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『日記 子供たちへ』(1980-83)
『日記 愛する人たちへ』(1987)
『日記 父と母へ』(1990)

今回の特集の目玉である、メーサーロシュ・マールタ監督の半自伝的な三部作。

両親を失い、1947年にソ連からハンガリーに帰国した少女・ユリ。共産党員として野心に燃える強権的な養母・マグダ。彼女の昔馴染みのインテリ男性・ヤーノシュ。三人の波乱に満ちた人生が激動のハンガリー近現代史とともに描かれる。

ハンガリーの歴史を予習したほうがわかりやすいが、本筋自体は孤独な少女が抑圧的な家で成長して、芸術家として表現するべきものを見出していく……っていう、普遍的な成長物語としてまとまっている。
November 13, 2025 at 12:46 PM
『ジャスト・ライク・アット・ホーム』(1978)。

メーサーロシュ・マールタ作品としては珍しく男性が主人公の一本で、父親に捧げられている。アメリカから帰国した根無し草の男と農村の少女が擬似親子関係を結ぶ。寄る辺のない2人が絆を築きつつあるところに入ってくるのがまさかのアンナ・カリーナ!

主人公は父親役としてはどうか……と思うし(調子のいいことばかり言う)、少女も自分を守るために態度が刺々しくなっていたりするので、この2人で噛み合うのか……?と思わされるが、合わなくても個々人が同じ場所にいることの妙味が見えてくるのでなるほどと。疑似親子関係は同じ役者でこの後の「日記」三部作でも変奏される。
November 13, 2025 at 12:44 PM
『リダンス』(1973)。

工場に勤務するユトゥカは、ひょんなことから大学生の男と知り合って付き合い始め、彼を愛するが……若い男女のロマンスを通してハンガリーの階級意識を暴き出す一本。夢みがちなインテリ男性とシビアな現実に向き合わざるをえない女性、というこの後も繰り返されるテーマが手堅く81分に凝縮されている。

パーティーや会食の場での言動を通して個々人の立場の違いを展開させていくっていう監督がよくやる演出を何回かやっている。同じ家のなかでも全く違うものが見えている、というのを物理的な位置の違いで了解させるのが上手い。最後に尊重されるべきは結果がどうあれ本人の意思だという姿勢がブレない。
November 13, 2025 at 12:42 PM
『月が沈むとき』(1968)

これは強烈だった!政治家の夫が亡くなり、自身の人生を変えようとするエディトだが、父の名を守りたい息子が邪魔をする。冒頭からエディトが「有力者の妻」としか見られておらず、彼女の意向を気にかけるものがいないことが示され、その不穏さが実に嫌な展開へと繋がっていく。

緊張感のある内容だがサスペンスを盛り上げるというより、エディト・息子・息子の婚約者3人の言動を通して歪みが見えてくるような感じ。市井の女性による支えなどがありつつも、かといって家に属している限りは女性同士でも簡単に協力できない……という酷薄な現実も捉えられていて、最後まで気が抜けない。
November 13, 2025 at 12:42 PM
まず劇映画デビュー作

『エルジ』(1968)

児童養護施設で育った若い女性が、実の母を訪ねに田舎の村へと行くが、母は再婚していて……両親を喪失した主人公、孤独な女性の彷徨、さりげない仕草の背後に見える感情、それを見つめ続けることなど、ストイックな作風がこの時点で既に完成していて驚いた。

ポップミュージックの使い方や、冒頭の断片的なモンタージュなど、いかにも60年代の映画だなという雰囲気はあるけど、主人公・エルジの自由な行動をあまり動機づけをせずしたいからするのだぐらいの感じでクールに積み上げていくのが面白かった。結果がどうあれ自分の意思で選択する若い女性の肖像をニュートラルに捉える。
November 13, 2025 at 12:42 PM
11月14日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

『メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章』 試写。

ハンガリーを代表する監督の作品を、一昨年の特集から引き続き7本一気にレストア版で劇場初公開。時代や階級、政治に翻弄される女性たちの孤独や決断を見つめ続ける姿勢の強靭さに圧倒される。

今回の特集、なんといっても目玉は監督の半自伝的な作品である「日記」三部作の公開だが、それ以外の4本もそれぞれ大変充実した出来で、去年の5本(U-NEXTなどで鑑賞可能)も加えてようやくこの知られざる巨匠に向き合う準備が日本でも整ったんだなと思わされる特集だった。どの映画も圧倒的に面白い。
November 13, 2025 at 12:38 PM
11月14日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開

『〈北欧の至宝〉マッツ・ミケルセン生誕60周年祭』 試写。

60歳の節目を祝い、劇場未公開の作品を含めた7本を一挙公開する特集。映画ファンとして見逃せないのがこれ7本中5本に関わっている映画監督アナス・トマス・イェンセンの実質的な特集上映であることで、この規模でノーザンライツフェスティバルとかじゃないと見れないようなデンマークで人気の作家の長編が一気に見れるっていう、かなり貴重な機会になっている。『ライダーズ・オブ・ジャスティス』が好きだった人はぜひ観に行ってみてほしい。
November 12, 2025 at 11:07 AM
まだRobynの新曲は来てないわね……
November 12, 2025 at 12:46 AM
11月14日(金)公開

『ブルーボーイ事件』 試写。

1965年、性別適合手術を行った医師が、優生保護法違反で起訴された事件を題材にした作品。監督・主演、ともにトランス当事者が担当。法廷での議論を通し、自己の実存を引き受け幸福を追求する権利の重要性を浮き彫りにする流れがいい。

久しぶりにオリジナル企画で近現代ものの邦画をみたなという気持ちになった。群馬でのロケ撮影がけっこう効いていて(本当に昭和の街並みっぽく見える)、大規模なセットじゃなくてもルック作れるんだなあと思った。役者もみんなよかった、特に中村中とイズミ・セクシー!それぞれすごい見せ場があって、ぐっとこちらを引き込んでくれる。
November 11, 2025 at 2:56 PM
11/14(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて2週間限定上映 ほか全国順次公開

『アニキ・ボボ 4Kレストア版』試写。

すごかった!オリヴェイラの長編デビュー作で、港町の少年グループを描く71分のかわいらしい子ども映画……だけど、冒頭の編集も、高低差の演出も、夜の街のイメージもずば抜けた充実度。

これを撮ったのは30代前半(その後50代まで沈黙する)だけど、たぶんこれだけでもポルトガル映画の隠れた秀作として名を残していただろうなと思わされる、勢いのあるデビュー作。オリヴェイラ、若い頃はさすがに映画仙人的な感じではなく、素直に躍動感あふれる作品をとっていたんだなあと思った。
November 10, 2025 at 10:57 AM
11/14(金) 公開

『君と私』 試写。

2014年、済州島への修学旅行を明日に控えた女子高生2人の友情と恋を描くレズビアン映画。どこにでもいる平凡な若者の感情の揺れ動きがとても繊細なトーンで描かれている。10代らしい視野の狭さで、後から振り返ればきっとどうでもよかったはずのことに、傷ついたり喜んだりする瞬間が瑞々しく捉えられている。

時代をはっきり2014年の4月に設定していることから分かる通り、セウォル号事件がモチーフになっていて、観ている側はこの後どうなるか知っているので、ありふれた毎日の描写が積み重なるほどつらい気持ちになる。直接的な表現ではないだけに喪失の痛みが痛切に伝わる。
November 9, 2025 at 9:55 AM
『素晴らしい風船旅行』。

画期的な気球を発明した学者のおじいちゃんと、冒険の旅に出るパスカル少年のお話。耐震装置をつけたヘリからのダイナミックな空撮が見どころで、フランス全土を漫遊していく。ほのぼのした雰囲気の作品ではあるけれど、やはりどこか人の世界から離れていきたいなあという感覚があって、意外な寂寥感。

『フィフィ大空をゆく』。

今回の特集唯一の大人が主人公の映画で、サーカス団に逃げ込んだ時計泥棒の、ロマンスありピンチありの珍道中を描く。けっこう生臭い欲望の描写と、天使の羽で空を飛び回るというファンタジックな設定の対比が面白い。大人の世界で広がるラモリスの自由な想像力を楽しめます。
November 8, 2025 at 7:25 AM
さらに今回【映像詩人アルベール・ラモリスの知られざる世界特集】と題し、観るのが難しいラモリスの他の作品も3本上映。

まずは『小さなロバ、ビム 4K』。

チュニジアの島を舞台に、、ロバと貧しい少年を描く。水と光の主題を引き継ぎつつ、少年たちがゆかいに大暴れする冒険映画になっています。

共同脚本とナレーションはジャック・プレヴェール。絵本のような雰囲気のあるラモリス作品ですが、これが一番夏休み映画っぽい内容だった。大迫力の船を使ったアクションや、複雑なお城のなかでの追いかけっことかもあり、ちょっとサイレントっぽい雰囲気もあるなと。ロバが絶妙な「表情」を見せるのがかわいい。
November 8, 2025 at 7:22 AM
『白い馬』。

南仏の大湿地帯、カマルグ地方を舞台に、地元の漁師の少年と、牧童に追われる白い馬の交流を描く。水と光が豊かに戯れるなか、馬と少年が疾走するシーンの瑞々しさ!西部劇のような緊迫感に満ちたシーンやハラハラするアクションもありつつ、抒情的なおとぎ話のようにまとめるところが監督らしさなんだろうなと。
November 8, 2025 at 7:22 AM
まずは『赤い風船』。パリ20区のメニルモンタンに住む男の子と風船の不思議な絆を描いた作品で、今見てもどう撮ったんだと思わされる風船の可愛らしい挙動、街や空を駆け巡るアクション、集団心理の残酷さなどなど、風刺を効かせつつイマジネーションの翼をどこまでも広げていく。

リマスターの効果がすごくて、こんなに画面の中で風船がくっきり発色してたんだ!?と驚かされた。グレーに染まった街並みの空気感まで伝わってくるよう。人間社会をどこかで見切っている感じが伝わってきてちょっと怖いけど、イメージの豊かさでうまく寓話として着地する。いま見てもその美しさは全く色褪せていない。本当に名作なので未見の人はぜひ観て!
November 8, 2025 at 7:20 AM
11/14(金)より

シネマート新宿ほか全国順次公開

『赤い風船』/『白い馬』4K版 試写。

素晴らしかった!フランスの映画監督、アルベール・ラモリスによる世界中の映画作家が影響を受けた名作中の名作をデジタル修復版で上映。

浮き上がったり、走り回ったり、子どもの好奇心やエネルギーをのびのびと描く清洌な作品世界にはぜひ触れてみてほしい。出てくるものの動きをみるだけでも楽しいんだよな……

あと同時にどこかやるせない感覚というか、人間の世界に対する諦観(けれど自分もそこから離れられない)みたいなものが感じられるのも良かった。人嫌いなのだろうか?と思いつつ、子供へ向ける視線は優しい。
November 8, 2025 at 7:20 AM
長編2作目『ハッパーズ・コメット』。コロナ禍のロックダウン中に少人数で制作された作品。真夜中の郊外の街で孤独な時間を過ごす人々の様子を、明確なストーリーのない短いシーンの積み重ねで描く。それらから、受ける「感覚」はコロナ禍のすべてが宙吊りになったような記憶と共振するものがあった。

夜の時間、接点のない人々のエピソード集というのはシャンタル・アケルマンの『一晩中』を連想させるけど、あの精細に作り込まれた映像と比べてかなりラフな感触があるのは、まさにリアルタイムで起きていた事象にカメラを向けたからなんだろうなと。移動していても妙に距離がある。道路をすっと走っていくローラーブレードの横移動がいい。
November 6, 2025 at 6:26 AM
まずタオルミーナ監督初長編

『ハム・オン・ライ』

これがすっごく面白かった!以前からいろんなところで特別上映されたりして、映画好きの間で話題になっていたがそれも納得。郊外のティーンたちが思い思いに華やかに着飾り、ある場所へ向かっていくのだけれど、それは……明るい青春映画と不穏な白昼夢のシームレスな融合。

小さな町でどこにも行けない若者の閉塞感を表現した寓話……ではあるのだが、ただただその奇妙な世界観が説明なしの行動の積み重ねで描かれていくので、どういう気持ちで受け止めればいいのか困惑するし、しかも関わっている人がみんなそれを当然だと思っているようで、理解できない怖さがあるというか……
November 6, 2025 at 6:26 AM
11月7日(金)より

Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか特別公開

『タイラー・タオルミーナ監督特集』 試写。

これは面白かった!アメリカの郊外に生きる人々が直面する閉塞感や倦怠を風変わりな寓話のように、でも同時にとても映画的なショットの連なりで描き出す。わかりやすく「お話」として着地させない姿勢が良い。

タイラー・タオルミーナ監督はロサンゼルス拠点の映像制作者集団(コレクティブ)「オムネス・フィルムズ」に所属しており、彼らの作品は最近『さよならはスローボールで』が全国公開されたばかり。音と空間の関係を繊細に探りながら、個人的な主題を感傷を恐れず叙情的に表現する姿勢がよい。
November 6, 2025 at 6:26 AM
11月7日(金)公開

『モンテ・クリスト伯』試写。

言わずと知れたデュマの大作を3時間の華やかなスペクタクルに。波瀾万丈すぎる原作を詰め込んでいるので、見せ場に次ぐ見せ場がどんどんやってくるような構成で、体感時間がえらい短かった。大ヒットも納得のエンタメぶり。アレンジもうまくて現代版王道映像化として文句なし。

ピエール・ニネがモンテ・クリスト伯って想像できなかったけど、苦悩の深さの表現と優雅なムードがうまく両立してて、現代的にすっきりとした翻案のこれには合ってたなと。ちょっとした設定や構成が微妙に変わっているので原作を読んだことのある人も楽しめるかと。マルセイユの海の青さも清々しい。
November 4, 2025 at 8:03 AM
11月7日(金)公開

『トリツカレ男』 試写。

なんにでも「取り憑かれる」ように熱中してしまう男が恋に落ちるという、いしいしんじ原作のチャーミングなラブストーリー。まさかのしっかりミュージカル仕立てで、だから主演二人とも歌手経験のある人なのかと納得。デフォルメの効いたダイナミックなコメディ描写が楽しかった。

監督は劇場版クレしん『謎メキ!花の天カス学園』や『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の髙橋渉。架空のイタリア風味の背景美術、強烈な陰影が印象的な夜の街パート、軽快なダンスシーンなど、アニメーション表現的な見所は多かった。世界名作劇場的でもありつつそれへの崩しの入れ方にらしさを感じた。
November 3, 2025 at 4:43 AM
11月7日(金)公開

『ぼくらの居場所』 試写。

とてもよかった!事情を抱えた子どもたちが集まる、半分シェルターのような教育センターを軸としたカナダ産の群像劇。カメラが子どもの視線に寄り添い、シビアな現実を前にしても消え去ることのない喜びや笑いを切り取る。周りの大人の描写も含め、深い共感に満ちた姿勢に好感をもった。

舞台のトロント東部のエリア・スカボローは、多様な文化的背景をもつ人々が暮らす地域。この映画にも先住民ルーツを持つ人やフィリピンからの移民家族などが出てくる。劇中提示される社会問題はかなり深刻なものだが、同時にそれを乗り越える子どもたちのエネルギーもいきいきと描かれている。
October 31, 2025 at 8:31 AM
10月31日(金)公開

『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』試写。

面白かった。横領事件で会社が倒産し、職を失ったルシアはタクシー運転手の仕事を始め……空想癖のある女性の生活を追う映画で、どことなく不穏な空気がありつつ、淡々と進んでいくので地味に着地点が読めなくて不安な気持ちになる。主演の役者の演技がすごい。

なんと言ったらいいのか、スリラーでもなく日常系でもなく、かといってホラーでもないし、ただただルシアという女性の世界をじっくり見せられるという……しかも表面上描かれることも本当なのかわからなかったり、とにかく掴みどころがない。異様に生々しくちょっと変わった人の存在感を提示される。
October 27, 2025 at 9:17 AM
10月24日(金)公開

『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』 試写。

麻薬取締局の捜査官が、億万長者の麻薬王を追って台湾へ。ヨーロッパ・コープらしい気軽に観れるアクション作品で、台北の街をとんでもない速度でぶっ飛ばす迫力満点のアクションが楽しめます。グイ・ルンメイとサン・カンの登場がうれしい。

ほぼ全編台湾ロケなので、行ったことのある人ならあんな人の多い場所でこんな無茶苦茶なアクションをしたの!?ってなるかと。リュック・ベッソン製作・脚本なので『トランスポーター』とか『TAXi』とかの気配もありつつ、それがガッツリ台湾舞台になっているあたりに今っぽさがあるなあと思った。
October 17, 2025 at 11:37 AM
BSテレ東で毎週土曜夜11時に放送されているファッション情報番組「ファッション通信」の放送40周年記念視聴者プレゼントの抽選に当たった!HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEのBASICS 半袖Tシャツでした。うれしい……本当にいい番組なのでみなさんぜひ!Tverでも見れます。

www.bs-tvtokyo.co.jp...
October 16, 2025 at 7:59 AM