すわぞ
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140字小説を書きます。『再掲』と付いてるものは、X(Twitter)でも前にポストしたものです。
X、mixi2、タイッツー等もIDは同じsuwazoです。
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吸血鬼と人間シリーズはこちらからどうぞ
吸血鬼「日本、なんか川の数多くない? 行動範囲めっちゃ狭いんだけど」
人間「故郷に帰れよ」

#吸血鬼と人間
森で拾ったチビ竜は魔法をかけられた記憶喪失の人間だった。ふたりで旅してやっと魔法を解いたのに、元チビ竜は隠れたまま。「どうしたんだよ、人間に戻ったら俺の嫁にしてくれって言ってたろ」「なれないよ」やっと出てきたのは泣きっ面の青年だった。「じゃあ俺が嫁になればいいのか?」
#140字小説
再掲です
November 25, 2025 at 10:04 AM
うっかり怪我をして情けなくも人間に拾われてしまった。「儂は神に仕える神狐じゃぞ。大事にすれば神から褒美が貰えるぞ」と言いつつ、欲深な態度を見せればバチを当ててやろうと思っていた。なのに怪我が治った頃、「ご褒美にまた私に会いに来てよ」などと寂しげにほざく。これは参った。
#140字小説
再掲です
November 24, 2025 at 10:08 AM
久しぶりに図書館に通うようになって気づいた。幾人もいる司書の顔ぶれが毎回違う。なのに皆どこか懐かしい感じがする。「実はね」長身の司書が囁いた。「ここも予算がなくてね。自分たちで自分たちの世話をすることにしたのですよ」あなたは、僕が子供のころ憧れたあの本の中の……
#140字小説
再掲です
November 22, 2025 at 10:58 AM
魔王城にたどりつく。魔王はかつての幼馴染だった。こんなに憎まれていたとは思わなかった。「貴方様をお待ちしておりました」魔王は勇者に跪いて自害したのだ。「この城も魔物もすべて貴方様のもの。貴方様のために用意しました」陥れられた。仲間たちが、裏切り者を見る目で勇者を見る。
#140字小説
November 21, 2025 at 11:51 PM
「おれは我が民すべてをたばかると決めたのだ。それこそが民を守る唯一の方法ゆえに」即位した若き王は言った。「だから私を選ばれたのですね?」妃が問う。「共犯として」「共犯として」美しい夫婦だった。女の身で甲冑をまとった王と、男の身でドレスを着た妃と。明日を勝ちとるために。
#140字小説
再掲です
November 21, 2025 at 10:45 AM
「私はモッタイナイオバケだよ」とその幽霊は言った。「昔そこにあった家に嫁いできた。でもじき悪い病にかかった。家の者は皆もったいないもったいないと言って、死ぬ間際まで私をこき使った。雑巾みたいにぼろぼろになるまで使われ尽くした。だから私はモッタイナイって言葉が嫌い」
#140字小説
November 20, 2025 at 11:21 AM
月の夜、囚人達が大勢で大脱走した。鉄柵を乗り越え、一斉に同じ方向へ駆けていった。勿論すぐに一人また一人と捕らえられる。「なぜこんな無謀なことを?」警官の疑問は、最後の逃亡者の目的地で解けた。病院。あした大手術の娘に一目会いたい彼のために、仲間が体を張ったのだ。
#140字小説
再掲です
November 20, 2025 at 11:10 AM
昔ペテン師として死んだ男の名を言うと、妖精は顔をしかめた。「あの大嘘つきね」「やっぱり。あいつが妖精に会ったというのは嘘だったんだ」いいえ、と妖精は続けた。「彼の嘘は、後になって『妖精に会ったのは嘘だ』と言ったことよ。私たちを守ろうなんて思わなくてもよかったのに……」
#140字小説
再掲です
November 19, 2025 at 10:44 AM
ある朝とつぜんバス停が人間になっていた。「次のバスは15分後ですよ」物腰の柔らかな老紳士である。雨の日も晴れの日も24時間同じ場所に立っている。雨の朝、思わず傘をさしかけたら「バス停ですから必要ありませんよ。でもありがとう」と微笑まれた。笑い皺がキュートだった。
#140字小説
再掲です
November 18, 2025 at 11:09 AM
悪い姫様は喋ると口から大蛙が出る呪いをかけられ城を追い出されました。今は孤児達のねぐらに世話になっています。「一体何したの?」「こっそり勉強したら怒られたの。女の癖にと」姫様が語るとやっぱり蛙が飛び出ます。孤児達は大喜び。蛙は貴重な食糧で、しかも意外と美味しいのです。
#140字小説
再掲です
November 17, 2025 at 10:56 AM
浜辺で瓶詰めの悪魔を拾った。「出してくれたら願いを何でも叶えてやるよ」「悪魔なんぞ信用できるか。先に願いを叶えろ」「瓶の中にいる限り俺は力を使えないんだよ」俺は瓶詰め悪魔をねぐらへ持ち帰った。話し相手に飢えていたのだ。この無人島にもいつかは救助が来るだろう。それまで。
#140字小説
November 17, 2025 at 10:24 AM
「彼女の生まれた星は地球ほど豊かではなくて、同族同士で捕食しあうような所なんです。だから愛情表現も違うんです。抱きしめたりキスなんかしたら彼女は恐怖で錯乱しますよ」「じゃあどうすれば? 彼女の星の愛情表現は?」「歌うんです。遠く離れたところから。優しく冷静に」
#140字小説
再掲です
November 16, 2025 at 11:21 AM
「魔法なんて非科学的なものは信じませんよ」プンプン怒りながらロボット執事が言う。「貴方はロボットだものねえ」老婦人が微笑む。「でもあなたがそうして怒ったりするようになったのはやっぱりお隣の魔法使いに魔法をかけられてからよ」「友達になっただけです」「友達になる魔法をね」
#140字小説
再掲です
November 15, 2025 at 10:34 AM
古着屋でコートを買ったら子供の霊が憑いていた。ときどきコートの内側から顔をのぞかせて、外の世界を珍しげに眺める。街を見るのも好きらしい。野良猫を見て喜んでいたから、動物園に連れて行ってやった。楽しそうだったのでよかった。冬の景色しか見せてやれないのが残念ではある。 #140字小説
November 14, 2025 at 10:48 AM
宇宙から落ちてきた超生命体が私の車に憑依した。と思ったら車じゃなくてカーステだった。だから車自体は変形も合体もしない。でもカーステはお喋りで歌はうまいし、追っ手に車を爆破されて私が号泣してたらこっそり脱出して携帯ラジオになっていて、だから私たちの旅はまだまだ続くのだ。
#140字小説
再掲です
November 14, 2025 at 10:21 AM
鈴の音とともに少女が言う。「先祖に『虫』が混じっていたようで……私、この季節には無意識に『鳴いて』しまいますの。大丈夫です、どうせ普通の方には聴こえませんから。でもお侍様には聞こえますのね。うふふ。私達きっと遠い親類ね。鳴く虫は雄。聴こえるお侍様は雌ですのよ」
#140字小説
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November 13, 2025 at 10:58 AM
漁師の少年は人魚と仲良くなった。人魚がいるといつも大漁だった。不老不死を得られるという人魚の肉を欲した者どもに捕らえられて拷問されても人魚の居場所を教えなかった。ついに絶命した少年が三途の川に辿りついたとき、ばしゃばしゃと人魚が川を泳いできた……「迎えに来たわ」
#140字小説
再掲です
November 12, 2025 at 10:29 AM
人喰いの怪物は銀に弱いから銀の品を身に付けるとよい。それは迷信だと、当の怪物である僕はよく知っている。が。……その女は何一つ銀など纏ってなかった。なのに腕の赤子はこれでもかとばかりの数の銀製品を付けていた。僕はその母子を見逃した。まあ怪物とて母の愛とやらには弱いのだ。
#140字小説
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November 11, 2025 at 11:20 AM
「地上から美しいと思ったものを拾っておいで」命じられた天使たちはそれぞれのものを手に戻ってきました。ひとりが持ってきたものは、ひからびた蛙みたいな小さな黒い塊でした。契約で得た魂を相手に返し天国へ逃れさせ、もはや地獄へ帰れなくなった、低級悪魔の成れの果てでした。
#140字小説
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November 10, 2025 at 10:37 AM
「あそこは虹の道だよ」突然の事故で死んだ私に、死神が言った。雨にけぶる交差点を指さして。「生前、会いたくてたまらなかった相手に、ひとめ会えるよ」そこにいたのは、行くはずだったライブのステージのあの人ではなかった。待ち合わせて一緒に行くはずだった、あの子だった。
#140字小説
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November 9, 2025 at 10:52 AM
さてさて、物語はすべて終わってしまいました。勇者も美姫も、彼らに助けられた素朴な村娘も、遠い子孫たちすらも、もう誰もいません。《そしていつまでも幸せに暮らしました》の「いつまでも」すらもう終わっています。もう何もありません。人ひとりいません。私の声は風の音。ぴゅう。
#140字小説
再掲です
November 8, 2025 at 10:54 AM
「ちわー、ご依頼いただいた片付け屋です。最近ご依頼が多いんですよ本当。で、肝心の祠はどこに? ああこちら。うーん。……すんません、これ、だめです。まだじゅうぶん力が残ってて、手が出せません。ぶっちゃけ無理に片付けたら祟ります。俺見て既に怒ってます。すんませんすんません」
#140字小説
November 8, 2025 at 1:50 AM
考古学者が遺跡から発見したのは、もしかすると『神』だった。王の棺の横で膝を抱えて座っていたのだ。何百年も。学者は彼を自宅にひきとり、風呂に入れてやり、食事を与えた。彼は見た目はただの青年だった。そして心細い子供みたいに言うのだ。「お前は死なないでいてくれるか?」
#140字小説
再掲です
November 7, 2025 at 11:03 AM
「永遠の命を得る秘薬がほしいんだが」「そんなもの欲しがってどうするのさ。永遠の命なんてろくな物じゃない」「知ってる」「人と共に歳をとれず、みんなに先立たれて一人残されるんだよ」「知ってるからこそ欲しいんだ。もう、一人で残されるのはいやなんだ。俺は仲間が欲しいんだよ」
#140字小説
November 6, 2025 at 11:45 AM
少女は龍使いの一族の末裔だった。もはや龍を操る力などなかったが、捕らえられ、遠い王国へ運ばれる。少女は、冷酷で横暴な王太子がすすり泣くのを見た。すまなかった。お前をさらったのは俺だ。この国の王族は龍の血をひく。どうか、俺が龍か、父上の実子か、確かめてほしい……
#140字小説
再掲です
November 6, 2025 at 11:14 AM