#読書メモ
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何も思い出せない状態で、夢の中でやけに赤い桜の木の下に佇む白い髪の着流しの男のことだけを何度も夢に見る。顔はまるで墨か靄が掛かっているかのように常に真っ黒で、これっぽっちも判然としない。その黒が移ったかのように、最初に夢に見た頃は水縹色だった気がした男が着ている着流しの色も、いつしか黒に染まっていった。
何も思い出せない状態で、夢の中でやけに赤い桜の木の下に佇む白い髪の着流しの男のことだけを何度も夢に見る。顔はまるで墨か靄が掛かっているかのように常に真っ黒で、これっぽっちも判然としない。その黒が移ったかのように、最初に夢に見た頃は水縹色だった気がした男が着ている着流しの色も、いつしか黒に染まっていった。