「悠仁」
「これは健康によくないんじゃないか」
「いーだろお腹空いてんだから」
隣に脹相が立っている。
「ちゃんと1日3食とってるか?野菜と肉は」
「食べてるよ。じいちゃんかお前は」
「お兄ちゃんだ」
知ってる。変わんねえなぁと笑おうとして頬が歪む。湯気がゆらゆら揺れている。タイマーの文字盤が曇って読めない。
隣で脹相が微笑んだ。
「ならいいさ」
「悠仁」
「これは健康によくないんじゃないか」
「いーだろお腹空いてんだから」
隣に脹相が立っている。
「ちゃんと1日3食とってるか?野菜と肉は」
「食べてるよ。じいちゃんかお前は」
「お兄ちゃんだ」
知ってる。変わんねえなぁと笑おうとして頬が歪む。湯気がゆらゆら揺れている。タイマーの文字盤が曇って読めない。
隣で脹相が微笑んだ。
「ならいいさ」
お前の大きな手のひらで撫でるくらいはしてもいいよ、とは言えない
お前の大きな手のひらで撫でるくらいはしてもいいよ、とは言えない
その後室を訪れた憲倫が母体が小さな球体になっているのを発見し、「お前はこんな呪物とすら呼べない出来損ないしか作れないのか」と脹相を寺から追放してしまう。数年山野をさまよった後、生まれた場所によく似た廃寺を見つけ、住処にする。寺は人々から忘れられて久しいようで、呪いも湧かぬ。
しばらく静かに過ごしていた脹相だったが、ある雪解けの日に二人の旅人が寺を訪れる。片方は熊にでも襲われたのか片足が無く、自分を背負う相手に「もう長くは持たない。置いて行ってくれ」と何度も告げていた。
その後室を訪れた憲倫が母体が小さな球体になっているのを発見し、「お前はこんな呪物とすら呼べない出来損ないしか作れないのか」と脹相を寺から追放してしまう。数年山野をさまよった後、生まれた場所によく似た廃寺を見つけ、住処にする。寺は人々から忘れられて久しいようで、呪いも湧かぬ。
しばらく静かに過ごしていた脹相だったが、ある雪解けの日に二人の旅人が寺を訪れる。片方は熊にでも襲われたのか片足が無く、自分を背負う相手に「もう長くは持たない。置いて行ってくれ」と何度も告げていた。