安藤道人(Michihito Ando)
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安藤道人(Michihito Ando)
@michihito-ando.bsky.social
立教大学経済学部教授。専門は社会保障と地方財政の計量分析。経済学博士、社会学修士。Professor, Rikkyo, Econ PhD (Uppsala, Sweden),
Web: http://sites.google.com/site/michihito7ando
X: X.com/michihito_ando
Note: https://note.com/michihito_ando
Blog:http://michihito-ando.hatenablog.com
政策過程の記録・記述として重要なのは、安藤・河田(2025)の4節「患者団体はどう動いたか」の部分

一方、個人的に気になるのは、同論文の図1の自己負担限度額(名目値)の推移

2001年と2015年の中高所得者の負担引き上げは、2024年引き上げ案の「前哨戦」的位置づけから検証する必要がある 3/3
October 20, 2025 at 8:21 AM
ただし他にも「医療費支出が世帯消費の25%以上」のような「破滅的医療支出」の基準もあり、私の簡易試算における約20~40%という医療費割合は、所得階層によらず、「破滅的医療支出」のボーダーを超えている、あるいはそれに近いと考えてよいはずだ(チャンス見つけてちゃんと見直さねば)

なお私が見つけた「破滅的医療支出」割合の国際比較としては、

-左図のOECD(2023): 定義はWHOや伊藤氏のものと類似の「医療費支出が<支払能力>の40%以上」

- 右図のWagstaff et al.(2018):定義は「医療費支出が世帯消費の25%以上」(世銀・WHOの研究者による論文)

がある。2/
May 26, 2025 at 3:23 PM
天野氏資料には、私の先日の議連講演資料も使って頂いたので一点補足すると、私の

- 「自己負担上限額の手取り所得に対する割合」(左図)

は、分母の「手取り所得」から「生活費」を引いていない。

そのため、伊藤ゆり氏が2025年2月に試算に利用した

-「自己負担上限額の手取り所得から生活費を引いた額に占める割合」(右図)

よりも全体的に割合が低くなる。

そしてWHOやOECDが一つの基準とする「破滅的医療支出」は、伊藤ゆり氏の計算方法での「40%以上」となるレベルのことだ。

私の荒い試算でそれに対応するのが何%か、ぱっとわからない(すみません)。2/
May 26, 2025 at 3:21 PM
『社会保障研究』最新号に、深井太洋氏による『母の壁』本の書評が掲載されました。

なお深井氏は、山口慎太郎(2021)『子育て支援の経済学』のはしがきで「保育政策については本邦最高の専門家の一人」と評された新進気鋭の経済学者です。

出典:深井太洋(2024) ipss.repo.nii.ac.jp/records/2000...

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April 1, 2024 at 5:20 AM
図は野口晴子(2024)「後期高齢者に対する窓口負担引き上げの影響」『週刊社会保障No.3256 2月19日号』のp.29で紹介されているOikawa et al.(2024、未刊行。ウェブで見つからず)の分析結果。

2022年10月以降の高齢者の窓口負担引き上げ(1割→2割への引き上げ)の影響を検証。

これを見ると、自己負担が倍になると、直前に受診増、直後に受診減が発生し、徐々に受診の有無(エクステンシブ・マージン)も受診回数(インテンシブ・マージン)も回復していくことが分かる。

つまり医療受診は、元通りにはならないものの、けっこう戻る。その結果、治療効果も維持されるだろう。2/
February 25, 2024 at 3:56 AM
湛山の軍事費のアナロジーとしての医療費論

「医薬費以外の支出はいかにそれが家族の福利増進のため重要のものであろうとも、差し控える外はないかも知れぬ。けれども生命には代えられぬ。我々は一切を犠牲に供して、医薬費に全収入、全財政をでも投ずるであろう」

出典:石橋湛山(1933)「昭和八年度予算の経済的意味」『エコノミストの面目 石橋湛山著作集 経済論2』 amzn.asia/d/g2kMDfL

戦前の議論だが、医療費の性質を捉えている。

我々は医療費と生活費・娯楽費の天秤を迫られたときに、後者を切り詰めて前者を選択する傾向があるだろうが、それは健康アウトカムだけ見ても分からない。1/
February 25, 2024 at 3:55 AM