こっちがいいかもしれん

閑話。
何かを考えながら何かを思い出しそれに対して何かの答えを探そうとして今日のお昼ごはんの内容を思い出しそうになりながらやっぱり何か他のことを考えるのはよくあることで、とにかく毎秒頭の中はごちゃごちゃとして何もまとまらないし何かの答えも出ないし、そもそも何が疑問なのかも忘れたしもちろんお昼に何を食べたのかも忘れている。
食後のお茶に関しては流石に三番煎じは味がないなとか思ったのは覚えているし、でも良いお茶なだけあって香りまだめっちゃするすごいなとかは覚えている。

で、だ。
ぐるぐるぐちゃぐちゃしているとわたしの視線がおかしくなるらしい。
もともと『おはなしするときはあいてと目をあわせましょう』ができないのだ。眉間のあたりを見ればいいよだとか聞いたことはあるけれどやっぱりなんだか違う気がする。
じゃあこうかな？と相手の目を見ようとするとこちらから見て右側の目玉しか見られない。
相手の目を見る。なんか違う。
相手と目を合わせる。やっぱりなんか違う気がする。
「どこ見てるの？ちゃんと聞きなさい」
うーん会話って難しいな。
閑話休題。

ひとり連想ゲームが始まると、比較的ちゃんと畳んでしまっておいた筈の出来事が「わーい！」とぐちゃぐちゃ飛び出して頭の中に散っていく。
『大事なお話しを聞いた時用』に作っておいた空間に入り込む。
新しいお話しをしまう場所がないのだ。作っておいた筈なのに。
隙間ですか？そこに無ければ無いですね。

常に何かしらの言葉だとか感情だとか見たもの聞いた音だかが頭の中で全部一緒くたになってぐるぐるしている。
思考がすぐに他へ飛ぶ。連想ゲームをしてしまう。
目の前で自分だけに向かって話している人の言葉が分からない。
聞き取った単語単位で気を取られるのでその後の話しが右から左へ流れてしまうが望んでそうしているわけではない。
右往左往となっている。

つまり何が言いたいのだ？と聞かれれば見ていただいたとおりだ。『見て』であって『読んで』ではない。
文章の内容ではなく形だ。
なんだかギュッとしている。
読点があってもズレている。句点がまるで見当たらない。そうすると当然改行もない。
これがわたしの頭の中である。

閑話。
何かを考えながら何かを思い出しそれに対して何かの答えを探そうとして今日のお昼ごはんの内容を思い出しそうになりながらやっぱり何か他のことを考えるのはよくあることで、とにかく毎秒頭の中はごちゃごちゃとして何もまとまらないし何かの答えも出ないし、そもそも何が疑問なのかも忘れたしもちろんお昼に何を食べたのかも忘れた。
食後のお茶に関しては流石に三番煎じは味しないよなとか思ったのは覚えているし、でも良いお茶なだけあって香りまだめっちゃするすげえなとかも覚えている。

致命的な誤変換を検出した

アンティークのカップの中で薄い緑をしたお茶が湯気を立てている。さすが高級茶葉だ。香りから違う。味もなんだか甘い感じがする。私のプラスチックのマグカップに注がれていても高貴さが隠せない。本日の近侍様のようだ。
気高い彼、すなわち京極政宗様が人間工学に基づいた座り心地の良い椅子で優雅に柿ピーを食べている。わさび味がお気に召したご様子でカラの袋がふたつある。
「いやいやいや違う違う」
混乱する私をよそにピンク色のエビおかきに伸ばした手を掴む。
「どうかして？」
「あのええと、あの、違うよ！違うからね！」
フフと微笑みながらもう片方の手でエビおかきを摘んでいる。

まぶたを軽く閉じてお茶の香りを楽しんでおられる本日の近侍様が、アンティークのカップをそっと唇にあてる。いつかの陶器市で一目惚れしたものだがなんだか勿体なくてずっとしまっていた。そんな食器棚の奥で眠っていたカップが近侍様の手に触れて誇らしげにしている。気がする。腹立つ。
長いまつ毛が、意外と柔らかい感触の頬に影を落としている。何の流れでそうなったのだったか。このあいだお互いにぷにぷにした。
少ししてゆっくりと現れた赤い瞳がこちらを見る。
白磁の肌に完璧に引かれた形の良いひとつの優美な線、つまり唇から鈴の音がする。
「あるじさまはああいうものがお好きなのね」

履歴が2015年だった
2015年！？

俺の手を離した女の子はトトトッと軽い足音で壁に向かう。そのまま手のひらをぺたっとくっつけて「ただいま」と呟いた。

・ふわふわのぬいぐるみとかフリルいっぱいのドレスとか赤ちゃんとかお花の冠とか好きなのでこの子もめちゃめちゃ好き〜〜！俺が男とか関係ねえしかわいいもんはかわいい〜〜〜〜だろうが黙ってろ！！
・ケーキを見るのも好きです
・この子がパフェ食ってるとこ見てぇな
・あ、目的地付近に到着しました。お疲れさまでした。
・家っぽいやつないけど

・路地裏から出て人通りがある明るい道を使う
・見つけたのが比較的善良な俺でよかったねえ
・服の裾をちょんとつまむので、嫌じゃなかったらどうぞと手を差し出すとぎゅっと両手で握ってくる
・両手だと歩きにくいよって口は大きく開けないでニコッと笑う
・女の子はパッと下を向いて顔を隠すけど耳が赤い
・日陰を選んで怖がらせないように安心させるように歩幅を合わせてゆっくり歩いて落ち着いた声でこっちも適度にゆっくり話してできるだけ目を合わせて手は引っ張りすぎないでってか
・お手々ちっちぇ〜！