ぽやぽゃぁってしてたところに門弟が「含光君…」って質問に来たら瞬間的にぴっして「なんだ」って執務モード入ったら尚可愛い…
ぽやぽゃぁってしてたところに門弟が「含光君…」って質問に来たら瞬間的にぴっして「なんだ」って執務モード入ったら尚可愛い…
「はい、含光君。失礼します」
「…」ぽやっ…
「…藍湛?」
「ん?なに」
「…ん〜ふふ。もしかして、俺が近くにいると眠くなっちゃうの?」
「…バレた?」
「今バレた!可愛いやつ!安心するのか!」
「うん」
「はい、含光君。失礼します」
「…」ぽやっ…
「…藍湛?」
「ん?なに」
「…ん〜ふふ。もしかして、俺が近くにいると眠くなっちゃうの?」
「…バレた?」
「今バレた!可愛いやつ!安心するのか!」
「うん」
魏嬰、魏嬰、そこにいたのか。
「含光君!」
ああ。
「藍ニ若様!」
うん。
「藍湛!!」
うん。
魏嬰、きっと私がそこにいくのはまだ先の事なのだろう。
気が遠くなるような生を生き延びた先に、君と同じ場所に行けるだろうか。
願わくば、彼と空を飛びたい。
そう思った。
もう、眠れない夜は来ない。
魏嬰、魏嬰、そこにいたのか。
「含光君!」
ああ。
「藍ニ若様!」
うん。
「藍湛!!」
うん。
魏嬰、きっと私がそこにいくのはまだ先の事なのだろう。
気が遠くなるような生を生き延びた先に、君と同じ場所に行けるだろうか。
願わくば、彼と空を飛びたい。
そう思った。
もう、眠れない夜は来ない。
それは伝説の生き物として逸話で語り継がれており実際に存在するかは誰も知らない生き物。
(悪さを働いているわけではないのか…)
であれば自分の出る幕でもない。
ますますこの店主の話が見えない。
「…白兎がね、その周りに集まって一緒に寝ているところを見たと言う人もいるそうですよ。背に赤い立髪を携えていて、邪祟から身を守ってくれたお礼に商人が酒を置いたところ次の日に見に行ったら全て空になっていたそうです」
「っ…!」
「…ねぇ、含光君。魏の若様はどこに行ったんでしょうね。私達にはまだわからぬ、わかってはいけない場所なのでしょうが、きっとあのお方はそこにいらっしゃるのですね」
それは伝説の生き物として逸話で語り継がれており実際に存在するかは誰も知らない生き物。
(悪さを働いているわけではないのか…)
であれば自分の出る幕でもない。
ますますこの店主の話が見えない。
「…白兎がね、その周りに集まって一緒に寝ているところを見たと言う人もいるそうですよ。背に赤い立髪を携えていて、邪祟から身を守ってくれたお礼に商人が酒を置いたところ次の日に見に行ったら全て空になっていたそうです」
「っ…!」
「…ねぇ、含光君。魏の若様はどこに行ったんでしょうね。私達にはまだわからぬ、わかってはいけない場所なのでしょうが、きっとあのお方はそこにいらっしゃるのですね」
「邪祟の毒気が薄れたのか」
「それが綺麗さっぱり。毒気のどの字もありません。むしろ以前よりも草木も河も澄み渡っております。何故だと思いますか?」
店主の言いたいことが読めない。
一体自分に何を聞かせたいのか。
「…わからぬ。なんだ」
「その山の近くに、最近黒龍が現れるそうです。噂程度の話ですが、実際に見たと言う人が何人かいましてね、邪祟に襲われそうになったところを助けられたやら、その美しい黒い尾を振るって毒気を薙ぎ払ったやら。どれも信じがたい話ですが、辻褄は合う」
「邪祟の毒気が薄れたのか」
「それが綺麗さっぱり。毒気のどの字もありません。むしろ以前よりも草木も河も澄み渡っております。何故だと思いますか?」
店主の言いたいことが読めない。
一体自分に何を聞かせたいのか。
「…わからぬ。なんだ」
「その山の近くに、最近黒龍が現れるそうです。噂程度の話ですが、実際に見たと言う人が何人かいましてね、邪祟に襲われそうになったところを助けられたやら、その美しい黒い尾を振るって毒気を薙ぎ払ったやら。どれも信じがたい話ですが、辻褄は合う」
彼が居た時は店主と雑談をすることも少なくなかった。
しかし彼亡き今、さして雑談が盛り上がらないであろう自分を呼び止められるとは思っても居なかったので少し驚く。
「昨年外套をご依頼いただいた時、黒兎の毛皮が手に入らず時間がかかるかもとお話ししたのを覚えておりますか?」
そういえばそうだったか、と記憶を掘り返す。
だが彼が居なくなってからの記憶が曖昧で思い出せてもぼんやりとした記憶ばかりで、そんなことも言っていたような、程度だが。
確か、黒兎の取れる山一体が邪祟から溢れ出た毒気の影響で人が近づけず黒兎も絶えかけていた。
邪祟自体はとうに倒していたまのだが強い怨念のせいだろう。
彼が居た時は店主と雑談をすることも少なくなかった。
しかし彼亡き今、さして雑談が盛り上がらないであろう自分を呼び止められるとは思っても居なかったので少し驚く。
「昨年外套をご依頼いただいた時、黒兎の毛皮が手に入らず時間がかかるかもとお話ししたのを覚えておりますか?」
そういえばそうだったか、と記憶を掘り返す。
だが彼が居なくなってからの記憶が曖昧で思い出せてもぼんやりとした記憶ばかりで、そんなことも言っていたような、程度だが。
確か、黒兎の取れる山一体が邪祟から溢れ出た毒気の影響で人が近づけず黒兎も絶えかけていた。
邪祟自体はとうに倒していたまのだが強い怨念のせいだろう。
やめたくなかった。
だって、彼は今も私の中にいると言うのに。
受け止めたくないのに受け止めざるを得ない彼の死。
そして、追えない自分の残された生。
「…魏嬰」
ぽつりと口からこぼれ落ちていたのだろう。
仕立て屋が心配そうな眼差しでこちらを見つめていることに気がついた。
「失礼。では」
「含光君。お待ちください。少し聞いていただきたいことが」
やめたくなかった。
だって、彼は今も私の中にいると言うのに。
受け止めたくないのに受け止めざるを得ない彼の死。
そして、追えない自分の残された生。
「…魏嬰」
ぽつりと口からこぼれ落ちていたのだろう。
仕立て屋が心配そうな眼差しでこちらを見つめていることに気がついた。
「失礼。では」
「含光君。お待ちください。少し聞いていただきたいことが」
「そうしてくれ。刺繍等はそらちにお任せする」
彼が居なくなってからも、冬になると彼のために外套を仕立てている。
彼が居なくなった翌年に外套を仕立てた時、着る人間もいないというのに、と言う言葉を叔父が飲み込んだのを私は知っていた。
「…よい黒の外套だ」
と、ぽつりと呟いた叔父はそれから毎年のように外套を仕立てている私を許してくれている。
(魏嬰、君は、どこにいる)
毎年外套を仕立てて静室に飾るたびに胸が打ち付けられ、途方もない悲しみに身体が震え、狂ったように涙を流してしまうと言うのに、
「そうしてくれ。刺繍等はそらちにお任せする」
彼が居なくなってからも、冬になると彼のために外套を仕立てている。
彼が居なくなった翌年に外套を仕立てた時、着る人間もいないというのに、と言う言葉を叔父が飲み込んだのを私は知っていた。
「…よい黒の外套だ」
と、ぽつりと呟いた叔父はそれから毎年のように外套を仕立てている私を許してくれている。
(魏嬰、君は、どこにいる)
毎年外套を仕立てて静室に飾るたびに胸が打ち付けられ、途方もない悲しみに身体が震え、狂ったように涙を流してしまうと言うのに、
町に降りれば、彼が天子笑を片手にさんざし飴をねだってくるような気がして。
琴を弾けば、彼の笛の音が聞こえてくるような気がして。
けれども、彼はどこにもいなくて。
「さよならでないと、君が言っただ」
今日もまた、眠れない夜に君を思うのだろう。
町に降りれば、彼が天子笑を片手にさんざし飴をねだってくるような気がして。
琴を弾けば、彼の笛の音が聞こえてくるような気がして。
けれども、彼はどこにもいなくて。
「さよならでないと、君が言っただ」
今日もまた、眠れない夜に君を思うのだろう。
彼の死を受け止める他ない。
確かに彼は息絶えたのだ。
「…私は、どうしたら良い」
彼の死を受け止める他ない。
確かに彼は息絶えたのだ。
「…私は、どうしたら良い」
いつから眠れていないのか、眠れてもひどい焦燥感に苛まれて起きてしまうようになったのはいつからだったか。
恐らく、君を失ってから。
魏嬰の命が絶えたのは、3年前の春。
季節外れの雪が降った日。
君は最期まで微笑みながら私の手を握って、「大丈夫、また会える」と繰り返していた。
常に明るく軽活でおしゃべり好きな君とは打って変わった酷く静かで穏やかな最期だった。
夷陵老祖だった彼が命を落としたと聞いて探し続けていたあの13年間は彼が必ずどこかにいると思い続けて、ほぼ執念で動いていた。
いつから眠れていないのか、眠れてもひどい焦燥感に苛まれて起きてしまうようになったのはいつからだったか。
恐らく、君を失ってから。
魏嬰の命が絶えたのは、3年前の春。
季節外れの雪が降った日。
君は最期まで微笑みながら私の手を握って、「大丈夫、また会える」と繰り返していた。
常に明るく軽活でおしゃべり好きな君とは打って変わった酷く静かで穏やかな最期だった。
夷陵老祖だった彼が命を落としたと聞いて探し続けていたあの13年間は彼が必ずどこかにいると思い続けて、ほぼ執念で動いていた。
「は、はい。ですが、その、撫でられたままは、流石に思追は恥ずかしいのです…」
そう言って顔を真っ赤にしながら講義する彼が余計に可愛く感じてしまい撫でる手が止まらない。
ふっ、と目を細めて彼を見つめるがあるものが目に入ってしまった。
「眠れぬのか」
「えっ!?」
「隈ができている。しっかり寝なさい。執務に影響が出る」
そう伝えると何故か思追はひどく悲しげな顔をして私を見つめ返し俯いてしまった。
なにか、思い悩むことでもあるのだろうか。
「…含光君も、ひどい隈です。皆心配しております。」
あぁ、そうだったか。
私は目の前こ彼よりも幾分もひどい顔をしているのだろう。
「は、はい。ですが、その、撫でられたままは、流石に思追は恥ずかしいのです…」
そう言って顔を真っ赤にしながら講義する彼が余計に可愛く感じてしまい撫でる手が止まらない。
ふっ、と目を細めて彼を見つめるがあるものが目に入ってしまった。
「眠れぬのか」
「えっ!?」
「隈ができている。しっかり寝なさい。執務に影響が出る」
そう伝えると何故か思追はひどく悲しげな顔をして私を見つめ返し俯いてしまった。
なにか、思い悩むことでもあるのだろうか。
「…含光君も、ひどい隈です。皆心配しております。」
あぁ、そうだったか。
私は目の前こ彼よりも幾分もひどい顔をしているのだろう。
1人練習室で譜面を撫でながらぽつりと呟く。
あれ依頼どの演奏会やコンクールに出ても、江家の無羨という男は現れなかった。
当時の先生から聞いた話ではどうやら自分と同い年だと言うが、わかるのはそれだけ。
どこに住んでいるかも、どんな声で話し方をして、何をしているかも分からない。
けれど、音を追いかけていれば、譜面をなぞっていれば少しでも彼に近づける気がしてひたすらに鍵盤を叩く。
いつか出会えた時は、彼に聴いてみるのだ。
「君には、世界がどう聞こえている?」
と。
1人練習室で譜面を撫でながらぽつりと呟く。
あれ依頼どの演奏会やコンクールに出ても、江家の無羨という男は現れなかった。
当時の先生から聞いた話ではどうやら自分と同い年だと言うが、わかるのはそれだけ。
どこに住んでいるかも、どんな声で話し方をして、何をしているかも分からない。
けれど、音を追いかけていれば、譜面をなぞっていれば少しでも彼に近づける気がしてひたすらに鍵盤を叩く。
いつか出会えた時は、彼に聴いてみるのだ。
「君には、世界がどう聞こえている?」
と。
「忘機、確かにピアノの練習は怠るべきではないが、高校生活を楽しむことも必要だよ。部活に入ったり、友達と遊んだりしなさい」
「…兄上。ありがとうございます。ですが、私には不要です。私にはピアノさえあればそれでいいのです。いつか、彼を超えるためにも」
頑なな自分の姿勢を見て、兄が困ったように笑うのがわかった。
それでも自分がピアノを忘れる瞬間を作り、他人と笑い合ったりする姿は想像できず、今日もひたすらに譜面と向き合うのだった。
「忘機、確かにピアノの練習は怠るべきではないが、高校生活を楽しむことも必要だよ。部活に入ったり、友達と遊んだりしなさい」
「…兄上。ありがとうございます。ですが、私には不要です。私にはピアノさえあればそれでいいのです。いつか、彼を超えるためにも」
頑なな自分の姿勢を見て、兄が困ったように笑うのがわかった。
それでも自分がピアノを忘れる瞬間を作り、他人と笑い合ったりする姿は想像できず、今日もひたすらに譜面と向き合うのだった。