(初期刀候補である俺をシール交換で選ぶとは物好きな審神者もいたものだな)
そんな本丸で国広を出迎えたのは優しそうな審神者と。
「おれこそが、ちょーぎがうったほんか、やまんばぎり!」
やたらと小さい己の本歌だった。人間でいうところの四歳児くらいだろうか。
「どうしたのかな?そんなにまじまじとみて」
どやっと自己紹介をする小さな本歌、山姥切長義。そんな長義を見て国広は思わず口走ってしまった。
「…なんだ…この…ちんちくりんは…?」
「!!」
その言葉に長義は深く深く傷ついてしまった。
「ほんかのことをちんちくりんとはなにごとだー!!」
(初期刀候補である俺をシール交換で選ぶとは物好きな審神者もいたものだな)
そんな本丸で国広を出迎えたのは優しそうな審神者と。
「おれこそが、ちょーぎがうったほんか、やまんばぎり!」
やたらと小さい己の本歌だった。人間でいうところの四歳児くらいだろうか。
「どうしたのかな?そんなにまじまじとみて」
どやっと自己紹介をする小さな本歌、山姥切長義。そんな長義を見て国広は思わず口走ってしまった。
「…なんだ…この…ちんちくりんは…?」
「!!」
その言葉に長義は深く深く傷ついてしまった。
「ほんかのことをちんちくりんとはなにごとだー!!」
(あいつが帰ってきたら相手してやってもいいかな)
などと考えていたら眠れなくなってしまった。何でこんな時に限って、と熱を持つ身体を無理矢理休ませようとするも上手くいかず、気がつくと朝になっていた。
(今日は朝から出陣の予定なのに)
眠れていない長義の顔は随分ひどいようで南泉や他の刀たちに心配される。
「問題ないよ」
何でもないふりをして出陣したが集中力の欠如が酷く、中傷を負ってしまい部隊は撤退を余儀なくされた。
(情けない…偽物くんのことなんかで…)
手入れ部屋で一振り残された長義は自分の情けなさに自暴自棄になっていた。
(あいつが帰ってきたら相手してやってもいいかな)
などと考えていたら眠れなくなってしまった。何でこんな時に限って、と熱を持つ身体を無理矢理休ませようとするも上手くいかず、気がつくと朝になっていた。
(今日は朝から出陣の予定なのに)
眠れていない長義の顔は随分ひどいようで南泉や他の刀たちに心配される。
「問題ないよ」
何でもないふりをして出陣したが集中力の欠如が酷く、中傷を負ってしまい部隊は撤退を余儀なくされた。
(情けない…偽物くんのことなんかで…)
手入れ部屋で一振り残された長義は自分の情けなさに自暴自棄になっていた。
後日。いい雰囲気になった二振り。しかし国広がそのド派手下着を履いていた為興醒めしてしまう長義。
「こんな時に履いてくるな」
「何がだ?」
「そんな趣味の悪いものを」
「ホンカが俺のために選んでくれた金色富士柄の下着だ。大切に履いてるんだ」嬉しそうに言う国広に本歌心が擽られるも腹がたったのでひん剥いた。
「何で似合ってるんだよ」
「え?」
後日。いい雰囲気になった二振り。しかし国広がそのド派手下着を履いていた為興醒めしてしまう長義。
「こんな時に履いてくるな」
「何がだ?」
「そんな趣味の悪いものを」
「ホンカが俺のために選んでくれた金色富士柄の下着だ。大切に履いてるんだ」嬉しそうに言う国広に本歌心が擽られるも腹がたったのでひん剥いた。
「何で似合ってるんだよ」
「え?」
「本歌!あんたの可愛いんまほっぺも腹を空かせているぞ!」
「これはんまほっぺの国広のものだから。偽物くんは厨にでも行ってくれば?」
「本歌ッッッッッ!」
「本歌!あんたの可愛いんまほっぺも腹を空かせているぞ!」
「これはんまほっぺの国広のものだから。偽物くんは厨にでも行ってくれば?」
「本歌ッッッッッ!」
「神が信仰を失い神格を落とした姿が妖であるとされている。じゃあ、刀の付喪神である俺たちは、神格を落としてしまったとき……何になるんだろうな」
長義は時たまそんな不安なことを口走る。国広はその問いに関して何も答えられない。明確な答えを持ち合わせていない。神性を持ちここに顕現している刀剣男士。その神性が穢れ薄れていくとき、自分たちは妖となるのか、はたまた、怪異と成り下がるのか。
「大丈夫だ本歌、そんなことにはならない。俺がさせない」
「……ただ純粋に沸いた疑問だ。真に受けないでくれるかな」
「そうだとしても俺は」
「神が信仰を失い神格を落とした姿が妖であるとされている。じゃあ、刀の付喪神である俺たちは、神格を落としてしまったとき……何になるんだろうな」
長義は時たまそんな不安なことを口走る。国広はその問いに関して何も答えられない。明確な答えを持ち合わせていない。神性を持ちここに顕現している刀剣男士。その神性が穢れ薄れていくとき、自分たちは妖となるのか、はたまた、怪異と成り下がるのか。
「大丈夫だ本歌、そんなことにはならない。俺がさせない」
「……ただ純粋に沸いた疑問だ。真に受けないでくれるかな」
「そうだとしても俺は」
「偽物くんは耳が弱いんだね」
耳元でぼそりと囁くと、急に視界が暗転した。肩を掴まれて畳に身体を押し付けられ、身動きがとれない。とうの国広は眉を顰めながら「おいたが過ぎるぞ、長義」と不敵に笑いマウントをとる。それに気付いた長義は血の気が引いていく。形勢逆転されてしまいここからどう逃げるか必死に考える長義だった。
「偽物くんは耳が弱いんだね」
耳元でぼそりと囁くと、急に視界が暗転した。肩を掴まれて畳に身体を押し付けられ、身動きがとれない。とうの国広は眉を顰めながら「おいたが過ぎるぞ、長義」と不敵に笑いマウントをとる。それに気付いた長義は血の気が引いていく。形勢逆転されてしまいここからどう逃げるか必死に考える長義だった。
(確かにこんなに喉が痛かったら食事も喉を通らないだろうな…)
結局夕食も食べず自室で休んでいた。
(確かにこんなに喉が痛かったら食事も喉を通らないだろうな…)
結局夕食も食べず自室で休んでいた。
セミの抜け殻を見つけたら「すごいね、よく見つけたね」と長義に褒めてもらってニッコニコの国広。
後日、たくさん集めたセミの抜け殻を長義に見せたくて長義が寝てる間に枕元にたくさん並べる国広。早朝、長義の悲鳴が響き渡る――
セミの抜け殻を見つけたら「すごいね、よく見つけたね」と長義に褒めてもらってニッコニコの国広。
後日、たくさん集めたセミの抜け殻を長義に見せたくて長義が寝てる間に枕元にたくさん並べる国広。早朝、長義の悲鳴が響き渡る――
あの監査官が自身の本歌であることは本能で分かっていた。しかし恐ろしかった。今の立場ではそれ以上の接触はない。しかし、もしも目の前に立たれてしまったら?
あの監査官が自身の本歌であることは本能で分かっていた。しかし恐ろしかった。今の立場ではそれ以上の接触はない。しかし、もしも目の前に立たれてしまったら?
突然の出来事に混乱する審神者。短刀たちのお陰でとある地下にあるオークション会場にいるということが分かり、部隊は国広を救出するためにそこへ向かうこととなった。
「どうしよう……もしも他の人に山姥切国広が買われてしまったら…」
顔面蒼白な審神者を宥めつつ、部隊長の長義は真顔で会場入り口にいる黒服たちをみねうちで黙らせて中へ突入していく。奥ではすでにオークションが始まっており、舞台の上には椅子に座らされた国広の姿があった。
「こちらはかの名刀、山姥切国広!練度も高い刀剣男士です!さあまずは1000万小判から!」
突然の出来事に混乱する審神者。短刀たちのお陰でとある地下にあるオークション会場にいるということが分かり、部隊は国広を救出するためにそこへ向かうこととなった。
「どうしよう……もしも他の人に山姥切国広が買われてしまったら…」
顔面蒼白な審神者を宥めつつ、部隊長の長義は真顔で会場入り口にいる黒服たちをみねうちで黙らせて中へ突入していく。奥ではすでにオークションが始まっており、舞台の上には椅子に座らされた国広の姿があった。
「こちらはかの名刀、山姥切国広!練度も高い刀剣男士です!さあまずは1000万小判から!」
「凄い。絵になっても本歌は美しいな…」
美しい長義の絵を楽しみながら読み始めたが、開始2ページ目で見知らぬモブのおぢが出てきてしまい思考が停止する国広。
更にページをめくるとあられもない姿の長義がおぢに「もてあた」しているとんでもない絵が出てきてしまい、ショックでその場にぶっ倒れる。凄い音がしたので審神者が慌てて駆けつけると「ええ…なんでそんな本を買ったんだ…?」と思われつつ、本人の名誉のために本は隠され、とりあえず手入れ部屋に連行されることとなった。
「凄い。絵になっても本歌は美しいな…」
美しい長義の絵を楽しみながら読み始めたが、開始2ページ目で見知らぬモブのおぢが出てきてしまい思考が停止する国広。
更にページをめくるとあられもない姿の長義がおぢに「もてあた」しているとんでもない絵が出てきてしまい、ショックでその場にぶっ倒れる。凄い音がしたので審神者が慌てて駆けつけると「ええ…なんでそんな本を買ったんだ…?」と思われつつ、本人の名誉のために本は隠され、とりあえず手入れ部屋に連行されることとなった。
「偽物くん?」
そう声をかけられ、国広は咄嗟に折れた同位体に成りすましてしまった。長義は気付いていないようで、優しく話しかけてくる。
「偽物くん?」
そう声をかけられ、国広は咄嗟に折れた同位体に成りすましてしまった。長義は気付いていないようで、優しく話しかけてくる。
「全く、一文字則宗も面倒な仕事を押し付けてくる」
「そう言うな本歌、宿があるだけマシだろう」
ガタガタと荒れた道をマイクロバスが進んでいく。よほど道が悪いのだろう、振動が椅子から伝わってくる。最寄りの駅からバスに揺られて数時間、ようやく目的の場所が見えてきた。
「あれが」
「ああ、■■■村だ」
終点にてバスが停まる。乗客は国広と長義だけだ。運賃箱に小銭をチャリンと入れるも運転手は会釈もしない。それは構わないのだが、降り立った場所から宿までは三十分ほど歩く必要があった。
「田舎、だな」
「ああ。自然に囲まれた良い場所だと思う」
「全く、一文字則宗も面倒な仕事を押し付けてくる」
「そう言うな本歌、宿があるだけマシだろう」
ガタガタと荒れた道をマイクロバスが進んでいく。よほど道が悪いのだろう、振動が椅子から伝わってくる。最寄りの駅からバスに揺られて数時間、ようやく目的の場所が見えてきた。
「あれが」
「ああ、■■■村だ」
終点にてバスが停まる。乗客は国広と長義だけだ。運賃箱に小銭をチャリンと入れるも運転手は会釈もしない。それは構わないのだが、降り立った場所から宿までは三十分ほど歩く必要があった。
「田舎、だな」
「ああ。自然に囲まれた良い場所だと思う」
「本歌…今日の約束は…?」
「何かな偽物くん。俺となにか約束でもしていたのかな?」
キョトンとしている長義は嘘をついているようには見えない。
「いや、なんでもない」
万屋へ行こうと言い出したのは長義だった。非番の日を合わせ、毎朝顔を合わせるたびに「忘れるなよ」と言われていた。そんな長義が約束を忘れるなど考えられない。本人の性格的にも約束を違うことはしない。
「本歌…今日の約束は…?」
「何かな偽物くん。俺となにか約束でもしていたのかな?」
キョトンとしている長義は嘘をついているようには見えない。
「いや、なんでもない」
万屋へ行こうと言い出したのは長義だった。非番の日を合わせ、毎朝顔を合わせるたびに「忘れるなよ」と言われていた。そんな長義が約束を忘れるなど考えられない。本人の性格的にも約束を違うことはしない。
(本歌に食べてもらいたい)
何故かそう思った。国広は本丸に帰ると厨でお茶を淹れて長義の部屋へ向かう。時間的には内番が終わり部屋で休んでいるはずだ。
「本歌、今いいだろうか」
部屋の前で声をかけると中から返事が聞こえた。
「何の用かな、偽物くん」
「あんたに食べてもらいたいものがあるんだ。茶も持ってきた。……入っても良いだろうか」
しばらくの沈黙の後、中から「いいよ」と短い返事が返ってきた。国広は口元を緩ませながら部屋に入った。
(本歌に食べてもらいたい)
何故かそう思った。国広は本丸に帰ると厨でお茶を淹れて長義の部屋へ向かう。時間的には内番が終わり部屋で休んでいるはずだ。
「本歌、今いいだろうか」
部屋の前で声をかけると中から返事が聞こえた。
「何の用かな、偽物くん」
「あんたに食べてもらいたいものがあるんだ。茶も持ってきた。……入っても良いだろうか」
しばらくの沈黙の後、中から「いいよ」と短い返事が返ってきた。国広は口元を緩ませながら部屋に入った。
「はあ?じゃあ何で俺と恋仲になってるんだよ」とキレた長義が「別れるぞ」と高圧的に詰め寄る。
「別れる?どういうことだ?」
「脳みそ詰まっているのかな?中身空っぽ?恋仲止めるって言ってるんだ。他所の本歌さまにご執心なんだろ?さっさとどっかへ行ってしまえ」
そのことばにプッツンした国広が、自分より噂を信じたことが許せずにいかに自分が長義を好きか、その身を以て分からせる夜。
「はあ?じゃあ何で俺と恋仲になってるんだよ」とキレた長義が「別れるぞ」と高圧的に詰め寄る。
「別れる?どういうことだ?」
「脳みそ詰まっているのかな?中身空っぽ?恋仲止めるって言ってるんだ。他所の本歌さまにご執心なんだろ?さっさとどっかへ行ってしまえ」
そのことばにプッツンした国広が、自分より噂を信じたことが許せずにいかに自分が長義を好きか、その身を以て分からせる夜。
主に言われて「写真を撮ることが任務なのか?」と疑問に思いつつ、任務完了後は好きに過ごしていいと言われたのでさっさと終わらせようと目的地に向かった国広と長義の二振り。
「なんで俺が偽物くんなんかと」
「主命なんだ。俺に言われても困る」
さくっと転移して目的地へ向かう。ただの観光地のようで遡行軍の気配はない。
「あの置物がある位置で写真を撮ればいいんだな」
「まったく。主は何を考えているんだか」
文句を言いつつちらっとオブジェの横にある看板を見た長義は目を丸くした。
主に言われて「写真を撮ることが任務なのか?」と疑問に思いつつ、任務完了後は好きに過ごしていいと言われたのでさっさと終わらせようと目的地に向かった国広と長義の二振り。
「なんで俺が偽物くんなんかと」
「主命なんだ。俺に言われても困る」
さくっと転移して目的地へ向かう。ただの観光地のようで遡行軍の気配はない。
「あの置物がある位置で写真を撮ればいいんだな」
「まったく。主は何を考えているんだか」
文句を言いつつちらっとオブジェの横にある看板を見た長義は目を丸くした。
「何を見ているのかな?」
「先日特別に展示された長義の刀、綾波長義というらしい」
「へえ」
「あんたは苛烈で凶暴(※褒めてる)だが、もしこの刀が顕現したら大人しく物腰も柔らかそうだと思った」
「へえ、そお、ふぅん?」
「何故刀を構えているんだ?本歌?」
「何を見ているのかな?」
「先日特別に展示された長義の刀、綾波長義というらしい」
「へえ」
「あんたは苛烈で凶暴(※褒めてる)だが、もしこの刀が顕現したら大人しく物腰も柔らかそうだと思った」
「へえ、そお、ふぅん?」
「何故刀を構えているんだ?本歌?」
ずっと長義に「可愛い可愛い」と言われてきたので「国広、おいで」って言われても反応しない国広。もしかして、と思い「可愛い俺の写し」と呼んだらぱっと目を輝かせて振り返った。「もしかして自分の名前を可愛いだと思ってるのかな?」と国広の可愛さに悶絶する長義。
そうして今。
江雪左文字から「とても可愛がられていたんですよ」と話を聞かされてむず痒くなる国広。
ずっと長義に「可愛い可愛い」と言われてきたので「国広、おいで」って言われても反応しない国広。もしかして、と思い「可愛い俺の写し」と呼んだらぱっと目を輝かせて振り返った。「もしかして自分の名前を可愛いだと思ってるのかな?」と国広の可愛さに悶絶する長義。
そうして今。
江雪左文字から「とても可愛がられていたんですよ」と話を聞かされてむず痒くなる国広。
とある訳ありの山姥切。人為的に極となったため、本丸の所属が難しいと判断された。その際現世で怪異を斬るという任務を与えられ政府管轄の怪異課に所属することになった。
二振りに確執はなく、現世のとある街にあるとあるアパートで人に紛れて暮らしている。日が落ち夜が更けると怪異を斬るため街に繰り出す。
とある訳ありの山姥切。人為的に極となったため、本丸の所属が難しいと判断された。その際現世で怪異を斬るという任務を与えられ政府管轄の怪異課に所属することになった。
二振りに確執はなく、現世のとある街にあるとあるアパートで人に紛れて暮らしている。日が落ち夜が更けると怪異を斬るため街に繰り出す。
「店内でお召し上がりですか?」と聞かれて真顔で「ていくおふで頼む」と返答する国広。隣で唖然としている長義。
「店内でお召し上がりですか?」と聞かれて真顔で「ていくおふで頼む」と返答する国広。隣で唖然としている長義。