#猫が喋ると口が動く
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・悪魔の照明🫖💍(8/9)
てあの、不義理は致しませんので」 「ふ、不義理……？」 　普段使わないような堅い言葉が出てきて一瞬意味が分からなかったが、ようするに彼女がいれば他の人とお茶をしたりしないという意味だろうか。私が言葉の意味を考えていると、ベリアンはすぅと息を吸って、吐いてから姿勢を正して私をじっと見つめた。 「つまり、ですね、私が言いたいのは……」 「は、はい……」 　思わずつられて背筋を伸ばすと、彼は私を真っ直ぐに見つめたまま言った。 「私がこうしてお茶にお誘いする女性は、あなた様だけという事です」 「……そ、それって」 　心を直に擽るような、優しい声色だった。急速に顔が熱くなるのを感じながら、期待を込めて続きを促してしまう。 「……あなた様をお慕いしています」 　ベリアンはそっとテーブルの上に片手を置いた。私は促されるように同じように片手を伸ばすと、彼は優しく私の手を握って言った。 「わ、私も……」 　私は震える手で彼の手を握り返した。ベリアンは幸せそうに微笑んで、とろけるような眼差しで私を見つめていた。 　││こうして喫茶店の中で私とベリアンは彼氏と彼女という関係になった。静かな店内だったから、やり取りはほぼ筒抜けだったと思うと恥ずかしくて、私たちは紅茶を飲み切るとそそくさとお店から退出した。この後の事はノープランだが、少し散歩をして適当なお店に入ろうという事になった。お互い顔が赤かったから、それを冷ます為にも外気に当たる必要があった。私たちは手を繋いで、適当にゆっくり歩いた。 　その時に話の流れでお互いをいつから好きだったのかという話になって、私は「ちょっと前から少しずつ」と答えた。ベリアンは「沢山お誘いした甲斐がありました」と嬉しそうに笑った。じゃあベリアンは何時からかなのかと問うと、私が落とし物を拾った時からだと言う。 「えっ、それって……一目惚れって事？」 「ふふ……」 　ベリアンは私の言葉に微笑んで応じた。 「私、特別美人でもないと思うんだけど……」 　特に目が大きいとか唇が蠱惑的だとか髪が綺麗だとか、そういう特徴のない平均点な人間だ。一目惚れしてもらえた事なんて今までないと思う。それをもごもごと伝えると、ベリアンは微笑みを深めて答えた。 「ですが、私の目に間違いはありませんでした」 「えっと」 「私の思っていた通りの方でした。優しくて暖かな……あなた様でした」 　そうしてベリアンは足を止めて私を見つめた。彼は線が細いけれど、こうして立って並んでいると顔の印象よりもずっと背が高くて、私はベリアンと目を合わせようとすると見上げる事になる。足を止めた彼を見上げると、喫茶店で対面している時よりもずっと近い位置にある赤い瞳が私をじっと見つめていた。優しい微笑みの形に細待った、赤い瞳。 「……？」 　その瞳と目があって、心臓が跳ねる。でも彼氏に見つめられてどきどきしたというよりも、もっとひやっとしたような、なんだか変な気持ちがして私は一瞬口を噤んだ。瞬きを一つすると、ベリアンは変わらず微笑んで私を見つめていた。でもさっきまでのひやっとした感じはもうなくて、私は気のせいかなと思いながら視線を道の先へと戻した。どちらからともなく、再び歩き始める。 　そういえば、この後は雨が降る予報が出ていた事を思い出した。私もベリアンも折りたたみ傘を持ってきてはいるけれど、早い内に何処かへ入った方がいいかもしれない。 　あっちの方にカフェがある、というベリアンの案内に従って道を進んでいく事になった。曇り空の下、公園を突っ切って歩きながら「次はミルクティーにしようかな」「いいですね。あのカフェはスコーンも美味しくて」というような雑談をした。さっき一瞬感じたひやっとしたものが私の中からすっかり抜けた頃、不意にベリアンは話題を変えた。 「……そういえば、あの時の猫さんには会いましたか？」 「え？　……ああ、あの時の黒猫さん？」 「はい」 　咄嗟になんの話かわからなくて、猫？　なんの猫？　と記憶を探った。彼と初めて出会った時に居合わせた猫の事かと問うと、ベリアンは頷いた。 「ううん。全然見かけないよ。何処かの家の飼い猫ちゃんだったのかも」 　そういえば綺麗な猫だったなぁなんて思い返しながら私は答えた。 「そうですか……綺麗な猫さんでしたから、きっとそうですね」 「でも良かったね、落とし物、飲み込まれちゃわなくて」 「ええ、本当に良かったです」 「猫ちゃんもだけど、すごく大事だって言ってたもんね、あの時の││指輪」 「……」 　ベリアンと出会ったとき、私は黒い猫を撫でていた。その猫が何かを落としたと思って拾い上げると、それは金色の指輪だった。綺麗なその指輪をぼうっと見つめていると、ベリアンに声を掛けられたのだった。「指輪が落ちていませんでしたか」と。私はまさに手にしていたその金色の指輪を、彼に渡した。あの時、ベリアンは私から受け取った指輪を大切に握り込むと、力が抜けたようで、その場に膝をつきながら「良かった……間に合ったんですね」と眦にうっすら涙まで浮かべていた。おそらく余程大事な指輪なんだろう。もしかしたら受け継いだ家宝や形見かもしれない。 「わっ」 　不意に雨が一粒、鼻先を掠めた。周りを見るとぽつぽつと落ち始めた雨に、周囲の人々も移動する歩みを早めていた。 「急ごう、ベリアン」 　私は彼の手を引いて足を速めた。 「ええ、そうですね」 　揃って早足に歩いたけれど、間に合わず雨が降り出してしまった。私たちは大慌てで折りたたみ傘を広げ合って、引き続きカフェへと向かった。 　││その日、不思議な夢を見た。今日のような雨だった。私は天から降り注ぐそれをぼうっと見上げていて、不意に、視界が横切られた。 　││……主様……。 　ベリアンだった。彼は泣いていた。雨よりも大きな粒の涙が、瞬きの度に彼の長い睫毛を濡らしていた。彼は不思議な格好をしていた。舞台上の衣装みたいな服を着て、白い頬が土で汚れている。彼に遮られて見えないが、空では何かがぴかぴかと光っていた。雷かもしれない。危ないから、建物に入ろうと言おうとして、上手く口が動かなかった。ベリアンは目元の涙を拭うと、口元に無理矢理笑みをかたどりながら、私の頭を優しく撫でた。 　││喋らないで、すぐにルカスさんが来てくれますから。 　それって誰？　と問いたくても、やっぱり唇は動かない。何かに遮られているというよりも、そもそも私に身体を操作する権利が与えられていないような、まるでもう撮り終わった映像を眺めているような感覚だった。 　││……大丈夫、大丈夫……だいじょうぶですから……。 　ベリアンは震える唇で、自分に言い聞かせるように言っていた。けれど、しばらくすると、赤い瞳を揺らして、食い入るように私を見つめたあと、顔を伏せて、私の手をそっと握った。 　││……大丈夫……。大丈夫です……私が、必ずあなたを……。 　祈るように呟いて、ベリアンは私の指にはまっている指輪に爪を立てた。 「……？」 　目が覚めると、夢の事は急激に薄れていった。なんだかドラマチックで、ベリアンが出てきたような気がするけれど、それ以上の事は思い出せなかった。仄かに気になっていた人が恋人になって浮かれているのかもしれない。私は「おはよう」「ベリアンの夢を見たよ」と彼にメッセージを送った。既読はつかない。朝は弱いと言っていたから、まだ寝ているんだろう。私はベッドの上で起き上がると、カーテンを開けて朝日を浴びた。 　良い天気だった。　 「あれ……」 　ふと何かが視界で動いた気がして視線を下げると、ベランダに黒猫が居た。猫は私を待っていたように、私を見上げた。││夢に見た光景が、一瞬フラッシュバックして消えた。私は引き寄せられるように窓の鍵を開けよ
March 23, 2025 at 9:08 AM
kuratsusama.bsky.social
くらつや〜
1日目ありがとうございます!

明日で今年最後の札幌出店です!

12月1日　#みんなのてしごとマルシェ　inモユクサッポロ

明日は猫が多いですよ！
喋ると口が動く猫が（何を言ってるのか）

4袋限定の福袋17,000円相当を「10,000円」くらいで販売してます。

#ハンドメイド
#福袋
#ハッピーバッグ
#今年最後
#猫がいる
#猫が喋ると口が動く
November 30, 2024 at 11:10 AM
kakuri.bsky.social
コメント見てて思ったけど、64・e＋時代は特に「メジャーじゃなかった頃」特有の雰囲気がある。アングラ感というか。改めてパッケージ絵を見ると「裸の犬（とたけけ）がギターを持っているだけ」とか確かに尖ってる。薄暗い感じ。実際、郵便局の夜勤担当で口悪いぺりみの存在とかもそう。

BGMも全体的に独特。「うにょーん」って感じのやつもあるし、PM1:00の曲なんて要所要所で「ﾐｬｯ！」「ﾐｬｳ！」「くぅん」「ﾐｬｰｳ…」と猫の声が流れる。ヘンな曲。そうそう、どうぶつの森って『ヘンテコ』なゲームだった。データを記録するのにも、喋って動くヘンテコなハニワに話しかけることで出来る。ヘンテコ。好き
October 9, 2024 at 6:55 AM