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右左 大島渚 ロマンポルノ
三島由紀夫『文化防衛論』(ちくま文庫)を読んだ。晩年の文化保守的な政治&言論活動にまつわる読み物を集めた論文集。納得できない部分もあるけど、どうしてそっちを選ぶのかっていう考え方の根拠を細かく語ってくれててわりと納得度は高かった。自分が一番面白かったのは二・二六事件について論じた「『道義的革命』の論理 磯部一等主計の遺稿について」。
November 23, 2025 at 2:55 PM
今年の夏に観たグァダニーノの『クィア』とクローネンバーグの『裸のランチ』のこと思い出してた。両方とも原作者バロウズへの愛が強すぎるあまり、全体のバランスを失してる感があるところがよくもわるくも面白くて、バロウズってそんなみんなから敬慕される対象だったんだーというのが自分的には驚きだった。
November 17, 2025 at 9:28 AM
F・F・コッポラの『メガロポリス』を観て、そういえばリドリー・スコットの『グラディエーターⅡ』も大昔のローマという舞台を借りながらアメリカに代表される現代政治の腐敗と疲弊への憤りを表明するみたいな映画だったよねーと思った。一応前者は共和政ローマの末期で、後者はその後の帝政ローマ期ではあるようだけど、アレゴリーの扱い方はだいたい似ている気がする。
October 14, 2025 at 9:05 PM
塚本晋也『六月の蛇』がかなり良かった。メンタルケア・コールセンターで自殺してしまいそうな人たちを励ましてるけど、自身もまた生活の不充足感で死んだ目になっている女性が、相談者の男性にいかがわしい姿を盗撮されてしまい……。官能サスペンスなんだけど女性主人公の生活の苦痛から徐々に性描写へ進んでいく構成のせいか、男目線のひとりよがり映画にはあまり感じなくて観やすかった。やりたいことやってる盗撮写真の中の彼女のほうが、実態としての彼女よりもとても魅力的に見えるっていうアイデアが単純だけどよかったし。何より青っぽいセピア?みたいな画面と、終始ザンザンに降り続けてる雨と、急激な音の高まりの圧がすばらしい。
September 10, 2025 at 8:45 PM
松本俊夫『映像の発見 アヴァンギャルドとドキュメンタリー』(ちくま学芸文庫)を読んだ。1963年に出版されて注目を浴びたという映画評論本の文庫版。面白かったです。以下雑感。■序盤の章で語られてる、芸術としての映画かくあれかしという主張がいいです。副題のうち、「アヴァンギャルド」=個人・内面に根差したデフォルメを主体とした表現で、「ドキュメンタリー」=社会・状況といった現実世界のあり方をそのまま写し撮る力みたいにやや乱暴にまとめられるでしょうか。両者のいっぽうに偏らず、あくまでその結合を志向し(作者的に言えば弁証法における止揚)、なおかつそれを映像という媒体でしかあり得ない形で表現することを
August 15, 2025 at 7:16 AM
高瀬康司編『アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門』(フィルムアート社)を読んだ。2019年刊でずっと持ってたんだけど、そろそろ読まないと内容古くなっちゃうかと思って。アニメーターの人たちが「『エヴァンゲリオン』4話Аパートの〇〇のところ」みたいな感じで話数&シーン単位で作品の魅力を語ってるんだけど、ストーリー&テーマじゃなくて作画単位で出来を見てるからそりゃあそういう細かい言い方になるのかーという得心感があった。デジタルの導入以降、作業がかなり根本的に変化したアニメの「撮影」についての解説が自分は一番おもしろかった。取り上げられてる作品もまだけっこう馴染みのあるものばかり。
July 22, 2025 at 10:06 PM
『狂った触覚/激愛!ロリータ密猟』を観た。佐藤寿保を観るのは『眼球の夢』に続いて2作目。話がとにかくキツいんだけど一見の価値はあったなーと。主人公はふたりいて、ひとりは夜な夜な女性を誘拐しては部屋で陵辱して写真を撮ることを趣味にしている青年。もうひとりは年齢より若い少女趣味な服装をして都会をさまよっている少女。彼女の父親は(たぶん)何らかの知的障害をわずらっているようで、姉は成人映画館のトイレで売春をしている。そんなふたりが偶然出会い……。一応都会のボーイミーツガール譚ではあって、ふたりが新宿の雑踏をややぶきっちょにふざけながら歩きまわる中盤のシーンが楽しい。
July 20, 2025 at 6:22 PM
超ふんわ〜りとだけど、佐藤究『テスカトリポカ』の粉のバルミロとコシモの距離感って山本英夫『殺し屋1』の垣原雅雄とイチの距離感に似てる気がする。
July 5, 2025 at 11:37 PM
アマプラでヘルツォーク版『ノスフェラトゥ』を観た。ムルナウ、エガースの3つの中では一番好き。野原を馬で駆けたり岩山をよじ登ったりする序盤はほとんど生のロケーションの魅力で押してってる感じ? 室内のシーンでは(ベタな喩えだけど)カラヴァッジョの絵みたいに、顔とか腕とか体の一部にだけ光を当てることで暗闇を裂いて人物の姿が浮かび上がってくるような絵作りをしててそこがすばらしい。ヒロインの名前がミナじゃなくてルーシーなのも◎(そこに「正しさ」はないのかもしれないけど『ドラキュラ』のヒロインとしては蹂躙される側のルーシーのほうが正直インパクトが強いし耽美な魅力があって、彼女の存在ゆえにその後の展開が→
June 5, 2025 at 3:31 PM
3作目のためにタイ・ウェストの『X』をアマプラで観返したんだけど、初見のときとこんなに印象変わることあるんだーって思った。公開んときは「史上最高齢の殺人鬼夫婦?! ギャハハ! 何それ怖〜い! 観てみよ」→「思ったより変わったドラマがあった、けどスラッシャー・ホラーとしては普通かなー」ぐらいだったんだけど。2作目の『Pearl パール』を経たことでこちらの視線が自ずとフラットにさせられた感じがあるし、他者として出てくる側が抱いてる願望を若者目線から不気味かつ恐怖の対象として描いてるところも巧みだなーと。老いと若さ、セックス、自主製作ポルノ映画っつうテーマ組みも面白い。
June 4, 2025 at 7:44 PM
正直Twitterよりこっちの方が自分の字数には合ってるのよね(ああでもないこうでもない言いたいから)
May 24, 2025 at 2:29 PM
『少女娼婦 けものみち』、同世代のボーイフレンドとかなり歳上のトラック運転手、2人の男と関係を持った主人公が妊娠してしまい……という神代辰巳の三角関係ロマンポルノ。正直自分はまあまあだったかなー。でも、男にも女にもセックスへの興味→飽くなき肉欲→生活していく必要性……というものは等しく降りかかってきて、そんな中で愛だの真心だの言ってても最終的にはしょうがない。そういう身も蓋もない乾いた実感を持ってるからこそ、内田裕也演じるトラック運転手がかっこよくはないけど魅力的な他者として見えるのかなーというのは思った。それと“飛べ飛べカラス”みたいなテーマ曲と、海もいいね……。
May 23, 2025 at 4:03 PM
『宇能鴻一郎の濡れて打つ』を観た。こないだ買った金子修介『無能助監督日記』を読む前の予習。彼も日活ロマンポルノの現場で映画作りの腕を磨いたクチで、これが監督デビュー作だそう。お蝶さま🎀という憧れの先輩がいるテニスクラブ🎾に所属したひろみが、テニスと恋愛(つまりセックスですな)の間で懊悩しつつも念入りに両方をこなしていく姿を描く、『エースをねらえ!』のエロパロコメディー。物語の厚みとかはゼロなんですけど、最初から最後まで徹底して下らなく、絡みのシーンもほどほどにエロく、でもパロディ元があるおかげで話がぐずぐずにならない。んでもって、
May 4, 2025 at 10:30 PM
本屋に新刊小説を探しに行ったけど見つからず、代わりに別冊宝島編集部 編『昭和の右翼と左翼』(宝島SUGOI文庫)を買った。
March 22, 2025 at 11:10 AM
『ユンボギの日記』、韓国に暮らすイ・ユンボギという10歳の少年の思いを、スチール写真(静止画)+ナレーションで語った短編。実在の日記が元になってて、少年の独白はその本文から取ったものだそう。内容は切実だけど語り方が直球すぎてそんなに好きではないかなー。でも雑踏の声や軍靴の足音といった音のつけ方は面白かった。
January 4, 2025 at 7:27 AM
若松孝二『天使の恍惚』を観た。1972年公開だそう。当時の極左反体制運動を象徴的かつエロ〜く描いたアジテーション映画、なのかなぁ。荒砂ゆきさんという女優のおかげで濡れ場が魅力的……と思いつつ、それが無化されてくところがいいところ。党派性から逃れられない集団闘争よりも個人の熱情のままの純粋なるテロリズムを!……っていうとこに共感しなくはないんだけど、でも後先考えない行動の帰結は歴史的にもある程度証明されてる気がするしちょっと乗れないかな〜と思うぐらいには自分も保守的な人間になりました。
December 17, 2024 at 10:43 AM
『日本の夜と霧』、60年の安保闘争で知り合った男女の結婚式が地獄の弾劾裁判と化すっていうお話。純度100%の「政治の季節」みたいな映画だった。製作中止の恐れがあるから超早撮りしたそうなんだけど、メインの結婚式のシーンが雑なめちゃくちゃ長回し、かつ俳優がセリフをとちってもそのままだし演技の巧拙が激しすぎるしセリフは硬いし、ウェルメイドなエンタメ映画の対極みたいな作品。
December 3, 2024 at 10:34 PM
『太陽の墓場』、大阪のドヤ街に暮らす貧しい人々のヤクザまがいな生活風景を描く。前の2作と比べると構成がかなりざっくばらんな印象。あこぎなオッサンたちや愚連隊の男どもに伍すべく駆けまわる主役の花子(炎加世子)の眼つきが強烈。正直演技をしてるのかよく分からなかったのですが、名が体を表しすぎな強い女優さん。自分的にはまあまあだけど、役者がみんないい感じに汗と埃にまみれて汚らしいところはよかったです。
December 2, 2024 at 9:25 PM
『青春残酷物語』、主人公の男女がまぁ〜型通りな袋小路の恋愛青春模様をやってて、セリフもけっこう生硬かなぁと思って観てたのですが、第二のカップルとの対比によって基本的に描くのがムズい世代論的なものにまでちょっと達し得ている映画なのかもーと思ったり。隣の部屋の会話をドア越しに聞く病院のベッドのシーンがすごかった……。
December 2, 2024 at 2:31 PM
『愛と希望の街』、題名はすごくいい話っぽいが実際は絶望と諦念の少年期もの……。1時間ちょいの文学チックな小品だけど一発目からこの完成度ならそりゃ注目されるよなぁと思った。
December 1, 2024 at 7:02 PM