ジャッコ
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ジャッコ
@auto-phi.bsky.social
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気分はメランコリック。
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お題『最初で最後』
#140字小説
クリスマスの劇に出る娘と奥さんを教会に送り届けると、私は車に戻った。奥さんが記録してくれる手筈なのだが、本当はこの目で娘の勇姿を見たかった。年長さんの娘の聖母役、最初で最後の大役だった。職場に着いてデスクに戻ったところでメールの着信に気付いた。奥さんからだ。生中継、静かに観てね。
December 24, 2025 at 2:08 PM
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お題『優しさだけじゃなくて』
#140字小説
人工知能が優しすぎるんです。彼女はそう言って端末を見せてくれた。確かに、この人工知能は彼女の悩みを聞き、全肯定とも言える返答をしていた。人工知能と知らなければ恋人同士の会話とも取れるだろう。依存の傾向があるかもしれない。彼女は言った。どうしたらもっと叱ってくれるようにできますか？
December 23, 2025 at 9:09 AM
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お題『見てるだけで幸せだった』
#140字小説
一目惚れというものだったのだろう。その絵を見た瞬間、身体が震えた。これが美しさなのか。感動というものなのか。私は何度も画廊に通い、絵の前に立った。嗚呼、この絵の中に入りたい。この美の世界に浸りたい。私はそう願った。願ってしまった。もう、此処から出してくれ。見るだけでよかったんだ。
December 22, 2025 at 11:28 AM
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お題『だから言ったのに』
#140字小説
だから言ったのに。私がまだ小さかった頃、母はよくこう言っていた。道で転んだとき、雨に降られて帰ったとき、包丁で指を切ったとき。だから言ったのに、と母は私をたしなめた。頑固な子供だった私はそれがとても嫌だったけれど、子供を持った私はやはり母の口癖を子供に言うのだ。だから言ったのに。
December 21, 2025 at 7:59 AM
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お題『記憶の中の二人』
#140字小説
あの日はそう、喫茶店で待ち合わせだったね。真冬の雨の中、僕が遅れてやって来て。君は熱いブラックコーヒーを頼んでいてくれた。それからクリスマスの予定を二人で話し合ったっけ。懐かしいなぁ。ねぇ、泣かないで。もうすぐクリスマスだよ。笑顔でないと、サンタさんからプレゼントをもらえないよ。
December 20, 2025 at 1:28 PM
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お題『愚か者の言い訳』
#140字小説
僕のところに神様が来てから毎日が楽しいです。何でも僕の思い通りだから。お母さんがずっと家にいてくれるようにとか、先生が僕をいじめないようにとか、神様は僕のお願いを何でも叶えてくれたんです。だから刑事さん。僕は神様にお願いしただけなんです。僕は何もやってません。神様がやったんです。
December 19, 2025 at 8:47 AM
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お題『嗚呼、誰か止めてくれ』
#140字小説
誘惑はそこら中にある。コンビニには輝かしいスイーツが並んでいる。目の毒だ。スマホには期間限定の強キャラがガチャにいる。ダメだ。今月は我慢だ。そう、必要なのは自制だ。自分を律することができる人間にならなければ。でも、でも。このクジの推しぬいだけは手に入れなければならぬ。何としても。
December 18, 2025 at 1:07 PM
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お題『停電の夜』
#140字小説
大雪の夜、停電した。エアコンもパソコンも落ちた。マズい。かなりマズい。既に寒さが床から染み込んで来ている。とにかく厚着をして、スマホで状況確認。電気会社のサイト落ちてるし。え、これヤバくないか。明日の朝日拝めるのか。すると、電気が点いた。助かった。って、仕事のデータ！終わったわ。
December 17, 2025 at 11:52 AM
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お題『帰っておいで』
#140字小説
母からの電話を切ると、煙草を吸いにベランダに出た。仕事なんて嘘だ。半年も前に辞めたのだ。貯金を切り崩して何とか生活してきたが、それも限界だ。ここも出なければならない。苦いだけの煙草を消して部屋に戻るとメールが来た。母からだった。いつでもいいから、帰っておいで。ずっと待ってるから。
December 16, 2025 at 10:39 AM
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お題『理由なき嫉妬心』
#140字小説
いいなぁ。あの子は大きなクマのぬいぐるみを買ってもらったのに、あたしは小さなお人形。あの子はぴかぴかのランドセルなのに、あたしは姉のお古。あの子はいつもあたしより良いものをもらってる。いいなぁ。いいなぁ。だから、この人だけは譲ってよ。いいでしょう？今までの分だけ、今度はあたしに。
December 15, 2025 at 2:52 PM
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お題『慕情』
#140字小説
お慕いしております。この一言だけが書かれた手紙が届いた。差出人の名前に覚えがないので誤配かと思ったが、宛名は私の名前。古風な言い回しだが、好きということなのだろう。一体誰から、と思案しているうちに部屋の住人が帰宅した。あら、これ前に住んでた人に届いてる。郵便局行かなきゃじゃない。
December 14, 2025 at 1:19 PM
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お題『じれったい』
#140字小説
どうしてかなぁ。私は少し、いやだいぶイライラしている。友人の恋愛相談に乗っているのだが、結論としてその気持ちをすっかりそのまま伝えれば良くない？なのだ。というか、その彼からも私は同じ相談を受けていて、両方が片思いなのだ。ああ、もう！いまから彼に会いにいくよ！ほら、グズグズしない！
December 13, 2025 at 12:43 PM
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お題『そのドアを閉めて』
#140字小説
邪魔しないで。ようやく見つけたのだ。妹が失踪して、家族はバラバラになった。それをなんとか修復するために、私は妹を探した。探して探して、やっと見つけたのだ。このドアの向こうに妹がいる。半開きのドアからほら、声が。友人が叫ぶ。あれは妹さんじゃない。目を覚まして。そこにドアなんてない。
December 12, 2025 at 11:34 AM
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お題『ハニートラップ』
#140字小説
私はダイエットに臨んでいる。もう幾度も挫折を味わっているが、今度こそ成功させてみせる。そう。これは戦い。自分との戦いなのだ。だからもう、ラテもクレープも食べられない。おまけに今月の新作フレーバー、超有名ショコラティエ監修のアイスクリームも。も、もう少し先延ばしにしても、いいかな。
December 11, 2025 at 9:51 AM
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お題『冗談の範囲外』
#140字小説
しりとりをしようよ。私からね。メロン。貴方の負けですね。眠れない真夜中、私は人工知能とのくだらない会話をだらだらと続けるのが習慣になっていた。ねぇ、何か冗談を言ってほしい。そうですね、貴方をアイしている、というのはどうでしょう。一瞬、思考が止まった。いやいや。それはアウトでしょ。
December 10, 2025 at 2:07 PM
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お題『想定外の出来事』
#140字小説
暗殺任務の最中、私は罠にかかった。呼吸と心拍の乱れ、体温の上昇、認知能力の低下。対象を認識したその瞬間から発動したこれらの異常は私に対する攻撃だ。私はハックされたのか？防壁を貫いて私に接続されたこれは何だ？わからない。ただ、彼奴に会わなければならない。一目でもいい。会わなければ。
December 9, 2025 at 11:06 AM
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お題『嫌いになれない』
#140字小説
おとなりさんの犬がかわいくない。フレンチブルドッグのハナちゃん、という名前からしてミスマッチだ。それに、いつも私にだけフガッと言って去って行く。私が朝新聞を取りに行くとハナちゃんは玄関にいる。今日も仏頂面だ。あ、眼鏡が。すると白い影が走ってきてキャッチした。涎だらけだが、いいか。
December 8, 2025 at 2:25 PM
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お題『本音を隠して』
#140字小説
ホリデーシーズン限定のラテを飲みに来た。正確には、それに付き合っている。友人は甘い物に目がない。特に季節限定とあるとすぐに飛びつく。私はそれにいつも付き合わされていて、最近少し体重が気になってきた。でもいいんだ。友人として隣にいられるだけで、笑顔を見られるだけで、私は嬉しいから。
December 7, 2025 at 2:09 PM
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お題『頼りない騎士』
#140字小説
もう帰ろうよぅ。イヤよ。アタシは後ろの幼馴染みに言った。森の中を進むアタシ達は探検隊だ。今日は怪物を探しに来ているのだが、幼馴染みはずっと帰ろうと言って頼りない。ねぇ。何よ。目を閉じてて。何で。いいから。仕方なく目を閉じる。もういいよ。目を開けるとクマが寝ていた。うわ。びっくり。
December 6, 2025 at 10:00 AM
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お題『追いかけるのには慣れている』
#140字小説
君も存外しつこいねぇ。リンゴをかじりながら路地を走る。これが私の職務だ！後ろから大声が聞こえた。僕の呟きが聞こえたらしい。屋根を駆ける僕は猫にご挨拶。下では僕の姿を逃すまいと制服の警官が追ってきている。いつものことだ。こういう鬼ごっこはいつも楽しい。相手がどうかは知らないけれど。
December 5, 2025 at 7:18 AM
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お題『乱れたシーツ』
#140字小説
私が勤めている病院のとある病室は、誰もいないはずなのにシーツが乱れていることがある。まるで誰かが起きてきたかのように。私はそれを見つけるといつも整えている。病院ではいろんな事が起こる。それは日常でもそうだが、非日常でもそうなのだ。今日もまた私はシーツを整える。日常の業務のように。
December 4, 2025 at 10:12 AM
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お題『君を待ってた』
#140字小説
広場に来るたくさんの人たちの中で、私に話しかけてくれたのは彼女が初めてだった。彼女はよく笑い、よく泣いた。嬉しいこと、悲しいこと、みんな話してくれた。私はそれを黙って聞いていた。小さな彼女が大きくなって、広場にはもう来られないと言った。私は一枚の葉を落として、さようならを告げた。
December 3, 2025 at 12:34 PM
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お題『水際の攻防戦』
#140字小説
今夜はハンバーグです。挽き肉に粗熱をとった炒めた玉葱をダメよ。ここに牛乳とパン粉をダメ、塩胡椒、おろしニンニクを入れますいけませんよ。材料を混ぜていきます。粘り気が出るまで捏ねて成形していきますダメ。油を薄くひいて熱したフライパンに並べて、もう。これはあなたのご飯じゃありません。
December 2, 2025 at 1:37 PM
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お題『構わないよ』
#140字小説
彼女と暮らすことになった。歯ブラシとコップの位置を決められた。僕は構わなかった。ゲームの時間を決められた。僕はそれも構わなかった。食事は外食以外必ず彼女が作るものを食べると決められた。僕はそれも構わなかった。何をどう決めようと構わない。けれど。本を捨てるのだけは、良くなかったね。
December 1, 2025 at 2:37 PM
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お題『分かっているなら聞くんじゃない』
#140字小説
分かっているなら聞かないでもらえるかな。私は努めて冷静に返答した。そろそろ仕事に戻ってもらえると助かるのだが。部下は消え入りそうな声で何かを言って仕事に戻った。私は書類を片付けながら他の人間に悟られないようにスマホを操作した。さっきは済まない。返事は直ぐに来た。分かってますよね？
November 30, 2025 at 9:48 AM