私の、私による、私のための燭へし。
脊椎反射で思いついた内容を書き散らかしてるので見るときは薄目で見てください。
しょくへし沼の端っこで一人でちゃぷちゃぷしているだけです。
自我ポストも連ポスも不定期に削除します。
「甘味? ……ああ、はは。なるほどな。それは帰りにな」
ニィと笑った長谷部の唇が燭台切の顎に触れる。
「先にもっといいものを食わせてやろう」
まさか、そんな、と戸惑いつつも状況を理解し始めていた燭台切も、ここまでくればさすがに長谷部の意図は理解する。
躊躇いつつも寄り添っていた体、その腰に腕を回すと「いい子だ」という言葉と共にその薄くやわらかな唇が燭台切のそれに重ねられた。
「甘味? ……ああ、はは。なるほどな。それは帰りにな」
ニィと笑った長谷部の唇が燭台切の顎に触れる。
「先にもっといいものを食わせてやろう」
まさか、そんな、と戸惑いつつも状況を理解し始めていた燭台切も、ここまでくればさすがに長谷部の意図は理解する。
躊躇いつつも寄り添っていた体、その腰に腕を回すと「いい子だ」という言葉と共にその薄くやわらかな唇が燭台切のそれに重ねられた。
出会茶屋の知識がなさすぎてあってるかわかんないな。
出会茶屋の知識がなさすぎてあってるかわかんないな。
部屋に入り、中を見渡して燭台切は言葉を失う。
そこには布団が敷かれており、自分が想像していた光景とは全く違う。
「燭台切……」
長谷部の手が燭台切の首にかかり、引き寄せられる。
「は、長谷部くん……!?」
部屋に入り、中を見渡して燭台切は言葉を失う。
そこには布団が敷かれており、自分が想像していた光景とは全く違う。
「燭台切……」
長谷部の手が燭台切の首にかかり、引き寄せられる。
「は、長谷部くん……!?」
自己満足でしかないが、謝らねば。傷つけておきながら、のうのうと横で過ごし飯の世話にまでなるなんて、そんなことできるわけがない。
俺と長船が仲良くなってくれて嬉しい、とご機嫌な鶴丸とは裏腹に、俺はどうすれば贖罪できるかと暗澹たる気持ちで味のわからない焼き鳥を咀嚼するしかなかった。
―続く。
自己満足でしかないが、謝らねば。傷つけておきながら、のうのうと横で過ごし飯の世話にまでなるなんて、そんなことできるわけがない。
俺と長船が仲良くなってくれて嬉しい、とご機嫌な鶴丸とは裏腹に、俺はどうすれば贖罪できるかと暗澹たる気持ちで味のわからない焼き鳥を咀嚼するしかなかった。
―続く。
客先相手ともなればスイッチが入るというか、一枚仮面をかぶるようなものだから腹芸だってこなせるが、同僚とすらうまくやれてない事実は変えようもない。
実際、鶴丸の期待を俺は裏切ってしまっている。
いつどんな内容だったかまで明確に記憶はしてないが、間違いなく長船に対してモテるであろうことを揶揄することを言っている。マスクのことだって気づかず連れまわしてしまった。
つまりは、長船は俺に対しても苦い気持ちを抱いていて、それでもあの笑顔で飲み込んでしまったということだ。
客先相手ともなればスイッチが入るというか、一枚仮面をかぶるようなものだから腹芸だってこなせるが、同僚とすらうまくやれてない事実は変えようもない。
実際、鶴丸の期待を俺は裏切ってしまっている。
いつどんな内容だったかまで明確に記憶はしてないが、間違いなく長船に対してモテるであろうことを揶揄することを言っている。マスクのことだって気づかず連れまわしてしまった。
つまりは、長船は俺に対しても苦い気持ちを抱いていて、それでもあの笑顔で飲み込んでしまったということだ。
「アイツ、女関係でトラウマがあるから、モテるだろう、とか女に困らないだろうとかそういった類のことを言われるのがめちゃくちゃ嫌いでな。でも、そういうことをいじらずにいられるやつって案外いないんだよ。だがお前は他人の色恋とかそういうのに全然興味ないだろ? だから、お前なら光坊と仲良くなれると思ったんだよな」
「……そういうことは先に言ってくれませんかね……」
枝豆の空になった鞘を弄ぶ鶴丸に俺は思わず拳を握る。やりようのない憤りというか、無念さというか。
「言ったら言ったで、お前意識するだろう。こいつ、そんなモテるのに女にトラウマがあるんだ……って変な顔するぞ」
「アイツ、女関係でトラウマがあるから、モテるだろう、とか女に困らないだろうとかそういった類のことを言われるのがめちゃくちゃ嫌いでな。でも、そういうことをいじらずにいられるやつって案外いないんだよ。だがお前は他人の色恋とかそういうのに全然興味ないだろ? だから、お前なら光坊と仲良くなれると思ったんだよな」
「……そういうことは先に言ってくれませんかね……」
枝豆の空になった鞘を弄ぶ鶴丸に俺は思わず拳を握る。やりようのない憤りというか、無念さというか。
「言ったら言ったで、お前意識するだろう。こいつ、そんなモテるのに女にトラウマがあるんだ……って変な顔するぞ」
「アイツはなあ……変にモテるからやっかみとかトラブルが多くてな。無難な立ち回りばっかりうまくなって、敵は作らないが仲がいいやつも作らなくなっちまった。だからこんなふうにプライベートを過ごす相手ができたのは本当に久しぶりなんじゃないか? せっかくだから仲良くしてやってくれ」
「……そうなんですか?」
確かに、先日の食事の際もちょっとマスクを外していただけなのに人の目をやたら攫っていた。不思議な魅力のある男だとは思う。
「アイツはなあ……変にモテるからやっかみとかトラブルが多くてな。無難な立ち回りばっかりうまくなって、敵は作らないが仲がいいやつも作らなくなっちまった。だからこんなふうにプライベートを過ごす相手ができたのは本当に久しぶりなんじゃないか? せっかくだから仲良くしてやってくれ」
「……そうなんですか?」
確かに、先日の食事の際もちょっとマスクを外していただけなのに人の目をやたら攫っていた。不思議な魅力のある男だとは思う。
細かいことは省いて、俺が長船に弁当を作ってもらうことになった経緯を聞いた鶴丸さんは枝豆を口に放り込みながら楽し気に笑った。
「アイツ、面白いだろ。いいやつだし」
「まあ、そうですね」
面白いかどうかはわからないが、いいやつなのは確かだ。他人にあれだけ一線引いておきながら、ちょっと親しくなっただけの俺に弁当まで作ってくれるんだからお人好しにすら思える。
「アイツ、友達少ないからさ、仲良くしてやってくれ」
「いや、さすがにそれは嘘でしょう」
それを言うならむしろ俺の方だ。学生時代で言えば、常に友達の中心にいるのが長船で、教室の隅で一人で本を読んでいるのが俺。
細かいことは省いて、俺が長船に弁当を作ってもらうことになった経緯を聞いた鶴丸さんは枝豆を口に放り込みながら楽し気に笑った。
「アイツ、面白いだろ。いいやつだし」
「まあ、そうですね」
面白いかどうかはわからないが、いいやつなのは確かだ。他人にあれだけ一線引いておきながら、ちょっと親しくなっただけの俺に弁当まで作ってくれるんだからお人好しにすら思える。
「アイツ、友達少ないからさ、仲良くしてやってくれ」
「いや、さすがにそれは嘘でしょう」
それを言うならむしろ俺の方だ。学生時代で言えば、常に友達の中心にいるのが長船で、教室の隅で一人で本を読んでいるのが俺。
「しないな。鶴丸さんのあれは……悪癖だからな……普通はしないだろ」
「そうだよね。それなら、大丈夫」
「わかった。何かあればすぐに言えよ」
これ以上、後から気を遣わせたとか嫌な思いをさせたと気づくのはこりごりだ。無礼だと小父つつも指さしながら強めに言うと、長船は今度こそ楽し気に笑っていた。
それに安心して俺は、ようやく冷めかけてチーズが少し硬くなったハンバーグの残りを口に突っ込んだ。
―つづく。
「しないな。鶴丸さんのあれは……悪癖だからな……普通はしないだろ」
「そうだよね。それなら、大丈夫」
「わかった。何かあればすぐに言えよ」
これ以上、後から気を遣わせたとか嫌な思いをさせたと気づくのはこりごりだ。無礼だと小父つつも指さしながら強めに言うと、長船は今度こそ楽し気に笑っていた。
それに安心して俺は、ようやく冷めかけてチーズが少し硬くなったハンバーグの残りを口に突っ込んだ。
―つづく。
「大丈夫、だけど」
「けど、なんだ。何かあるか? あるなら今のうちに言っておいてくれ」
「いいのかい? その、僕の勝手な都合なのに」
「悪いわけがないだろう。人前でマスクを外さなければいいだけなら、そんなに難しいことじゃない。むしろ、気になることとか嫌なことはあらかじめ言っておいてくれ。後から気づく方がキツい」
どうなんだ、と視線で問えば長船は胸の前で両手を振って見せた。
「大丈夫、だけど」
「けど、なんだ。何かあるか? あるなら今のうちに言っておいてくれ」
「いいのかい? その、僕の勝手な都合なのに」
「悪いわけがないだろう。人前でマスクを外さなければいいだけなら、そんなに難しいことじゃない。むしろ、気になることとか嫌なことはあらかじめ言っておいてくれ。後から気づく方がキツい」
どうなんだ、と視線で問えば長船は胸の前で両手を振って見せた。
「いや」
「お前、こういうのが嫌だから常にマスクをつけてるのか」
俺の問いに、長船は眉尻を下げて笑ったようだった。
「なんでかね、妙に見られるんだよね。ひどいときには結構しつこく声を掛けられたりもするから、予防のためにね」
「言えよ……。本当はマスクを外したくなかったんだろう」
「ごめん、なんか言いづらくて」
俺は飯を食っていくか、と誘った時に長船が見せた一瞬の逡巡を思い出して唸りそうになってしまった。気づけなかった。あれはそういうことだったのだ、
と。
「今度からは個室の店か、どちらかの家だけにしよう」
「えっ?」
「いや」
「お前、こういうのが嫌だから常にマスクをつけてるのか」
俺の問いに、長船は眉尻を下げて笑ったようだった。
「なんでかね、妙に見られるんだよね。ひどいときには結構しつこく声を掛けられたりもするから、予防のためにね」
「言えよ……。本当はマスクを外したくなかったんだろう」
「ごめん、なんか言いづらくて」
俺は飯を食っていくか、と誘った時に長船が見せた一瞬の逡巡を思い出して唸りそうになってしまった。気づけなかった。あれはそういうことだったのだ、
と。
「今度からは個室の店か、どちらかの家だけにしよう」
「えっ?」
主に女性が、長船に視線を送っている。
あからさまにそれを見返すわけにもいかず、食事を口に運びながらもそっと周囲を窺えば何組か長船の様子を窺っている奴らがいることに気づいてしまった。
それは長船も同じだったようで、僅かに表情を曇らせると俯きがちになり、無言のまま先ほどまでとは比べ物にならないペースで食事を済ませると、すぐにマスクをつけてしまった。
俺はのろのろと自分の分を口に運びながらも、また失敗してしまったのだと気づいて憂鬱になる。
主に女性が、長船に視線を送っている。
あからさまにそれを見返すわけにもいかず、食事を口に運びながらもそっと周囲を窺えば何組か長船の様子を窺っている奴らがいることに気づいてしまった。
それは長船も同じだったようで、僅かに表情を曇らせると俯きがちになり、無言のまま先ほどまでとは比べ物にならないペースで食事を済ませると、すぐにマスクをつけてしまった。
俺はのろのろと自分の分を口に運びながらも、また失敗してしまったのだと気づいて憂鬱になる。
鶴丸さんにだまし討ちのように引き合わせられた初回、昨夜長船の家に招かれて食事を取った二回目、そして、この昼食。
気が合いそうだから、と期待していた鶴丸さんを連絡先すら交換しなかったとがっかりさせたが、今俺たちの携帯端末の中にはお互いの連絡先が収まっている。
「このハンバーグ、チーズ掛け過ぎじゃないか? うますぎる」
「いいの? 悪いの?」
「最高だな」
「よかったね」
ふふ、と笑いながら長船もパエリアを口に運ぶ。
鶴丸さんにだまし討ちのように引き合わせられた初回、昨夜長船の家に招かれて食事を取った二回目、そして、この昼食。
気が合いそうだから、と期待していた鶴丸さんを連絡先すら交換しなかったとがっかりさせたが、今俺たちの携帯端末の中にはお互いの連絡先が収まっている。
「このハンバーグ、チーズ掛け過ぎじゃないか? うますぎる」
「いいの? 悪いの?」
「最高だな」
「よかったね」
ふふ、と笑いながら長船もパエリアを口に運ぶ。
「うーん、僕よりも長谷部くんの食べたいものがいいかな。今後の参考にしたいし」
そんなふうに言われて、お前への礼も兼ねて飯を食いに行きたかったのに結局それも俺のためになるのかと頭を抱えそうになる。だが、固辞して長船の食べたいものを聞き出すのも憚られて、結局俺たちは目に付いた洋食屋に入ることにした。
「洋食好きなの?」
「和食が嫌いなわけじゃないけどな。割とハンバーグとかオムライスとか、ベタなものが好きなんだ」
「なるほどね、僕も好きだし、いいと思う。参考にするよ」
俺はハンバーグセット、長船はパエリアのランチセットを頼んで一息つく。
「うーん、僕よりも長谷部くんの食べたいものがいいかな。今後の参考にしたいし」
そんなふうに言われて、お前への礼も兼ねて飯を食いに行きたかったのに結局それも俺のためになるのかと頭を抱えそうになる。だが、固辞して長船の食べたいものを聞き出すのも憚られて、結局俺たちは目に付いた洋食屋に入ることにした。
「洋食好きなの?」
「和食が嫌いなわけじゃないけどな。割とハンバーグとかオムライスとか、ベタなものが好きなんだ」
「なるほどね、僕も好きだし、いいと思う。参考にするよ」
俺はハンバーグセット、長船はパエリアのランチセットを頼んで一息つく。
長船のアドバイスがなければ途方に暮れていたかもしれない。
結局俺はステンレスのシンプルなものを選んだ。洗いやすく、色移りしにくく、パーツも少ない。
目当ての物を手に入れたら、あとはスーパーで食材を買い込んで長船の家に行き、弁当に詰めるおかずを作っていくことになるわけだが、気づけば時間は昼に差し掛かるところだった。
「なあ、もう昼だしスーパーに行く前に何か食っていくか」
俺の問いかけに、一瞬きょとんとした長船は視線をぐるりと一周巡らせた後、そうだねと頷いた。
長船のアドバイスがなければ途方に暮れていたかもしれない。
結局俺はステンレスのシンプルなものを選んだ。洗いやすく、色移りしにくく、パーツも少ない。
目当ての物を手に入れたら、あとはスーパーで食材を買い込んで長船の家に行き、弁当に詰めるおかずを作っていくことになるわけだが、気づけば時間は昼に差し掛かるところだった。
「なあ、もう昼だしスーパーに行く前に何か食っていくか」
俺の問いかけに、一瞬きょとんとした長船は視線をぐるりと一周巡らせた後、そうだねと頷いた。
実際、雑貨屋を巡りながら長船が語ったお弁当に関する知見は俺にはない視点のもので助かった。スープジャーは自分で作りたければ導入してもいいが、そうじゃなければインスタントの味噌汁などで十分問題ないとか、ビジネスバックに入るタイプの細いお弁当箱は便利だが容量を確保するために二段になってしまってバッグの容量をかなり食うから、邪魔でも大人しく別のバッグでお弁当を持っていった方が便利でいいとか。
二段の弁当箱はスリムで持ち運びはしやすいが洗い物は増える、角はない方が洗いやすい、など。
実際、雑貨屋を巡りながら長船が語ったお弁当に関する知見は俺にはない視点のもので助かった。スープジャーは自分で作りたければ導入してもいいが、そうじゃなければインスタントの味噌汁などで十分問題ないとか、ビジネスバックに入るタイプの細いお弁当箱は便利だが容量を確保するために二段になってしまってバッグの容量をかなり食うから、邪魔でも大人しく別のバッグでお弁当を持っていった方が便利でいいとか。
二段の弁当箱はスリムで持ち運びはしやすいが洗い物は増える、角はない方が洗いやすい、など。
そもそもこの提案を断った場合、俺はこの後どう振舞えばいいのかわからない。当てもなく弁当箱を探して、見つけたら俺を待っている長船の家に行くのか? それはそれで問題ない気もするが、そもそも俺は弁当箱の大きさや形など、どういったものがいいかなど少しもわからない。
そもそもこの提案を断った場合、俺はこの後どう振舞えばいいのかわからない。当てもなく弁当箱を探して、見つけたら俺を待っている長船の家に行くのか? それはそれで問題ない気もするが、そもそも俺は弁当箱の大きさや形など、どういったものがいいかなど少しもわからない。
おかしな話だが、今まで弁当など母が勝手に出してきて、返却すれば翌日また中身の詰まった弁当箱を差し出してきていたものだから弁当箱から自分で用意しなければ存在しないという至極当然のことにすら俺は思い至らなかったのだ。
長船に「長谷部くん、念のために聞くけどお弁当箱はある?」と聞かれて初めて、そうだ、俺は弁当箱など持っていない、と気づいた。
おかしな話だが、今まで弁当など母が勝手に出してきて、返却すれば翌日また中身の詰まった弁当箱を差し出してきていたものだから弁当箱から自分で用意しなければ存在しないという至極当然のことにすら俺は思い至らなかったのだ。
長船に「長谷部くん、念のために聞くけどお弁当箱はある?」と聞かれて初めて、そうだ、俺は弁当箱など持っていない、と気づいた。
「じゃあ決まりだ」
「すまん、助かる」
「全然いいよ。常備菜にできないもので、入ってたら嬉しいものは自分で作るか冷凍食品を使えばいいから。作り方がわからないものは教えてあげるね」
あまりのありがたさに、いっそ長船に後光でも刺してきそうな勢いだ。
だが、先ほどの考察から察するにやはり長船もいろいろ女関係で面倒なことを経験してきたのだろう。だからこそここまで親身になってくれるのかもしれない。
好意に甘える形で申し訳ないと思いつつ、こうして長船に昼飯の面倒を見てもらうことになったのだ。
―つづく。
「じゃあ決まりだ」
「すまん、助かる」
「全然いいよ。常備菜にできないもので、入ってたら嬉しいものは自分で作るか冷凍食品を使えばいいから。作り方がわからないものは教えてあげるね」
あまりのありがたさに、いっそ長船に後光でも刺してきそうな勢いだ。
だが、先ほどの考察から察するにやはり長船もいろいろ女関係で面倒なことを経験してきたのだろう。だからこそここまで親身になってくれるのかもしれない。
好意に甘える形で申し訳ないと思いつつ、こうして長船に昼飯の面倒を見てもらうことになったのだ。
―つづく。
「あー、それはそうかも」
再び腕を組んで考え込む長船に倣って俺も考えてみるが、長船に弁当を作ってもらうのは正直現実的ではない気しかしない。
「じゃあさ、毎週土日どっちかうちに来れる?」
「土日?」
「そう。お弁当に使う常備菜は基本的に週末に作ってるんだよ。だから、長谷部くんが週末どちらか取りに来てよ。で、お弁当に詰めるのは長谷部くんが自分ちでやればいいよ。朝じゃなくて夜詰めてもいいし」
「あー、それはそうかも」
再び腕を組んで考え込む長船に倣って俺も考えてみるが、長船に弁当を作ってもらうのは正直現実的ではない気しかしない。
「じゃあさ、毎週土日どっちかうちに来れる?」
「土日?」
「そう。お弁当に使う常備菜は基本的に週末に作ってるんだよ。だから、長谷部くんが週末どちらか取りに来てよ。で、お弁当に詰めるのは長谷部くんが自分ちでやればいいよ。朝じゃなくて夜詰めてもいいし」
だが対価と言っても、考えたところで手間賃を出すくらいしかできそうにないが。
「そうだ、じゃあ少し多めに材料費出してくれない? 割り勘じゃなくて、長谷部くんが1.5、僕が0.5くらいでどう? そしたら僕は大して手間が増えるわけじゃないのに節約が捗るし。メリットとして十分だと思う」
「いや、材料費は当然出すつもりだったが……そんなものでいいのか」
「言うけどね、一週間分なんだから意外と馬鹿にならないよ。冷凍食品とかも買うわけだし」
だが対価と言っても、考えたところで手間賃を出すくらいしかできそうにないが。
「そうだ、じゃあ少し多めに材料費出してくれない? 割り勘じゃなくて、長谷部くんが1.5、僕が0.5くらいでどう? そしたら僕は大して手間が増えるわけじゃないのに節約が捗るし。メリットとして十分だと思う」
「いや、材料費は当然出すつもりだったが……そんなものでいいのか」
「言うけどね、一週間分なんだから意外と馬鹿にならないよ。冷凍食品とかも買うわけだし」