すなわち母殺教唆も独立に進化したことになります。さらに、アメケが属する社会寄生性クレードに含まれるL. reginaeは、寄生女王が直接寄主女王の頸部に咬みつき首チョンパすることが知られており (Buschinger 1986)、寄主コロニーのっとり時に母殺教唆と首チョンパがクレード内でシフトできる可能性もあることがわかりました。
今回、研究者ではない熱烈なアリ愛好家の方々によって科学的にも重要な発見がされたことはとても意義深いことだと感じています。自分の目で見つめる地道な観察は、自然史研究の根幹であると改めて認識しました。

同属のアメイロケアリでもまったく同じ蟻酸噴射による母殺教唆が田中さんによって観察されました。そのことを知った時に、最初は母殺教唆が同じ起源だと当然のように思い込みましたが実際はそうではありませんでした。Maruyama et al. (2008) BMC Evol BiolやBoudinot et al. (2022) Syst Entomolのいずれもケアリ属Lasius内において社会寄生性は2回独立に進化しているという結論が得られており、なんとテラニシとアメケは別々のクレードに含まれているのです。

詳細な説明をツリーに並べるよりも島田さんのブログポストを読んでもらえると一番よいです。http://blog.livedoor.jp/antroom/archives/51997207.html
Cell Pressからのプレスリリースhttps://www.eurekalert.org/news-releases/1104837
九州大学からのプレスリリースhttps://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1341

オフィシャルにはなんの宣言もないまま，いきなり終了となるのは残念ですが，ターちゃんの断筆宣言とも時期が一致し，ちょうどよかったなとは思います．こちらの打診を無視し続けた紀要委員会には腹が立ちますが．

3分程度の映像ですが3時間のうちどこに出てくるかは知りません。エンドロールには監修者として名前も出ます。
よかったらご笑覧ください。