気になりますか、と声をかけて、山姥切国広を東屋へいざなった。ぼんやりとした彼の手を引く。東屋は魔法で温かくしてあるので、こんな雪の日には周りを気にせず話をするのにもってこいだ。
長義は俺に任せることにしたようで、何も言わずに俺たちを東屋に面した縁側から眺めている。唇を強くかみしめているのが見えた。護衛のためか、東屋の入口に後藤が控えている。
気になりますか、と声をかけて、山姥切国広を東屋へいざなった。ぼんやりとした彼の手を引く。東屋は魔法で温かくしてあるので、こんな雪の日には周りを気にせず話をするのにもってこいだ。
長義は俺に任せることにしたようで、何も言わずに俺たちを東屋に面した縁側から眺めている。唇を強くかみしめているのが見えた。護衛のためか、東屋の入口に後藤が控えている。
本文中に長々書いてる気もするけど、山姥切長義にとって彼誰は「自分を名実ともに化け物斬りにしてくれたたったひとりのかけがえない相棒」
長義→主に対する感情は「愛」のひと言ですむけど、そのなかにはたくさんのものが詰まってる。親愛、家族愛、かよわい人間への愛、慈しみ、戦友としての絆。それらぜーんぶひっくるめたクソデカ感情を長義は愛だと定義してる。
自分が唯一と認めた主に捧げるもの。
それが愛でなくてなんだろう。
そういうふうに思っている。
本文中に長々書いてる気もするけど、山姥切長義にとって彼誰は「自分を名実ともに化け物斬りにしてくれたたったひとりのかけがえない相棒」
長義→主に対する感情は「愛」のひと言ですむけど、そのなかにはたくさんのものが詰まってる。親愛、家族愛、かよわい人間への愛、慈しみ、戦友としての絆。それらぜーんぶひっくるめたクソデカ感情を長義は愛だと定義してる。
自分が唯一と認めた主に捧げるもの。
それが愛でなくてなんだろう。
そういうふうに思っている。
材料注文するぜ!と通販サイトに戻った後藤によって、おせち選びの最中だったことを思い出した。せめておせちは主の出身地にしよう、という長義の一声で決まったおせちを買い物カートに入れて、雑煮の材料を後藤が追加していく。
本丸で迎える初めての年末年始。浮かれているのは一人も二振りも同じらしい。そのことにすこし嬉しくなって、妹が来たときにでも家の雑煮を教えてもらおう、と彼誰の審神者は決意した。
材料注文するぜ!と通販サイトに戻った後藤によって、おせち選びの最中だったことを思い出した。せめておせちは主の出身地にしよう、という長義の一声で決まったおせちを買い物カートに入れて、雑煮の材料を後藤が追加していく。
本丸で迎える初めての年末年始。浮かれているのは一人も二振りも同じらしい。そのことにすこし嬉しくなって、妹が来たときにでも家の雑煮を教えてもらおう、と彼誰の審神者は決意した。
「へえ、大将って北陸生まれなんだな」
「現世ではそろそろ雪でしょうね」
出てきた雑煮は具沢山だ。四角いもちにすまし汁。特産品も入っている。
「こんなだったっけ?」
「地域で具が違うとあるね」
「大将が食べてた雑煮探そうぜ!」
後藤がマウスを奪ってサイトのあらゆる雑煮を選択していく。これは?と尋ね続ける後藤だが、主は思い出せずに困惑顔だ。あまりに覚束ない記憶に思わず長義が「幻惑じゃないよな?」と声をかける。
「覚えてないだけですごめんなさい…」
しゅんと肩を落とした主の背を後藤がバシンと叩く。
「へえ、大将って北陸生まれなんだな」
「現世ではそろそろ雪でしょうね」
出てきた雑煮は具沢山だ。四角いもちにすまし汁。特産品も入っている。
「こんなだったっけ?」
「地域で具が違うとあるね」
「大将が食べてた雑煮探そうぜ!」
後藤がマウスを奪ってサイトのあらゆる雑煮を選択していく。これは?と尋ね続ける後藤だが、主は思い出せずに困惑顔だ。あまりに覚束ない記憶に思わず長義が「幻惑じゃないよな?」と声をかける。
「覚えてないだけですごめんなさい…」
しゅんと肩を落とした主の背を後藤がバシンと叩く。
「後生だから厨を壊さないでくれ」「誰が台所クラッシャーですか!」
あれは電子レンジとの相性が悪かっただけです。とぶすくれる主を宥めながら、如何にして彼に遠慮してもらうかに頭を悩ませる長義だった。
料理下手な設定残ってたっけ…?必要なら作れるはず。山のなかで一人で何年も生きてたので。
「後生だから厨を壊さないでくれ」「誰が台所クラッシャーですか!」
あれは電子レンジとの相性が悪かっただけです。とぶすくれる主を宥めながら、如何にして彼に遠慮してもらうかに頭を悩ませる長義だった。
料理下手な設定残ってたっけ…?必要なら作れるはず。山のなかで一人で何年も生きてたので。
「お安いご用だぜ!そんで、次回からはこの縁を伝ってきたらいいんだな?」そういって開かれた毛むくじゃらの手には、一本のネクタイピンがあった。金の薔薇の意匠が洒落た小振りな代物だ。「そうしてくれ。また結界に穴を開けられたらたまったもんじゃない」そういって主が笑って俺はぎょっとした。
「お安いご用だぜ!そんで、次回からはこの縁を伝ってきたらいいんだな?」そういって開かれた毛むくじゃらの手には、一本のネクタイピンがあった。金の薔薇の意匠が洒落た小振りな代物だ。「そうしてくれ。また結界に穴を開けられたらたまったもんじゃない」そういって主が笑って俺はぎょっとした。
「山姥切長義、紹介します。実家にいた頃からの縁で数ヶ月に一度会いに来る、雪狼のミコトです。ミコト、彼は日本刀、本作長義の付喪神だ。危害は加えないと約束しよう」ミコトの手に渡った何かが弾けるように光った。主の言霊だろうか。よろしくと手を伸ばすと、ミコトは深く被ったフードを下ろした。
「山姥切長義、紹介します。実家にいた頃からの縁で数ヶ月に一度会いに来る、雪狼のミコトです。ミコト、彼は日本刀、本作長義の付喪神だ。危害は加えないと約束しよう」ミコトの手に渡った何かが弾けるように光った。主の言霊だろうか。よろしくと手を伸ばすと、ミコトは深く被ったフードを下ろした。
内番着を戦装束に瞬時に召し替えて抜刀した。靄がかって定かではないが、人型の黒い影が畑に見える。近付いてくるのに足が動いていない。山姥や霊なら斬れそうだが、主の客なら厄介だ。ようやく輪郭がはっきりしたところで、影は近づくのをやめたようだった。向こうからも俺の姿が見えて、刀があると分かったからだろうか。それとも主でないと分かったからか。動かないから敵意も攻撃もないとは到底思えず、四方に予断無く気を張る。
「もう一度問おう。お前は何者だ?何故ここにきた。主に用か?」
生唾を飲み込むのも躊躇われる沈黙がしばらく続いた。
内番着を戦装束に瞬時に召し替えて抜刀した。靄がかって定かではないが、人型の黒い影が畑に見える。近付いてくるのに足が動いていない。山姥や霊なら斬れそうだが、主の客なら厄介だ。ようやく輪郭がはっきりしたところで、影は近づくのをやめたようだった。向こうからも俺の姿が見えて、刀があると分かったからだろうか。それとも主でないと分かったからか。動かないから敵意も攻撃もないとは到底思えず、四方に予断無く気を張る。
「もう一度問おう。お前は何者だ?何故ここにきた。主に用か?」
生唾を飲み込むのも躊躇われる沈黙がしばらく続いた。
「火車切。……しばらく、お世話になります」
見目に反して丁寧なお辞儀に、主はぱっと破顔して、その頭を撫でて距離を取られるのだった。
「火車切。……しばらく、お世話になります」
見目に反して丁寧なお辞儀に、主はぱっと破顔して、その頭を撫でて距離を取られるのだった。
「では、実装前なんですね。見たことない子だと思って」「主は実装されている刀も見分けつかないだろう」「そんなことないよ!」
いつの間に敬語抜きで軽口を叩けるような関係になったのだろう。主従の進歩に内心驚きつつ、鯰尾は続ける
「まだ調査中の戦場ですからね。彼は最初期から異去に潜っていましたが、そこで何かを視たらしくて」
「視た?」「詳しくは、本刃に」
「そういえば、名前、まだ聞いてませんでした」
お名前は?と、少し屈んで目線を合わせた審神者が覗きこむ。
「では、実装前なんですね。見たことない子だと思って」「主は実装されている刀も見分けつかないだろう」「そんなことないよ!」
いつの間に敬語抜きで軽口を叩けるような関係になったのだろう。主従の進歩に内心驚きつつ、鯰尾は続ける
「まだ調査中の戦場ですからね。彼は最初期から異去に潜っていましたが、そこで何かを視たらしくて」
「視た?」「詳しくは、本刃に」
「そういえば、名前、まだ聞いてませんでした」
お名前は?と、少し屈んで目線を合わせた審神者が覗きこむ。
南泉にしか見えない猫が憑いてるはなし
南泉にしか見えない猫が憑いてるはなし
今日も大将の側付きで昔の職場とやらに行っていた長義と大将が帰ってきた。ほんのり眉をひそめて長義を見たからか、やわらかな顔でほほ笑んだ長義がこちらにやってくる。
「べつに。長義って過保護だなって思ってただけ」
「なんだそれは」
そう言って笑う長義はオレの頭をぐしゃりと撫でた。大将がオレによくやるヤツ。
「大将にも似てきた!」
やめろよーと手を退ければ、長義はオレではなく庭に出た大将の背中を眺めていた。とびっきり優しい顔だ。
「そう、かな?」
なんて嬉しそうなはにかみ顔!
鯰尾兄の言いたいことが分かった気がして、オレはかっと赤くなる頬を止められなかった。
今日も大将の側付きで昔の職場とやらに行っていた長義と大将が帰ってきた。ほんのり眉をひそめて長義を見たからか、やわらかな顔でほほ笑んだ長義がこちらにやってくる。
「べつに。長義って過保護だなって思ってただけ」
「なんだそれは」
そう言って笑う長義はオレの頭をぐしゃりと撫でた。大将がオレによくやるヤツ。
「大将にも似てきた!」
やめろよーと手を退ければ、長義はオレではなく庭に出た大将の背中を眺めていた。とびっきり優しい顔だ。
「そう、かな?」
なんて嬉しそうなはにかみ顔!
鯰尾兄の言いたいことが分かった気がして、オレはかっと赤くなる頬を止められなかった。