人間生きてりゃ当たり前の愛しい揺らぎに戸惑う比名子に、すりよる怪しい影。
微笑みの奥に腐臭を隠した、巨大感情惑星が稀血の引力に惹かれて、新たな女がリングインである。
汐莉がその臭みに気づいている描写に安心しつつ、千羽あやめのハラワタがどんなもんか、次回見定めたい気持ちである。
汐莉の冷たい誠実、美胡ちゃんの温かな一本気を描いた所で、腐ってるから暖かい優しさを背負った女が出てくるの、つくづく巧い運び方だなぁと思うね…。
人間生きてりゃ当たり前の愛しい揺らぎに戸惑う比名子に、すりよる怪しい影。
微笑みの奥に腐臭を隠した、巨大感情惑星が稀血の引力に惹かれて、新たな女がリングインである。
汐莉がその臭みに気づいている描写に安心しつつ、千羽あやめのハラワタがどんなもんか、次回見定めたい気持ちである。
汐莉の冷たい誠実、美胡ちゃんの温かな一本気を描いた所で、腐ってるから暖かい優しさを背負った女が出てくるの、つくづく巧い運び方だなぁと思うね…。
そういう揺れを許容し合いながら、バケモンと人間がちょっとずつ前へ進んでいく物語の手触りを、丁寧に感じ取れるエピソードでした。
俺はこの話の、そういう繊細な包容力が凄く好きなので、比名子たちの上手くいかなさを優しく見守りつつ転がるお話を、嬉しく噛み締めさせてもらいました。
なんか上手くいかない足掻きを、それでも必死にやり遂げようとする真っ直ぐな思いを、けして嘲笑うことなく一歩ずつ見守ってくれてる雰囲気、やっぱ偉いし好きだわ。
そういう揺れを許容し合いながら、バケモンと人間がちょっとずつ前へ進んでいく物語の手触りを、丁寧に感じ取れるエピソードでした。
俺はこの話の、そういう繊細な包容力が凄く好きなので、比名子たちの上手くいかなさを優しく見守りつつ転がるお話を、嬉しく噛み締めさせてもらいました。
なんか上手くいかない足掻きを、それでも必死にやり遂げようとする真っ直ぐな思いを、けして嘲笑うことなく一歩ずつ見守ってくれてる雰囲気、やっぱ偉いし好きだわ。
美味しくなってもらうために生きる希望を取り戻し、腐ったタナトスを消し飛ばそうとする妖怪グルメの、奇妙で誠実な少女調理法。
それだけでは満たされない欲望が、死にたがり少女の中に蘇ってきたからこそ、ここですれ違うも生まれていく。
でもま、永遠に時が止まった死者の国に住んでるわけじゃなし、ままならない己を抱えたまま生きて流されていくのなら、そういう衝突も当然ある。
それすら愛しく抱きとめて、一緒に進んでいけるから友達なんだ…と判るには、比名子たちももうちょい凸凹道あるかにゃならん。
美味しくなってもらうために生きる希望を取り戻し、腐ったタナトスを消し飛ばそうとする妖怪グルメの、奇妙で誠実な少女調理法。
それだけでは満たされない欲望が、死にたがり少女の中に蘇ってきたからこそ、ここですれ違うも生まれていく。
でもま、永遠に時が止まった死者の国に住んでるわけじゃなし、ままならない己を抱えたまま生きて流されていくのなら、そういう衝突も当然ある。
それすら愛しく抱きとめて、一緒に進んでいけるから友達なんだ…と判るには、比名子たちももうちょい凸凹道あるかにゃならん。
暖かく抱擁しめてもらえたと思ったのに、暗く遠い場所に離れていくように見える汐莉は、しかしあらゆる瞬間で比名子への向き合い方を変えておらず、この偽れなさこそが、妖怪のスタンダードから外れた汐莉らしさなんだと思う。
ここら辺、自分の本性に嘘吐きまくって、土地神の領域まで優しい芝居を貫いてる美胡ちゃんと対照的(であると同時に完全に同じ)で、とても面白い。
嘘も本当も、どっちも人生の必須栄養素なのだな…。
暖かく抱擁しめてもらえたと思ったのに、暗く遠い場所に離れていくように見える汐莉は、しかしあらゆる瞬間で比名子への向き合い方を変えておらず、この偽れなさこそが、妖怪のスタンダードから外れた汐莉らしさなんだと思う。
ここら辺、自分の本性に嘘吐きまくって、土地神の領域まで優しい芝居を貫いてる美胡ちゃんと対照的(であると同時に完全に同じ)で、とても面白い。
嘘も本当も、どっちも人生の必須栄養素なのだな…。
そこで嘘ついて、暖かく隣り合う人間味を手渡す器用さは汐莉にはなく、そういう真っ直ぐで誠実な存在だからこそ、死に惹かれ引き裂かれていた比名子に、必要なものを手渡せたのだろう。
怪物が口にするエゴイズムは、いま比名子が欲しい絆創膏ではない。
しかしそこで都合良く嘘を並べ、希望でだまくらかして美味しくいただく「妖怪らしさ」から、汐莉は誠実に距離を取っている。
それがめっちゃレアな態度だってことに、早く気づくんだよ比名子ベイベーッ!!
そこで嘘ついて、暖かく隣り合う人間味を手渡す器用さは汐莉にはなく、そういう真っ直ぐで誠実な存在だからこそ、死に惹かれ引き裂かれていた比名子に、必要なものを手渡せたのだろう。
怪物が口にするエゴイズムは、いま比名子が欲しい絆創膏ではない。
しかしそこで都合良く嘘を並べ、希望でだまくらかして美味しくいただく「妖怪らしさ」から、汐莉は誠実に距離を取っている。
それがめっちゃレアな態度だってことに、早く気づくんだよ比名子ベイベーッ!!
ここまで比名子に必要な答えを、クリティカルに手渡し続けてきた汐莉が、持ち前の知性と誠実故にすれ違って遠くなっていく様子を見て、逆に安心した。
そういう間違えをするってことは、まだまだ変化と成長の余地がこの優しい化物にもあるわけだ。
あるいは今まで自分を満たしてくれた、汐莉のあり方だけでは満足できない変化が、比名子に生まれてきている証でもある。
死にたい気持ちひっくるめて、活きることを書こうとする話だと思う
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
ここまで比名子に必要な答えを、クリティカルに手渡し続けてきた汐莉が、持ち前の知性と誠実故にすれ違って遠くなっていく様子を見て、逆に安心した。
そういう間違えをするってことは、まだまだ変化と成長の余地がこの優しい化物にもあるわけだ。
あるいは今まで自分を満たしてくれた、汐莉のあり方だけでは満足できない変化が、比名子に生まれてきている証でもある。
死にたい気持ちひっくるめて、活きることを書こうとする話だと思う
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
それは逆にいえば、明暗どっちかにしか居場所がない自分だけが確かに手渡せる愛を、既に比名子に注ぎ込んでその生き方を変えている事実と繋がっていく。
確かに自分は、愛する人に何かを手渡せた。
その実感が湧き上がれば、欠けて揺らぐ不安定は満たされ話は終わってしまうわけで、狐も人魚も後ろめたさを抱えたまま、自分に手渡せる精一杯を、自分なりのやり方で贄に捧げていく。
バケモンは愛し方がピュアなので、見ていて応援したくなるね…。
それは逆にいえば、明暗どっちかにしか居場所がない自分だけが確かに手渡せる愛を、既に比名子に注ぎ込んでその生き方を変えている事実と繋がっていく。
確かに自分は、愛する人に何かを手渡せた。
その実感が湧き上がれば、欠けて揺らぐ不安定は満たされ話は終わってしまうわけで、狐も人魚も後ろめたさを抱えたまま、自分に手渡せる精一杯を、自分なりのやり方で贄に捧げていく。
バケモンは愛し方がピュアなので、見ていて応援したくなるね…。
優しい嘘を求める人間の弱さは、何もかもロジカルにクールに切り分けられてしまえる人魚には良く解らなくて、その脆さをこそ土地神になろうとしたバケモノは愛した。
美胡ちゃんが産土の愛子たちに向ける、無条件で明るい肯定だけが守れるものが確かにあって、それは人の領域から切り離された海底を故郷とする、冷たい人魚には寄り添えないものだ。
そんな自分をよく解っているからこそ、ソリが合わない恋敵を結構大事に尊敬し、色々言葉も交わすのだと思う。
これは美胡ちゃんも一緒か。
優しい嘘を求める人間の弱さは、何もかもロジカルにクールに切り分けられてしまえる人魚には良く解らなくて、その脆さをこそ土地神になろうとしたバケモノは愛した。
美胡ちゃんが産土の愛子たちに向ける、無条件で明るい肯定だけが守れるものが確かにあって、それは人の領域から切り離された海底を故郷とする、冷たい人魚には寄り添えないものだ。
そんな自分をよく解っているからこそ、ソリが合わない恋敵を結構大事に尊敬し、色々言葉も交わすのだと思う。
これは美胡ちゃんも一緒か。
肥大化した感情に突き動かされているように見えて、バケモノ共がかなり冷静に現状を把握している様子が感じ取れて、たいへん良かった。
こんくらい賢くないと、家族を奪われた悲憤とサバイバーズ・ギルトにズタズタにされてる、くっそ面倒くさい生存者と行き直す旅路はちゃんと進めないので、揺れ動きつつ二人が冷静だと描かれて嬉しい。
保護者二人までグラグラしだすと、マジで危なっかしい人格赤ちゃんがどうなるか分かんねぇので、もう暫くは大人でいてくれ…。
なりたくて人格ガタガタなわけでもねぇしよ…。
肥大化した感情に突き動かされているように見えて、バケモノ共がかなり冷静に現状を把握している様子が感じ取れて、たいへん良かった。
こんくらい賢くないと、家族を奪われた悲憤とサバイバーズ・ギルトにズタズタにされてる、くっそ面倒くさい生存者と行き直す旅路はちゃんと進めないので、揺れ動きつつ二人が冷静だと描かれて嬉しい。
保護者二人までグラグラしだすと、マジで危なっかしい人格赤ちゃんがどうなるか分かんねぇので、もう暫くは大人でいてくれ…。
なりたくて人格ガタガタなわけでもねぇしよ…。
やっぱ一回ケモノな自分をさらけ出し、血みどろな本音をぶつけ合った上で構築された三角関係は、嘘が少なくて安定しているように思える。
皮肉言い合い当てこすり、いちばん大事な本音は恋敵にしか告げれない、極めて面倒くさい三人の引力。
暗く深い影に進んでいく想い人を、どうにか明るい生の領域へと引っ張り上げたい土地神と、そういう人間味と無縁だったからこそ、少女が望む暗がりに身を置ける人魚。
奇妙な綱引きは、捻れながら続いていく。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
やっぱ一回ケモノな自分をさらけ出し、血みどろな本音をぶつけ合った上で構築された三角関係は、嘘が少なくて安定しているように思える。
皮肉言い合い当てこすり、いちばん大事な本音は恋敵にしか告げれない、極めて面倒くさい三人の引力。
暗く深い影に進んでいく想い人を、どうにか明るい生の領域へと引っ張り上げたい土地神と、そういう人間味と無縁だったからこそ、少女が望む暗がりに身を置ける人魚。
奇妙な綱引きは、捻れながら続いていく。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
死にたがりの無欲で清廉なツラしているようで、リハビリ進んでどんどん欲張りになってきた比名子の混沌も、それに根気強く付き合う中で思いの外人間臭い自分を見つけつつある汐莉も、みんな頑張ってるなぁ、と思う。
大切なものを残酷に奪い去っていく、死に満ちた世界の摂理を思い知りつつ、必死こいて明るい道化を演じ続け闘う、美胡ちゃんの奮闘もね…。
死にたがりの無欲で清廉なツラしているようで、リハビリ進んでどんどん欲張りになってきた比名子の混沌も、それに根気強く付き合う中で思いの外人間臭い自分を見つけつつある汐莉も、みんな頑張ってるなぁ、と思う。
大切なものを残酷に奪い去っていく、死に満ちた世界の摂理を思い知りつつ、必死こいて明るい道化を演じ続け闘う、美胡ちゃんの奮闘もね…。
その場その場で欲しい言葉が変わっていく人間の面倒くささに、汐莉はかなり器用にヴェールを差し出せていると思うのだけど、根本的に違う生物なので、当然ズレは生まれる。
それは人間相手だろうが他者が他者である以上必ず生まれるもので、ままならない誰か…そこに反射するままならない己と幾度も向き合い、試したり学んだりしていくのが、青春という季節であり人生という物語なんだと思う。
その場その場で欲しい言葉が変わっていく人間の面倒くささに、汐莉はかなり器用にヴェールを差し出せていると思うのだけど、根本的に違う生物なので、当然ズレは生まれる。
それは人間相手だろうが他者が他者である以上必ず生まれるもので、ままならない誰か…そこに反射するままならない己と幾度も向き合い、試したり学んだりしていくのが、青春という季節であり人生という物語なんだと思う。
比名子や彼女が身を置く人間社会を、ピンとこないなりにそういうもんかと納得できるのと同じように、極めてクレバーな視線で自分のあり方を観察し、素直に伝えてくる。
それは出会った時比名子が求めていた(美胡ちゃんがずっと手渡せなかった)暗い影を手渡し、それ故生き直す力が目覚め直してきた今、冷たすぎて少し痛いあり方だ。
でも優しく腐った嘘に満たされた所で、魂の根っこが壊れかけてる比名子の薬にはならないだろうし、クールすぎる人魚が自分に手渡してくれる行いの価値を、改めて見直すべきタイミングなんだろうなと思う。
比名子や彼女が身を置く人間社会を、ピンとこないなりにそういうもんかと納得できるのと同じように、極めてクレバーな視線で自分のあり方を観察し、素直に伝えてくる。
それは出会った時比名子が求めていた(美胡ちゃんがずっと手渡せなかった)暗い影を手渡し、それ故生き直す力が目覚め直してきた今、冷たすぎて少し痛いあり方だ。
でも優しく腐った嘘に満たされた所で、魂の根っこが壊れかけてる比名子の薬にはならないだろうし、クールすぎる人魚が自分に手渡してくれる行いの価値を、改めて見直すべきタイミングなんだろうなと思う。
だが比名子が矛盾を抱えたまま生きる/死に惹かれる人間である限り、それが晒されるべき頃合いと相手がいて、隠されるべきタイミングがあって、非常に微細で面倒くさいルールが、その境目を定めていると推察は出来ている。
実感はわかないけれど、そういうモノなのでしょう。
捕食者の本能を人の皮で覆って、餌が一番美味しくなるまで根気強く一緒に生きる道を選ぶグルメ人魚は、結果として変化を焦らず、比名子が比名子のまま生き延びていける道を、優しく開いていく。
「優しい」というには、願望が誠実にさらけ出されすぎてて好きだ。
だが比名子が矛盾を抱えたまま生きる/死に惹かれる人間である限り、それが晒されるべき頃合いと相手がいて、隠されるべきタイミングがあって、非常に微細で面倒くさいルールが、その境目を定めていると推察は出来ている。
実感はわかないけれど、そういうモノなのでしょう。
捕食者の本能を人の皮で覆って、餌が一番美味しくなるまで根気強く一緒に生きる道を選ぶグルメ人魚は、結果として変化を焦らず、比名子が比名子のまま生き延びていける道を、優しく開いていく。
「優しい」というには、願望が誠実にさらけ出されすぎてて好きだ。
自分の傷口を醜く隠すべきものだと考えている後ろめたさは、それでもなお消すことが出来ない傷を…それを唯一の存在証明としている失われた家族を、誰かに抱きしめてもらいたい孤独と繋がってもいる。
汐莉がウツワの美醜を気にしないのは、比名子を餌としか見ないバケモノの感性を素直に伝えただけなのだけど、その偽りのなさこそが今の比名子には必要だったのだ。
そしてそこにためらいと恥じらいがあるのなら、剥き出しの裂け目にヴェールをかける理解も、人魚はちゃんと持っている。
自分の傷口を醜く隠すべきものだと考えている後ろめたさは、それでもなお消すことが出来ない傷を…それを唯一の存在証明としている失われた家族を、誰かに抱きしめてもらいたい孤独と繋がってもいる。
汐莉がウツワの美醜を気にしないのは、比名子を餌としか見ないバケモノの感性を素直に伝えただけなのだけど、その偽りのなさこそが今の比名子には必要だったのだ。
そしてそこにためらいと恥じらいがあるのなら、剥き出しの裂け目にヴェールをかける理解も、人魚はちゃんと持っている。
海は複雑な色合いを反射して、多彩な意味を内包するものとしてこのお話では描かれているが、それは陸の上から遠く仰ぎ見る時だけでなく、雨に乗っかって地上に溢れてきたときも同じである。
人魚が傷口に添えた優しさが、比名子を包囲する世界を死の灰色から、美しい海底の幻想へと反転させていく。
そこにはロマンティックなファンタジーがあり、極めて身体的で近い存在の実感がある。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
海は複雑な色合いを反射して、多彩な意味を内包するものとしてこのお話では描かれているが、それは陸の上から遠く仰ぎ見る時だけでなく、雨に乗っかって地上に溢れてきたときも同じである。
人魚が傷口に添えた優しさが、比名子を包囲する世界を死の灰色から、美しい海底の幻想へと反転させていく。
そこにはロマンティックなファンタジーがあり、極めて身体的で近い存在の実感がある。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
喪失のトラウマを直接焼き付けられた聖痕と、そこに触れ合う二人だけ秘密を重ねて描く文法の作り方に、思わず唸った。
直線的なエロスの記号からは距離を置きつつ、インモラルで湿った性と禁忌の輪郭は丁寧に丁寧になぞっていく筆が、汐莉と比名子が何を共有し、何を拒絶するのかを明瞭にしていく。
そこに湿って熱い特別な感情を宿すのに、水と影を根源にする”人魚”というモチーフは、最適な画材なのかもしれない。
そして突如降り出した雨と、悪霊が手を伸ばす暗い海は、汐莉の故郷の匂いを陸に引っ張り上げてくる。
喪失のトラウマを直接焼き付けられた聖痕と、そこに触れ合う二人だけ秘密を重ねて描く文法の作り方に、思わず唸った。
直線的なエロスの記号からは距離を置きつつ、インモラルで湿った性と禁忌の輪郭は丁寧に丁寧になぞっていく筆が、汐莉と比名子が何を共有し、何を拒絶するのかを明瞭にしていく。
そこに湿って熱い特別な感情を宿すのに、水と影を根源にする”人魚”というモチーフは、最適な画材なのかもしれない。
そして突如降り出した雨と、悪霊が手を伸ばす暗い海は、汐莉の故郷の匂いを陸に引っ張り上げてくる。
雨に揺れる水面から伸びる、怨霊にすらなれない無様な死者の手を贄が見ないように、汐莉は戯けた態度でその目を覆う。
バケモノでも人でもなく、死にきって成仏するでも陸に上がって外道の生を受けるでもない半端者は、明暗の間で揺れる比名子の醜いあわせ鏡か。
どっちつかずにフラフラ揺れる想い人を、どうにか自分の側に引き寄せるように、人魚はその柔肌に手を添えて、薄布の奥の秘密が引き攣れた傷を顕にしていく。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
雨に揺れる水面から伸びる、怨霊にすらなれない無様な死者の手を贄が見ないように、汐莉は戯けた態度でその目を覆う。
バケモノでも人でもなく、死にきって成仏するでも陸に上がって外道の生を受けるでもない半端者は、明暗の間で揺れる比名子の醜いあわせ鏡か。
どっちつかずにフラフラ揺れる想い人を、どうにか自分の側に引き寄せるように、人魚はその柔肌に手を添えて、薄布の奥の秘密が引き攣れた傷を顕にしていく。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
雨に揺れる水面から伸びる、怨霊にすらなれない無様な死者の手を贄が見ないように、汐莉は戯けた態度でその目を覆う。
バケモノでも人でもなく、死にきって成仏するでも陸に上がって外道の生を受けるでもない半端者は、明暗の間で揺れる比名子の醜いあわせ鏡か。
どっちつかずにフラフラ揺れる想い人を、どうにか自分の側に引き寄せるように、人魚はその柔肌に手を添えて、薄布の奥の秘密が引き攣れた傷を顕にしていく。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
雨に揺れる水面から伸びる、怨霊にすらなれない無様な死者の手を贄が見ないように、汐莉は戯けた態度でその目を覆う。
バケモノでも人でもなく、死にきって成仏するでも陸に上がって外道の生を受けるでもない半端者は、明暗の間で揺れる比名子の醜いあわせ鏡か。
どっちつかずにフラフラ揺れる想い人を、どうにか自分の側に引き寄せるように、人魚はその柔肌に手を添えて、薄布の奥の秘密が引き攣れた傷を顕にしていく。
(画像は”私を喰べたい、ひとでなし”第7話より引用)
心を殺した死にたがりであることで、理不尽に家族を奪われた絶望を必死に生き延びてきたサバイバーが、人魚の暗い心理治療でちったぁ鼓動を取り戻して、生きる気持ちになってきた。
希望を未だ捨てれない自分に気づけばこそ、次から次にしてほしいことが芽生えても来るわけで、願望と背中合わせな欲求不満に揺らいでいるのは、いい傾向だなと感じた。
その震えと波長を合わすには、優しいバケモノたちは人間やるの下手くそだけど、優しいから時間かければどうにかなるでしょ。
心を殺した死にたがりであることで、理不尽に家族を奪われた絶望を必死に生き延びてきたサバイバーが、人魚の暗い心理治療でちったぁ鼓動を取り戻して、生きる気持ちになってきた。
希望を未だ捨てれない自分に気づけばこそ、次から次にしてほしいことが芽生えても来るわけで、願望と背中合わせな欲求不満に揺らいでいるのは、いい傾向だなと感じた。
その震えと波長を合わすには、優しいバケモノたちは人間やるの下手くそだけど、優しいから時間かければどうにかなるでしょ。
…あるいは一見冷たい態度こそ、嘘が一切ない誠実なのだが、終わりたいと願いつつ始め直したいとも望む欲張りさんは、暖かいのも冷たいのも、両方同時に欲しいのだ。
そしてそれを同時に満たす、極めて人間的な処方箋は、極端だからこそ強いバケモノにとっては大変難しい。
それでも自分たちのやり方を押し付けるのではなく、ガタガタな青春に寄り添ったり尻尾噛みちぎったり、バケモノなり必死に短命種に寄り添うとしてんだから、優しい子たちである。
…あるいは一見冷たい態度こそ、嘘が一切ない誠実なのだが、終わりたいと願いつつ始め直したいとも望む欲張りさんは、暖かいのも冷たいのも、両方同時に欲しいのだ。
そしてそれを同時に満たす、極めて人間的な処方箋は、極端だからこそ強いバケモノにとっては大変難しい。
それでも自分たちのやり方を押し付けるのではなく、ガタガタな青春に寄り添ったり尻尾噛みちぎったり、バケモノなり必死に短命種に寄り添うとしてんだから、優しい子たちである。
そういう自分の根本にちゃんと向き合わなければ、ともすればフラフラヤバい場所に進んでいってしまう比名子に手を伸ばすことは出来ないわけで、気に食わねーライバルとズケズケ言い合うのはとても大事なのだろう。
光の方向へと比名子を必死に引っ張り続けて、それだけじゃ生きる道に彼女を戻せなかった美胡ちゃんに、どうしても欠けてしまうもの。
海からやってきた死美人は、欠けてたピースをするりと手渡せる。
それで息を吹き返した心は、今度は温かな温もりを願う
そういう自分の根本にちゃんと向き合わなければ、ともすればフラフラヤバい場所に進んでいってしまう比名子に手を伸ばすことは出来ないわけで、気に食わねーライバルとズケズケ言い合うのはとても大事なのだろう。
光の方向へと比名子を必死に引っ張り続けて、それだけじゃ生きる道に彼女を戻せなかった美胡ちゃんに、どうしても欠けてしまうもの。
海からやってきた死美人は、欠けてたピースをするりと手渡せる。
それで息を吹き返した心は、今度は温かな温もりを願う
光か、闇か。
両極端な答えは既に出ていて、しかし半端な人間に惹かれてしまった者同士、合わないと解っていても真逆なものに触れ、憎まれ口を叩き合いつつ、ライバルが一番自分のことを解っている。
比名子に対して血に濡れたアプローチを繰り広げる二匹のバケモノが、恋敵でありながら相互に影響し合い、理解し合う不思議な交わりで繋がっているのが、ロマンスとして豊かでもある。
かなり”ある”なぁ、しおみこ…。
光か、闇か。
両極端な答えは既に出ていて、しかし半端な人間に惹かれてしまった者同士、合わないと解っていても真逆なものに触れ、憎まれ口を叩き合いつつ、ライバルが一番自分のことを解っている。
比名子に対して血に濡れたアプローチを繰り広げる二匹のバケモノが、恋敵でありながら相互に影響し合い、理解し合う不思議な交わりで繋がっているのが、ロマンスとして豊かでもある。
かなり”ある”なぁ、しおみこ…。
それが間違いなく真実の欠片であり、同時に少女の全てではないからこそ、比名子は光と影、生と死、陸と海の狭間で複雑に揺れて、海千山千のバケモノ共を魅了する。
生きて誰かと手を繋ぎ、未来に向かって進んでいく光の歩みと、死んで終わって解り合えない影への道。
この2つを美胡ちゃんと汐莉に代表させつつ、お互い真逆な属性を完全には拒絶してないのが、この人外ロマンスの面白いところだ。
美胡ちゃんも比名子の影を解っているし、汐莉も比名子の生きたがりを理解はしている。
しかしその相矛盾する全部を、自分に引き受けることは難しい。
それが間違いなく真実の欠片であり、同時に少女の全てではないからこそ、比名子は光と影、生と死、陸と海の狭間で複雑に揺れて、海千山千のバケモノ共を魅了する。
生きて誰かと手を繋ぎ、未来に向かって進んでいく光の歩みと、死んで終わって解り合えない影への道。
この2つを美胡ちゃんと汐莉に代表させつつ、お互い真逆な属性を完全には拒絶してないのが、この人外ロマンスの面白いところだ。
美胡ちゃんも比名子の影を解っているし、汐莉も比名子の生きたがりを理解はしている。
しかしその相矛盾する全部を、自分に引き受けることは難しい。