非常に難解な小説だった。実験的というのか前衛的というのかわからないがとにかく衝撃を受けた。途中まで読み進めたところで「意味を理解しながら読み進めることは自分の読解力では無理」と判断して、そこからはわからないまま受け入れて読み進めていった。難解だからつまらないのかといわれると決してそうではなく意味を超えたところで小説そのものの力に引き込まれる部分もある。一体これは何なんだろう。
非常に難解な小説だった。実験的というのか前衛的というのかわからないがとにかく衝撃を受けた。途中まで読み進めたところで「意味を理解しながら読み進めることは自分の読解力では無理」と判断して、そこからはわからないまま受け入れて読み進めていった。難解だからつまらないのかといわれると決してそうではなく意味を超えたところで小説そのものの力に引き込まれる部分もある。一体これは何なんだろう。
母の故郷である入り江と山に挟まれた土地に連れてこられた10歳の少年が主人公。言葉が話せず体も動かせない兄と、ネグレクトの母。田舎で生活する中で主人公は不思議な経験をしていく。技巧的な構成で語られるストーリー自体も面白く読んだけれど、それよりも作品全体をふんわりと包む暖かい眼差しに惹きつけられた。主人公の置かれている状況は過酷で、書く作家が違えば暴力や大人の身勝手さにもっとフォーカスしたものになりそうだがこの小説はそうではなかった。「光」「救い」「癒し」を感じる作品。
母の故郷である入り江と山に挟まれた土地に連れてこられた10歳の少年が主人公。言葉が話せず体も動かせない兄と、ネグレクトの母。田舎で生活する中で主人公は不思議な経験をしていく。技巧的な構成で語られるストーリー自体も面白く読んだけれど、それよりも作品全体をふんわりと包む暖かい眼差しに惹きつけられた。主人公の置かれている状況は過酷で、書く作家が違えば暴力や大人の身勝手さにもっとフォーカスしたものになりそうだがこの小説はそうではなかった。「光」「救い」「癒し」を感じる作品。
集大成的作品。内容とリンクした装丁がまた良い。父に関係する「水死小説」の執筆を断念したという内容が含まれる「水死小説」となっていて、もはや何でもありだな!と思いながら読み進めた。文体は「おかしな二人組」三部作の延長線上にあり読みやすいものになっている一方、内容は非常に多くの要素を含んでおり複雑。一つのテーマだけで小説が書けそうなものが複数投入されているような感じ。作中で出てくる言葉も「穴居人」「大眩暈」「死んだ犬を投げる」といった独特のもので面白い。相変わらずの自虐的描写もある。後期作品の中で読みごたえは傑出していた。結末はレイン・ツリーのイメージも重なった。
集大成的作品。内容とリンクした装丁がまた良い。父に関係する「水死小説」の執筆を断念したという内容が含まれる「水死小説」となっていて、もはや何でもありだな!と思いながら読み進めた。文体は「おかしな二人組」三部作の延長線上にあり読みやすいものになっている一方、内容は非常に多くの要素を含んでおり複雑。一つのテーマだけで小説が書けそうなものが複数投入されているような感じ。作中で出てくる言葉も「穴居人」「大眩暈」「死んだ犬を投げる」といった独特のもので面白い。相変わらずの自虐的描写もある。後期作品の中で読みごたえは傑出していた。結末はレイン・ツリーのイメージも重なった。
「おかしな二人組」三部作の最後を締めくくる作品。小説家・長江古義人は少年時代からの知り合いである建築家・椿繁との再会を経て、北軽井沢の二つの別荘を舞台に繁の企てる「大勝負」に巻き込まれていくといった内容。椿繁の「大勝負」の意図がどうも納得できず三部作の中では一番しっくりこない読書となってしまった。
「おかしな二人組」三部作の最後を締めくくる作品。小説家・長江古義人は少年時代からの知り合いである建築家・椿繁との再会を経て、北軽井沢の二つの別荘を舞台に繁の企てる「大勝負」に巻き込まれていくといった内容。椿繁の「大勝負」の意図がどうも納得できず三部作の中では一番しっくりこない読書となってしまった。
短編集は1から3まであったけど『魂込め』を読んでみたかったので2にした。装丁の感じも好き。楽しみです。
短編集は1から3まであったけど『魂込め』を読んでみたかったので2にした。装丁の感じも好き。楽しみです。
ヒトラーがずっと死なずに生きている世界線と彼のためにポルノ小説を書き続ける男の生涯を描く歴史改変物。
現実と非現実が融解するように混ざりあい視点が切り替わりながら展開していくためストーリーを追うのに苦労し途中からわけがわからなくなってしまったが、開き直って何も考えずそのまま世界観に没入するように読み進めた。それで充分面白い。
文体には心地よいリズムと詩的な情緒がある。日本の作家でいうなら村上龍あるいは古川日出男あたりを連想した。知らない誰かのねじれた悪夢の中にうっかり入り込んでしまったような感覚に陥る小説。
ヒトラーがずっと死なずに生きている世界線と彼のためにポルノ小説を書き続ける男の生涯を描く歴史改変物。
現実と非現実が融解するように混ざりあい視点が切り替わりながら展開していくためストーリーを追うのに苦労し途中からわけがわからなくなってしまったが、開き直って何も考えずそのまま世界観に没入するように読み進めた。それで充分面白い。
文体には心地よいリズムと詩的な情緒がある。日本の作家でいうなら村上龍あるいは古川日出男あたりを連想した。知らない誰かのねじれた悪夢の中にうっかり入り込んでしまったような感覚に陥る小説。