ケン・シノハラを「相手役」ではなく「不思議の国のアリス」で言うところのうさぎとして立てているのが良かった。エマニュエルが性の主導権を握れるようになるための案内役であって、偽りない自身の内面の発露なんだなと。
ある種無機質な高級ホテルを飛び出して香港の煌びやかな街に繰り出すところは、なんかゾクゾクしたな。最後の締め方も一見ギャグっぽいけど、描いてきたものの終着点という意味では筋が通ってるんだよなー。パッと見は表層的で荒唐無稽な部分もあるんだけど、結構ちゃんと考えで作られていると思った。
ケン・シノハラを「相手役」ではなく「不思議の国のアリス」で言うところのうさぎとして立てているのが良かった。エマニュエルが性の主導権を握れるようになるための案内役であって、偽りない自身の内面の発露なんだなと。
ある種無機質な高級ホテルを飛び出して香港の煌びやかな街に繰り出すところは、なんかゾクゾクしたな。最後の締め方も一見ギャグっぽいけど、描いてきたものの終着点という意味では筋が通ってるんだよなー。パッと見は表層的で荒唐無稽な部分もあるんだけど、結構ちゃんと考えで作られていると思った。
ヴェロナの動かし方(ステイサムとの当たり障りない対峙の仕方)やラストのまとめ方など、物足りない部分もあるのだけど、プロデューサーとして入ってるステイサムが自分の使い所をよく分かってるなーと終始感心しながら見てしまう。ステイサム映画としては完成されていると思った。
ヴェロナの動かし方(ステイサムとの当たり障りない対峙の仕方)やラストのまとめ方など、物足りない部分もあるのだけど、プロデューサーとして入ってるステイサムが自分の使い所をよく分かってるなーと終始感心しながら見てしまう。ステイサム映画としては完成されていると思った。
唯一苦言を呈するなら、中盤にシュリーが泊まりにきた晩のママは倫理観のタガが外れていて流石にうーんってなったのと、ラストの「教師の日」の出来事は唐突感があった。「少女漫画的なドラマティックな展開」を当てはめた感があって、折角のめり込んでいたのに冷めてしまったな。
唯一苦言を呈するなら、中盤にシュリーが泊まりにきた晩のママは倫理観のタガが外れていて流石にうーんってなったのと、ラストの「教師の日」の出来事は唐突感があった。「少女漫画的なドラマティックな展開」を当てはめた感があって、折角のめり込んでいたのに冷めてしまったな。
何より製作中の仏像の前で「南無阿弥陀仏」を末尾に付けながら罵り合う場面、秀逸すぎる。あのシーンだけでも何回も見たいくらいだったな。
何より製作中の仏像の前で「南無阿弥陀仏」を末尾に付けながら罵り合う場面、秀逸すぎる。あのシーンだけでも何回も見たいくらいだったな。
ただ、決してそういった視覚的な効果に依存し過ぎたつくりにはなっておらず、根底に流れるのはジョージアの女性が体験するリアルな窮状。あの人物はニナの精神世界における自画像だと仮定すると、とても効果的な演出だと思う。クルムベガスヴィリ監督にしか撮れない作家性の塊のような作品だった。上映してくれたフィルメックスに感謝!
ただ、決してそういった視覚的な効果に依存し過ぎたつくりにはなっておらず、根底に流れるのはジョージアの女性が体験するリアルな窮状。あの人物はニナの精神世界における自画像だと仮定すると、とても効果的な演出だと思う。クルムベガスヴィリ監督にしか撮れない作家性の塊のような作品だった。上映してくれたフィルメックスに感謝!
被害を訴えた女性が警官公認で相手男性引っ叩くとことか、女性警官の草むらでの放尿シーンとか、初めて賄賂もらうシーンとか、純粋インド人監督だったら切り取らなそうな場面も多く、逆にインド映画でフィーチャーされがちなホーリー祭は日常に溶け込ませてあっさり描く塩梅がよい。
サンディヤ・スリ監督、QAで出た「オスカー英国代表に選ばれたの何故だと思う?」という質問に「非英語の資格を満たす作品が英国には少ないだけ。でもインドでは本国代表(花嫁はどこへ?)と本作の2作が選ばれた!って話題なの」という返しがピュアで飾らない人だなと好感を持てた。
被害を訴えた女性が警官公認で相手男性引っ叩くとことか、女性警官の草むらでの放尿シーンとか、初めて賄賂もらうシーンとか、純粋インド人監督だったら切り取らなそうな場面も多く、逆にインド映画でフィーチャーされがちなホーリー祭は日常に溶け込ませてあっさり描く塩梅がよい。
サンディヤ・スリ監督、QAで出た「オスカー英国代表に選ばれたの何故だと思う?」という質問に「非英語の資格を満たす作品が英国には少ないだけ。でもインドでは本国代表(花嫁はどこへ?)と本作の2作が選ばれた!って話題なの」という返しがピュアで飾らない人だなと好感を持てた。
ビジュアル的な印象も強い"ビースト”については、その容姿こそ気になるし魅力的なのだけど、創作モードに入った主人公の化身としての役割が与えられるのみでそれ以上でも以下でもなく、なんとなく出オチ感はあったかな。
ビジュアル的な印象も強い"ビースト”については、その容姿こそ気になるし魅力的なのだけど、創作モードに入った主人公の化身としての役割が与えられるのみでそれ以上でも以下でもなく、なんとなく出オチ感はあったかな。
Xhafer役のミシェル・マティチェヴィッチの激昂するでもなく、身体の芯から怒りが滲み出る演技が素晴らしい。そして、ここにも登場する妻役のザンドラ・ヒュラー。2人の関係性の変化が、被害者であり加害者にもなり得る危うい構造を立体的に浮かび上がらせていて、巧いなーと思った。
Xhafer役のミシェル・マティチェヴィッチの激昂するでもなく、身体の芯から怒りが滲み出る演技が素晴らしい。そして、ここにも登場する妻役のザンドラ・ヒュラー。2人の関係性の変化が、被害者であり加害者にもなり得る危うい構造を立体的に浮かび上がらせていて、巧いなーと思った。