ぽんず
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ぽんず
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最近はアニメより映画をよく見ます。
やってるゲーム:シャニマス、スタレ、FGO
応援してるジャンプ漫画:暗号学園が終わったので鵺の陰陽師
聴いてる音楽:GRAPEVINE、Spoon、柴田聡子
「一度も顔を撮られたことのなかった」男が、自らカメラの前に素顔を晒した時(この映画は”カメラ”が物語的にも演出的にもめちゃくちゃ重要な要素を占めている)、枯れた老体に凄まじい気迫が宿り、鬼神の如き強さで文字通り暴れまわる。この変貌が映画のボルテージを一気に引き上げ、怒涛としか言い様のない活劇の幕を上げる、本作の白眉だ。孤狼の哀しみと悪のプロフェッショナリズムで予想と盤面を何度もひっくり返す怪物に、ワンマンプレイではなくあくまでチームで立ち向かうジャッキー・チェンたち警察組織という構図は明確に対比を意識したものであるが、それでも彼一人の姿がこの目に焼き付いてしまった。今年のベストヴィランです。
December 15, 2025 at 10:48 AM
荒削りながらも一作目には確かにあった己の中にある偏見や差別心と向き合うドラマや、レンジを広く取った”多様性”というテーマが、申し訳程度に一通りを並べて見せただけの浅薄な代物になってしまっているのは続編として残念至極。まあニックとジュディのカップリング、という大方の需要は200%満たしているので、商業作品としてはこれで良いんじゃないですかね。
December 12, 2025 at 2:45 PM
そんな膠着状況を解決するのが捨て駒な兵士たち一人ひとりにも名前と故郷と帰る家がある、という事実にこの作品の意義がある。一方で、そもそもの戦争責任は漂白され、若者たちの無謬性や悲劇性だけが取り立たされている面も否定できない。必ずしもミクロの話にマクロの話を持ち込まないといけないわけではないが、「こういう人たちがいてくれたから今の平和があるんだ」といった感想が散見されると、”大日本帝国が世界的には侵略国家である”という視座がないことが、結局は無邪気な英霊観を助長させてしまうんだなと、戦争モノの難しさに一晩モヤモヤした次第です。
December 6, 2025 at 1:28 AM
前作に比べるとクライマックスのカタルシスの組み立てが弱く感じたのは残念ポイントではあるが、俺の大好物である『呪いを祝福に変える』テーゼが多層的に語られるドラマの語り口がそれを補って余りあるものだったので、満足感は高い。夢見の少女は見る人が見れば悪魔憑きじゃなく恩人だし、黒電話は地獄だけでなく天国にも通ずるのだ。
何よりも、デミアン・ビチル演じるセラピーキャンプのオーナーが、マチズモから脱却した先を示すロールモデルであり、悲劇の犠牲者たちを決して忘れないために生きてきた本作の死者と生者の関係を象徴する重要な役割を果たしており、最高のじいさんキャラだった。彼の”電話”にこそ、泣かされたよね。
November 23, 2025 at 2:08 AM
無償の愛がその人自身を焼き尽くす蠍の炎であることを、前半と後半の作品トーンの違いからも分かるように、本作はヒロイックさをゆうに通り越して、痛々しさすら感じるように描いている。それは紙吹雪のようにデフォルメされた吹き荒ぶ雪が、徐々に心身を切り刻む鋭利な刃に見えてくるほどだ。まるで呪いのような”トリツカレ”を祝福へと変えるのは、自らを顧みないほどの献身を、他者と分け合うしかないのだろう。奇しくもそれは、美術監督である秋山健太郎氏がかつて手掛けた『輪るピングドラム』と同根の結論である。僕達の愛も、僕達の罰も、みんな分け合うんだ。愛の話なんだよ、なんで分かんないかなぁ。
November 14, 2025 at 11:45 AM
シンプルな筋のラブ・ストーリーではあるが、”トリツカレ”により先鋭化した無私の献身が、次第に純粋がゆえの狂気的な側面を覗かせ、それに呼応するように作品のトーンそのものが濃厚な死の気配を漂わせる。この変貌ぶりが本当に凄まじい。愛による忘我が死への誘いと隣合わせであることを示すのは、”トリツカレ男”たるジュゼッペだけの話ではない。ペチカもまた、他者の幻影を追うあまり自らの笑顔を陰らせ、ブレーキのない自転車で坂道を駆け下りたいという、死と隣り合わせのプリミティヴな衝動を内に秘めている。
November 14, 2025 at 11:42 AM
1対1の人物間描写を反復しつつ、それが確かに外に伝播していく。器に人が集まるのではなく、人の熱が集まって器が形作られる。何よりも先ず『やりたい事』を始めることの尊さを、”愛”と”勇気”でみんなに伝えることで、ようやく『みんなで叶える物語』ができる。まだもう1作残ってるけど、わりともう語りきってると思います。
映画としての最大の見せ場であるMVはどれも強いんだけど、走り抜けてきた道程の誰もいない軌跡を鮮烈に映した優木せつ菜のそれが、物語の文脈をエモーショナルに補強していて、今作の白眉だった。キャラクターコンテンツでその演出ができるのは凄いよ。
November 11, 2025 at 12:49 PM
ぽんず
@ponzu_citron
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4分
しかし、『エイリアン:ロムルス』もそうだったけど、アクションのシチュエーションやギミックのアイデアがどんどんゲームのイベントっぽくなっていくな……。没入させてくれれば良いけど、一度気になるとわりとノイズになる。
November 8, 2025 at 2:08 AM
彼らは絵に描いた様な正義漢ではない。身内に甘く、野心や保身に走り、欲望に負ける、当たり前の”弱さ”を持つ人間として描かれている。だからこそ、綺麗事がバカバカしくなるような欺瞞に濡れた社会の実態を暴き、ぶち壊そうとする犯人の言動に揺さぶられる。しかし、それでもと、一線を超えぬよう踏ん張ろうとするのもまた、情に弱く理想を捨てきれない、人間の”弱さ”であり”強さ”だ。犯人の姿を通じて自分の中にある闇を突きつけられた警察官たちは、しかし職務を投げ出すことはない。どう足掻いても負け戦になる勝負に、泥臭くも挑み続ける不断の意志の在り方を美化せず真っ直ぐ描ききった、素晴らしいサスペンス・スリラーだった。
November 2, 2025 at 11:39 AM
楽曲の強さが明確に映画のギアを上げてゆく構成も、偶像が持ち得る力として作劇とリンクしているので、宇宙戦争をやってもちゃんとアイドルの話に回収できる無茶苦茶なパワープレイ。そこにメタ文脈として今この時代に三石琴乃をヒロインとしてステージに立たせることの意義が収束し、ジャンルも世代も横断する永遠の輝きとしてその一瞬を刻む。シリーズの劇場版にふさわしい、とても力強い映画だった。
October 24, 2025 at 3:39 PM