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ジョン・クラカワー『空へ』読了。著者のルポ『荒野へ』は傑作だったし、普段から登山をしエベレストにも興味があったので、以前からずっと気になっていた一冊。フォントがかなり小さく怯んだが、前作と同様あっという間に引き込まれいつの間にか読み終えてしまっていた。1996年、著者も加わったエベレスト登頂隊はなぜ大量遭難に至ったのか。様々な人物への丁寧な聞き取りから、登山の商業化の流れの黎明期に起きた大惨事が、主催者や参加者の見落とし、怠慢、欲による目算の誤りの積み重ねで起こるべくして起きた、ある意味人災だったと知った。
December 1, 2025 at 6:14 AM
なんで読んだか忘れたけど『サタンタンゴ』は結構好きだったな

昔のXアカウントから(4/2/21):

クラスナホルカイ・ラースロー『サタンタンゴ』読了。タル・ベーラ監督による7時間超映画の原作小説としても有名。そんなの見たら首と肩が爆発してしまうので本で読めて良かった。時代に取り残され、世間から見放された村に姿を現した男は、死者の内から蘇った救世主か、地獄の底へと誘う悪魔かー。
October 9, 2025 at 12:16 PM
吉行淳之介『技巧的生活』読了。ある事がきっかけで銀座の会員制クラブで働き出した女、葉子。同じ「よう子」が既に店で働いているから、と新しく「ゆみ子」という源氏名を与えられるが、それは二年前に男に捨てられ自死した女の名だった。情を貫き死んだ「ゆみ子」か、情を捨て男を利用し強かに生きる「よう子」か。葉子は二つの存在の間を揺れ始める。酒場で働く女と客の男の駆け引き、彼らが相手の輪郭を捉えたと思いきや、次の瞬間には曖昧模糊となり困惑する様子を第三者の視点から傍観できる面白さがあった。お馴染みの性描写も「癖」があるものの、今回は未成年を含むものではなく胸を撫で下ろした。
August 4, 2025 at 5:36 AM
吉行淳之介『砂の上の植物群』読了。中年のセールスマン伊木は、教師時代の教え子と重ねながら、行きずりの18歳の少女と肉体関係を持つ。更にその姉への「復讐」を依頼されるが…。『原色の街・驟雨』を読んで感動する前、元々著者に持っていた悪感情はこちらの作品に由来するものだったと思う。中年男の妄想みたいな内容に「キモイィィ」という気持ちを何とか抑えられたので、一番初めに読まなくて良かった…。そもそも表紙の挿画が気に入りメルカリで買った氏の新潮文庫一式に、この一冊だけ無かった理由が今更ながら気になった。
April 19, 2025 at 5:25 AM
小林エリカ『女の子たち風船爆弾をつくる』読了。銃後の女性の視点からの作品を読みたくて。大戦末期、和紙と蒟蒻糊で出来た風船爆弾の製造に携わった少女達の戦前から戦後までを追う。何人もの少女達の夢と青春を犠牲にしながら、なんて馬鹿なものを造ったんだ、とやるせない思いに駆られたし、それでもピクニックに出掛けていた妊婦と子供達が犠牲になったと知り、更に居た堪れない気持ちに。あの戦争全体を象徴するかのようだ。
March 12, 2025 at 5:01 AM
塚本邦雄 『琥珀貴公子』読了。中井英夫の古本を探している時に見かけ、装丁も内容も好きそうだったので。閏月を含む十三ヶ月分の漢詩に合わせた不穏で耽美な短編集。どれも短いながらも舞台設計が抜群に巧い。たった数行で登場人物の性格や関係性が手に取るように判る。腹に一物抱えている彼らの魂胆は。巡る季節毎に咲き乱れる花々を背景に、城や離島、別荘地という豪華な舞台で愛憎劇が展開する。それこそウイスキーを飲むように少しずつ、時間をかけてゆっくり鑑賞した。かなり好きだったので著者の他の作品も読みたい。
January 15, 2025 at 1:02 PM
ミハル・アイヴァス『黄金時代』読了。好きだった書評家の方が薦めていて、フラヌール書店で半額だったので。カーボベルデとカナリア諸島の間に位置する、名もなき島の独特な習俗と価値観、そして一冊の「本」について。前半と後半の趣きが異なり戸惑ったがどちらも大いに楽しめた。
November 28, 2024 at 12:36 PM