岡田一実
banner
2d3n13.bsky.social
岡田一実
@2d3n13.bsky.social
俳人・岡田一実。句集に『境界ーborderー』(2014)、『新装丁版 小鳥』(2015)、『記憶における沼とその他の在処』(2018) 、『光聴』(2021)、『醒睡』(2024) 単著に『篠原梵の百句』(2024)HAIKU,for its own sake.
Pinned
岡田一実著『篠原梵の百句』、版元で在庫切れですが、現代俳句協会の妻恋坂書房でお取り扱いして頂くことになりました。
手元在庫はありません。
この機会にお手に取って頂けると幸いです!

岡田一実『篠原梵の百句』 - 現代俳句協会
gendaihaiku.gr.jp/item/15693/
岡田一実『篠原梵の百句』 - 現代俳句協会
岡田一実『篠原梵の百句』  (gh-b-87) 販売価格(税込)¥1,710在庫状態 : 在庫有り  ◆実存と思想 梵の場合は、言葉の内在的な豊かさを用いて思想を表現することよりも、物事や情感を簡潔な …
gendaihaiku.gr.jp
松下哲也が自分で火をつけた流れは、穏やかな方に行きつつあり、良かった……。

いかなる趣味も「中級」には需要がなく、「初心者の入門」しか金にならないんだよね……。「研究者」は「教養主義」のステイクスホルダーだが、そこに大衆が集まってこない不満が根底にあるのだと思う……。

美術教育者は「芸術の教えられなさ」を知っているし、美術メディアは金にならないことはしない。

「お前は一生初心者のままだぞ!」というのは、脅迫商法で、別に一生初心者でもいいんだよね……。

「初心者を抜けたい!」と思ったときに、学べるシステムがあればいいと私も思うが、まあ、金にならないことはシステムが整わないんだよね……。
November 17, 2025 at 6:19 PM
「現代俳句大系」第11巻、通読!!
November 17, 2025 at 3:48 PM
久保田万太郎『流寓抄』、読了。
万太郎は文壇・劇壇の花形作家で「俳句は余技」と言って憚らなかったが、洗練された洒脱な俳句を多く残した。今回再読してみて、「とは言え、やはり"文人俳句"らしさもあるな」と思った。また、天候を詠んだ句は地味ながら味わい深く、一日一日その時の一回性を大切にしていて好感が持てた。古風なところも含めて、総じて粋な句柄。
以下、多くなるが余さずに。

日向(ひなた)ぼつこ日向がいやになりにけり
砂みちの少し上(のぼ)りや冬の月
度外(どはづ)れの遅参のマスクはづしけり
東京にでなくていゝ日鷦鷯(みそさゞい)
海の日のあり〳〵しづむ冬至かな
November 17, 2025 at 3:39 PM
相良奈美香『行動経済学が最強の学問である』(SBクリエイティブ、2023)、読了。

アダム・スミスは「人間にはさまざまなな激情があるが、共感する力がある。義務と道徳を知れば正しく行動ができる」と説き、それを受け経済学は「市場メカニズムの中で動く人間も、常に理性的で正しい判断をする」という前提で構築されてきた。
しかし、それには限界があるとして生まれたのが「行動経済学」。すなわち「人間の『非合理な意思決定のメカニズム』を解明する学問」である、と。
本書は、人間が「合理的に判断する存在ではない」ことを前提に、私たちの意思決定を歪める癖や偏りを、行動経済学の主要概念を用いて解説。
#読書
November 16, 2025 at 8:11 AM
マイケル・リンド/中野剛志解説/施光恒監訳/寺下滝郎訳『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(東洋経済新報社、2022)、読了。

本書は、戦後実現した「民主的多元主義」の安定した政治が、1970年代に始まった新自由主義に基づく「上からの革命」の影響を受け、機能不全に陥った結果、今日の米国では国民統合が揺らぎ、分断が深刻化していることを指摘し、その分断の解消をどのように図っていくべきか論じるもの。
現代社会の対立を「都市の専門職エリート」と「大多数の労働者階級」との権力格差として捉える。
#読書
November 15, 2025 at 7:36 AM
林原耒井『蜩』、読了。
「石楠」の「ネオ・ロマンティシズム」は個人的には苦手。この世界は俳句より短歌の方が向いているのでは……。「言いたいことが多すぎる」叙情という感じです……。語彙は豊富なのだけれど、空回りしていると感じました……。ときどきキラリとした佳句もあるが、総量に対して採れる句が少なかった。

冴え返る風夜(かざよ)の店灯照りかはす
移り住んで壁の白さの夏すいと
深か山は曇り易さを蝶の飛ぶ
秋風や一つ一つのものの音
読み返す文(ふみ)は恋めく夜を長み
宵のゆめ明け方のゆめ桐匂ふ
わが框おぼろの杖を措きにけり
旅はゆふべ河原つくしを一ニ本
短か夜の明けて花なん黄なりける

#読書
November 11, 2025 at 4:46 PM
blog更新。初出は『俳壇』2022.12俳壇「新・若手トップランナー」です。「写生論」はこの頃は同じ事を繰り返し書いていました……。
〈現場で書いていると、何もかもが一回性を帯びていることがわかる。今日の紅葉は去年の紅葉とも昨日の紅葉とも違う。感受する私も、気分や体調の揺らぎの中にいる。その一回性に近づけて書く。言葉は「目の前にあるものを書き写す」ことなど出来ない、というところから始める。〉

水声: 旅 岡田一実 suisei13.blogspot.com/2025/11/blog...
旅 岡田一実
二十代の頃、母、父、愛犬と次々に他界した。「悲しみ」と名づけてしまうには複雑な、日々喉を軽く押さえつけられたような感覚を書き残しておきたいと思った。しかし、思いをくどく縷々述べる気にはなれなかった。俳句の分量なら書ける気がしたが、俳句は「季語がある五七五の詩」というくらいの知識...
suisei13.blogspot.com
November 9, 2025 at 4:24 AM
「現代俳句大系」第11巻、あと2句集。ラストの久保田万太郎『流寓抄』は再読で、しかも好き俳人なので、読み通せそう……。見えたな!
November 5, 2025 at 4:57 PM
星野立子『実生』、読了。
立子は人事句がずば抜けて良い。人間関係の流暢性からはみ出た瞬間を逃さない。冷ややかで鋭敏だが、嫌みがない。あと、この頃の「ホトトギス」の俳人は、季語「涼し」を本当に粋に使っていて、立子も格好良く使っている。
「何ということではないけれど、書き留めておかなければ意識にのぼらないこと」というのは現象学的でもあるが、軽やかにやってのけている。
採れる句がとても多かった。以下、余さず。

左肩下る意識の懐手
姿よく能なき硯春の塵
ひらきたる春雨傘を右肩に
次の間を開けて仏間や草の餅
捨てしものすぐ散り浮くや春の潮
しとやかに君は緑に染まり坐し
風呂の湯を落とせしあとの遠蛙
November 5, 2025 at 3:47 PM
マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング著/上京恵訳『リバタリアンが社会実験してみた町の話――自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』(原書房、2022)、読了。

本書は、アメリカ・ニューハンプシャー州のグラフトンで行われた「自由至上主義者(リバタリアン)」たちによる社会実験の顛末を描いたノンフィクション。
2000年代初頭、「国家の干渉を最小限にした社会」を理想とするリバタリアンたちが「フリー・ステート・プロジェクト」を立ち上げ、同州に移住して独自の自治社会を築こうとした。彼らは税金を拒み、政府による福祉や規制を否定し、個人の自由を最大限に尊重する「ユートピア」を目指した。

#読書
November 5, 2025 at 12:34 PM
急に秋が深まりましたね。
岡田一実最新12句『闇処(やみど)』をお送りします。
お楽しみ頂けると幸いです。
#俳句
#季語
#読書
October 31, 2025 at 8:38 AM
岸田稚魚『負け犬』、読了。
前半の自然詠は地味ながら良いと思った。
後半からは人事詠が増えて、それがあまり面白くない。「社会性俳句」を意識してか、辺境に住む人や「社会的弱者」を取材に行っているが、「スラムツーリズム」に似た「上から目線で勝手に憐れむ」感じが否めない。エロスを描いた句もヘテロセクシャル男性的な平凡さで見るべきものはなかった。

雑草の花こぼれつつ月夜なる
栗の花ひと日曇りて雨となりぬ
午すぎの鶏鳴くや近松忌
花冷の夕べ日当たる襖かな
黄昏や蕗茹でる水すぐ沸きて
旅すでに心衰ふ合歓の花
暮れがての雀ちらばる雪のひま
膝の上の悴む手では嘘は云へぬ

#読書
October 28, 2025 at 2:50 PM
「現代俳句大系」第11巻は残るところ4句集。読め通せそうな気配……。
October 18, 2025 at 4:07 PM
富安風生『古稀春風』、読了。

「平凡さ」を愛した風生であるが、ときに語彙に凝り、ときに格調に凝る。多くは採れなかったが、旅吟は連作としてなかなか面白いものが多かった。「赤富士」の句は力作。

人を怒る心すぐ萎え寒夕焼
わがところわが時を得て春炬燵
端居して昨日の旅の今日遠き
雲海や機上に飴を妻とわかつ
海霧はれて一舟の影海になし
赤富士に露滂沱たる四辺かな
稜(かど)立てて赤富士あらし露の天
乾坤に寒といふ語のひびき満つ
寒磴をふみ登る影寒磴に
人の読むものをさげすみ汽車蒸暑
葛をふみ径に沁みたる水を踏み
初映画ほろほろ泣けて恥かしや
盃に城の影落つ舟あそび

#読書
October 18, 2025 at 3:50 PM
リチャード・O・プラム/黒沢令子訳『美の進化 性選択は人間と動物をどう変えたか』(白楊社、2020)、読了。

著者は、ダーウィンの性選択論を拡張し、「美」が進化を動かす力であるとする。雌が雄の外見や行動に感じる「快」や「美しさ」に基づいて配偶者を選ぶことで、審美的感覚と装飾形質が共に進化するという「審美進化説」を提唱する。
孔雀の羽や鳥の求愛舞など、生存には不利でも魅力的な特徴が進化した理由を説明し、人間にも理論を拡張する。性的魅力やオーガズム、同性愛、女性の性的自律性などを、美意識と快楽の進化の産物として読み解く。

白眉は第5章から第7章。

#読書

#読書
October 13, 2025 at 7:37 AM
「伝統」というのは、過去から現在の欲望をチェリーピッキング的に引き出すことで成り立っている。「伝統」は権威で、権力を欲する者は、その権威の系譜を自分の都合の良い線に引き直す。
輪の外から見ているとあからさまなのだが、輪の内にいると単純に「健気な仕事」に見えるかもしれない。

この社会は、権力を欲する者に期待し、権力を渡す。権力を欲する者の内実は問わない。
October 9, 2025 at 5:01 PM
「中八」が忌避される理由、というのは案外説明が難しい。
つまらない一段階があり、その後に面倒くさい二段階くらいがある。話が複雑になる……。
October 9, 2025 at 4:02 PM
能村登四郎『合掌部落』、読了。
たぶん再読なのだが、ほとんど覚えていなかった。「社会性俳句」を「風土」という切口から眼差した作が多く、当時は意義深かったかもしれない。ただ、村人や農夫、漁夫、あるいは囚人を「哀れな人々」と他者化してみせるという作風はどれも苦手。知識人の鈍感な上から目線に感じる。「馬酔木」はそういう作家が多い……。説明的な上五字余りにも乗れなかった。
#読書
October 9, 2025 at 3:32 PM
『文藝春秋』11月号、新作6句「端」をご掲載いただいております。短歌は東直子さん、自由詩はカニエ・ナハさん。どちらも読み応えのある作品です。
お手にとってご覧いただけると幸いです。
#俳句
#文藝春秋
#読書
October 9, 2025 at 8:16 AM
Blog更新。
2022年に『俳句界』に書かせて頂いた論考です。「人称代名詞の効果」という特集でした。
池田澄子論はまたいつか改めて書けたらいいなと思っています。

水声: いっときを我は人にて 池田澄子俳句の《私(わたくし)》 岡田一実 suisei13.blogspot.com/2025/10/blog...
いっときを我は人にて 池田澄子俳句の《私(わたくし)》 岡田一実
池田澄子の俳句の核の一つは「世に在ることへの戸惑い」である。自ずと人称代名詞《我・私》という語彙が俳句に数多く表出する。《我・私》を深く洞察し、ときにドライに俯瞰する多様な視点が各句集に通底して現れている。多彩な《我・私》がある不思議を初期作品から順に見ていきたい。   ...
suisei13.blogspot.com
October 7, 2025 at 4:08 AM
石川桂郎『含羞』、読了。
解説によると「俳壇に揺るぎない大家としての地位を確立」とあるが、個人的にはあまり乗れなかった。リズム感が悪く、現場への執着が足りない。内容は「善良」であり、嫌味はないが、平凡ともいえる。採れる句は少なかった。

征くとまた告げ去りし畳蟻がゐる
函館は松に雨降る霊迎
凩やまた空耳の母を前
栗飯を子が食ひ散らす散らさせよ
黒々とひとは雨具を桜桃忌
文机に落葉聖書にうす埃
墨の香の梅の香の中菓子給ふ(秋桜子邸)
藤房を妻の手に戴す平かに
#読書
October 2, 2025 at 2:58 PM
百合山羽公『故園』、読了。
虚子門に入り、池内たけしに指導を受け、水原秋桜子に同行して「馬酔木」に移っている。全体的に「馬酔木」らしさが強く、濃い抒情性と季重なりにより移ろいが多く見られる。おおらかな自然詠は格調高く、取り合わせは俳味が光る。「ホトトギス」の一回性の不思議を取り入れてもいて、現代の一部で流行している句風に似る。あまり知らない俳人だったが、好きな句が多かった。
#読書
September 29, 2025 at 3:24 PM
ようやく秋めいてきましたね。
岡田一実最新12句『人ごゑ』です。
お楽しみ頂けると幸いです。
#俳句
#読書
September 25, 2025 at 5:59 AM
相馬遷子『山国』、読了。

「馬酔木」を受け継ぐ「季重なり」は上手くいくこともあれば、味わいがバラけてしまうこともある。解説に「格調」という評言があったが、「格調」を狙った句はわざとらしさが残る。むしろ巧まざるシンプルな句にすっと残る佳さがある。

雲行くや樅は深雪に潰えつゝ
草枕ランプまたゝきしぐれくる
滝壺やとはの霧湧き霧降れり
小屋に寝て深山の月を瞼にす
雁の列寒き落暉の中に入る
闇の夜の風が打ちつくるものぞ雪
渡らむと馬を控へつ蝌蚪の水
たまゆらの道べの熟睡夏の月
黙々と憩ひ黙々と汗し行く
忽ちに雑言飛ぶや冷奴
電車より首出しゆくや星祭
片空に星座ひしめく野分かな
#読書
September 11, 2025 at 3:23 PM