続）ざっと見た限り、渦中の人物の熱狂的なファンやそちらにおもねる著名なお仲間による被害者への二次加害は目に余るものがある。しかしそれは「推し活」カルチャーのせいというより「狭い芸能界どころか広い広い日本社会全体に蔓延していた、男社会の結束強化のために女がモノとして上納されてきた」カルチャーのせいで、こんなときこそ「そんなものは推せない」というフレーズの使いどきだろうよ、と思いますね。ずっと推してたアイドルがまるで推せない構造の加担者で、看過できない犠牲も出ていたとわかった。推せないものは推さない。非道徳的方法で繁殖させられ商品化されてる愛玩動物をペットにするのをやめるように。それだけの話では。

続）「きょうび観劇なんかするのは湯水のように富をかけ流せる浮世離れした有閑マダムだけ」は半分は真実でも半分は大嘘、実際そういう人だって居るには居るけど、興行主はじめ業界関係者までそんな実在も疑わしいような層が半永久的に自分たちの産業を支えてくれると勘違いしているから物言いに変なズレが生じるのである。「きょうび観劇なんかしてるのは、金で『力』を買うことをおぼえたバリバリ働く女たちだけ」がもう半分の真実で、「本を読む女は危険」と同じく、衣食足りて自活と貯金ができるようになった「弱き者」たちが更なる「力」を得るために金を遣ってるところがある。てか、私は自分はそういう「強さ」しか知らんので、そう言う。

続）ガレー船に繋がれた囚人や貧民街や波止場の買春窟にその場その場で感情移入するのもいいけど、我々はガブローシュが「それで貧乏なのか、そんなもんじゃないぜ！」と歌いかけてくるのを観るのに2万円近く払ってふかふかのソファに座っているわけで、それはガブローシュのほうが正しいし、若い頃は「いうてバルジャンだってどんな怪力でも養女の恋人である青年一人選んで担いでそれ以外は誰も救い出せなかったじゃないか……」と絶望したものだけど、大人になった今は「貴様は貴様にとっての眼前のマリウスを『生かす』んだよ、それが自分でも他人でも次は貴様がジャンバルジャンになるんだ、そのために持たされた『力』だろうが」と思うよ。

続）裕福な人たちはもっとずっと裕福で、みんなが総ツッコミ入れたようにシャンテ来ないでペニンシュラでお茶するとか、上を見ればキリが無いけど、映画館や劇場のふかふかのソファ（ではない）で受け取ったメッセージは「下を見ろ」であって、この「力」を渡されたのならば、受け止めて正しいことに使いたいよね、と思う。横並びの隣席の客見て陰口叩いてる暇があったら社会に出て他にやるべき活動があるだろと思うし、そのためにカネ払って何か買って読んだり観たりをしてるわけで、それはそういうカネの使い方をしてきた人間ならではの「力」なわけで、万人が等しく得られるものではない、という自覚だって要るようになるんだろう、とも思う。

続）タイムリーなので貼る。結婚を「子供を作るための制度」だと思っている人たち、こういう調査結果を見てビックリしちゃうかもしれないよね。でもさぁ、我々は何も、受精を伴うセックスをするために、そのためだけに結婚してるわけではないし、48%いうたらあと一息でこっち多数派だし、「歯止め」という見出しの言葉遣いもキモいのよ。寝室に介入してくんじゃねえよ。性交頻度を監視して強制して義務づけたら少子化がどうにかなるとでも思ってるのか。この国で子供が増やされないの、そんな理由ではないだろ。

セックスレス夫婦４８％に　過去最高、歯止めかからず
www.tokyo-np.co.jp/article/315441