風上辰流
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風上辰流
@kazakamitaturu.bsky.social
純文学/作家

小説
https://amzn.asia/d/hRqkTl9
夏引の糸/風上辰流

新作公開。
養蚕業の美しさと哀しみ、書と水墨の命脈、絹遺産への弔い。追憶の糸を手繰り、面影と遺薫を汲む。

Kindle amzn.asia/d/8iAQnE4

【あらすじ】
 早くに父を亡くし、病に伏す母を持ち、生活に行き詰まる末に祖父母の旧邸へ帰郷する。かつて養蚕業で栄えた家屋は、今は住む者もなく、朽ちた虚家と化す。
 金銭が尽き旧居を手放す他道がないと悟るも、幼き日の祖父の運筆、祖母の白繭を撫でる手が脳裏に蘇り、亡き者の影が揺らめく。
 群馬絹遺産である薄根の大桑、利根風穴を辿り、養蚕へ想いを馳せる。墨を磨り一心に筆を走らせ、書字と筆勢に自身の生を宿らせる。
April 14, 2025 at 9:37 AM
「木の芽時」

#小説 #文学
書籍化もしております。まだ少数ですがご購入頂けました。ありがとうございます。頂いた感想などは少しずつご紹介致します。

淡い筆遣いの装丁で、触れていたくなるような装飾としました。
立春を控え木の芽時へ向かうまでに、御一読ください。

amzn.asia/d/8aftlLN
January 13, 2025 at 3:20 AM
【木の芽時】 完結

雅な古都を舞台に、花を通じて心を綾なす。自己と自然の二項への終始は、他者との邂逅により三役・三才を成立させる。

華道による自己存在の探求、和の精神を再定義する作品です。

現代文学に不満を覚える方は、ぜひ一読して頂きたく思います。

Kindle
amzn.asia/d/3OQbYcg
January 5, 2025 at 6:46 AM
茶道が主軸の小説を推敲中のため、読み返しました。

昔の茶碗を展示し、美術品として保存するのではなく、実際の茶事に用いて、この瞬間に生きた形で継承する事が茶道の本質です。

茶碗に通じる先人の轍、その道の中に生き方を見出す。古い茶碗が新しい意味を持って蘇る様は、貴きものです。
#読了
January 3, 2025 at 8:10 AM
【いびつな書の美】
#読了
伝統派と革新派の制作思想には対比と類似がある。

両派とも生命の躍動は純粋無雑にあると据え、革新派は文字性を極限まで崩し、その躍進性を印象や感性に訴える。伝統派は流派の型に自我を没し、そこから滲み出る生を汲み取る。

伝統派は芸道に、革新派は芸術に即す。
August 14, 2024 at 3:42 AM
【虹いくたび】 川端康成

幼少期に母を、戦争で恋人を亡くし、恋情に狂い少年との放蕩に溺れる長女。対照的に、父母の愛情に満ちる異母の次女。同父と芸者の母の間に生まれ、家族と離れ京都で暮らす三女。

姉妹は琵琶湖に映る虹の如く、同父という水源から流れ出し、か細い疏水の生を辿る。
#読了
May 5, 2024 at 9:03 AM
#読了
#読書

【舞姫】川端康成

御濠に遊泳する白い鯉の、水面を漫然と彷徨う姿は、汀に嵩む人物像を揺動させ、立ち所に掻き消す。淡い関係性は互いの人生に踏み込まず、外縁を舞い続ける。

善と悪、美の根底には、甚深な無力感と徒労が満ち、それらの象徴は無益で虚しく、ただ寄る辺なく舞乱れる。
April 14, 2024 at 6:22 AM
#読了
【善の研究】 西田幾多郎
東洋思想の極致であり、原点も兼ねる「純粋経験」の追求。

良寛和尚の漢詩より、花は無心にして蝶を招く、蝶は無心にして花を尋ねる、或は鷹匠における人鷹一体の境地は、自己の私心が悉く滅され、対象と自己が純一無雑に同化する。

その寸刻の実感が禅や悟りを深める。
March 25, 2024 at 8:47 AM
#読了
【文化防衛論】
戦後民主主義による精神的退廃。空疎な現代の克服へ向けて示唆している。

言論の自由を保障する政体だけでなく、伝統文化と歴史の連続性を保障する必要がある。天皇を古格ある文化概念の象徴、天照大御神を祖先とする現人神として、共同体思考の中核に据え直さねばならない。
March 10, 2024 at 9:09 AM
【いきの構造】 九鬼周造 #読了

和装に身を包む女性の抜き襟や、裾から見える肌に麗しさを抱くのは、世を憂う諦めを帯びた媚態と、可能性の持続を保つ意気地に情緒を感じるためである。

東洋的な美を構成する要素や風流について、哲学の視点から解説されています。
March 3, 2024 at 3:51 AM
【木】 幸田文 読了

樹木に思いを馳せる雅やかな感性が描かれています。

針葉樹の倒木更新による生命の循環や、樹皮の肌触りまで伝わる描写は、樹木の実体の先に無常を感じ、存在の奥にある本質を直感するかの様な表現が楽しめます。

東洋的な情緒がお好みな方へお勧めです。
February 28, 2024 at 8:31 AM
【日本の文学】ドナルド•キーン 読了

芭蕉の一句は、動と静の綯い交じる僅か一瞬を表す。俳句の形式内に真理を観じ、突然の直覚を心に附す。
例えば、

「古池や 蛙飛びこむ 水の音」

この句の古池は不動の静であり、跳ねる蛙の躍動を経て、動静の調和された水の音に帰結し、相剋する情景を見事に成立させる。
February 15, 2024 at 8:50 AM
【山の音】川端康成 読了

甚だしい西洋化の波間、文化を書き換えられてゆく中で、適応に向けて面を被り、一夜漬けで舞踏を踏まねばならない。戦後のやるせなさが切なく訴える。

菊子が顔にあてた能面の清潔な美しさ、面の奥で流す涙の哀れみ、そして日本古来の悲しみが山の音となり、心に鳴り響く。
February 13, 2024 at 8:29 AM