蛾子
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虫の気持ちで
「愛という字」原作向田邦子
何か小説として淡白で物足りないと思ったら、ドラマの小説化ということで向田邦子の小説ではなかった。脚本のまま読みたかった。
正しくなくも温かみのある人物たちが半歩だけ前に出る爽やかさのある三つの物語は筋としては明るく読めてよかった。
June 5, 2025 at 1:17 PM
「舞い落ちる村」谷崎由依
囚われるように内向的で、手招きをするように魅力的な表題作が危うくてよい。文章の輪郭線が薄く、思考が揺蕩うので水の中で読んでいるだった。恐ろしいと声に出すまではいかない仄暗さが背中にひたひたと纏わりつく。
May 15, 2025 at 12:49 PM
母と娘あるばかりに、愛情が確かなものでも二人でいてはいけない。姉妹だったら、友人だったら、恋人だったらと思うけれど、二人は母としての愛情、娘としての愛情を持ち合わせている。ただ向いていない役割はある。
それでも、軽やかでだめだけど楽しそうで、子どもの頃の私が見たら少し羨ましくもあるくらい。
ロードムービーとして、母娘として、子どもが主人公の物語として、あの結末はよかった。
May 14, 2025 at 11:03 AM
「地球にちりばめられて」多和田葉子(講談社文庫)
言語が話の軸のひとつであり、内面描写や台詞での言葉の選び方が自然にその人物の匂いや体温をそのまま感じるようで面白い。すべて日本語で書かれた小説であるものの、作中で使われる言語によっての違いが細かく含まれていてとても体験的だった。
May 6, 2025 at 1:05 PM
我が家に咲くネモフィラと祖父母宅に咲くに鈴蘭と小手毬を花々交換した。
May 4, 2025 at 10:19 AM
「眠る盃」向田邦子(講談社文庫)
地に足のついた暮らしの中のことがユーモラスに綴られたエッセイ集。読めば読むほどに魅力的な人すぎて、長生きしてほしかったと思い悔しくなりながらも噛むように読んだ。特に少女だった時代の話の数々と中野のライオンが好き。
April 10, 2025 at 2:07 PM
「うれし、たのし、ウミウシ。」中嶋康祐(岩波科学ライブラリー)
ウミウシをはじめとした海洋生物などについて興味深く心地よいエッセイ。ウミウシに関して美しいこと以外知らなかったので楽しく読めた。行動生物学に対する興味も湧いた。海の生き物を観察してみたいし、ウミウシを見に行きたい。
March 30, 2025 at 11:20 AM
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック
翻訳小説に慣れない頃に読もうとして挫折した記憶があるので、読みやすくて驚いた。主人公は悩み続けているのに、展開のテンポがいいので引き込まれる。アンドロイドに感情移入しそうになるたび引き戻される感覚が気持ち悪くてよい。
January 20, 2025 at 10:58 AM
思い出トランプ」向田邦子(新潮文庫)
ずっとずっと面白くて、信じられないほど完璧。早く読んでいればと悔いてる。
人の嫌らしく弱いところを誰かに言うこともないような思い出を通して、愛おしく描きつつ現在のぬるい仄暗さ広がる。「かわうそ」「酸っぱい家族」「花の名前」が特に好き。
January 9, 2025 at 1:49 PM
今週の様子。
美容室で前髪を切るたびにブチャラティみたいと言われるけど、厚めの前髪が好きだから間違っていないかも。毎年12月に髪を切っているような気もする。次の年も覚えていたらそうしようね。今年が終わることよりクリスマスが終わることがさみしい。
December 20, 2024 at 12:15 PM
「母と娘の手紙」西川祐子訳
マリー・キュリーとその娘のイレーヌとの往復書簡。イレーヌ七歳の手紙から収まっている。親愛なる《メ》(キュリー家での言葉で母の意味)から始まるイレーヌからの手紙は数学好きな少女から母と同じ学者になってからも、自らの子を産んでからも、いつも母を愛していた。
December 16, 2024 at 12:39 PM
今週の様子。
雪が降った朝の浮き足立つ絶望があった。眉の形を変えようとなくしていたところを生やしはじめたから変な。観葉植物を増やしたけど、まだ他の観葉植物には気づかれていない。カルピスを飲みたいずっと。
December 13, 2024 at 1:07 PM
今週の様子。
寒いから濃い色のリップが似合うようになった。そしたら似合うリップと同じ色のマフラーが欲しい。
真昼の映画館でビールを飲んだり、祖父母宅のこたつで日本酒を飲んだり、真夜中の台所でホットワインを飲んだりした。飲み食いに恵まれた週。
December 6, 2024 at 11:12 AM
今週の様子。
ツリーを買った。部屋に浮かれたものがあることはよいこと。クリスマス当日よりもホリデーシーズンが好き。淡いカラーのタイツもたくさん買って、本物の冬に備える。冬の準備期間は好き。冬は好きじゃない。冬の閉塞感は好き。
November 29, 2024 at 12:33 PM
今週の様子。
気持ちが穏やかなので前髪を作った。音楽をよく聴く週。X-Cetreという本当に謎めいたティーンガールズグループと出会えてうれしい。「少女神第九号」という最高の少女小説と同じ匂いがする。
よく着ている海外古着のスウェットがアメリカの航空学校のものだと知って、少し空が近くなる。
November 22, 2024 at 12:49 PM
今週の様子。
小さな初めてが多い週だった。初めてのフィレオフィッシュ。初めて見たガム。初めて作ったわかめご飯。初めて入ったお菓子屋さん。初めて袖を通したジャケット。初めて履いた靴。基本食べ物のこと。
November 15, 2024 at 11:58 AM
「鈴木いづみセカンド・コレクション2 ぜったい退屈」文遊社
初めて鈴木いづみを読んで恋に落ちて以来の再読。高校生の頃、図書館の帰りの電車で初めて表題作を初めて読んだ時に感じた静電気を同じように感じた。その図書館からは、私が借りた直後に除籍されしまった。そこから10年くらい実物としてもう一度出会いたくて探してた本。今年の夏に古本屋で見つけた。ポップで最高にイカしているけど、低音火傷をしてしまうSF短編集。とびきり熱くてクール。私の大切。
November 11, 2024 at 12:09 PM
今週の様子。
母と旅行をした。エンデの資料を見る前にモモを読んで、動物園で象を見る前にナウマンゾウの博物館へ行った。予習のある旅行たのしい。
旅行から帰った頃から、急に世界が寒くて、セーターやカーディガンだけで外へ出ることへの終わりが見えてきた。
November 8, 2024 at 12:58 PM
今週の様子。
秋っていつまでも秋になったことに感謝をしていて、気がついたら十一月になっていた。なんだか、やたらと果物を食べたり、思いきり料理をしたり、ケーキを買ってみたり、食べることに恵まれていた。秋服も調達したし、文字もたくさん書いたし、よい週。
November 1, 2024 at 11:02 AM
今週の様子。
自宅に置いてある傘が、いつの間にかかわいい傘しかないことに気づく。かわいくない傘はみんな折れたり、なくしたり、盗まれたりした。かわいい傘を折ってはいけないという緊張感がある日々だった。天気がよくない日も多くあったが、外に洗濯物を干すときの気持ちよさが不思議と記憶に濃くある。
October 25, 2024 at 11:09 AM
今週の様子。
飛ぶような散歩をたくさんした。
穏やかな暮らしが楽しかったのは三連休だったからかもしれないけれど、平日には唐突にピザを頼んだりして愉快だった。定期的に赤色が好きになることを思い出す。
October 18, 2024 at 11:31 AM