良い小説だけどこれが広く読まれるタイプなのかと疑問に思ったが、台湾ではベストセラーということでそうか、と安心した。
一人称小説でありながら語り手が明確にならないままもう一人の主要人物の話が進み、そして突然語り手が姿を現す。「聴覚小説」というのは言い得て妙で、小説内では可能な限り音を出さない、無音であろうとしていて静かで、それ故に読者は音を求めようとしてしまう。技巧的なんだけどそうとは感じさせないのは予定調和にならないバランスの悪さがあるからなのだろう。
終盤にフジ子・ヘミングに対しての言及があって、なるほど世界での評価はそうなのかと納得した。
良い小説だけどこれが広く読まれるタイプなのかと疑問に思ったが、台湾ではベストセラーということでそうか、と安心した。
一人称小説でありながら語り手が明確にならないままもう一人の主要人物の話が進み、そして突然語り手が姿を現す。「聴覚小説」というのは言い得て妙で、小説内では可能な限り音を出さない、無音であろうとしていて静かで、それ故に読者は音を求めようとしてしまう。技巧的なんだけどそうとは感じさせないのは予定調和にならないバランスの悪さがあるからなのだろう。
終盤にフジ子・ヘミングに対しての言及があって、なるほど世界での評価はそうなのかと納得した。
LGBTQ+に絡んでいるので実にタイムリーな読書だった。息子を殺した犯人を捜して復讐するという筋書きなんだけど、その犯人像には引っかかりがあった。ちょっと何でもかんでも権力使って自分に都合の悪いことを消し去りすぎなんじゃないかと。
もっともそこはいずれ自滅していたかもしれないということで、自滅よりも先に主人公達が鉄槌を下した。ひさびさにすごいカタルシスを得られた小説なんだけど、同時に素直に肯定できないいびつさをはらんでいて、でもいびつさをそのまま形にしているから突き抜けた面白さがある。
LGBTQ+に絡んでいるので実にタイムリーな読書だった。息子を殺した犯人を捜して復讐するという筋書きなんだけど、その犯人像には引っかかりがあった。ちょっと何でもかんでも権力使って自分に都合の悪いことを消し去りすぎなんじゃないかと。
もっともそこはいずれ自滅していたかもしれないということで、自滅よりも先に主人公達が鉄槌を下した。ひさびさにすごいカタルシスを得られた小説なんだけど、同時に素直に肯定できないいびつさをはらんでいて、でもいびつさをそのまま形にしているから突き抜けた面白さがある。