満開の桜がみえる店で
朝のコーヒーを飲む
ヒヨドリが熱心に花をつついているのが見える
花の蜜を吸っているのだろう
もっと可愛らしいメジロがくればいいのに
と思いながら見ていると
雀がやってくる
ヒヨドリより可愛いなと思ってみていると
雀は花をどんどん散す
花ごと落とされたものは
くるくる回りながら落ちていく
花びらはちらちら落ちていく
ちょこまかと動きまわって雀は
花を散らし終えて去っていく
ヒヨドリはまだいる
花を散らすことなく
まだ静かに朝の食事をしている
私も静かにコーヒーを飲みながら
シナモンロールをちぎって食べながら
それを見ている

手のひらに　桜あつめて歩く夜

手にのせた桜　かすかにあたたかく

手に入れた桜をすぐに　風が浚う

手の上の桜の重さ　溜息の重さ

手の桜　川に流して家に帰る