【アイコン】 Picrew 「白青式メーカー [ウィンターヘアカラー](C2Ykm44Da6)
ほんのり猫の日(会話文)
ほんのり猫の日(会話文)
ひとりをまもれなかった剣と、たくさんのあなたのための盾(文字数超過したので画像)
ひとりをまもれなかった剣と、たくさんのあなたのための盾(文字数超過したので画像)
踏み込んだ片足を軸に、刀に体重を乗せて振り回す。勢いにまかせて、ぐるりと一回転。刀を持った義手の腕がギシリと軋む。
飛び退き、振り回す射程から離れていた男が再び間合いを詰めてくる。
「雲というより嵐だな」
「ハッ、俺は『黒雲』だ。当然、嵐も呼ぶさ」
斬っては防ぎ、そのたび闇夜にキンキンと金属音が響く。振るわれた刀を受け止めると、義手にごわついた振動が走る。この重さで力任せであればまだしも、技術も巧みというのがタチが悪い。恵まれた体格ってやつはこれだから。
さて、間合いを詰めて斬り合うのは思った以上に分が悪すぎることが分かった。どうにかしなければ、行き着く先はミンチだ。
踏み込んだ片足を軸に、刀に体重を乗せて振り回す。勢いにまかせて、ぐるりと一回転。刀を持った義手の腕がギシリと軋む。
飛び退き、振り回す射程から離れていた男が再び間合いを詰めてくる。
「雲というより嵐だな」
「ハッ、俺は『黒雲』だ。当然、嵐も呼ぶさ」
斬っては防ぎ、そのたび闇夜にキンキンと金属音が響く。振るわれた刀を受け止めると、義手にごわついた振動が走る。この重さで力任せであればまだしも、技術も巧みというのがタチが悪い。恵まれた体格ってやつはこれだから。
さて、間合いを詰めて斬り合うのは思った以上に分が悪すぎることが分かった。どうにかしなければ、行き着く先はミンチだ。
用を終えた刀を相手の服で拭い、納刀する。周囲をぐるりと見渡していると、殺しきれない足音が複数、少しづつ近付いていた。月が黒い雲に覆われ、闇夜は暗い。出歩く者は限られる。自身と同じ理由で出歩くであろう、候補として真っ先に浮かぶ組織が一つ。
……出くわすと面倒だ。
頑丈そうな柱を足場に飛び移り、屋根の上へ駆け上がる。ぐるりと着地して踏みしめた瓦が、ガタガタと音を立てた。
見つかるか、と屋根の上から見下ろしたが生きている人の姿はない。声や足音が、こちらに向かってくる様子もない。
どうやら面倒事が増えずに済みそうだ。
立て膝を崩して立ち上がろうとしたところで、カタリと音がした。
用を終えた刀を相手の服で拭い、納刀する。周囲をぐるりと見渡していると、殺しきれない足音が複数、少しづつ近付いていた。月が黒い雲に覆われ、闇夜は暗い。出歩く者は限られる。自身と同じ理由で出歩くであろう、候補として真っ先に浮かぶ組織が一つ。
……出くわすと面倒だ。
頑丈そうな柱を足場に飛び移り、屋根の上へ駆け上がる。ぐるりと着地して踏みしめた瓦が、ガタガタと音を立てた。
見つかるか、と屋根の上から見下ろしたが生きている人の姿はない。声や足音が、こちらに向かってくる様子もない。
どうやら面倒事が増えずに済みそうだ。
立て膝を崩して立ち上がろうとしたところで、カタリと音がした。
打鍵していると、つぶれたまま引き伸ばされたような声が、背中の向こう側から聞こえた。
また何か問題があったのか。背中を回して(身体を回すとバキバキと骨が鳴った)振り向いて様子を窺う。すると、縮こまっているせいで液晶に隠れたグレゴールが、画面を見上げていた。時折、髪を荒々しくこねたかと思えば、呻き声をあげて机に伏せている。
――何をしてるのかはともかく、その進捗に期待は出来ないだろう。
そう判断する。そして、呻くグレゴールを肴に、エナジードリンクを飲んだ。
打鍵していると、つぶれたまま引き伸ばされたような声が、背中の向こう側から聞こえた。
また何か問題があったのか。背中を回して(身体を回すとバキバキと骨が鳴った)振り向いて様子を窺う。すると、縮こまっているせいで液晶に隠れたグレゴールが、画面を見上げていた。時折、髪を荒々しくこねたかと思えば、呻き声をあげて机に伏せている。
――何をしてるのかはともかく、その進捗に期待は出来ないだろう。
そう判断する。そして、呻くグレゴールを肴に、エナジードリンクを飲んだ。
後ろから腹に手を回され、ひょいと担ぎ上げられた。
そのまま横に抱える程度では飽き足らず、肩に座るような位置に身体を置かれた。――視線が、すごく、高い。
長身の陰にいる間は気付かなかった風が、したたかに顔面へぶつかる。その勢いに負け、後ろにのけぞった。倒れ込むんじゃないかとヒヤリとしたが、両足が抱え込むように支えられていた。落ちないように守られていて、ほっと息を吐く。そのまま、恐る恐る左手を縋るように巻き付けた。
手を離すんじゃないか、とか。不安になったとか、信用がなかったとかじゃなくて。宙を彷徨うだけの手をそのままにしておくには、この高所で当たる風があまりにも寒かったからだ。
後ろから腹に手を回され、ひょいと担ぎ上げられた。
そのまま横に抱える程度では飽き足らず、肩に座るような位置に身体を置かれた。――視線が、すごく、高い。
長身の陰にいる間は気付かなかった風が、したたかに顔面へぶつかる。その勢いに負け、後ろにのけぞった。倒れ込むんじゃないかとヒヤリとしたが、両足が抱え込むように支えられていた。落ちないように守られていて、ほっと息を吐く。そのまま、恐る恐る左手を縋るように巻き付けた。
手を離すんじゃないか、とか。不安になったとか、信用がなかったとかじゃなくて。宙を彷徨うだけの手をそのままにしておくには、この高所で当たる風があまりにも寒かったからだ。
火にかけられた片手鍋のなかで、湯が沸き上がる。熱を顔に受けながら、胸元のポケットから一本取り出した。それを指で軽くなぞっていると、背後から伸びてきた手によって、ガシリと手首を掴まれた。
「……待て。随分と珍しいティーパックだな」
「…………良いだろ、愛用品だ。えっと、吸うか?」
手首を掴まれたまま、手をそらすようにして差し出した。痛いので取るなら早く取ってほしかった。
「吸わないが回収はする」
「横暴だ……」
「あなたに往生されては困るので」
指から引き抜かれたそれが、胸から取り出された箱と共に回収されていくのをぼうっと見つめる。
視線を元に戻すといつの間にか火は消されていた。
火にかけられた片手鍋のなかで、湯が沸き上がる。熱を顔に受けながら、胸元のポケットから一本取り出した。それを指で軽くなぞっていると、背後から伸びてきた手によって、ガシリと手首を掴まれた。
「……待て。随分と珍しいティーパックだな」
「…………良いだろ、愛用品だ。えっと、吸うか?」
手首を掴まれたまま、手をそらすようにして差し出した。痛いので取るなら早く取ってほしかった。
「吸わないが回収はする」
「横暴だ……」
「あなたに往生されては困るので」
指から引き抜かれたそれが、胸から取り出された箱と共に回収されていくのをぼうっと見つめる。
視線を元に戻すといつの間にか火は消されていた。
「……あなたとの作業時間は、本来予定している時間よりも少なく感じる」
「んん?それはどっちの意味で言ってるんだ。作業時間が余分なのか、不足なのか」
「予定時間よりも短く済んだように感じる、という意味だ。しかし、実際の時間は予定通りだった」
「うーん……、予定通りに進んでるなら問題ないんじゃないか?なんでわざわざ……いや、続けてくれ」
「私の時間感覚が狂ったか、と」
「それはこの間、5回連続で10秒をカウントきっかりで止めたやつの台詞ではないなぁ」
「短時間のみ正確性が保持されているかと考えたが、他の作業では予定時間との相違を感じなかった」
「ははぁ、それで俺との作業だけがって?」
「……あなたとの作業時間は、本来予定している時間よりも少なく感じる」
「んん?それはどっちの意味で言ってるんだ。作業時間が余分なのか、不足なのか」
「予定時間よりも短く済んだように感じる、という意味だ。しかし、実際の時間は予定通りだった」
「うーん……、予定通りに進んでるなら問題ないんじゃないか?なんでわざわざ……いや、続けてくれ」
「私の時間感覚が狂ったか、と」
「それはこの間、5回連続で10秒をカウントきっかりで止めたやつの台詞ではないなぁ」
「短時間のみ正確性が保持されているかと考えたが、他の作業では予定時間との相違を感じなかった」
「ははぁ、それで俺との作業だけがって?」
同じフレーズを繰り返すだけのラジオ放送がある。それだけなら、煙草を吸いながら「奇妙な話だな」と笑うだけだった。他人事ですまなかったのは、その繰り返しの内容のせいだ。
「『グレゴール』って、そんな名前いくらでも……」
「『Gの英雄』と称される者が他にいるのか?主観ではなく客観的な事実で判断しろ」
「……新G社にグレゴールが居ないなら、俺かもな」
「くだらない現実逃避で俺に手間を掛けさせるな」
『G社の英雄、グレゴール』それだけを延々と電波に乗せ続けている、存在しない亡霊を求め続ける何か。自分が関わるとなると、与太話はサスペンスホラーじみた話に変わってしまった。
同じフレーズを繰り返すだけのラジオ放送がある。それだけなら、煙草を吸いながら「奇妙な話だな」と笑うだけだった。他人事ですまなかったのは、その繰り返しの内容のせいだ。
「『グレゴール』って、そんな名前いくらでも……」
「『Gの英雄』と称される者が他にいるのか?主観ではなく客観的な事実で判断しろ」
「……新G社にグレゴールが居ないなら、俺かもな」
「くだらない現実逃避で俺に手間を掛けさせるな」
『G社の英雄、グレゴール』それだけを延々と電波に乗せ続けている、存在しない亡霊を求め続ける何か。自分が関わるとなると、与太話はサスペンスホラーじみた話に変わってしまった。
「はぁいお客さま、こちらサービスのドリンクですぅ」
「パイの材料が入っているようだが」
「あはぁ、サービスだよ」
「グラスよりも相応しい器があるだろう」
「やだなぁ、客がグチグチと。料理人の意向を汲み取れって、なぁ」
「ふむ、足の指か……。グレゴール、靴下を脱いでくれ」
「あぁ?店だぞ、何しようってんだ。えっち」
「あなたのものならまだしも、他人の部位を肴にする趣味はない」
「ふぅん?パイは食べるのに?」
「あなたが調理したパイだからだ。材料は問題にならない」
「趣味が良いなぁ、まったく」
「はぁいお客さま、こちらサービスのドリンクですぅ」
「パイの材料が入っているようだが」
「あはぁ、サービスだよ」
「グラスよりも相応しい器があるだろう」
「やだなぁ、客がグチグチと。料理人の意向を汲み取れって、なぁ」
「ふむ、足の指か……。グレゴール、靴下を脱いでくれ」
「あぁ?店だぞ、何しようってんだ。えっち」
「あなたのものならまだしも、他人の部位を肴にする趣味はない」
「ふぅん?パイは食べるのに?」
「あなたが調理したパイだからだ。材料は問題にならない」
「趣味が良いなぁ、まったく」
眩い太陽が光で目を焼くのは異なり、夜闇の中でゆるりと目を引く――そんな消えゆく蝋燭の火のような男だった。瞬きをする一瞬で、その火は消えていた。
既に消えているにも関わらず、未だに目を伏せればその影が結ばれる。焦げ付いたような彼の髪が、瞼の下でゆらりと揺れた。影に手を伸ばしてもすぐに風に溶けるので、揺れる姿を見ていることしか出来なかった。
彼の火は、私の目を焼き付けるほどの苛烈さはない――なかった。だからこそ、私は今になって、自分で幻覚の火をも使って自分の目に彼を焼き付けている
眩い太陽が光で目を焼くのは異なり、夜闇の中でゆるりと目を引く――そんな消えゆく蝋燭の火のような男だった。瞬きをする一瞬で、その火は消えていた。
既に消えているにも関わらず、未だに目を伏せればその影が結ばれる。焦げ付いたような彼の髪が、瞼の下でゆらりと揺れた。影に手を伸ばしてもすぐに風に溶けるので、揺れる姿を見ていることしか出来なかった。
彼の火は、私の目を焼き付けるほどの苛烈さはない――なかった。だからこそ、私は今になって、自分で幻覚の火をも使って自分の目に彼を焼き付けている
満ちた月のように丸々とした瞳を晒し続けたまま、目を見開いている。
ぴくりともせずに硬直していたが、やがて短く息を吐いた。続けて、長いため息。落ちる呼気と共に、視線も落ちて月が欠けていく。
そのまま、眼鏡越しに見つめていた月が、瞼に隠れた。大きく肩と胸を上下させながら、深く呼吸する様子を眺める。
んん……、と。彼が鼻を鳴らした小さな音は、静かな部屋にはよく響いた。
満ちた月のように丸々とした瞳を晒し続けたまま、目を見開いている。
ぴくりともせずに硬直していたが、やがて短く息を吐いた。続けて、長いため息。落ちる呼気と共に、視線も落ちて月が欠けていく。
そのまま、眼鏡越しに見つめていた月が、瞼に隠れた。大きく肩と胸を上下させながら、深く呼吸する様子を眺める。
んん……、と。彼が鼻を鳴らした小さな音は、静かな部屋にはよく響いた。
「……先に死ぬ俺が、俺自身が良いって言ってるのに?そうしてくれって言っても?」
「"仮に"、あなたが先に死ぬと仮定する。死者はなにも出来ないだろう。その先のことは生きている者の問題だ。約束を守ってもあなたのために生きることになるのならば、私は私の思うようにあなたへ尽くしたい」
「そ、れはそうかもしれないけど……いま話してるのは生きてる俺なんだから、今の俺の言葉くらいは聞いてくれても良くないか?」
「……先に自分が死ぬと言い、そのあとで他の人間を見つけろと言ったのはあなただ。私が大切にしたいのはあなただというのに」
「……先に死ぬ俺が、俺自身が良いって言ってるのに?そうしてくれって言っても?」
「"仮に"、あなたが先に死ぬと仮定する。死者はなにも出来ないだろう。その先のことは生きている者の問題だ。約束を守ってもあなたのために生きることになるのならば、私は私の思うようにあなたへ尽くしたい」
「そ、れはそうかもしれないけど……いま話してるのは生きてる俺なんだから、今の俺の言葉くらいは聞いてくれても良くないか?」
「……先に自分が死ぬと言い、そのあとで他の人間を見つけろと言ったのはあなただ。私が大切にしたいのはあなただというのに」
「あのさ、時計を回したんだよな。なんでこんな近くに居るんだ」
「……その方が良い結果を得られる可能性があると、そう判断したので」
「………………うぅん?うーん……まあ、良いか。それで、良い結果は得られたか?」
「いや、失敗した」
「はぁ!?おい、まさか俺の復活って何か失敗したのか?右腕以外で」
「いいえ。1つの不足もなく、おしなべて私の知っているあなたのままだ」
「……あのさぁ。俺の気のせいかな。あんた、俺に復活してほしくなかったって聞こえるんだけど……」
「あのさ、時計を回したんだよな。なんでこんな近くに居るんだ」
「……その方が良い結果を得られる可能性があると、そう判断したので」
「………………うぅん?うーん……まあ、良いか。それで、良い結果は得られたか?」
「いや、失敗した」
「はぁ!?おい、まさか俺の復活って何か失敗したのか?右腕以外で」
「いいえ。1つの不足もなく、おしなべて私の知っているあなたのままだ」
「……あのさぁ。俺の気のせいかな。あんた、俺に復活してほしくなかったって聞こえるんだけど……」
「あの時点では、どの言葉がどのように伝わるのか、判断できなかった。意味が伝わった以上、言葉という装飾の種類にこだわる必要はないだろう」
「……いや、装飾に対して本当にこだわらないなら、もっと短く簡潔に済んだと思うけど。
ほら、好きとか愛してると……か……。違うんだ、待ってくれ、そういう、そんなつもりじゃなかった。えぇと、俺に対して愛情を向けられてるようにも聞こえたから、な。その、もっと言葉は選んだほうが良いというか。そういう若い感情のやりとりは、若いもの同士でやるべきじゃないか、そうだろ?」
「問題ない」
「あの時点では、どの言葉がどのように伝わるのか、判断できなかった。意味が伝わった以上、言葉という装飾の種類にこだわる必要はないだろう」
「……いや、装飾に対して本当にこだわらないなら、もっと短く簡潔に済んだと思うけど。
ほら、好きとか愛してると……か……。違うんだ、待ってくれ、そういう、そんなつもりじゃなかった。えぇと、俺に対して愛情を向けられてるようにも聞こえたから、な。その、もっと言葉は選んだほうが良いというか。そういう若い感情のやりとりは、若いもの同士でやるべきじゃないか、そうだろ?」
「問題ない」
自分のなかで確固たる形のないこの欲を、どう噛み砕けば過不足無く告げられるのだろうか。いっそ、すべての択を開示したうえで、グレゴール自身に選択を委ねるほうが適切である可能性すらある。そう思い、沸々と湧き上がる言葉を精査していた理性の手綱を、手放すことにした
「あなたが選んでくれないか」
「はぁ?いったい何を……?」
「好意を持っている。添い遂げよう。あなたの最後の人間になりたい。私の影響を受けてくれ。魂の半分を捧げる。あなたの杖であると誓う。あなたを愛するという義務をください。私のグレゴール。死出の旅路へ共に向かおう」
「…………えぇと、俺に、口説き文句を選べって?」
自分のなかで確固たる形のないこの欲を、どう噛み砕けば過不足無く告げられるのだろうか。いっそ、すべての択を開示したうえで、グレゴール自身に選択を委ねるほうが適切である可能性すらある。そう思い、沸々と湧き上がる言葉を精査していた理性の手綱を、手放すことにした
「あなたが選んでくれないか」
「はぁ?いったい何を……?」
「好意を持っている。添い遂げよう。あなたの最後の人間になりたい。私の影響を受けてくれ。魂の半分を捧げる。あなたの杖であると誓う。あなたを愛するという義務をください。私のグレゴール。死出の旅路へ共に向かおう」
「…………えぇと、俺に、口説き文句を選べって?」
【WIP】誤解パロ⛓️🪳 | Privatter+ privatter.me/page/65b670a...
【WIP】誤解パロ⛓️🪳 | Privatter+ privatter.me/page/65b670a...
時計を回すため、グレゴールの死体を回収する必要があった。周囲にこぼれた部品を回収していた折に、ふと彼の薬指に目が留まる。破損はない。私自身が行動する必要はない部位である。
そう自覚していながら、手は動いていた。体温の残る指に触れ、力を込めた。永遠を誓うためのものは、二つと存在することはないはずで。一つがこの手の中にあれば、それが唯一になるだろうと。
そう考えて、指が欠けたままのグレゴールを管理人に差し出した。管理人は何も触れず、普段通り時計を回す。
結局、復元されたグレゴールは新たな永遠のための指を備えられていた。私に残されたのは、ただ朽ちていくだけの永遠だったものである
時計を回すため、グレゴールの死体を回収する必要があった。周囲にこぼれた部品を回収していた折に、ふと彼の薬指に目が留まる。破損はない。私自身が行動する必要はない部位である。
そう自覚していながら、手は動いていた。体温の残る指に触れ、力を込めた。永遠を誓うためのものは、二つと存在することはないはずで。一つがこの手の中にあれば、それが唯一になるだろうと。
そう考えて、指が欠けたままのグレゴールを管理人に差し出した。管理人は何も触れず、普段通り時計を回す。
結局、復元されたグレゴールは新たな永遠のための指を備えられていた。私に残されたのは、ただ朽ちていくだけの永遠だったものである
「私からの忠告だが、グレゴールはあなたにとって適当ではない。取るに足りない存在だろう。他の人物をあたるべきだ」
「おい。そんな貶めるなら、その後ろから伸びてる、俺のことをギッチギチに締め付けてる腕を外してくれても良いんじゃないのか」
「誤解がある。貶めている訳ではなく、私が嫌なので」
「……あんやぁ。ほんとにあけっぴろげになっちまって、まぁ」
「私からの忠告だが、グレゴールはあなたにとって適当ではない。取るに足りない存在だろう。他の人物をあたるべきだ」
「おい。そんな貶めるなら、その後ろから伸びてる、俺のことをギッチギチに締め付けてる腕を外してくれても良いんじゃないのか」
「誤解がある。貶めている訳ではなく、私が嫌なので」
「……あんやぁ。ほんとにあけっぴろげになっちまって、まぁ」
「面倒ゴト、押し付けてきやがって!!」
「……例の案件に関しての不満だけであれば反抗とは見なさないでおこう」
「…………アンタさぁ、そこまで無理矢理こじつけてまで、手足を手放したくないのか。人望なさそうだもんなぁ」
「私自身ではなく中指という組織の威光で充分だ。もっとも、辺境の深海で過ごしている者には届かない光のようだが」
「へぇ〜そんな田舎者がいるんだなぁ。俺には中指様に逆らうなんてこと恐れ多くて、とても出来ませんねぇ」
「………中指に属する人間に楯突いても良いという考えは、捨てるべきだな。今ここで私自身への絶対服従を誓うほうが賢明だろう」
「はは、誰がやるかよ」
「面倒ゴト、押し付けてきやがって!!」
「……例の案件に関しての不満だけであれば反抗とは見なさないでおこう」
「…………アンタさぁ、そこまで無理矢理こじつけてまで、手足を手放したくないのか。人望なさそうだもんなぁ」
「私自身ではなく中指という組織の威光で充分だ。もっとも、辺境の深海で過ごしている者には届かない光のようだが」
「へぇ〜そんな田舎者がいるんだなぁ。俺には中指様に逆らうなんてこと恐れ多くて、とても出来ませんねぇ」
「………中指に属する人間に楯突いても良いという考えは、捨てるべきだな。今ここで私自身への絶対服従を誓うほうが賢明だろう」
「はは、誰がやるかよ」
ム「不貞行為がなくとも、私は浮気行為を許容できない」
グ「……うん? 何が違うんだ?」
ム「一般的には不貞とは性的行為があるものを指すが、浮気についてはその限りではない」
グ「えぇっと……。明確なボーダーラインがないなら、俺は一体いつ浮気者にされるんだ……?」
ム「あなたの気が移ろったと思ったその瞬間、すぐにでも」
グ「い、言ったもん勝ちじゃないか!!」
ム「不貞行為がなくとも、私は浮気行為を許容できない」
グ「……うん? 何が違うんだ?」
ム「一般的には不貞とは性的行為があるものを指すが、浮気についてはその限りではない」
グ「えぇっと……。明確なボーダーラインがないなら、俺は一体いつ浮気者にされるんだ……?」
ム「あなたの気が移ろったと思ったその瞬間、すぐにでも」
グ「い、言ったもん勝ちじゃないか!!」