矢倉喬士(Takashi YAGURA)
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矢倉喬士(Takashi YAGURA)
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文学研究/翻訳者。

2月27日に『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』という翻訳短篇集が発売されました。ゲームファンも文学ファンも読んで頂けますと幸いです。

共著:『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』共訳:タナハシ・コーツ『僕の大統領は黒人だった』デイヴィッド・マッツケーリ『アステリオス・ポリプ』メール→missing_link2390@yahoo.co.jp
ドン・デリーロの未邦訳作品の翻訳を行います。来年には何作品か出版されると思います。
October 31, 2025 at 2:31 PM
12月27日発売予定、『ユリイカ』アリ・アスター特集号のページができていました。

『ヘレディタリー』『ミッドサマー』『ボーはおそれている』などの作品で知られるアリ・アスター監督の最新作『エディントンへようこそ』の公開とあわせて、ぜひお買い求めください。

目次予定【インタビュー】アリ・アスター【イラスト】冬虫カイコ【エッセイ】大森時生/風間賢二/斜線堂有紀/セメントTHING…【論考】石田由希/堅田諒/河西瑛里子/川本徹/小西真理子/新城大地/對馬拓/冨塚亮平/長尾優希/新田啓子/藤原萌/宮本法明/矢倉喬士/鷲谷花他

www.seidosha.co.jp/book/index.p...
青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2026年1月号 特集=アリ・アスター(仮)
www.seidosha.co.jp
October 31, 2025 at 12:33 PM
ポール・トーマス・アンダーソンの映画『ワンバトルアフターアナザー』はめちゃ面白かった。着想源であるピンチョンの『ヴァインランド』におけるとっ散らかった要素(ゴジラ、マッサージ暗殺忍術、亡霊の群れなど)はほとんど省き、見やすくて飽きない仕上がり。戦いという名の坂が連続する歴史を呪わず、坂そのものを利用して前に進んでいく。

場内からは何度も笑いが起こり、緊張と緩和、スリルと心地よさがリズミカルに訪れる。イデオロギーの衝突ではなく人間のぶつかり合いを描き切った手腕はお見事。
October 5, 2025 at 9:28 AM
ピンチョン新作『シャドウチケット』レビュー2

私立探偵ヒックスはチーズ業界の大物の娘ダフネを捜す。ボウリング場を拠点とする親ナチ団体、ミシガン湖で潜水艦で武器を密輸するオーストリア・ハンガリー連合、クロアチア国境の軍事団体、クセのある連中が大暴れ。

ピンチョンは既に作品を書き終えていたものの、2025年にイーロン・マスクがウィスコンシン州でチーズの帽子をかぶったことに言及されているのが示唆的。『ブリーディング・エッジ』の悪役はビル・ゲイツだったが、『シャドウチケット』の悪役はトランプとイーロン・マスクの合成物のようだ。
www.theguardian.com/books/2025/s...
Shadow Ticket by Thomas Pynchon review – his first novel in 12 years tunes into rising fascism in the US
The 88-year-old’s jaunty whodunnit, set during the prohibition era, features clowns, Nazis and a missing cheese heiress
www.theguardian.com
October 5, 2025 at 7:39 AM
ピンチョン新作『シャドウチケット』レビュー記事

私立探偵ヒックス・マクタガートが「チーズ業界のアルカポネ」の娘を捜してミルウォーキーから船旅を経てヨーロッパに至る。フェイスチューブなるSNS、ロボット少女、富豪の若返り技術など登場。

NY・LAの二大都市で私立探偵的主人公を描いたピンチョンにとって、第三の都市シカゴではなく1932年ミルウォーキーであることの意味は「ファシズム以前の時空」。ニュースを否定して別の現実を作る、ヒトラーは思ったことを率直に言ういい人という認識など、2016年以降のアメリカを投影している。
www.uncut.co.uk/reviews/thom...
Thomas Pynchon's Shadow Ticket reviewed: darkly comic detective caper set during Prohibition-era
Thomas Pynchon's ninth novel Shadow Ticket is a 1930s-set detective caper with contemporary resonances
www.uncut.co.uk
October 5, 2025 at 7:37 AM
8月25日発売、鳥羽和久『光る夏 旅をしても僕はそのまま』

良いタイトル。この対極は「〜には絶対行った方がいいよ。人生観変わるから」だろうか。著者はそのような、変化・成長・向上が目的化し、予め期待したものを確認して帰る移動を旅とみなさない。

普通の旅行記にありがちな、後から整理された「意味」や「物語」にならないように、「揺れ」や「感覚」の記述を目指したというこの本には確かに新しい何かを感じる。安定して一貫した視座から振り返らないので、要約できない出来事に投げ出される。

ジャワ島、スリランカ、ハバナ、アッシジ、ドーヴァー、クレタ島、メキシコ、台湾、普通ではない旅行記をお求めの読者に。
September 24, 2025 at 1:26 PM
7月に発売された、金原瑞人『翻訳ワークショップ』

AI翻訳が台頭し、「翻訳者」から「監訳者」へと役割を移行しつつある翻訳者の現状をまとめる前半。その環境で短編を1本、対訳形式で解説する後半の2部構成。

自分の誤訳を晒すことから始めて、誤りすら力にするしたたかな人間の翻訳を示している。
September 22, 2025 at 11:15 AM
インタビュー記事が公開されました。

小島秀夫監督の最新作『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の発売を記念して、短篇集『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』の著者ジャミル・ジャン・コチャイさんに文学とゲームの話を伺いました。

FF7やメタルギアから身につけた文学創作術、キャラクターを知ろとうする読者の覗き見趣味と支配的欲望、デススト1における「出来事」としての死と、デススト2での変化、些細な欠点の指摘に拘泥すると作品のヴィジョンとオリジナリティを見失う、など。

お楽しみください。
realsound.jp/book/2025/09...
『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』ジャミル・ジャン・コチャイに聞く、小説とゲームの関係
2025年2月27日、翻訳短篇集『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』(ジャミル・ジャン・コチャイ著)が河出書房新社より刊行された。本記事では、日本版の翻訳を務めた矢倉喬士が、『メタルギアソリッドV』という実在するゲームを題材にアフガニスタン移民の歴史と現在を巧みに描き出したコ…
realsound.jp
September 15, 2025 at 3:49 AM
デスストランディング2の発売を記念したジャミル・ジャン・コチャイ氏へのインタビュー記事が校了しました。近日公開です。

タイトルは『きみはデスストランディング2: オンザビーチもプレイする』です。

前半は短篇集『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』についての著者解説、後半はコチャイさんとゲームの関係・文学とゲームの関係について。

13000字以上あったものを8000字程度まで削らないと不可とのことで、「新大統領政権下でのアメリカの生活の変化」「今、文学の意義とは」など、すごくいい回答が得られた部分を泣く泣くカット。他で発表できる場所が欲しい。
September 13, 2025 at 8:37 AM
今年2月にジャミル・ジャン・コチャイ氏による『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』という短編集を翻訳出版し、有り難いことに多くの読者に恵まれました。

さらに6月には小島秀夫監督の新作ゲーム『デスストランディング2: オンザビーチ』が発売されました。

このタイミングでジャミル・ジャン・コチャイさんにコジマゲームの魅力と文学の可能性を伺うインタビューを敢行しようと思ってあれこれ取り組んでいたところ、何とか形になりそうです。

短編集の読者には本をもっと楽しんでもらえるような内容になると思います。あと1ヶ月もかからずに発表できる気がしますので乞うご期待。
August 10, 2025 at 12:34 PM
23日に発売されたハーツハイム・ブライアン・ヒカリ『ゲームデザイナー 小島秀夫論』、とても面白かったです。

同時代の地政学的物語、映画的ストーリーテリング、テーマとリンクしたゲーム性、遊び心あるメタ的空間、といったコジマ作品に共通の要素をデスストに至るまでの全ての作品で分析。

素晴らしいのは、小島監督作品におけるスタッフの貢献、分業について論じられているところ。例えば、『MGS2』における強制無線は小島氏、任意の無線会話は福島智和&村田周陽氏が大部分を担当したという分業体制について読むと、ややもすれば1人の名前に帰されかねない功績も適切に理解される。
May 25, 2025 at 2:05 PM
アサヒ(木石岳)さんが『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』を紹介して下さいました。20分超えの動画!

アフガニスタン情勢の説明もあるので、作品をもっと知りたい方にうってつけです。

笑えるのに怖くて興奮する魔術的体験への案内。

動画の中で非常に優れた指摘がありました。

タリバンを面白おかしくイジり、バカバカしく展開することはアフガニスタンにルーツを持つ作家でなければできない。日本文学からは決して出てこないもの、翻訳文学でしか読めないもの、他の作品で味わえない情動に出会わせる作品。

有難うございます。
www.youtube.com/watch?v=iZSh...
テレビゲームと現実が解け合う魔術的リアリズム小説、メタルギアとアフガニスタン現代史の交錯
YouTube video by アサヒ 音楽と文学は色ガラス
www.youtube.com
May 3, 2025 at 4:13 AM
本日、第11回日本翻訳大賞の大賞作品が発表されました。

・エヴァン・ダーラ著『失われたスクラップブック』 木原善彦訳(幻戯書房)

・鄭 執(ジョン・ジー/てい・しつ)著『ハリネズミ・モンテカルロ食人記・森の中の林』 関根謙訳(株式会社アストラハウス)

以上二冊の同時受賞です。

受賞者を招いた授賞式が、6月21日(土)13:00〜 東京御茶ノ水デジタルハリウッド大学・駿河台ホールで開催される予定です。

木原さんはギャディス『JR』以来、二度目の大賞受賞。おめでとうございます。
besttranslationaward.wordpress.com/2025/04/28/%...
第十一回日本翻訳大賞 大賞決定
4月27日(日)、日本翻訳大賞選考委員による選考会が都内某所にて開かれ、検討の結果、以下の二作が第十一回日本翻…
besttranslationaward.wordpress.com
April 28, 2025 at 3:27 AM
現代作品を挿げ替え続けてバランスをとった気になっている世界文学の編集方針は、結局のところ正典を強化しているに過ぎないことは、これまでに批判されてきた通り。しかし、それすら今回のジュノ・ディアスの件とは無縁。
April 23, 2025 at 3:15 AM
何かが面白いかどうかというのは、つくづく、その対象にとっての自分が面白いかどうかである。
April 23, 2025 at 2:21 AM
ジュノ・ディアスは日本語訳ではスペイン語で書かれた部分が訳されてしまったから、文芸業界やMLAへの挑戦の文脈が軽く見積もられている可能性はある。アチェベやトニ・モリスンに比肩するという評価については、評価軸が少しずれていると思うが、バルガス=リョサを鮮やかに、かつ独創的に書き換えて更新してみせたのは偉業。

ジャミル・ジャン・コチャイの訳者解説で、パシュトー語とペルシャ語を翻訳してしまったことによって「翻訳罪」を負ったと書いた際には、『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』の翻訳を念頭に置いていた。
April 22, 2025 at 5:14 PM
ジュノ・ディアスのオタク性(otakuness) は、ゲバラやカストロをもオタクとして捉えるほどの射程を持ち、南米独裁モノが陥った隘路を抜け出す確かな力があった。

『アメリカン・サイコ』のオタク的描写を引き合いに出してディアスを下げている人がいるようだが、これほどの無理筋もないだろう。格が違いすぎる。
April 22, 2025 at 2:33 PM
「最新版ノートン世界文学アンソロジーからジュノ・ディアスが削除されたことへの反論」(NY市立大学)

マサチューセッツ工科大やボストンレビューの調査では懲戒処分に値する根拠を見つけられなかったが、ディアスは社会的制裁を受けた。

今回の削除は右翼の焚書に等しい。

他の学問分野においては、道徳的信憑性によって研究可能性が否定されることは考えられない。例えば、ドナルド・トランプが悪行を重ねたとしても歴史研究から消去してはならない。

ディアスを擁護する気はないが、アンソロジーからの削除は文学史の担い手たちにとって恥ずべきこと。
www.chronicle.com/article/juno...
Opinion | Junot Díaz’s Forced Disappearing Act
The great writer has been exiled from the Norton anthology.
www.chronicle.com
April 21, 2025 at 1:36 PM
Reposted by 矢倉喬士(Takashi YAGURA)
こちらのトークイベント、いよいよ明日に迫ってまいりました。まだお席はあいているようです。桜の終わった京都での海外小説・翻訳話はいかがでしょう? どうぞよろしくお願いいたします。
関西の、特に京都あたりにお住まいの方で、翻訳とか現代小説にご興味のある皆様。4月にこんなイベントをすることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。木原善彦×矢倉喬士トークイベント エヴァン・ダーラ『失われたスクラップブック』&ジャミル・ジャン・コチャイ『きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする』刊行記念イベントです( cvbks.jp/2025/03/20/k...
CAVA BOOKS
CAVA BOOKS(サヴァ・ブックス)は、2017年、京都・出町桝形商店街にオープンする予定の、「出町座」の1階にある本屋です。
cvbks.jp
April 18, 2025 at 1:00 AM
Reposted by 矢倉喬士(Takashi YAGURA)
きみはメタルギアソリッドV:
ファントムペインをプレイする
ジャミル・ジャン・コチャイ
訳 矢倉喬士

青山のプラダでやってる小島監督とレフンの展示会を知り衝動的に完読。インパクトのある表題作だけで満足していたことを後悔した。控えめに言って2025年マストリード文藝のワンオブ。収録された短篇のどれもが面白い創作アイデアなんだけど匣の外側の現実がそれをも凌駕していて正直僕はどう気持ちを表現すればいいのか言葉が見つからない。初めて俺の『文学なんておもしろければいいじゃん』が負けた。これをイスラムマジックリアリズム戦争文学ですと言ってしまうのは、あまりに簡単すぎるし軽すぎる。繰り返し、必読。
April 16, 2025 at 1:39 PM
明後日19日の14時スタートの翻訳文学新刊トークイベント、前後が食事どきかと思いますが、サヴァブックスさんが近くのオススメ飲食店を紹介してくださっています。

中華「中国菜 燕燕」
en-en-kyoto.com

洋食「LION KITCHEN」
lionkitchen.com

和食「出町ろろろ」
tabelog.com/kyoto/A2601/...

京都で何を食べようか迷う方はぜひご参考に。

『きみはメタルギアソリッドV: ファントムペインをプレイする』の解説に向けたメモが1万字近くになりました。訳者解説はそれなりにいい感じに書いたつもりですが、さらなる魅力をお伝えします。
April 17, 2025 at 8:55 AM
MGS2は1に引き続きスネークが主人公と思わせておいて雷電が主人公になった。デススト2もそれを踏襲して、まだトレーラー映像に一切出てきていないキャラクターが主人公だったら、「やるな」と思う。

歩荷というキャラクターが出てきてストーリーを進めるのに立ち寄る必要がない場所に配置されているらしい。そこではないと思うが、山頂の鳥居にイベントがないのが残念だったので同じマップを使うなら何かやってほしい。
April 15, 2025 at 5:04 PM
トマス・ピンチョンの新作が大したことなければいいのになと毎回願っているザック・スミスさん。

2006年に『重力の虹』全ページをイラスト化した本を出版された方。

序文はスティーヴ・エリクソンが担当。

↓本のURL
tinhouse.com/book/pictures-

x.com/ZakSmithSabb...
ɥʇıɯS ʞɐZ on X: "new Thomas Pynchon novel out. i always hope they won't be good because i drew pictures for every page of Gravitys Rainbow and if its better i'll have to draw every page of the new one and that's a lot of work https://t.co/MYjhOJiJuC" / X
new Thomas Pynchon novel out. i always hope they won't be good because i drew pictures for every page of Gravitys Rainbow and if its better i'll have to draw every page of the new one and that's a lot of work https://t.co/MYjhOJiJuC
x.com
April 12, 2025 at 5:09 AM
第一次トランプ政権は、1930年代のようだとよく例えられていた。その傾向は第二次トランプ政権でさらに強まったとも言える。

ピンチョンの新作は1932年を舞台にしている。それを見た瞬間に、2016年頃から書き進められてきて、1930年代を通して現代が描かれると直感した。

これまた直感だけど、最後の作品の気がする。ピンチョンが生まれる1937年に向けて円環が完成した。
April 10, 2025 at 5:52 AM