アイコンは、以前お迎えした “わたくしは誰でもない。あなたは誰?” のエミリー。
幾度読んでも凄まじさに愕然とする。冒頭におけるリア王の誤りに対して、彼の身に降りかかる惨劇の重みがいくら何でも不均衡で不条理だ。そして苦しんだ先の再会の喜びすら、一瞬の救いで終わってしまう無情さ。
解説によると、同様に死屍累々な『ハムレット』よりも、昨今では高く評価されることが多いとのこと(なるほど…)。フェミニスト的な読みをすれば、リア王がゴネリルに浴びせる呪詛は完全にアウトなので、すでに歪な親子関係があったのだろうとは思う。
#海外文学 @libro.bsky.social
幾度読んでも凄まじさに愕然とする。冒頭におけるリア王の誤りに対して、彼の身に降りかかる惨劇の重みがいくら何でも不均衡で不条理だ。そして苦しんだ先の再会の喜びすら、一瞬の救いで終わってしまう無情さ。
解説によると、同様に死屍累々な『ハムレット』よりも、昨今では高く評価されることが多いとのこと(なるほど…)。フェミニスト的な読みをすれば、リア王がゴネリルに浴びせる呪詛は完全にアウトなので、すでに歪な親子関係があったのだろうとは思う。
#海外文学 @libro.bsky.social
『ダロウェイ夫人』についての十篇もの論考(二篇は翻訳)とインタヴュー、ウルフの作品二篇が収められている。刊行百周年でありながら前衛文学として古びることのない理由を、あらためて教えられる一冊だった。
二つのインタヴュー(斎藤真理子、松田青子、聞き手・小川公代)は、韓国文学にみられるウルフの影響や韓国でのウルフ受容の話、戦争とトラウマというテーマ、松田さんの作品とウルフに共通するあわいの世界や多孔的な自己の描かれ方の話…などなどが頗る面白かった。
#海外文学
『ダロウェイ夫人』についての十篇もの論考(二篇は翻訳)とインタヴュー、ウルフの作品二篇が収められている。刊行百周年でありながら前衛文学として古びることのない理由を、あらためて教えられる一冊だった。
二つのインタヴュー(斎藤真理子、松田青子、聞き手・小川公代)は、韓国文学にみられるウルフの影響や韓国でのウルフ受容の話、戦争とトラウマというテーマ、松田さんの作品とウルフに共通するあわいの世界や多孔的な自己の描かれ方の話…などなどが頗る面白かった。
#海外文学
素晴らしかった。“悪い女の子は彷徨する”——冒険の魅力に抗えず。“あなた”の彷徨先を選んで見届ける、それは何て楽しい時間だったことか
幾度か訪れる人生の“分かれ道”、悪魔から譲り受けた赤い靴がある限り歩くことを止められないけれど、それもまた“あなた”(私)次第。より自分らしくより自由な選択なんてわからない。好奇心が先走っても痛い目に合う。でも、一度は赤い靴を履かずにいられようか
すべての鏡は扉、庭の小人の誘拐、姿を変える鼠の王、スノードームの世界、ドロシーの靴…、離れ離れの世界に鏤められた符牒が響く
#海外文学
素晴らしかった。“悪い女の子は彷徨する”——冒険の魅力に抗えず。“あなた”の彷徨先を選んで見届ける、それは何て楽しい時間だったことか
幾度か訪れる人生の“分かれ道”、悪魔から譲り受けた赤い靴がある限り歩くことを止められないけれど、それもまた“あなた”(私)次第。より自分らしくより自由な選択なんてわからない。好奇心が先走っても痛い目に合う。でも、一度は赤い靴を履かずにいられようか
すべての鏡は扉、庭の小人の誘拐、姿を変える鼠の王、スノードームの世界、ドロシーの靴…、離れ離れの世界に鏤められた符牒が響く
#海外文学
ギリシア語とラテン語の文献が保存されてきたプロセスについて、まず書き言葉の伝承を管理し保護する制度が洗練・強化されていった時代にまで遡る。
ラテン語の古典が残されるか否かの運命が、如何にか細い糸にかかっていたか…という件。ルネサンスの促進力で人文主義が影響力を持ち、視界が開けていく時代についての章が面白かった。モンテカッシーノ修道院の宝庫の鍵が外され、数多のテクストが持ち出されたことで新しい潮流を発生させた経緯を、歴史を繙く物語で読んでみたい。
#読了 @libro.bsky.social
ギリシア語とラテン語の文献が保存されてきたプロセスについて、まず書き言葉の伝承を管理し保護する制度が洗練・強化されていった時代にまで遡る。
ラテン語の古典が残されるか否かの運命が、如何にか細い糸にかかっていたか…という件。ルネサンスの促進力で人文主義が影響力を持ち、視界が開けていく時代についての章が面白かった。モンテカッシーノ修道院の宝庫の鍵が外され、数多のテクストが持ち出されたことで新しい潮流を発生させた経緯を、歴史を繙く物語で読んでみたい。
#読了 @libro.bsky.social
ど 土星の環 (W・G・ゼーバルト)
く 黒い天使 (アントニオ・タブッキ)
し シャムロック・ティー (キアラン・カーソン)
よ 夜のみだらな鳥 (ホセ・ドノソ)
の 野ばら (長野まゆみ)
あ アレクサンドリア四重奏 (ロレンス・ダレル)
き 狐になった奥様 (デイヴィッド・ガーネット)
四重奏を並べたくてw
@libro.bsky.social
ど 土星の環 (W・G・ゼーバルト)
く 黒い天使 (アントニオ・タブッキ)
し シャムロック・ティー (キアラン・カーソン)
よ 夜のみだらな鳥 (ホセ・ドノソ)
の 野ばら (長野まゆみ)
あ アレクサンドリア四重奏 (ロレンス・ダレル)
き 狐になった奥様 (デイヴィッド・ガーネット)
四重奏を並べたくてw
@libro.bsky.social
婚姻成立から転げ落ちていく悲劇。デズデモーナをうら若いとする解釈は腑に落ちるが、そう思って読むとますますやり切れない。
オセローとイアゴーは騙される者と騙す者でありながら、其々が嫉妬という害毒に突き動かされていく最悪のコンビでもある。善良で人を疑わない可憐なデズデモーナは一溜まりもない。なんて可哀想な。
オセローの嫉妬深さは人種に起因するとされるのも何だか…。
解説の “妄想に取り憑かれた人間が、同じ妄想を別の人間に植え付けていく不気味な狂気的世界” という言葉は的確で凄い。
#海外文学 @libro.bsky.social
婚姻成立から転げ落ちていく悲劇。デズデモーナをうら若いとする解釈は腑に落ちるが、そう思って読むとますますやり切れない。
オセローとイアゴーは騙される者と騙す者でありながら、其々が嫉妬という害毒に突き動かされていく最悪のコンビでもある。善良で人を疑わない可憐なデズデモーナは一溜まりもない。なんて可哀想な。
オセローの嫉妬深さは人種に起因するとされるのも何だか…。
解説の “妄想に取り憑かれた人間が、同じ妄想を別の人間に植え付けていく不気味な狂気的世界” という言葉は的確で凄い。
#海外文学 @libro.bsky.social
素晴らしい読み応え。語り手「わたし」が1980年代のドイツはハンブルクで過ごした日々に、どっぷりと引き込まれた。慣れない異国で働き始めた心許なさを抱えつつ、研修生という宙ぶらりんな立場で出会う様々な人たちとドイツ語での交流を重ね、言語と小説への希求が募っていく。
カフカ、漱石、チェーホフ、ホフマン…と、幾つもの文学作品が色んな場面で引き合いに出てくるのが印象的で、本好きにとって本に纏わる記憶は、どこへ行っても自分から離れない拠り所にもなり得るということを思った。
#読了 @libro.bsky.social
素晴らしい読み応え。語り手「わたし」が1980年代のドイツはハンブルクで過ごした日々に、どっぷりと引き込まれた。慣れない異国で働き始めた心許なさを抱えつつ、研修生という宙ぶらりんな立場で出会う様々な人たちとドイツ語での交流を重ね、言語と小説への希求が募っていく。
カフカ、漱石、チェーホフ、ホフマン…と、幾つもの文学作品が色んな場面で引き合いに出てくるのが印象的で、本好きにとって本に纏わる記憶は、どこへ行っても自分から離れない拠り所にもなり得るということを思った。
#読了 @libro.bsky.social
国王一座時代の問題劇。
婚姻成立カップル数とは裏腹に、めでたしめでたし…なハッピーエンド感が驚くほどにない。マリアナは本当にそれでいいの? イザベラ、神様の花嫁になるはずじゃ…? とすっきりしないのだが、シェイクスピアの結婚観の表れかと思うとじわじわくる(いいと思うw)。
#海外文学 @libro.bsky.social
国王一座時代の問題劇。
婚姻成立カップル数とは裏腹に、めでたしめでたし…なハッピーエンド感が驚くほどにない。マリアナは本当にそれでいいの? イザベラ、神様の花嫁になるはずじゃ…? とすっきりしないのだが、シェイクスピアの結婚観の表れかと思うとじわじわくる(いいと思うw)。
#海外文学 @libro.bsky.social