて山河あり。 かつては抑止が破られ国が荒廃しても、再建の礎は残っていました。 国守りて山河なし。 もし核による抑止が、...
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November 11, 2025 at 10:23 AM
(続き)「食権力」の天才はナチス・ドイツ。一次大戦のトラウマから、国民を飢えさせないために「他者」を配給制度=飢餓計画で殺していった。飢餓への「恐れ」と他者への「憎悪」。イスラエルは今パレスチナに同じことをしている。世界中の農村は穀物メジャーの流通システムのせいで困窮している。彼らが仕切る世界の食糧調達システムに組み込まれて日々の食料を得ているわたしも、食権力による収奪の間接的な加害者である。貧乏人なのに理不尽なことだ。しかし「見えなければ痛めつけてもよい」という心性が自分にまったくないか、と聞かれたら何と答えればよいのだろう。
読書記録:
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【読書記録】食権力の現代史 ナチス「飢餓計画」とその水脈 藤原辰史|Nat
食権力の現代史 ナチス「飢餓計画」とその水脈 藤原辰史 人文書院 2025 〈食〉は、なんとなく私的な領域、自分でコントロール可能であると思わされている領域ではないだろうか。 生活費のなかでも「工夫」で簡単に削れそうなのが食費。 物価高騰のおり多くの人が食費を抑えようと「努力」している(わたしもだ)。 食べるのを「我慢」することは、ある程度なら子どもでさえもできる。 「工夫」「努力」「我慢」…...
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November 8, 2025 at 8:36 AM
ありがとうございます!広島で見たもの考えたことが今頭のなかでカオスになっています。でもそのうちnoteに書きたいです。
icchanさんの高橋和巳論、拝読しました。こちらも読まねば。課題図書がたまっていきます!
November 5, 2025 at 10:11 AM
高祖父(といっても顔も知らない歴史上の人物😅)が、広大の前身のひとつである広島高等師範学校の初代学長だったそうなので、なんとなくいつか来てみたいと思っていました。学祭という楽しいときに来れてよかった❗️
November 2, 2025 at 11:15 PM
(→続き)精製に精製を重ねて抽出した麻薬みたいに純粋で強烈な物質になってしまう。麻薬が見せる幻想のなかの他者に、大声で怒鳴ったりする。そして麻薬だから依存してしまう。
トニ・モリスンがいうみたいな「一対一」で他者とかかわることなんて、忘れてしまいます。
(以上)
October 20, 2025 at 9:42 AM
わたしもそうでした❗️
October 14, 2025 at 11:13 PM
最後の断頭台の場面にあまりに感動して、ついフランス革命の狂気のゼロサムゲーム、熱狂と情動と、便利な死の装置の犠牲になった人びとのことを忘れてしまいそうになります。次々と敵を潰していってもあとに味方だけが残るわけではないことはロベスピエールの末路をみてもわかります。分断が怖い理由のひとつは、そこに何となく気持ちよさがあるからではないでしょうか。

読書記録:
note.com/nat_kc/n/nc8...
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【読書記録】『カルメル会修道女の対話』ジョルジュ・ベルナノス|Nat
『カルメル会修道女の対話』ジョルジュ・ベルナノス Dialogues des Carmélites Georges Bernanos   18世紀末の革命下のフランス。ギロチン刑に象徴される恐怖政治が始まりつつあるなか、貴族の娘ブランシュはコンピエーニュにあるカルメル会修道院に入る。革命の熱狂のなか暴徒と化した群集が修道会を襲い、修道女たちは逮捕され処刑宣告を受ける。ブランシュは修道院...
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October 13, 2025 at 7:18 AM