やがて、宙ぶらりんの光代の愛が、祐一に守られている事でゆっくりと彼女の中に根を下ろし、彼女を支えてくれるだろう。祐一を支えて救うように。
やがて、宙ぶらりんの光代の愛が、祐一に守られている事でゆっくりと彼女の中に根を下ろし、彼女を支えてくれるだろう。祐一を支えて救うように。
けれど光代と祐一は違う。あの灯台での、輝かしく満たされていた日々は確かにあった。それでええやないか、と思う。ただ、祐一との間に生まれた希有な愛だけが真実やないか、と。かけがえのない人が居るという、その事だけが。祐一は光代を守り切ったその事で救われているのだから。光代の存在そのものが、彼を救っているのだから。
光代が「その悪人を私が勝手に好きになっただけなんですよね?」と、何度人に問うても、それは何も変わらない。
けれど光代と祐一は違う。あの灯台での、輝かしく満たされていた日々は確かにあった。それでええやないか、と思う。ただ、祐一との間に生まれた希有な愛だけが真実やないか、と。かけがえのない人が居るという、その事だけが。祐一は光代を守り切ったその事で救われているのだから。光代の存在そのものが、彼を救っているのだから。
光代が「その悪人を私が勝手に好きになっただけなんですよね?」と、何度人に問うても、それは何も変わらない。
じゃあ、光代は? 祐一をかけがえのない人だと知った光代は?
人殺しの彼を愛した光代は?
じゃあ、光代は? 祐一をかけがえのない人だと知った光代は?
人殺しの彼を愛した光代は?
そして高井和明。ピース&浩美連合の悪の深さと同じくらいの善良さを持つ高井和明。高い知性を持ちながら自分のそれに気付いていない。自分を犠牲にしてでも幼なじみを救おうとする、そしてそれが自己犠牲だという事さえ考えない。死の間際でも。全き善って、こういう物なのかも知れない。グリーン・マイルの「コーフィー」みたいに。だから、その全き善が滅びてしまうのを観るのは辛い。それは、地上に善はない、と宣言されたような気がするからかも知れない。そしてそれが、このやるせない読後感に繋がるのかも。
そして高井和明。ピース&浩美連合の悪の深さと同じくらいの善良さを持つ高井和明。高い知性を持ちながら自分のそれに気付いていない。自分を犠牲にしてでも幼なじみを救おうとする、そしてそれが自己犠牲だという事さえ考えない。死の間際でも。全き善って、こういう物なのかも知れない。グリーン・マイルの「コーフィー」みたいに。だから、その全き善が滅びてしまうのを観るのは辛い。それは、地上に善はない、と宣言されたような気がするからかも知れない。そしてそれが、このやるせない読後感に繋がるのかも。
物語が始まった時にはもう死んでいて、彼女の描写が常に隔靴掻痒だったのが残念なのが古川鞠子だ。美しく聡明な彼女も理不尽な暴力の前には儚いと言う事実が辛い。そしてその鞠子の祖父である有馬義男。混乱の時代を生き抜いたこの老人が見せる、大人の矜持と知恵。高井和明に並んで、この物語にある救済の形なのだろうけど…。物語の最後の、彼の独白。なんでそれ、わざわざ言わせるかなあ。そうなんだけど。彼は救われない。真一や水野久美が傍に居ても…と思うと本当にやるせない。
物語が始まった時にはもう死んでいて、彼女の描写が常に隔靴掻痒だったのが残念なのが古川鞠子だ。美しく聡明な彼女も理不尽な暴力の前には儚いと言う事実が辛い。そしてその鞠子の祖父である有馬義男。混乱の時代を生き抜いたこの老人が見せる、大人の矜持と知恵。高井和明に並んで、この物語にある救済の形なのだろうけど…。物語の最後の、彼の独白。なんでそれ、わざわざ言わせるかなあ。そうなんだけど。彼は救われない。真一や水野久美が傍に居ても…と思うと本当にやるせない。
高井由美子、そもそもしっかり者の妹だったはずなのに、何であんなヘタレになってしまったのだろう。それも謎。
前畑滋子とその夫も苦手。滋子はちょっと頭が悪すぎる。なのにあの逆転ホームラン。納得行かない。夫もどうよ。調子が良すぎてゲンナリする。
塚田真一も途中までグニャグニャしてるけど、まあこれは若いからしょうがない。この子が周りの支えを得て成長するのを観るのは楽しかった。
そしてそんな塚田真一の正反対にいるのが樋口めぐみ。この話の中で「こんな奴おらんやろ」と思いつつ、だからこそ「居るかも…」と内心思えた。居るよな、きっと。
高井由美子、そもそもしっかり者の妹だったはずなのに、何であんなヘタレになってしまったのだろう。それも謎。
前畑滋子とその夫も苦手。滋子はちょっと頭が悪すぎる。なのにあの逆転ホームラン。納得行かない。夫もどうよ。調子が良すぎてゲンナリする。
塚田真一も途中までグニャグニャしてるけど、まあこれは若いからしょうがない。この子が周りの支えを得て成長するのを観るのは楽しかった。
そしてそんな塚田真一の正反対にいるのが樋口めぐみ。この話の中で「こんな奴おらんやろ」と思いつつ、だからこそ「居るかも…」と内心思えた。居るよな、きっと。