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@ktzm.bsky.social
(承前)
国際政治の荒波を乗り越えるのは、究極的には国のトップの判断だ。
そこには、もちろん様々なアクターによる駆け引きがあった上で、決断が下される。

ただ、そこに国のトップ同士の理解があるかないかで、その力学は大きく変わる。

そうした意味で、本書から学べることはとてつもなく多い。

(終)
December 30, 2024 at 3:27 PM
(承前)
それでも、時々において、主要なキーパーソンたちは、お互いを理解し合い、対立や確執を乗り越えようとした。ドゴールとアデナウアーの関係は、まさにそれを体現する。

また、経路依存性の重要性を本書を読んで感じた。一度できた仕組み、構造は簡単にはなくならない。
友情をベースに、ヨーロッパ統合、独仏関係の強靭化を進めたジスカールとシュミットの取り組みは、まさに独仏がヨーロッパの枢軸として確立させ、今日のヨーロッパの紐帯の原動力となっている。
December 30, 2024 at 3:19 PM
(承前)

またアメリカのイノベーションの源泉は莫大な国防予算から生まれるイノベーションであること、外部市場が発達し、企業は労働市場から人材調達が可能、参入・退出が激しいリベラル型であることを指摘する。

それが、ラディカルイノベーションを生み出す環境である一方、末路は失業者の増加と格差社会であり、ニュースで見る薬物中毒であふれるアメリカの都市の風景は象徴的だ。リスキリングと言っても、アメリカの新たな市場に対応できるスキルを習得は至難だ。

そういう意味でアメリカ型をマネするなという章は、決して新規性を富む論調ではないが、改めて学ぶべき多い章だ。
December 28, 2024 at 9:16 AM
(承前)

破壊される側に対しては、自分の能力を高度化させるリスキリング・教育の重要性が述べられている。
個人的には、どのようにリスキリングの動機づけは、危機感に基づくべきなのか、それとも前向きな上昇志向性の涵養なのかを知りたいと思った。

また、生産要素が高い経営資源を削減するところでイノベーションは起きやすく、そのため、リストラなどの短期的に痛みを伴うショックが起きやすいことが論じられた上で、日本は悲しいかな、少子高齢化でそのショックが少ないという。
December 28, 2024 at 9:05 AM
アーギュメントを鍛える上で他動詞型(AがBをVする)が有益ということを本書は述べており、あまり意識してこなかった(おい)が、良いなあと思う論文はこれがかなりクリアだった。

リサーチクエスチョンに重きを置かない(十分条件)のは、今次の社会科学とは少し異なる姿勢だが、良きリサーチクエスチョンでも、その主張が弱ければ価値が減じてしまう。

主張なくフラフラしている自分には、少し目眩がするほど、ストレートかつ刺さる内容だった。
December 25, 2024 at 10:40 AM
新進気鋭の若手による外交史に出会えて良かった。今後、有田八郎に焦点を当てた新書が著者から出ることを祈るばかりである。
June 17, 2024 at 11:47 AM
また欧米派と佐藤尚武も制限的門戸開放主義を持ち、この制限的な門戸開放主義的な考えを有していた。そして、日中戦争以降、九カ国条約の存在が日本を条約違反国とさせ、英米との対立とつながるとし、廃棄を求めたのは、九カ国条約を英米との関係をつなぐ紐帯と考えた有田とは異なり、従来の欧米派、アジア派といったカテゴライズでは捉えないことを本書は明らかにした。(続)
June 17, 2024 at 10:22 AM
従来有田はアジア派としてカテゴライズされるが、重光とは違い、満州事変前には九カ国条約を評価し、英米との関係も重視し、満州事変以降も九カ国条約との摩擦を避けようと注力していた。
日中戦争以降も、陸軍を中心に大陸進出の圧力が強い中、有田声明などの強行な方針を出しつつも、原料資源以外の門戸開放(制限的門戸開放主義)を梃子に、米国との外交交渉を目指す姿勢は通説的理解とは大きく異なることを本書は描き出す(続)
June 17, 2024 at 10:18 AM
(承前)本書の魅力はなんといっても、30年代の主要外交官、とりわけ外務大臣の思想の核を丹念に論じながら、その施策の目的と限界、連続性、非連続性を鮮やかに描く。
特に、今日まであまり論じられなかった有田八郎の外交思想とその施策を描き出した点は、日本外交史を大いに発展させる貢献だろう。
また佐藤尚武という、欧米派外交官が、単純な欧米派という括りでは捉えられず、極めてアジア権益確保に傾注していったかという変節を描いたのも評価できる。(続)
June 16, 2024 at 11:22 PM
(承前)スタートアップの文化が十分に育っていない中で、大企業のスタートアップとの連携から生まれるイノベーションに本書は触れている。

その中で、なるほどと思ったのが、大企業側の博士課程出身者の重要性だ。
すなわち、大企業がスタートアップを「評価」するにあたり、きちんとその中身を理解、把握している必要がある。そして、スタートアップは大企業と差別化する上で、よりエッジのたったサービスを生み出すため、その理解には専門性が求められる。

手を取り合おうにも、相手のことを知らなければ、物別れに終わる。大企業側も、トップを含め、専門性のある人材を懐刀としてストックする必要がある。
May 8, 2024 at 12:32 PM