鯨の骨
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鯨の骨
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20↑ 🏀1114／🥷🥚伊雑伊
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25.【おぞましい】伊雑伊（獣化）
25．おぞましい 　闇の中から姿を表したのは一匹の狼だった。山で見る狼よりも一回り以上大きく、立ち上がればきっと伊作の背丈を優に超えるだろう。 　体毛は全体的に濃いめの茶系で、頬から首にかけてと手足は白い。右眼は月の輝きのような黄金で、左眼は潰れて癒着していた。よく見れば左半身の体毛が僅かに薄い気がする。 「雑渡さん？」 　狼は伊作の目の前で座ると大きな尻尾をふわりと一度だけ振った。 　——ああ、本当にそうなのか。コレが貴方のもう一つの姿。決して僕に見せまいとしていた。 　凛とした佇まい。山神と言うに相応しい威厳を持っていた。 「おぞましいだなんてとんでもない。とても、とても美しいです」 　そう言って伊作は歓喜で震える手をその毛並みに伸ばした。
November 24, 2025 at 11:20 PM
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2個目も置いておく。
お題で短編書くにはちょっと難しくて続かなかったんだよなぁ。
　二、秘密 　 「何悩んでんの？」 　その声に振り返ると、両手にマグカップを持った青木が怪訝そうな顔で立っていた。 「秘密の質問てさ、何にしてる？」 　今日の昼飯何にする？　くらいの気軽な感じでセキュリティに関する質問をしたせいか、青木の眉間にさらに深い皺がよる。 「それは教えちゃダメなやつだろ」 　そう言いながら青木はズイっとマグカップを俺の顔の前に差し出した。それを「ありがと」と両手で受け取り、カップに入った珈琲に早速口をつけようとしたが、顔に当たる湯気から推し量るに、淹れたての珈琲はまだ熱く、火傷する可能性があったので、しばらくふーふーと息を吐いて冷ます事にした。これは何十回と口内の火傷を繰り返し、ようやく得た肌感覚だったが、いまだに感度は悪い。できるだけ自分を過信しないようにしている。 　冷ましながら会話を続けた。 「いや、そうなんだけどさ。そうじゃなくて、これ系の質問の中にさ、好きなバンドとか好きな色とかって選べるやつとかもあったじゃん？　そんなのその時々で変わるから、パスワード忘れるようなやつがそんな質問の答えなんて覚えてなくないか？　っていっつも思うわけよ」 　セットアップ中のパソコン画面に表示されている質問類を指さしてそう言った。最近は答えが複数になりそうな質問は無くなったように思うが、そんな質問もあったな、とふと思ってしまって手が止まっていたのだ。 「ずっと一番が変わらない人は確かにいるだろうけど、俺なら覚えておく自信は無いな」 　今の会話に多少興味を示したのか、そう言いながら 青木は自室に戻らずに向かいの席に腰を下ろした。猫舌の俺と違って、青木は熱さなど気にならないようで、冷ましもせずにゴクリと一口珈琲を飲んだ。よく火傷しないな、と毎度思う。 「俺も。頑張って三つくらいに絞れても、表記揺れで間違う可能性あるよな」 「バンド名は正式名称書けばいいだろうけど、まあ、カタカナや略称にしてしまう可能性はあるわな」 「その質問選ぶ奴なら正式名称ちゃんと書きそうだけどな」 「でも、色だったら漢字、ひらがな、カタカナで選択肢増えるから無理ゲーじゃね？」 「だから俺は答えが一つしかないやつにしてる」 「俺も」 　なんとなく同意が得られて満足したところで珈琲に口を付けたがまだ熱い。口の中がベロベロになる程ではないが、もう少し冷まさないと。 「ちなみにさ、好きな色なら青木は何にする？」 　その質問に青木は暫く考えてから「黒かな？」と言った。 「ふつー！」 「何だよその不満そうな声は」 　大袈裟にのけぞって茶化したからか、青木はむっとした顔をしていた。 「黒とかめちゃくちゃ選ばれてそうじゃん。セキュリティとしてどうよ？」 「なら沢瀉は何色にするんだよ」 　お手並み拝見、と言った具合に聞かれたので、俺は迷わずに直ぐさま答えた。 「俺が青木だったら青かな。青好きだろ？」 「何で沢瀉が俺の色を決めるのかはわからんが、青木が青ってのもなんかありきたりっぽくて危なくないか？」 「え、でも、青好きだろ？」 　違ったっけ？　と一瞬不安になったが「好きだけど？」とさも当たり前のように言われたので安心した。 「じゃあどうするんだよ？」 「んー……じゃあ、緑」 　意外な答えに首を捻る。青木が緑のものを好んで身につけていた記憶がない。俺が知らないだけで、好きだったのだろうか？　 「緑？　なんで？」 　素直に聞いてみる。 「沢瀉が好きな色」 　思ってもみなかった答えにあまりに驚いて「え！」と腹からかなり大きな声が出てしまった。 「沢瀉昔から赤が好きって言ってるし、だいたい知り合いはそのこと知ってるから赤はダメだろ。となればその次に好きな緑。と言うか、沢瀉最近緑の方が好きだろ？」 「な、何でそんな事……知ってる……」 　青木の言ったことは真実だった。昔から赤が好きで、中学からずっとバッシュは赤色のものを選んでいたし、小物も赤いものが多かったが、最近濃いめのグリーンに惹かれている。 「ちゃんと見てるんですよ、俺は」 　その言葉で顔が急に熱を持った。俺の驚愕ぶりに満足したようで、青木は勝ち誇ったように目を細めて、冷めた珈琲に口をつけた。
November 24, 2025 at 12:16 PM
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昔練習お題で書いてたの出てきた。
オリジナルの「オモダカとアオキ」
　一、鏡 　 　小さなため息をついて時計を見た。片付けを初めてから数時間が経っているというのに、増えた段ボールはたったの三つだけ。 　本棚から始めたのがそもそもの間違いだった気がする。しかし、最後にしたらそれはそれで時間に追われる事になるのは目に見えていた。どうして本というやつは、ずっとそこに居たくせに、やる事があるという時に限って誘惑してくるのか。内容を確認しないと必要か不要かわからないから、と言い訳したところで、今あるものは全部必要なのだ。前回の引っ越しの時に不要な分は処分しているのだから。 　結局最終巻まで読み終えてしまった漫画を段ボールに詰め、ガムテープで封をした。開封してまで読み直すことはないのだから、封さえしてしまえばこちらの勝ちだ。しかし――。 　後ろにそびえ立つ本棚を見上げて大きなため息を吐いた。進み具合を鑑みるに、今日の目標が終わるのは深夜になりそうだった。 　機械的に箱詰めしていけば直ぐなのだが、なかなかそう上手くはいかない。人間とはエデンにいた昔から誘惑に負けてしまう生き物なのだ。 　やはり全て電子書籍に移行するべきだろうか、と何度目かの脳内会議を初めてみるが、結論は「ＮＯ」といつもと同じ答え。最近は電子書籍で買うことが多いと言っても、やはり紙の本が好きだし、今もまだこの本棚に残っているものはそれなりに思い入れのある本ばかりだった。 　しかし、何も進んでないのに疲労感が凄まじい。 　大きく伸びをする。凝り固まった筋肉が刺激され、少し身体は楽になるが、一度失ってしまったやる気はなかなか戻ってこなかった。 　声が聞きたい、と唐突に思った。 　もう一度時計を見る。まだ夜遅すぎるという時間でもない。スマホは何処に置いたっけ、とあたりを見回し、机の上に置かれているのを発見した。 　アプリを開き、二人のトークルームから電話をかける。聞きなれたコール音が繰り返され、忙しいかな、と内心がっかりした時に応答があった。 「あ、もしもし、青木？　うん、俺」 　顔の筋肉が弛緩し、一気に疲れが吹っ飛んだ。我ながらチョロい。聞きなれた声は機械を通すことで違うものに変質しているが、その声すらももはや耳に馴染んでいる。 『どうした？』と言われ、ハッとした。用事など別に何もないのだ。疲れたから声が聞きたくなっただなんて、何だか甘えているみたいで恥ずかしい。キョロキョロとあたりを見回して、思いついたことを口に出す。 「あのさ、鏡って持っていっていい？　全身映る大きなやつ」 『いいよ。俺持ってないし。あったら便利だよな～ってずっと思ってたんだけど、優先順位そんなに高くないから結局買わなかったんだよな。洗面所の鏡あるし』 「わかる。絶対必要じゃないもんな。じゃあ持ってく。玄関にでも置くか、一緒に使えるし」 『さんきゅー。てか、荷造り進んでる？』 「全然……さっきまで漫画読んでたわ」 『ははっ、わかる。片付けてると読みたくなるよな』　 　青木の明るい笑い声と同意で今日半日を無駄にした自己嫌悪が消えていく。それと同時に、こんな気持ちにさせてくれる相手とこれからは一緒に暮らせるのだ、と思うと、その幸福で胸がいっぱいになった。ここまで長かったが、諦めないでよかった……。 　スピーカーからはガサガサと音がしている。ハンズフリーで会話しながらも青木は荷造りを続けているの だろう。その音を聞いて、家出していたはずのやる気が唐突に戻ってきた。 　たわいの無い会話を少しして、荷造り頑張ろうな、と通話を切る。 「さて、やるか」 　声と共に気合を入れて、空っぽの段ボールに向き合った。
November 24, 2025 at 12:10 PM
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24.【多幸感】伊雑伊
　二四．多幸感 　 　ぽかぽかと柔らかな日差しが心地よい。おもわずあくびが漏れる。噛み殺す事もせず、無防備に大きく口を開けてふわぁと空気を取り込む。それに伴って目尻の端が僅かばかりに濡れた。 　耳朶を擽るのは風が木の葉を揺らす音と鳥の囀り。膝の上で丸まる猫の温もりも眠気を誘う一因だろう。その柔らかな毛並みをゆっくりと撫でながら瞼が重くなっていくのを感じる。 　全てが暖かく、静かで、穏やかだ。 　縁側でうつらうつらと舟を漕いでいると「雑渡さん、布団敷きましょうか？」と後ろから声がかかる。 「ううん、いいよいいよ」 　首をゆるゆると横に振り、ふわふわとした心持ちでそう答えた。 　もう布団の上で寝るのも飽いたのだ。こうして縁側に腰掛けて頬に風を感じている方がいい。 　そうですか、と声が去れば、また瞼が重くなる。 　やはり眠たいが、布団に行くのは嫌だなぁ……。そんなことを思っていると機敏な猫が僅かな動きの変化に飛び起きて膝の上から離れてしまう。そのままゆっくりと縁側に横たわった。頬にあたる床板がヒヤリとして気持ちがいい。 　そのまま横になっていると、飛び退いた猫が戻ってきて鼻の辺りをクンクンと嗅ぎ、ペロリと舐めた。しばらく頃良い場所を探して、胸の辺りに落ち着くと、大きなあくびを一つして再び丸まって眠ってしまった。 　さわさわと風が鳴る。 「いくら暖かくなったといっても、そんなところで寝ては風邪をひきますよ。それに身体も痛めてしまいます」 　夢現の中で再び声がする。僅かに目を開ければ困り顔が覗いていた。 　ごめんね、でも起きたくないんだよ。 　心の中で謝って、再び瞼を閉じた。 　顔に影が落ちている。日差しを遮って隣に座った君が自分の膝を優しく叩く。 「ほら、せめて頭を僕の膝に」 「甘いねぇ」 　そう言って微笑めば、「そんな事はずっと昔から知っていらっしゃるでしょう」と笑われる。 　また猫を起こすのは申し訳ないな、と思いながらもゆっくりと身体を起こすと、猫はすでに別の場所で気持ちよさそうに眠っていた。 　隣に並んで座る。愛しい顔が近くにあって、「こちらの方が良いかな」と肩に頭を乗せてもたれかかる。いつの間にか身長差は縮まっていたけど、その方が近くで顔が見られるから嬉しい。 　節くれだって皺に覆われた手が、同じく皺を刻んだ手に優しく握られる。「おやすみなさい」とつむじに唇を落とされた。真っ白になった頭髪を何度か漉くように撫でられていると、再び瞼が重くなる。 　なんて幸せなのだろう。 　こんなに穏やかな日を迎えることができるだなんて。 　若い頃に感じた脳を焼くような刺激的で甘美な幸福より、もっともっと満ち足りている。 　穏やかで、緩やかな、幸福。 　これ以上の幸せを私は知らない。
November 24, 2025 at 8:50 AM
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岡山駅を経由したので山珍の肉まんをゲットしました！！
今回の自分へのお土産は南瓜のピンズと肉まんです
November 24, 2025 at 7:36 AM
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船待ち。直島コーヒーショップ多くて私のラテマネー代がどえらいことになってますけど、まあ、仕方ないね。てか、今回の旅アプリに登録したクレカでガンガン美術館の決済してるから全体像把握できてない😂頑張って働きます。
November 24, 2025 at 5:01 AM
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美術館併設のカフェでランチもできた。良かった。壁にもアート作品飾ってあって、身近なの良いなーって。
November 24, 2025 at 4:17 AM
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ありがてぇことに一時ですが完全一人で鑑賞できて大満足です！！帰ります！！！
November 24, 2025 at 4:12 AM
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昨日行きそびれてた安藤忠雄ミュージアム行ってきた。見た目は木造の町屋なのに中に入ると途中からコンクリートになるのカッコ良すぎる…
November 24, 2025 at 2:21 AM
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八幡様にすねこすりみたいな猫ちゃんいてだいぶ良い
November 24, 2025 at 1:04 AM
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昨日の朝ごはんと今日の朝ごはん
November 24, 2025 at 12:33 AM
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昨日のホテルは競輪場に泊まれるホテルでした。試合は流石にやってない時間だったけど、やってる時はホテルから見れるらしい。
November 23, 2025 at 11:49 PM
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おかわりに行くことにしました。これぞ一人旅の醍醐味！自由！！！
November 23, 2025 at 10:57 PM
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そういやヤドンがいたから直島って香川県なんだ！となった。岡山の方が近いのでてっきり岡山かと思ってました。
November 23, 2025 at 10:45 AM
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23.【シェアする】伊雑伊
23．シェアする 「何食べてるの？」 　天井裏から声をかけると、伊作が振り返った。もぐもぐと口を動かして飲み込んだ後「雑渡さんいらっしゃい」と驚きもせずに微笑んで迎えてくれる。 「学園長先生から貰ったお団子です。このお団子とっても美味しいんですよ。雑渡さんももし良ければ」 　そう言って伊作は手にしていた団子を差し出した。差し出された団子は頭の一つが無くなっていた。 　あまりない状況だな、とその串の先を物珍しげに眺めていると、伊作の顔が急に真っ赤になった。 「あ、えっと、すみません。失礼でしたね」 　慌てて引っ込めそうになる手を掴む。筋肉の強張りが指先に伝わり、「え」と小さな声が漏れるのが聞こえた。 　口布をずらして口を開ける。 　差し出された団子の串を上から飲み込むように咥え、歯を立てる。真ん中の一つを抜き取ると伊作の手を離し、口布を元に戻した。　 「確かに、おいしいね」 　そう言って目を細めると、ポカンと大きく口を開けた顔がこちらを見ていた。大きな瞳が瞬く。 「雑渡さんの口初めて見ました」 　感想そこなんだ、と思わず笑みが漏れる。 「口の周りの皮膚をもう少し見せてもらって良いですか？　皮膚が引き連れて口が開けにくいなどはありますか？　できれば開口量なども知りたいです。あ、今度唇の乾燥に良い軟膏もお作りしますね」 　矢継ぎ早に質問が飛んできて、瞳が爛々と楽しそうに輝く。先程見せた羞恥など遥か彼方に飛んでしまったらしい。 　ああ、本当に面白い。何度会っても飽きない子だ。
November 23, 2025 at 10:38 AM
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November 23, 2025 at 8:42 AM
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家プロジェクトは最初ゆっくりし過ぎたので最後割と駆け足だったんだけど、何処も面白かった。
November 23, 2025 at 8:41 AM
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さようならです👋
November 23, 2025 at 8:36 AM
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勿論他の展示も良かったけど、やっぱり「ヘッド・オン」が一番好きだったなぁ。でも
November 23, 2025 at 7:21 AM
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ホンマに最高なんよ…当たり前なんだけど、みんなお顔が違う…。そしてリアルサイズなのよ……。
November 23, 2025 at 7:17 AM
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これが見たかった！！マジで圧巻！！！最高！！！ずーーーーっと見てたかった！！！！
November 23, 2025 at 7:16 AM
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22.【崇拝者】伊雑伊
　二二．崇拝者 　 「流石噂の行者様じゃ」 「ありがてぇ。ありがてぇ」 　人々は口々にそう言って手を合わせ伊作を拝んだ。伊作は仏のような慈悲の笑みふを浮かべて村人達の話を聞き、治療を施していく。僅かばかりの作物など御礼の品を受け取って伊作は村を後にした。 「崇拝されてるね」 　人のいない山路に入ってから声をかける。 「見ていたんですね」 　視線は彷徨うこともなく木に隠れた私を的確にとらえる。流石現役、と言ったところか。 「でも、彼らは〝僕〟を見ていませんよ。タダで治療を施してくれる謎の行者を崇めているだけです。自分の信じる理想の枠に閉じ込めて、都合の良い幻想を抱いているのです」 「えらく手厳しいね」 「そんな事はないですよ。要は使いようです。僕は僕のしたいことができますし、警戒もされない。なので有難いのですが、また別の支障も出ます。噂が広まりすぎたのでそろそろ姿を変えないといけないかもしれませんね」 　怪我を治して回る旅の行者の噂話は確かに広まっていた。怪我だけでなく病も治り、歩けなかった者も彼が手をかざしただけで歩けるようになったとさえ言われていた。次第に尾ひれはひれがつき、最早弘法大師の伝説と変わりない。 「雑渡さんだって崇拝されないように色々気をつけていらっしゃるでしょ？」 　この子は時たま怖い事を言う。 「まあね、私が欲しいのは崇拝者ではないからね」 　憧れであればまだ良い。それを理由に切磋琢磨するから 　しかし、崇拝はダメだ。あんなものは死亡率を高めるだけに過ぎない。軋轢を生む原因にもなる。 　自軍に求めるのはお互いが背中を預けることができる信頼だ。崇め奉られる頭などは必要ない。 「鬼になれたら楽なのに、雑渡さんも難儀ですよね」 　仏のような顔をして鬼が笑った。 「で、僕に何用ですか？」 「ああ、ちょっと君が盗んだ文を返して欲しくてね。流石にそれは見過ごせないから」 　一瞬にして場の空気が変わる。 「やはりこの姿はもう潮時ですね。こうやってすぐに足がついてしまう」 「君の場合無報酬の医療行為を辞めないとどっちにしてもすぐに見つかるよ」 「それはちょっと出来ない相談ですね。仕事とそれとはまた別なので」
November 22, 2025 at 10:20 AM
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ぶっちゃけ現代アートは全然わからんが、急にでかいものがあるだけで楽しい。
November 22, 2025 at 9:35 AM
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初日ノープランだったんだけど、かなり見れて良かった。安藤忠雄建築やはりカッコ良いなぁ。
November 22, 2025 at 9:34 AM
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November 22, 2025 at 9:30 AM