鯨の骨
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鯨の骨
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20↑ 🏀1114／🥷🥚伊雑伊
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お仕事すごい大変そうですもんね……。特に引っ越し準備と新しい職場になれるのとを並行してやるのはめちゃくちゃしんどいし疲れるし大変だと想像に難くないので、本当お疲れ様です。気温の乱高下で体調崩しやすい時期ですし、お身体もご自愛くださいませ。
November 14, 2025 at 1:33 PM
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引っ越しお疲れ様です！引っ越し後も色々たいへですけど……とりあえずひと段落お疲れ様です！！
November 14, 2025 at 1:29 PM
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14.【オマージュ】伊雑伊
14．オマージュ 「最近領内に侵入しては辻医療行為をして去っていくものが確認されております」 「何て？」 　聞き慣れない言葉に思わず書類から顔を上げ、報告してきた押都の顔を凝視する。 「しかも曲者と名乗ってるとか」 　黒鷲隊の小頭は表情を変えない。雑面を被っているからではない。あの雑面は押都の感情で自由に表情を変えるのだ。タソガレドキ忍軍七不思議の一つである。 　如何なされますか、と問われても答えようが無い。というか、何だ辻医療行為って。普通に怪我人を助けるだけでは無いのか？ 「まあ、医療行為自体はきちんとしているんでしょ？　毒を塗られたりではないんだよね？　じゃあとりあえず放っておいて。私が対応するから」 　怪我人に近付く白い影。テキパキと薬を塗り、包帯を巻く。「ありがとうございます。貴方様は？」と怪我人が問えば「曲者です」と答えてすぐにその場から去っていく。常人には追いつけない足の速さで。 「著作権の侵害じゃない？　伊作くん」 「やだなーこれはオマージュですよ」 　そう言って辻医者は笑った。
November 14, 2025 at 10:01 AM
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13.【最適解】伊雑伊
13．最適解 　ぐらり、と地面が揺れた。 　——くそ、やはり毒剣だったか。 　脚が痺れる。太ももを縛り、すぐさま傷口の肉を抉って、血を抜くが、しばらくはまともに動けそうもない。 　——部下たちは逃した。敵はおそらく私を追ってくるだろう。それでいい。問題はこの状態で一人で何処まで凌げるかだ。 「雑渡さん！」 「伊作くん、どうしてここに？」 　なんて間の悪い。これでは彼まで巻き込んでしまう。どうにかしてここから離さないと。 「私のことはいいから、ここから早く離れなさい。この文を山本か押都、もしくは君の知っているタソガレドキの者に渡してくれ」 「嫌です」 　伊作は雑渡の容態を見つつ、文を受け取るのを固辞した。 「雑渡さん脚が動かなくても手は動きますよね？　以前教えた治療手順は覚えていますか？」 　そう言いながら伊作は箱笈の中から薬を取り出す。　 「伊作くん！」 「僕は忍者ではなく医者です。僕の仕事は患者を無事に生かすことです。だから——」 　そう言って伊作は錫杖に手を掛けて、スラリと抜いた。柄の部分には直刀が仕込まれていた。 　雑渡の隣で仕込み刀を構える。 「露払いは僕がします。その間に止血して薬を。これが最適解です！」 　高らかに伊作は宣言した。
November 13, 2025 at 11:43 AM
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12.【片時も】伊雑伊
　十二．片時も 　 　この腕に貴方を抱ける喜びを貴方は知っているでしょうか？　遠く、儚い存在だった貴方を。 　細い、細い糸を切らぬように慎重に関係を紡いで、ようやく貴方の懐に潜り込めたそのときの歓びを。 　皆はさも当然と思っていたようですが、貴方と僕だけがそうではない事を知っていた。 　貴方は何度も僕を優しく突き放し、その度に僕は食らいついた。貴方と共にある事を望んだから。そして、貴方自身が本当に心から拒絶をしているわけではないと信じていたから。 　それでも、何度も心は折れかけて、何度も自信を失って、その都度糸は切れそうになった。 　学園を離れてしまえば出会うことすら難しく、度々貴方を探しました。山の中で、戦場で。 　タソガレドキに就職してしまえばもう少し話は簡単だったのかもしれません。しかし、僕には夢があったし、理想があった。それを曲げる事はたとえ貴方のためといえどもできなかった。きっと貴方もそんな僕は望まなかったでしょう。僕が理想を曲げたら、きっと貴方は僕の前から完全に姿を消したと思います。だから何とか周りを懐柔し、細いながらも繋がりを持ち続けた。 　貴方の諦めた顔を今でも鮮明に覚えています。「私なんぞの何処がいいのか」と何度も問われましたが、僕は貴方が良いのです。貴方以外欲しいと思わなかった。 　だから、貴方をこの腕に抱いたとき、思ったのです。もう片時も離したくないと。 　貴方は誰のものでもなく、貴方自身のものなの に、片時も離したくないだなんて。なんて傲慢で恐ろしい。 　だけど、僕は心の底から思いました。今も思っています。貴方をこの腕に抱く度に、片時も離したくない、と。 　貴方が思っているよりも、僕は貴方に夢中なのです。ずっとずっとこれからも。
November 12, 2025 at 10:49 AM
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11.【遊色】伊雑伊
　十一．遊色 　 　タソガレドキ領内近くの山で伊作を見かけた。頭に葉っぱがつき、服は土で汚れている。それでも平然とした足取りで背負い籠に道端の薬草を摘んでいた。 「今日はどうしたの？」 「雑渡さん！」 　振り返った伊作の顔がぱあっと明るくなった気がした。その笑顔が眩しくて僅かに目を細める。 「薬草を探しに来たんですが、崖から落ちたところに子連れの猪がいて、母猪に追いかけられてたら地盤が急に崩れて地下道に落ちてしまって」 「相変わらずだね」 　ははは、と眉を下げて笑う伊作の頭に付いた葉っぱを取ってやる。 　本当に不運な子だ、と思う。それと同時に強い子だとも思う。それだけの目に遭いながらも微かな擦り傷のみで、その擦り傷すら自分で適切に処理ができる。菌が入って膿んでしまう事もない。凡人では死んでしまうような不運と付き合いながらも逞しく生き残っている。不運を相殺するために幸運が働いて死ぬ事はない、と言ってしまうのは憚られる。それは彼の努力の結果である。 「でも穴が繋がってた先に欲しかった薬草の群生地があったんです」 　伊作はとても嬉しそうに言う。先の不運など無かったかのように。「それに雑渡さんにも会えましたし」と目を細められたので、僅かに瞠目する。 　驚く雑渡の事など眼中に無いように「あ、そうだ」と伊作は急に懐に手を突っ込んで何かを探しだす。 「落ちた穴の中で見つけたんです。綺麗なので雑渡さんにあげます」 　差し出された掌には小さな石が乗っていた。 　受け取って陽の光に照らせば石の表面がその色と表情を変える。赤、青、緑……。石の中に虹が閉じ込められていた。 「すごいね」 「石の中で虹色の炎が揺れているようではないですか？　僕初めて見ました」 「蛋白石のように見えるけど、こんなに綺麗に色が変わるのは見たことがない」 　おそらくかなり貴重なものではなかろうか？　磨いて加工するには小さいかもしれないが、このままでも十分に綺麗だ。 「本当に貰っていいの？　売ったら結構いいお金になると思うけど」 　保健委員会は万年予算が足りていない。それでなくても伊作が必要な薬草や生薬を買う金にすればいい。 「僕が雑渡さんに差し上げたいと思ったので、よろしければもらってください」 　伊作は何事もなく言う。本当に面白い少年だ。 「鴉みたいだね」 　思わず出た言葉がそれだった。馬鹿だなぁ、と自分でも思う。もっといい言葉があるはずなのに。伊作も「カラス……」と呟いて目を丸くしている。 　ふふ、と笑いが込み上げる。 「ありがとう。大切にするね」
November 11, 2025 at 12:18 PM
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10.【未解決】伊雑伊
　十．未解決 　 　忍術学園の学園長に呼び出され、難題を吹っ掛けられた。難題ではあるが決して国の任務と並行してできぬわけでは無いし、こちらにも利があり、その利は労力に見合うくらいには大きい。無下に断れぬギリギリの塩梅。流石は大川平次渦正である。 　――とんだ狸だ。 　学園長との腹の探り合いの茶会が終わり、癒しを求めてふらふらと医務室に足を向けた。 　廊下からでもワイワイと何やら騒いでいる声が漏れ聞こえている。 「楽しそうだね」 　扉を開けて医務室にお邪魔すると「ちょっとこなもんさん！」と保健委員さんたちに囲まれる。 「ありがとうございます！」 　キラキラとした目で口々にお礼を言われて戸惑う。 「何の話？」 　本当に分からない。 　これですよこれ、と伊作くんに見せられたのは何かの草だった。しかし、名前も知らない。おそらく何らかの薬草なのであろうが、もちろん用途も分からない。 「今日医務室に来たら高価な薬草が置いてあったんですけど、雑渡さんではないんですか？」 「違うよ？」 「え！」 　保健委員達の驚きの顔が一斉に此方を向く。 「じゃあ、山本さんか高坂さんではありませんか？　この前尊奈門さんを回収に来られた時に、 お礼は後日とおっしゃってましたし」 　乱太郎くんが解った！　と自身あり気にそう言った。 「その節は本当にすまなかったね。それは後日私から尊奈門に御礼の品を持たせて来させるよ。しかし、今日は陣内たちは外で待たせてるし、ここには来ていないよ」 「じゃあ誰が……」 　一斉に視線が出所不明の薬草に注がれる。 　伏木蔵くんだけが「ミステリー」と頬を緩ませて嬉しそうに言った。
November 10, 2025 at 12:33 PM
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体の接触だけが愛ではないですからね。すごい好きです。
そして毎日伊雑伊更新本当にお疲れ様でした。楽しませていただきました🙏
November 10, 2025 at 12:27 PM