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#神流の犬
のアイデアメモや生き物の呟き
※全てはフィクションで、この創作にはあらゆる世界線が含まれます。
無性に酒が飲みたかっただけだ。誰に何も言われず、ただ独りで。
足元が少しだけふらついた。さすがに飲み過ぎたのだろう。当たり前だ。
情けない自分に舌打ちをひとつして、大通りへ向かって歩く。タクシーでも拾って、さっさと帰ろう。明日も仕事がある。
「…」
乗り込んだタクシーの車内の涼しさに、火照っていた顔が冷めていく。気持ちがいい。少しだけ頭も冴えたようだ。
自宅までの道のりを伝え終え、窓の外を眺める。
今日もこの街は俺が眠ったあとに騒ぐんだろう。路地裏で、ひっそりと。だがそれでいい。この手でアイツを捕まえるまでは、それで……。
無性に酒が飲みたかっただけだ。誰に何も言われず、ただ独りで。
足元が少しだけふらついた。さすがに飲み過ぎたのだろう。当たり前だ。
情けない自分に舌打ちをひとつして、大通りへ向かって歩く。タクシーでも拾って、さっさと帰ろう。明日も仕事がある。
「…」
乗り込んだタクシーの車内の涼しさに、火照っていた顔が冷めていく。気持ちがいい。少しだけ頭も冴えたようだ。
自宅までの道のりを伝え終え、窓の外を眺める。
今日もこの街は俺が眠ったあとに騒ぐんだろう。路地裏で、ひっそりと。だがそれでいい。この手でアイツを捕まえるまでは、それで……。
「…はぁ。マスター、お会計を」
ブリーフケースを引き寄せ、鞄の底から財布を取り出す。提示された金額をきっちりと支払って、黒いグローブを両手に嵌める。
「また来ます」
「お待ちしております。お気をつけて」
適当に会釈して、扉を開けた。夏の生ぬるい風が、火照った頬に拍車をかけた。ふう、と息を吐いても、熱はいつまでも籠ったままだ。
グローブの中で、手汗がじんわりと出てきているのがわかる。癖で嵌めてしまったと気がつき、慌ててグローブを外す。
「…はぁ。マスター、お会計を」
ブリーフケースを引き寄せ、鞄の底から財布を取り出す。提示された金額をきっちりと支払って、黒いグローブを両手に嵌める。
「また来ます」
「お待ちしております。お気をつけて」
適当に会釈して、扉を開けた。夏の生ぬるい風が、火照った頬に拍車をかけた。ふう、と息を吐いても、熱はいつまでも籠ったままだ。
グローブの中で、手汗がじんわりと出てきているのがわかる。癖で嵌めてしまったと気がつき、慌ててグローブを外す。
「だから今日、腰、気にして歩いてんのか」
留夏ちゃんの耳元に口を寄せ囁く。びくりと肩が動いて、耳を抑えながら直ぐに俺から離れた。
より顔を赤くさせ、口をパクパクと魚のように動かすのを見るのは、いつ見ても面白い。
「あ、あ、あなたという人は…っ」
「でも昨日は、泊まりたくねえって言うから、21時前には送ってやったろ?」
「だからって治るわけ無いでしょう…!」
眉をひそめたまま小さい声で叫ぶ。
俺はにやけた口元を手で抑えながら、悪びれもなく返事をして歩き出した。
「だから今日、腰、気にして歩いてんのか」
留夏ちゃんの耳元に口を寄せ囁く。びくりと肩が動いて、耳を抑えながら直ぐに俺から離れた。
より顔を赤くさせ、口をパクパクと魚のように動かすのを見るのは、いつ見ても面白い。
「あ、あ、あなたという人は…っ」
「でも昨日は、泊まりたくねえって言うから、21時前には送ってやったろ?」
「だからって治るわけ無いでしょう…!」
眉をひそめたまま小さい声で叫ぶ。
俺はにやけた口元を手で抑えながら、悪びれもなく返事をして歩き出した。
「…そうですか。ですがやはり、風邪、引きますから。早く寝ましょう」
「…あぁ。そうだな」
留夏が伸ばした手は、きちんと冬嗣の手を掴む。酷く冷えたその手に、留夏は思わず眉をひそめた。体温を奪われても、嫌な顔はせずただ寂しそうに冬嗣を見上げる。
「あぁほら。こんなにも冷たいのに、どうして離れるんですか」
「離れるって…。たかが数歩先の窓の先だろ?」
「貴方は分かっていませんね。次から星を見る時は僕を起こしてください」
冬嗣はそれを聞くと、諦めたように頷いた。
「…そうですか。ですがやはり、風邪、引きますから。早く寝ましょう」
「…あぁ。そうだな」
留夏が伸ばした手は、きちんと冬嗣の手を掴む。酷く冷えたその手に、留夏は思わず眉をひそめた。体温を奪われても、嫌な顔はせずただ寂しそうに冬嗣を見上げる。
「あぁほら。こんなにも冷たいのに、どうして離れるんですか」
「離れるって…。たかが数歩先の窓の先だろ?」
「貴方は分かっていませんね。次から星を見る時は僕を起こしてください」
冬嗣はそれを聞くと、諦めたように頷いた。
「この時期になると、貴方は本当に調子狂いますよね…。僕にできることがあるなら言ってください。それとも、そんなに頼りないですか?」
つられて吐き出した冬嗣の吐息は、煙草の煙なのか冷えた白い息なのか、それともその両方だったのか。留夏はあまり深く考えなかった。ただ、冬嗣が小さく見えて、溶けてなくなりそうで。それだけが留夏には恐ろしかった。
「そんなんじゃねーよ。ただ、この時期の…冷たい風に当たるのが、故郷を思い出して心地いいだけさ」
「この時期になると、貴方は本当に調子狂いますよね…。僕にできることがあるなら言ってください。それとも、そんなに頼りないですか?」
つられて吐き出した冬嗣の吐息は、煙草の煙なのか冷えた白い息なのか、それともその両方だったのか。留夏はあまり深く考えなかった。ただ、冬嗣が小さく見えて、溶けてなくなりそうで。それだけが留夏には恐ろしかった。
「そんなんじゃねーよ。ただ、この時期の…冷たい風に当たるのが、故郷を思い出して心地いいだけさ」