akas夢

部室のドアを開ける直前で、私は足を止めた。

「...で、ｱｶｱｼは？好きな人とかいんの？」

ﾎﾞｸﾄのいつも通り大きな声。私は練習後の片付けの為に戻ってきただけだった。盗み聞きするつもりなんてなかったのに、タイミングが悪すぎた。

「...いますよ」

ｱｶｱｼくんの静かな声に、胸がぎゅっと縮む。

「え、マジ！？誰誰！？」

数秒の沈黙。返事を聞くのが怖い。今すぐこの場を離れたいのに、足が動かない。その間、私の心臓はうるさいくらいに音を立てていた。

「.....うちのマネージャーです」

一瞬、思考が止まった。

「え？マジ！？」