ラムの大通り        (映画の記憶)
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ラムの大通り        (映画の記憶)
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映画の記憶を軸に、猫や旅、ガーデニング、料理など、穏やかな日々を綴ります。
『パスト ライブス/再会』

「12歳の少女を置いてきた」。

初恋の思い出に生きる男と、新しい土地で人生の夢を叶えることに賭ける女。「『エターナル・サンシャイン』は観た?」というセリフが象徴するようにこれはあまりにも切ない「愛と記憶」の映画。

男と女の立ち位置を逆転させ、しかも透明感のある色合いで繊細に丁寧に紡ぐところなど70年代のニューシネマの洗礼を受けた者にとってはたまらない

ロッテントマトで98%の高評価。全米有力ベストムービーにも続々選出。アカデミー作品賞はおそらく『オッペンハイマー』に行くのだろうが、こういう映画もノミネートされるところに裾野の広さを感じずにはいられない。
March 9, 2024 at 11:13 AM
「おもしろかった」と言わなきゃいけない雰囲気にさせる映画というのがある。最近では、やたら評判のいい『落下の解剖学』がそれだ。なるほど新しいといえば新しい。よくある法定サスペンスと見せかけながら、そのジャンル特有の興奮、醍醐味をあえて避け、観る者を宙ぶらりんに。
「死の真相」の代わりに見させられるのは機能不全に陥っていた家族。
「でもだからって何?」ーーネットを見ると、そう思っている人が結構多かった。そう、こんなフラストレーションが溜まる映画がなぜヒットしてるのか、ほんと不思議。
そうそう、ぼくと同じで、この少年(息子)、実は目が見えているのでは?と思った人がいたのは、ちょっぴり嬉しかった。
March 2, 2024 at 2:20 PM
『ARGYLLE アーガイル』。東宝東和の招待でしばらく前に試写で観たのだが、さまざまな縛りがあって、中身どころか観たことさえ言うことができなかった。でもそれって勿体なさすぎる。こんなに最初から最後までスクリーンに目が釘付けとなるおもしろい映画は、そうはないからだ。
女性スパイ小説家が自作そっくりの事件に巻き込まれる…』。一見『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』や『幸せの1ページ』の記憶が頭をよぎったが、話は次々とひっくり返るわ、『キングスマン』のクライマックスを超える奇想天外でいてスタイリッシュな映像が連打されるわで100%の大満足。やはり『007』はマシュー・ヴォーンに撮ってほしい。
February 29, 2024 at 11:00 PM
U-NEXTで『正欲』再見。基本、映画は一期一会と思う方だが、あるシーンに再び出会いたくなり、そのためだけにまた観ることも。本作では言うまでもなく、稲垣吾郎と新垣結衣の緊張の糸が張り詰める検事室での対決。そしてそれに続く恍惚となるほど見事なエンディングショットだ。一方、そのおかげでそれ以外の名シーンとも再会。大学教室でようやくの胸の内を開く東野絢香に対して残酷なまでの無関心さをあからさまにする佐藤寛太。観ていて心が張り裂けそうになるが、ここを疎かにしないからこそそれぞれの特殊とも言える性癖や苦しみが伝わってくるのだ。
February 23, 2024 at 2:22 PM
U-NEXTで是枝監督『怪物』を再見。母親、教師、子供たち。それぞれの立場から、まるでクリストファー・ノーラン映画のように時制をシャッフルしつつ「ことの次第」が語られる。テーマが後半、「LGBTの目覚め」へ思わぬ急旋回を見せたこともあり、最初観たときはラストの突き抜けたような明るさが現実のものとは思えず。それもあって今回は、青空の下、緑の中を駆け抜ける子供たちの服の汚れなどに目を凝らしてしまった。
February 22, 2024 at 1:57 PM

『夜明けのすべて』。元パニック障害者として清水寺から飛び降りるつもりで映画を観てみた。

note.com/durhum/n/n2a...
February 21, 2024 at 2:11 PM
『#ボーはおそれている』。母の訃報で帰省するはずの男ボーの前に次々と立ちはだかる不可思議な出来事ーー。彼の「妄想の地獄めぐり」は監督アリ・アスターの映像マジックにより、行く先々でそのルックを変えて、あたかも何本もの映画を観ているような気にさせられる。ただそれだけならシュールなロードムービーにすぎなくなってしまうのだが、この映画、最後の最後にとんでもない結末を用意している。アリ・アスター、心底意地が悪い。
February 16, 2024 at 12:32 PM
◯第一夜①『#夜明けのすべて』。「出会えてよかった」との感想を書いている人は(おそらく)パニック障害とは無縁なのではないか? この病気の恐ろしさは、一回起こったことが似たようなきっかけで甦り、またなるのでは?という「予期不安」にある。そう、パニック障害の人はこの映画には足を向けないからだ。この病気にかかった人は似たような環境に近づかないのが鉄則。つまりこの映画を観ることはかなりの危険を伴う。病気の特徴は「体と心の遊離」。自分の意思では手足や気持ちが自制できない恐怖に襲われるのだ。会議中、あるいは映画鑑賞中に叫び出してしまうのでは? 自分は頭が狂ったのではないか。だがこれは心の問題ではない。
February 12, 2024 at 12:35 AM