リチャード・フラナガン 著/渡辺佐智江 訳
白水社(2025)
著者の母についての回想を中心とした第七章、滂沱の涙だった。
暴力、そして死について。
折々に煌めく美しい文章にハッとさせられる作品だった。
リチャード・フラナガン 著/渡辺佐智江 訳
白水社(2025)
著者の母についての回想を中心とした第七章、滂沱の涙だった。
暴力、そして死について。
折々に煌めく美しい文章にハッとさせられる作品だった。
何度も死にかけて大きすぎる代償を払って断酒してもなお「命より大事な酒」と言い切れるのが逆に凄い。
本人と同じかそれ以上に不安だったろう妻のいみちんさんのシゴデキぶりに感服し、「ブレーキランプ5回点滅」の場面で大泣きしてしまった。→
何度も死にかけて大きすぎる代償を払って断酒してもなお「命より大事な酒」と言い切れるのが逆に凄い。
本人と同じかそれ以上に不安だったろう妻のいみちんさんのシゴデキぶりに感服し、「ブレーキランプ5回点滅」の場面で大泣きしてしまった。→
まず装丁とタイトルに釘付けになる。
なんと美しいのか。
中学の入学式での2人の出会い方が抜群に詩情に溢れていてよかった。
京都の自然を背景に、あまりにも緻密にみっしりと描かれる中学生活の行事やテストなどの描写を読んでいると、未熟で劣等感の塊でしかなかった自身の中学時代にびゅーんと連れ去られて苦しくてたまらない。
第二部の再会編では、終盤に近づくにつれて幾度もギアが上がっていってテンションが振り回され、最後にはカタルシスの落涙。
タイトル出てくるのそこなのか!と意外に思いつつも、久乃にとって重要な場面に繋がるわけで、こう来るかぁ〜と唸らされた。→
まず装丁とタイトルに釘付けになる。
なんと美しいのか。
中学の入学式での2人の出会い方が抜群に詩情に溢れていてよかった。
京都の自然を背景に、あまりにも緻密にみっしりと描かれる中学生活の行事やテストなどの描写を読んでいると、未熟で劣等感の塊でしかなかった自身の中学時代にびゅーんと連れ去られて苦しくてたまらない。
第二部の再会編では、終盤に近づくにつれて幾度もギアが上がっていってテンションが振り回され、最後にはカタルシスの落涙。
タイトル出てくるのそこなのか!と意外に思いつつも、久乃にとって重要な場面に繋がるわけで、こう来るかぁ〜と唸らされた。→
レイラ・ララミ著/木原善彦訳/白水社
フィクションということもあり、スペイン遠征隊のフロリダ探検の部分は今ひとつノリきれなかったが、奴隷のエステバニコがかつてムスタファであったときの生活の描写が、生き生きと美しくて好きだった。そこだけずっと読んでいたかった。永遠に失われたものを振り返って書いているからというのもあると思うけど。「親愛なる読者よ」とか言っていきなり話しかけてくるのが油断ならなくてチャーミングだった。→
レイラ・ララミ著/木原善彦訳/白水社
フィクションということもあり、スペイン遠征隊のフロリダ探検の部分は今ひとつノリきれなかったが、奴隷のエステバニコがかつてムスタファであったときの生活の描写が、生き生きと美しくて好きだった。そこだけずっと読んでいたかった。永遠に失われたものを振り返って書いているからというのもあると思うけど。「親愛なる読者よ」とか言っていきなり話しかけてくるのが油断ならなくてチャーミングだった。→
京都新聞取材班/講談社
京アニ放火殺人事件の経緯と詳細、および遺族と加害者への取材をまとめたもの。
加害者は、人生に行き詰まり困窮した者が陥りがちな一発逆転的発想から小説投稿するものの落選。逆に「自分の小説をパクられた」という逆恨みを募らせ犯行に至る。
京都新聞取材班/講談社
京アニ放火殺人事件の経緯と詳細、および遺族と加害者への取材をまとめたもの。
加害者は、人生に行き詰まり困窮した者が陥りがちな一発逆転的発想から小説投稿するものの落選。逆に「自分の小説をパクられた」という逆恨みを募らせ犯行に至る。
松家仁之/新潮社
本書は、皇居新宮殿造営にまつわる顛末と、その設計を担った建築家・村井俊輔の半生を中心に、複数の人物の視点から戦前〜戦後の歴史を背景にして描かれた物語である。
あくまでも史実を元にした創作であるため、調べてみると登場人物に関しては大胆にフィクショナイズされている部分も多いが、皇室の方々や政治家、外国の建築家については実名や匿名で頻出し、実際の歴史的事件などの描写もあるため、まったく違和感のない物語世界が構築されている。→
松家仁之/新潮社
本書は、皇居新宮殿造営にまつわる顛末と、その設計を担った建築家・村井俊輔の半生を中心に、複数の人物の視点から戦前〜戦後の歴史を背景にして描かれた物語である。
あくまでも史実を元にした創作であるため、調べてみると登場人物に関しては大胆にフィクショナイズされている部分も多いが、皇室の方々や政治家、外国の建築家については実名や匿名で頻出し、実際の歴史的事件などの描写もあるため、まったく違和感のない物語世界が構築されている。→
エヴァン・ダーラ著/木原善彦訳/幻戯書房
第11回日本翻訳大賞 受賞作。
読了した方々の感想の熱量がとにかくすごくて、いわく、400ページ位まで頑張って読めば、仕掛けが明らかになりめくるめく読書体験が待っていると。
そんな読書体験を私もしてみたい!と読み始め、途中でその仕掛けのネタバレをうっかり見てしまい地団駄を踏むが、気を取り直して読み続けると、果たして……
エヴァン・ダーラ著/木原善彦訳/幻戯書房
第11回日本翻訳大賞 受賞作。
読了した方々の感想の熱量がとにかくすごくて、いわく、400ページ位まで頑張って読めば、仕掛けが明らかになりめくるめく読書体験が待っていると。
そんな読書体験を私もしてみたい!と読み始め、途中でその仕掛けのネタバレをうっかり見てしまい地団駄を踏むが、気を取り直して読み続けると、果たして……
アンドレア・アブレウ 著/村岡直子・五十嵐絢音 訳/国書刊行会
裏表紙の帯に引用されている句読点のない文章を読んで、こここ、これが決壊する文体……ついていけるかしらんと一抹の不安を覚えるも、それはほんの一部で、全部が決壊している訳ではなく、むしろ一気読みだった。
自由なお金も移動手段も持たない子ども特有の、閉塞感あふれる田舎の長い夏休み。海が行き止まりとなる火山島で、別荘地には余所者が来ていて、でも住んでいるのは山の上の集落だから海には行けなくて水路でビーチごっこをする、臆病なわたしと物怖じしない親友のイソラ。→
アンドレア・アブレウ 著/村岡直子・五十嵐絢音 訳/国書刊行会
裏表紙の帯に引用されている句読点のない文章を読んで、こここ、これが決壊する文体……ついていけるかしらんと一抹の不安を覚えるも、それはほんの一部で、全部が決壊している訳ではなく、むしろ一気読みだった。
自由なお金も移動手段も持たない子ども特有の、閉塞感あふれる田舎の長い夏休み。海が行き止まりとなる火山島で、別荘地には余所者が来ていて、でも住んでいるのは山の上の集落だから海には行けなくて水路でビーチごっこをする、臆病なわたしと物怖じしない親友のイソラ。→
各界の方々の「つくって食べる日々」=自炊について書かれたエッセイ集。
料理や食べることが大好きで一日中食事のことを考えている人、自炊は好きじゃないし面倒だから週2位でいいかなという人から、はたまた食に全く興味がないという人まで、自炊における様々なグラデーションがそこにあって、ホッとする。
自分も家族に出すための料理をするけれど、100パーセント料理が大好き!楽しい!とは思えない。どちらかというと義務を伴う労働だと思っているのが正直なところだ。→
各界の方々の「つくって食べる日々」=自炊について書かれたエッセイ集。
料理や食べることが大好きで一日中食事のことを考えている人、自炊は好きじゃないし面倒だから週2位でいいかなという人から、はたまた食に全く興味がないという人まで、自炊における様々なグラデーションがそこにあって、ホッとする。
自分も家族に出すための料理をするけれど、100パーセント料理が大好き!楽しい!とは思えない。どちらかというと義務を伴う労働だと思っているのが正直なところだ。→
金原ひとみ/文藝春秋
“性加害の告発”が題材だというだけで、ああキツい、これはパス、と普段ならなるところだが、金原ひとみの最新作にして最長編となれば話は別だ。彼女の怒涛の毒舌を千枚分も浴びられるのかと思ったら、手に取らずにはいられなかった。
果たして読了した結果、それはもう存分に、これまでにないほど毒気にやられ、見事に蜂の巣状態になって放心してしまった。
題材からしてエロもグロもまああって、良きにつけ悪しきにつけ、とにかく生気を吸い取られる作品なので、元気な時に覚悟を決めて読むことをおすすめする。帰還者からの伝言だ。
金原ひとみ/文藝春秋
“性加害の告発”が題材だというだけで、ああキツい、これはパス、と普段ならなるところだが、金原ひとみの最新作にして最長編となれば話は別だ。彼女の怒涛の毒舌を千枚分も浴びられるのかと思ったら、手に取らずにはいられなかった。
果たして読了した結果、それはもう存分に、これまでにないほど毒気にやられ、見事に蜂の巣状態になって放心してしまった。
題材からしてエロもグロもまああって、良きにつけ悪しきにつけ、とにかく生気を吸い取られる作品なので、元気な時に覚悟を決めて読むことをおすすめする。帰還者からの伝言だ。
造本も、東欧らしいクラシカルな色味の小花柄と赤い見返し&スピンがマッチしていて可愛らしかった。
造本も、東欧らしいクラシカルな色味の小花柄と赤い見返し&スピンがマッチしていて可愛らしかった。
レア・イピ著/山田文訳/勁草書房
社会主義下のアルバニアに育った政治学者の自伝。激動の時代を生きた11〜17歳までの少女の視点から描く。家族の出自がなかなかに複雑で引き裂かれるものがある。
時代の波に翻弄されながらも逞しく生き抜いてきた祖母のニニが、最も魅力的に映った。
友人を失い無気力になり、道ならぬ恋に泣いている主人公に「泣くんじゃありません」と諭す言葉が胸を打った。
「何かをするの。新しい本を読みなさい。新しいことばを学びなさい。やることを見つけるの」P268
レア・イピ著/山田文訳/勁草書房
社会主義下のアルバニアに育った政治学者の自伝。激動の時代を生きた11〜17歳までの少女の視点から描く。家族の出自がなかなかに複雑で引き裂かれるものがある。
時代の波に翻弄されながらも逞しく生き抜いてきた祖母のニニが、最も魅力的に映った。
友人を失い無気力になり、道ならぬ恋に泣いている主人公に「泣くんじゃありません」と諭す言葉が胸を打った。
「何かをするの。新しい本を読みなさい。新しいことばを学びなさい。やることを見つけるの」P268
面白かった〜!
前半の高等遊民的時代のお話から、熊本〜コロナ禍時代までの含蓄あふれるお話まで、確かに全て「生活」だなあ〜と思いました。
あと装丁がめちゃ可愛くて、カバーはザラザラ漫画風で、本体がツルツル妖艶なのと、青×橙の色合わせが大変好みでした!
面白かった〜!
前半の高等遊民的時代のお話から、熊本〜コロナ禍時代までの含蓄あふれるお話まで、確かに全て「生活」だなあ〜と思いました。
あと装丁がめちゃ可愛くて、カバーはザラザラ漫画風で、本体がツルツル妖艶なのと、青×橙の色合わせが大変好みでした!
何故こんな暴力と性暴力に満ち溢れたひどい話を執拗に読まされねばならんのだ、とドン引きし、なのに主人公の娼婦デウィ・アユと女たちよ、達観しすぎてておかしいだろ、と突っ込み続けながらもページをめくる手は止められない。
そして14章からいよいよ物語の伏線が回収されてゆくにつれて、否が応にも読書熱は高まっていき、結末のカタルシスはすごかった……。決して好みでないタイプの話にもかかわらず、ぐいぐい読まされてしまう吸引力が超強烈な作品。比喩がやたら面白くてツボだった。→
何故こんな暴力と性暴力に満ち溢れたひどい話を執拗に読まされねばならんのだ、とドン引きし、なのに主人公の娼婦デウィ・アユと女たちよ、達観しすぎてておかしいだろ、と突っ込み続けながらもページをめくる手は止められない。
そして14章からいよいよ物語の伏線が回収されてゆくにつれて、否が応にも読書熱は高まっていき、結末のカタルシスはすごかった……。決して好みでないタイプの話にもかかわらず、ぐいぐい読まされてしまう吸引力が超強烈な作品。比喩がやたら面白くてツボだった。→
ディーシャ・フィルヨー/押野素子訳/勁草書房
これがデビュー作だとは信じられない。9つの作品からなるこの短編集は、書簡や手引書などの形を取られたりと、バラエティ豊かだ。あまりの濃密さと衝撃に、一作読み終わるごとに時間を置かねばならなかった。→
ディーシャ・フィルヨー/押野素子訳/勁草書房
これがデビュー作だとは信じられない。9つの作品からなるこの短編集は、書簡や手引書などの形を取られたりと、バラエティ豊かだ。あまりの濃密さと衝撃に、一作読み終わるごとに時間を置かねばならなかった。→
「この後のツイートがなかったら失敗したと思ってください」で有名な料理アカウント、チーフさんの著書。この人ほど「好きこそ物の上手なれ」を体現している人はいないだろう。
私は料理にも菜園にもそこまで情熱を持てないし、失敗には打たれ弱いのですぐ諦める。劣等感を刺激されるので料理アカウントはさほど見ない。が、おそらく数多の失敗もあっただろうに、めげずに試行錯誤するチーフさんの情熱には、見ていて素直にSUGEEE……と思えた。
「この後のツイートがなかったら失敗したと思ってください」で有名な料理アカウント、チーフさんの著書。この人ほど「好きこそ物の上手なれ」を体現している人はいないだろう。
私は料理にも菜園にもそこまで情熱を持てないし、失敗には打たれ弱いのですぐ諦める。劣等感を刺激されるので料理アカウントはさほど見ない。が、おそらく数多の失敗もあっただろうに、めげずに試行錯誤するチーフさんの情熱には、見ていて素直にSUGEEE……と思えた。
#欲しいのはプライズ
いやーー噂通りめちゃくちゃ面白かった〜
直木賞を渇望する売れっ子作家と、まわりの編集者や版元を舞台としたお仕事小説。おりしも直木賞発表の時節柄、選考から発表までの舞台裏を覗き見ているようで、めっぽう楽しく読んだ。
あまりにスキャンダラスな内容に、連載当時から業界内でも物議を醸してザワついていたと聞き、さもありなんと納得した。
主人公の小説家「天羽カイン」がとにかく激しくて、さすがに戯画化して書いているのだろうと思いきや、新川帆立さんが本書の感想として「主人公の言動に大分心当たりがある……」と呟かれていて、面白かった。→
#欲しいのはプライズ
いやーー噂通りめちゃくちゃ面白かった〜
直木賞を渇望する売れっ子作家と、まわりの編集者や版元を舞台としたお仕事小説。おりしも直木賞発表の時節柄、選考から発表までの舞台裏を覗き見ているようで、めっぽう楽しく読んだ。
あまりにスキャンダラスな内容に、連載当時から業界内でも物議を醸してザワついていたと聞き、さもありなんと納得した。
主人公の小説家「天羽カイン」がとにかく激しくて、さすがに戯画化して書いているのだろうと思いきや、新川帆立さんが本書の感想として「主人公の言動に大分心当たりがある……」と呟かれていて、面白かった。→
灼熱の荒野で偶然出会った、牧師と自動車整備工、その娘と息子である少女と少年の4人。やがて迫り来る嵐と共に、大きく吹き荒れたかと思うと、一瞬にして変わってゆくそれぞれの運命。
たった一昼夜足らずの時間の流れの中に、各々の濃密な人生が描かれていて、読後の余韻が一向に冷めない。読者は訳も分からないまま、大きな嵐に巻き込まれ、もみくちゃにされた挙句に放り出される。そんな作品だった。→
灼熱の荒野で偶然出会った、牧師と自動車整備工、その娘と息子である少女と少年の4人。やがて迫り来る嵐と共に、大きく吹き荒れたかと思うと、一瞬にして変わってゆくそれぞれの運命。
たった一昼夜足らずの時間の流れの中に、各々の濃密な人生が描かれていて、読後の余韻が一向に冷めない。読者は訳も分からないまま、大きな嵐に巻き込まれ、もみくちゃにされた挙句に放り出される。そんな作品だった。→
人間の恐ろしさとともに、素晴らしさも描かれていた。不正を働くのも地獄だが、不正を暴くのもまた地獄だ。どちらの地獄を選ぶのか。
ただの横領事件にとどまらない、組織とムラ社会の闇があった。そして「ノルマ」がいかに人を狂わせるものなのか、ということも。オセロを裏返すように、潮目が変わっていく様が恐ろしかった。
人間の恐ろしさとともに、素晴らしさも描かれていた。不正を働くのも地獄だが、不正を暴くのもまた地獄だ。どちらの地獄を選ぶのか。
ただの横領事件にとどまらない、組織とムラ社会の闇があった。そして「ノルマ」がいかに人を狂わせるものなのか、ということも。オセロを裏返すように、潮目が変わっていく様が恐ろしかった。
「たがいに助けあわずに生きてどうする?」
自分を含む多くの人間は妻のアイリーンやパブのおかみさんの側でいるだろう。主人公ビルの出自でしか成し得ない選択だったと思う。でもビルをビルたらしめてくれたものはウィルソンさんの真心だ。ウィルソンさんがこの結果を生み出したとも言える。私たちはウィルソンさんに近づくことはできるか?と作者に問われている。→
「たがいに助けあわずに生きてどうする?」
自分を含む多くの人間は妻のアイリーンやパブのおかみさんの側でいるだろう。主人公ビルの出自でしか成し得ない選択だったと思う。でもビルをビルたらしめてくれたものはウィルソンさんの真心だ。ウィルソンさんがこの結果を生み出したとも言える。私たちはウィルソンさんに近づくことはできるか?と作者に問われている。→
歴史の繋がりに圧倒されるすごい小説だった。「ハンチバック」以来の衝撃を受けた新人作家のデビュー作。
難しい言葉も、よくわからない場面もたくさんあるのに、次は、最後はどうなるのって気になって、ページを繰る手を止められなかった。
沖縄が沖縄であるがゆえに味わわされてきた苦難の、様々な世代の苦しみや葛藤が描かれる中、私には、中学生の少女奈都紀ちゃんの話が最も予想外で衝撃的で苦しく、胸に迫ってきた。一見どこにでもあるようでいながらも、その実現代の沖縄ならではの問題が描かれているように思った。→
歴史の繋がりに圧倒されるすごい小説だった。「ハンチバック」以来の衝撃を受けた新人作家のデビュー作。
難しい言葉も、よくわからない場面もたくさんあるのに、次は、最後はどうなるのって気になって、ページを繰る手を止められなかった。
沖縄が沖縄であるがゆえに味わわされてきた苦難の、様々な世代の苦しみや葛藤が描かれる中、私には、中学生の少女奈都紀ちゃんの話が最も予想外で衝撃的で苦しく、胸に迫ってきた。一見どこにでもあるようでいながらも、その実現代の沖縄ならではの問題が描かれているように思った。→