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映像について書きます。
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成瀬巳喜男監督『晩菊(1954)』は、戦後の日本における中年女性の孤独と生き様を描いた映画です。三人の女性の物語が交差し、経済的な困難や過去の男との関係が織り交ぜられていきます。ここでは林芙美子の原作を見ながら、現代の私たちが見落としてしまいそうなディテールを追ってみます。
『晩菊』ノート
林芙美子の原作を通して、成瀬巳喜男監督『晩菊(1954)』のディテールに潜む秘密を追ってみる。
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January 22, 2026 at 6:05 AM
冷戦時代の米ソの間に起きた「博士の異常な愛情」も顔負けの事件の数々。あともう少しで世界は破滅していたかもしれない。あの日、フィンランドのテレビ局が「続エマニュエル夫人」を放映していたら、間違って核ミサイルが発射されていたかもしれない。
「博士の異常な愛情」的世界
冷戦の時代、米ソ大国間の応酬の足元では《ストレンジラヴィアン》なことが起き続けていた。米ソ首脳ホットラインの度重なる切断、核ミサイル防衛システムの故障、そして民間人による思わぬ妨害。冷戦を切り抜けられたのは奇跡だったのかもしれない。
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January 19, 2026 at 5:00 AM
フィルム・ノワールのプロデューサー、今回はレナード・ゴールドスタインです。
日本では全く知られていない映画人ですが、『死刑五分前(1954)』は彼の死後に双子の兄弟のロバートが完成させた、堅実なエンターテインメント作品です。ゴールドスタインは映画館を大事に考えていた稀有なプロデューサーでした。
ノワールの製作者:L・ゴールドスタイン
ハリウッドで《売れる映画こそ良い映画》と考えるプロデューサーは多いが、そのために自ら場末の映画館まで出向いて行って調査をする者は少ない。レナード・ゴールドスタインは、その数少ない、映画館本位の姿勢を貫いた映画人の一人だ。
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January 18, 2026 at 5:00 AM
アニメ「名探偵ホームズ」の製作経緯について。
宮崎駿を含む日本側、イタリア側それぞれの視点からの話が描かれていて面白い。スケッチや絵コンテも素晴らしい。
Miyazaki's Sherlock
On 'Sherlock Hound,' plus news.
animationobsessive.substack.com
January 17, 2026 at 5:35 AM
創作と労働
執筆から得られる収入で生計を立てられる作家は少ない。
そこで、どうしても(不本意な)労働に従事しなければならないーという話。
ハーマン・メルヴィルは「白鯨」が全く売れず、税関の官吏を続けた。ウィリアム・フォークナーは3年間も郵便局に勤めていた(ずっとサボっていたらしいが)。ウィリアム・S・バローズは除虫業者、オクタヴィア・バトラーはポテトチップスの品質検査係。

ちょっと違うけど、ジョン・チーヴァーは、毎朝、会社に出勤するみたいにスーツに着替えて、奥さんにキスして「行ってきます」って言って、エレベーターでアパートの地下まで降りて、地下の部屋でパンツ一枚になって小説書いてたらしい。
The Work Behind the Writing: On Writers and Their Day Jobs
For nineteen years, until his retirement in 1885, Herman Melville would awake, slick back his dark hair and unsnarl the snags from his beard, don a uniform of dark navy pilot cloth and affix to his…
lithub.com
January 16, 2026 at 12:24 AM
アメリカ国防省はイコノラマの次に大型ディスプレイとしてケルヴィン=ヒューズ型ディスプレイを採用した。レーダー映像を撮影し、そのフィルムを自動現像し、1.8メートルのスクリーンに自動で投影するという画期的な装置だった。
『博士の異常な愛情』の作戦ボード(2)
『博士の異常な愛情』に登場する作戦ボード。実際にはあんな高性能のものは存在しなかったのですが、アメリカ国防省が採用したケルヴィン゠ヒューズ型ディスプレイは、それでも最先端の作戦視覚化システムでした。このディスプレイはレーダー映像を撮影し、そのフィルムを自動現像し、1.8メートルのスクリーンに自動で投影するという画期的な装置でした。しかし、システムのタイムラグが爆撃機、そしてICBMの速度の向上により問題視されていきます。
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January 15, 2026 at 5:00 AM
映画『オッペンハイマー』でクリストファー・ノーランはトリニティ実験の爆発を撮影することに執着しました。その執着が忘れたものについて考えてみます。
オッペンハイマー
映画『オッペンハイマー』で描かれた爆発と描かれなかったもの。そして、冷戦をめぐるエドワード・テラーとライナス・ポーリングについて。
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January 12, 2026 at 5:00 AM
『博士の異常な愛情』は、冷戦時代の核戦争危機を象徴的に描いたブラックコメディです。しかし、あの映画で描かれた世界は冷戦の実態よりもはるかに「進んで」いたのです。実際の米ソの間には直通電話は存在せず、リアルタイムで爆撃機の位置を示す作戦ボードも存在しませんでした。当時アメリカが実際に使用していた作戦ボード「イコノラマ」についての話です。
『博士の異常な愛情』の作戦ボード(1)
『博士の異常な愛情』は、冷戦時代の核戦争危機を象徴的に描いたブラックコメディです。しかし、あの映画で描かれた世界は冷戦の実態よりもはるかに「進んで」いたのです。実際の米ソの間には直通電話は存在せず、リアルタイムで爆撃機の位置を示す作戦ボードも存在しませんでした。当時アメリカが実際に使用していた作戦ボード「イコノラマ」についての話です。
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January 8, 2026 at 5:00 AM
"If international law mattered to the US, Netanyahu wouldn’t be basking in the afterglow of his 5th US visit since Trump was reelected and ICC Judge Kimberly Prost would still be able to ask her Amazon Echo to turn on the livingroom lights."
The Crowd Assesses The Situation [287]
Hi Crowd! Me: I’m going to start off the new year spending less time scrolling social media!US Govt: lol So like everyone else I woke up this morning seeing the Venezuela news and like everyo…
seanbonner.com
January 5, 2026 at 1:27 PM
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My friends in Austria sent this and I can't stop watching...wait for the end. 🤗💜
January 3, 2026 at 11:38 AM
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このあいだノーラン『インソムニア』の不眠症表彰を分析した人が『ファイト・クラブ』を引き合いに出してたけど、ノーランとかフィンチャーとか、リンチの『ロスト・ハイウェイ』とかシャマラン『シックス・センス』とかもそうで、1990年代後半のアメリカ映画に男の自意識と現実の乖離を描く自己の分裂テーマの映画が集中して現れたのは面白い現象じゃないかとおもう
December 30, 2025 at 9:40 AM
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『ザ・キラー』の語りと行動の不一致という点は観ながら『アングスト/不安』を頭に思い浮かべてて、あれは頭の中の独白では冷静沈着なスーパー殺人鬼の俺を語ってる男が現実にはまったく予想通りに事が運ばずテンパりまくるというコメディだったので、『ザ・キラー』もそういう類いの真顔のコメディとして笑いながら見ていたし、考えてみればフィンチャーの映画というのは『ファイト・クラブ』の主人公にしても『セブン』のジョン・ドゥにしても「頭のなかに思い描く理想の俺」と現実の自分のズレを嗤う、男の自意識を批判する映画であったよな。でもフィンチャー自身はどこまでそれを意識的にやってるのか不明。
December 30, 2025 at 9:36 AM
デビッド・フィンチャー監督の『ザ・キラー(The Killer, 2023)』について、その特異な語りの構造について考えてみました。信頼できない語り手の物語としてカズオ・イシグロの「日の名残り」と比較しながら考えてみます。
ザ・キラーの憂鬱
デビッド・フィンチャー監督の『ザ・キラー』は、定型から逸脱した語りの手法で演出されている。この映画を見た多くの人が戸惑うのも、この手法のせいではないだろうか。だが、これは今の時代の《私のことば》による語りを象徴的に取り扱った作品だ。
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December 30, 2025 at 8:12 AM
今回の「硝子瓶」は
・オピオイドと政治とミュージック・ビデオの話
・CBSの「60ミニッツ」の番組延期とリーク
・ロジャー・コーマンのフィルム・ノワール
・マイケル・ベイ監督のドキュメンタリー映画
についてです。
硝子瓶(二十三)
今回は、オピオイドと政治とミュージック・ビデオの話、CBSの「60ミニッツ」の番組延期問題、ロジャー・コーマンのフィルム・ノワール、そしてマイケル・ベイ監督のドキュメンタリー映画についての話題です。
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December 28, 2025 at 5:00 AM
第二次世界大戦後のイタリア映画と言えば《ネオリアリスモ》を思い浮かべると思いますが、では戦争から戻ってきた復員兵はどのように描かれていたのか。『荒野の抱擁(1947)』と『盗賊(1946)』を例に見ていきます。
復員兵と映画 イタリア編
第二次世界大戦後のアメリカ、ハリウッドが描く《復員兵》について見ているが、イタリアの戦後の映画に描かれている復員兵の状況も興味深い。ここでは、日本であまり取り上げられることのない、2本の映画を見てみたい。
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December 26, 2025 at 7:00 AM
エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」は、彼の数ある作品のなかでも最も有名な作品でしょう。夜の都会の片隅で見かけるダイナー。蛍光灯に煌々と照らされた店内。寂しいような、落ち着くような、不思議な場所。都会に住んだことがある人なら似たような場所をきっと見かけたことがあるだろう、そんな作品。しかし、これは描かれたとき、存在してはいけない風景だったというのはあまり知られていないと思います。どうして存在してはいけなかったのか。戦争が始まった頃のアメリカの話です。
エドワード・ホッパーと戦争
エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」は、彼の数ある作品のなかでも最も有名な作品でしょう。夜の都会の片隅で見かけるダイナー。蛍光灯に煌々と照らされた店内。寂しいような、落ち着くような、不思議な場所。都会に住んだことがある人なら似たような場所をきっと見かけたことがあるだろう、そんな作品。しかし、これは描かれたとき、存在してはいけない風景だったというのはあまり知られていないと思います。どうして存在してはいけなかったのか。戦争が始まった頃のアメリカの話です。
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December 23, 2025 at 12:00 PM
ノワールのプロデューサー特集4回目。リンズレー・パーソンズはモノグラム、アライド・アーチスツ専属のプロデューサーで、ジョン・ウェインの下積み時代を支えた人物として有名ですが、今回は彼が製作した2つのノワールに焦点を当てます。また、ルドルフ・C・フロソーはコロンビアのプログラム・ピクチャー専門のプロデューサー、今回は「ザ・ホイッスラー」について触れます。
ノワールの製作者:パーソンズとフロソー
フィルム・ノワールのプロデューサー達。今回は、モノグラム/アライド・アーチスツで活躍したリンズレー・パーソンズと、コロンビア・ピクチャーズで「ホイッスラー」シリーズを製作したルドルフ・C・フロソーを取りあげる。
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December 21, 2025 at 7:01 AM
第二次世界大戦前後の映像技術や工学をながめていると、この頃から、《見えるもの》と《見えないもの》の境界を曖昧にするテクノロジーが徐々に社会に浸透し始めている様子が見えてくる。可視の外側の現象が、平然と可視の領域に滑り込んで、ヒトは自らの知覚が広がったかのような錯覚に囚われ始める。赤外フラッシュ写真や赤外線フィルムを使った映画などが登場してくる。
赤外線フィルムの時代
第二次世界大戦前後の映像技術や工学をながめていると、この頃から、《見えるもの》と《見えないもの》の境界を曖昧にするテクノロジーが徐々に社会に浸透し始めている様子が見えてくる。可視の外側の現象が、平然と可視の領域に滑り込んで、ヒトは自らの知覚が広がったかのような錯覚に囚われ始める。この錯覚は時としてとても危険なものになりうるのだが、視覚に不自由を感じないヒトはすべての感覚のなかで視覚を無防備に無批判に信望していて、その危なかっしさを見逃しがちである。
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December 16, 2025 at 12:00 PM
ティモシー・ケリーは20世紀後半のハリウッドにあらわれた《怪優》のなかでも、最も厄介な人物だ。信じがたいエピソードに事欠かない。その彼が脚本、監督、主演をした映画『最も罪深き男』についてです。
最も罪深き男
ティモシー・ケリーの問題作と、そこから見えるティモシー・ケリーの《後継者》について。
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December 15, 2025 at 5:00 AM
今回は、ロシアとカナダのアニメーターの交流、映画監督、畢贛のインタビュー、などについてです。
硝子瓶(二十二)
今回は、ロシアとカナダのアニメーターの交流、映画監督、畢贛のインタビュー、などについてです。
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December 14, 2025 at 7:01 AM
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Emmanuelle Riva on location, during the filming of "Hiroshima Mon Amour" in 1958. pen-online.com/culture/hiro...
December 14, 2025 at 4:19 AM
軍産複合体の美学

冷戦初期のアメリカ。一見平穏に見えるこの時代に、よく見ると、大衆文化の片隅に兵器の存在が不穏な形で現れてきます。1950年代から60年代の雑誌広告をみると、軍需企業が武器の製造を誇示し、新型車のプロモーション映画には戦闘機が見え隠れする。アイゼンハワー大統領が警告した軍産複合体は、すでに社会の組織に深く入り込んでいました。モダニズムの美学のなかの兵器についてみてみます。
軍産複合体の美学
冷戦初期のアメリカ。一見平穏に見えるこの時代に、よく見ると、大衆文化の片隅に兵器の存在が不穏な形で現れてきます。1950年代から60年代の雑誌広告をみると、軍需企業が武器の製造を誇示し、新型車のプロモーション映画には戦闘機が見え隠れする。アイゼンハワー大統領が警告した軍産複合体は、すでに社会の組織に深く入り込んでいました。モダニズムの美学のなかの兵器についてみてみます。
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December 8, 2025 at 5:00 AM
アメリカの公共ラジオ放送局は、トランプ政権の財源カットでどこも運営が苦しくなっている。もともとリスナーの寄付金は重要な財源だったが、今はそれに頼るしかない。普段からリスナーに寄付を呼び掛けたり、寄付特別週間をやったり、「要らなくなったクルマを寄付すると一言言ってくれれば、手続きはこっちでやるよ」みたいなのもアナウンスしていたりしたが、それが最近はかなり頻繁で露骨になってきた。今朝ニューヨークのWQXRを聞いていたら「あなたの遺言にWQXRの名前を加えてもらえないだろうか」とか言っていて、しばらく言葉を失った。「discreet」という言葉はもうどこかに埋もれてしまったんだな、と思いました。
December 8, 2025 at 12:09 AM
フィルム・ノワールを多く製作したプロデューサーの第3弾。今回はB級映画の帝王、サム・カッツマンに焦点をあてます。『人類危機一髪! 巨大怪鳥の爪(1957)』ばかりが取り上げられるサム・カッツマンですが、やはり映画プロデューサーとしての嗅覚は圧倒的に優れていた。だからこそ、フィルム・ノワールを見限るときも見事なタイミングだったと言わざるを得ない。彼のフィルモグラフィ全体から見ると、あまり多くないノワール作品から2作品を紹介します。
ノワールの製作者:サム・カッツマン
フィルム・ノワールを多く製作したプロデューサーの第3弾。今回はB級映画の帝王、サム・カッツマンに焦点をあてる。 B級映画の帝王 もし「B級映画の帝王」の「王冠」があるとすれば、その王冠が最もふさわしいのは、やはりサム・カッツマン(Sam Katzman, 1901-1973)だろう。低予算映画のプロデューサーとしての彼の業績は驚くべきものである。1933年の『His Private Secretary』から1972年の『The Loners』まで、40年もの長い活動期間のあいだに240本もの映画を製作した。そのほぼすべてが安上がりで早撮りの映画だ。カッツマンの代表作と言えば、出涸らしのようなネタばかりのコメディ映画の『イースト・エンド・キッズ』シリーズ[❖ note]❖ ブロードウェイのヒット作(1935)、そしてそれを映画化した、ウィリアム・ワイラー監督の『デッド・エンド(Dead End, 1937)』に出演していた少年達を、ワーナー・ブラザーズが「デッド・エンド・キッズ」というグループにして、彼らの主演作をシリーズ化した。このデッド・エンド・キッズは、ワーナーでのシリーズが終了したあと、ユニヴァーサルで「リトル・タフガイズ」という名前で映画シリーズを開始、さらにはモノグラムで「イースト・エンド・キッズ」という別シリーズに出演していた。ギャラ交渉でカッツマンと決裂したあと、アライド・アーチスツで「バウリー・ボーイズ」シリーズに出演し続けた。、ジョニー・ワイズミュラー主演の『ジャングル・ジム』シリーズ(1948-1955)、たわいもないが、非常に中毒性の強い『スーパーマン(Superman, 1948)』のような連続活劇、数限りないホラー映画、SF映画、みすぼらしい西部劇、それに『ロック・アラウンド・ザ・クロック(Rock Around the Clock, 1956)』をはじめとするティーンエイジャー向けのロックンロール映画まで、ありとあらゆるジャンルの映画が挙げられる。流行や時流の最先端を突っ走り、観客が欲しいものを、欲しいその瞬間に、スクリーンに投影すれば、少々キズがあってもバレないだろう、それがカッツマンの映画づくりだった。『人類危機一髪! 巨大怪鳥の爪(The Giant Claw, 1957)』のように、時には、そのキズがあまりに大きすぎて底が抜けてしまうことがあるが、それで彼のキャリアにキズがつくようなことはない。カッツマンは映画作りの隅々にまで精通した正真正銘のショーマンであると同時に、映画ビジネスのリアリティを深く理解していた数少ない人間だった。パイン゠トーマスはモンスターかもしれないが、サム・カッツマンはキング ──あるいは悪魔── だった。 カッツマンのフィルム・ノワール カッツマンのフィルモグラフィのなかで《Film Noir》のタグが付与されているのは、全部で11本で、パイン゠トーマスと並んで2番目に多かった。 サム・カッツマンが製作したフイルム・ノワール作品 IMDBのデータより 彼のことを知る者によれば、カッツマンは《ハリウッドの敏腕プロデューサー》《コストカットの鬼》といったイメージからは程遠い、温かく、優しい人間だったという 。彼は常に撮影現場に顔を出し、監督、スター、スタッフに陽気に語りかけていた。彼の息子によれば、カッツマンは雰囲気づくりの上手い助監督のような感じだったという。だが、彼はある一点だけは曲げなかった。撮影は6日間で仕上げること。それ以上はなし。どんな理由があろうとも、6日間しか撮影期間は与えられなかった。 まず、カッツマンの《Film Noir》のフィルモグラフィのなかから『The Houston Story (1955)』を見てみよう。これはテキサスの石油産業を背景に、マフィアの闇のビジネスをテーマにした典型的なプログラム・ピクチャーである。物語は、元石油採掘技術者のフランク・ダンカンが、もうけ話をマフィアに話を持ち掛け、黒いビジネスに手を染めていく様子を描いている。ヒューストンを舞台にして、傾斜掘削による原油盗掘をマフィアたちが計画するという点においては、確かに独創的な話かもしれない。だが、物語はやがて裏切りと殺人で充満し、定型にそったB級映画の展開を見せていく。一方で、「平凡な男が、戦後アメリカの繁栄の機構を出し抜いて一攫千金を狙うが、惨敗する」物語でもある。このタイプの《Film Noir》には『オーシャン通り711(711 Ocean Drive, 1950)』『事件の死角(Shield for Murder, 1954)』などが挙げられるだろう。 『The Houston Story』の監督、ウィリアム・キャッスルが製作時のトラブルについて語っている。キャッスルと撮影クルーはヒューストンでロケを行っていたが、主役のフランク・ダンカンを演じていた俳優のリー・J・コッブが、8月のテキサスの熱にやられてしまい、心臓発作を起こして倒れてしまった。キャッスルは、自分が背格好や雰囲気がコッブに似ていてよく間違えられたので、顔さえ映らないように工夫すれば、自分がコッブの代わりをやっても、なんとかごまかせるだろうと考えた。結局、残りのロケ撮影は、キャッスル自身がコッブのスタンドインとして乗り切った。ハリウッドに戻ってからも、コッブの回復を待っていたが、コッブが再度倒れてしまう。しびれを切らしたカッツマンがジーン・バリーを連れて来て、彼で残りの室内シーンの撮影をすると言い始めた。キャッスルは結局カッツマンの指示に従って、バリー主演で映画の大半を撮影せざるを得なかった。だがしかし、テキサスで撮ったフッテージはどうするのか?キャッスルは、出来上がった映画をみて驚いた。コッブ、キャッスル、バリーの3人が主役のフランク・ダンカンを演じているのだ。ヒューストンの街中を走る遠景はウィリアム・キャッスル、それに続いてリー・J・コッブが走り続けて、ドアを開けて建物に入る。続いてジーン・バリーが殴られる近景、倒れそうになるウィリアム・キャッスル、床に倒れるリー・J・コッブ、と編集でつないでいたのである。さすがのキャッスルもその酷さに頭を抱えたという[❖ note]❖3人の主役 ウィリアム・キャッスルがここで描いているようなシーンは、実際の映像では確認できなかった。。 The Houston Story (1956) ヒューストンでのロケ撮影があまり活用できなかった作品。 私が見ることができたサム・カッツマンの《Film Noir》の数作のうちでも『Chicago Syndicate (1955)』は、かなりよくまとまった出来の映画だと思う。プロデューサーとしてカッツマンはクレジットされていないが、彼のClover Productionsが製作会社としてクレジットされている。監督はフレッド・F・シアーズ、脚本はジョセフ・ホフマン、主演がデニス・オキーフという、実に枯れた組合せの映画だ。
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December 7, 2025 at 7:00 AM
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日本の(長尺ものの)アニメ映画の歴史は太平洋戦争プロパガンダから始まったのでアニメで戦場の現実を描くことはとても意義のあることなんである。というわけで良い映画。このごろ力作野心作を送り出しては玉砕しまくりだった東映配給作としては久々にちゃんとお客さんも入ってるようで安心。

アニメに人は救えるか映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』感想文
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アニメに人は救えるか映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』感想文 | 映画にわか
太平洋戦争の南方戦線ものだが日帝に留まらず現在までしっかり続いているように見える日本人の敗北認められない病みたいなものを突いている観もあり、アニメ・漫画のプロパガンダ利用にも切り込んだ力作と思う。
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December 7, 2025 at 3:40 AM