群れを成す悪魔を見て思いついた理論だが、中々クリティカルな視点だった。
奴等は、より強い闇によって支配され、まるで巨大な“個”のようの振る舞う。
であれば、次に考える事は決まっているーー
#140字小説
「とある科学者の覚書」
魔力が疎に近付くと“闇属性”と呼ばれる特殊な状態になる。
限りなく無に近いほど闇は深い。
そして虚は魔力を吸い込む。
熱が低い方へと広がるように、水位が低い方へ流れるように。
闇は、魂すらも飲み込む。
故に、闇を身体に飼うなど、人間には不可能だ。
じゃあ、身体の半分が“悪魔”だったら……?
#140字小説
「ならざるモノ」
いるならさっさと姿を現せ。
俺を呼ぶ声が頭に響く。
握った槍の切先を何処へ向ければいいのかも判らず、ただ無限に広がる“無”に吸い込まれる叫び。
どれほど経ったか……
数年にも、数日にも、数刻にも思える永遠と刹那に抱かれているような気分だ。
まだ試練は終わらないのか。
#140字小説
「音もなく」
私は教会に裏切られた。だから親許を離れた。
教会は例の計画が世に暴かれるのを許さない。だから成果物を処分したいわけだ。
私は自分の出生の真実を知りたい。
その為にこの“闇”、存分に使わせてもらうよーー
#140字小説
「秘めたる闇」
私は、右眼に秘めた魔力を解放した。
魔力が黒炎の形を成した瞬間、粉塵で満ちた風車小屋は跡形もなく吹き飛んだ。
私は私の炎で身を守り、奴の身は数本の大樹が庇った。
嫌な臭いだ。
#140字小説
「黒炎と木偶の盾」
抵抗しないからって好き勝手しやがって。
そうして不快感を血と唾とその他諸々と共に吐き出すが、奴の無駄にデカい双丘の谷にぶら下がるそれを見て息を飲んだ。
異端審問官の証だーー
なるほど、私は魔女に狩られたってわけね。
#140字小説
「魔女狩りの魔女」
「恐れるものは無い」
言葉の裏に隠された繊細さを私は知っている。故に、何としてもお護りしなければならない。
扉の向こう。立ち塞がる試練が寄越したのは、殿下の似姿だった。
ご自身を……?
否、これは私の恐怖だ。
失うのが、怖いのだーー
#140字小説
「私の全て」
聖なる竜が守護する異能。その器として真に相応しいかを量るという。
朽ちた古城に隠された不可視の門を潜ると、その者が最も恐怖する存在が立ち塞がるらしい。
俺は門を潜った。
身構えたが、しかし“それ”は一向に現れなかった。
ほら、「もう恐れるものは無い」と言った通りだ。
#140字小説
「“孤独”」
まぁ実際魔女だし、肌も人より少しばかり色白で、左右で違う眼も目立つよね。
とは言え私が魔法を使う所を見ずに、彼らはどうして私を魔女だと判じたのだろう。
見た目だけだったらそれは偏見だ。不快極まりない。
風車小屋なんかに押し込んで、どういう了見なんだ。
#140字小説
「魔女狩り」
「どこに行ったんだろうなぁ」
そうぼやきつつも、内心では何処か他人事だ。
今日も俺は、仕事場の風車小屋へ向かうのだった。
#140字小説
「身を粉にして」