水木ナオ
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#140字小説 タグで呟く超短編小説中心の創作専用アカウントです。超短編小説レーベル『nanovel』執筆陣に参加。 Twitter小説大賞 第2回優秀賞、第3回佳作授賞、講談社KK文庫『こわい!赤玉』掲載など。創作物の無断転載・改変はお断り致します。
悪霊が夜な夜な枕元に立つので祓ってほしい、と王に呼び出された。私は腕が良いので、悪しきものを滅するのは簡単なのだが、一目であれは無理だと悟った。さあて、なんて王に説明すべきか。あれは聖なるものであり、あれこそが悪しき王を滅するために毎夜呪詛を吹き込んでいるのだと。 #140字小説
February 16, 2026 at 11:01 AM
お前、渓流釣りに行ったんだって?俺も昔、山釣りに行ったんだ。嘘みたいに釣れてさ、でも全部目が潰れてたんだ。怖くて皆逃したんだけど、あれ、山の神が自分の物だって付けた印なんだってな。持ち帰ってたらどうなってたかな。焼魚を箸で突きながら笑うと、後輩の顔がみるみる青ざめる。 #140字小説
February 15, 2026 at 11:01 AM
伝説の剣? 今も使ってますよ。魔王を倒した後でも、何かと便利なんですよねこれ。外出の時は家の扉の前に突き刺しておけば、選ばれし者しか抜けないので扉を開くことができず鍵代わりになるし、野菜も悪くなった部分だけ、勝手に切り分けてくれますし。転職できないのが難点ですけどねえ。 #140字小説
February 13, 2026 at 10:50 AM
毎日届く、そのメールは、読まれることなく迷惑フォルダに収納される。なんなら送られる全員が迷惑メール設定しているので、誰にも読まれていない。流石に送信者が哀れと思いきや、とっくに人類はいないので自動配信設定で送り続けられているだけという。誰も気が付かない、傷付かない話。 #140字小説
February 12, 2026 at 10:20 AM
「この作品を書いたのは僕なのだから、作品の権利は当然僕のものだ!」「だが君は、私の"創作意欲"を貸りるまで、ただ寝て暮らしているだけだった。私の創作意欲がなければ、この作品は生まれなかった!」世紀のベストセラーとなった作品に勃発した争いに、さて、裁判長が下した判決は。 #140字小説
February 11, 2026 at 11:08 AM
常勝不敗の我が将は、酒が入ると面倒だ。鼻をすすり、今夜も語るは亡くした愛馬の話。「戦場を駆ける我らに敵はいなかった。最高の相棒だった」そして必ず、「お前は目が奴に似ている。足は遅いが」と笑うのだ。どうか許してほしい、私は脚と引き換えに、人として共に戦う事を選んだのだ。 #140字小説
February 10, 2026 at 11:50 AM
王の在位五十年を称える祝典の裏で、王は魔女に詰め寄った。「私は国を守った。約束だ、私の乳母を返せ!」魔女はニヤニヤ笑って言う。「あんな頼りなかった王子がねえ、父王が急に死んでおろおろしてたのに、たかが乳母ひとりの為に、必死で、本当に……よく、頑張りましたね」我が王子。 #140字小説
February 9, 2026 at 11:42 AM
かみさんとの馴れ初め?あれは人でも何でも化けるのが上手くてな、色々化け続けてるうちに、自分が本当は何なのかを忘れちまったんだ。それで化物だって石投げられて、傷だらけで泣いてたのを俺が介抱してやってから、最後に化けたのがあれなのさ。かみさん、神さん?どちらでも一緒さ。 #140字小説
February 8, 2026 at 11:58 AM
屋根裏からこんばんは、忍者です。「お代官様こちら、桃色の菓子にございます」「ニャー」「おお、これは見事な桃色の肉球…!」「心ゆくまでぷにぷにと」ガタッあっしまった!「むむっ何奴!」「に、にゃーん」「わっ猫だ!ものども出合え!探し出して丁重に連れて参れ!」あー逆効果! #140字小説
February 7, 2026 at 12:21 PM
「やあ、これは」「貴方も遂に」「親衛隊が寝返りまして」「うちは民衆が……」世界中で沸き起こった独裁者追放の動きにより、今ここに、国を追われた独裁者達が集結しつつあった。「こりゃ国一つ出来そうですなあ、ははは」「ははは。では統治者が必要ですな」ぴたりと笑い声が止まる。 #140字小説
February 6, 2026 at 12:20 PM
僕はクラスで一番物覚えが悪かった。だからあの日、先生が「今日は教えた事全てを忘れる授業をします」と言ったことも、目が虚ろになっていく皆に先生が「最後に私のことも忘れましょう」と微笑んだことも、そして最後は両脇を抱えられ教室から連れ出されたことも、全部忘れられずにいる。 #140字小説
February 5, 2026 at 10:31 AM
百貨店で駅の忘れ物市が開かれていた。電車の忘れ物で、保管期限切れのものを安く売るのだ。悪くないな、と見ていると「こちらはいかがですか?」髪を撫で付けた紳士が話し掛けてきた。「あ、いい傘ですね」「いえ、私を」「え?」彼が指差した看板の隅には、『同時開催 百貨店の迷子市』 #140字小説
February 4, 2026 at 11:29 AM
幼い頃、外で震えていたのをつい招き入れてから。毎年節分は、鬼が俺の部屋に来る。「一日だけ来るのめんどくない?」「え〜じゃあ住んじゃう?でもこの部屋片付き過ぎててなあ、少し雑なくらいのが居心地いいんだよな」誰の為に掃除してたと、と舌打ちしながら今年は前夜に部屋を荒らす。 #140字小説
February 3, 2026 at 11:30 AM
齢十二にして、神隠しに遭うこと既に十度余り。その少年はおよそ一月余り、姿を消しては戻ってくる。牢に閉じ込めても忽然と姿を消すので、余程神に愛されているのだろうと、もはや人はみな少年を恐れて避ける。少年は神を呪う、愛しているならどうして連れ去ったままにしてくれないの。 #140字小説
February 2, 2026 at 12:52 PM
世界各地で大量発掘された化石に、人々は首を捻った。ほとんどが完全な姿のまま、だがまさか、誰かが捏造したのでは、いやこれ程の量を出来る訳が。検証を重ね、遂に結論が出た。「これらは本物の、天使の化石だ」そして人々は悲しみに暮れた。「そうか、天使は既に絶滅していたのか」 #140字小説
February 1, 2026 at 9:23 AM
お前、自分は嫌われていると思ってるじゃん。そうだよ、お前の想像以上に、たくさんの人間に嫌われているよ。そう言ってけらけら笑う彼を見つめて、サトリの私が『だから俺にしときなよ?』と、目を逸らさずに彼の心を読み上げれば、みるみる真っ赤に染まる、天邪鬼の彼の顔。 #140字小説
January 30, 2026 at 10:32 AM
結論からいうと君は病んだわけではない。突然あらゆる街頭ビジョンが、奇妙な記号を映し始めたのだろう?なのに周りの皆には普通にCMやニュースが見えている。記号が見えるのは自分だけ。自分はおかしくなったのか、と医療機関を訪れる者を世界は待っていた。おめでとう、選ばれし者よ。 #140字小説
January 28, 2026 at 10:34 AM
犬を捨てることにした。長らく一緒に暮らしていたけど、一緒に連れていけない。他に飼主を探す時間もなかったが、強く生き抜いてくれるだろう。なにも知らずに尻尾を振る犬を、おいで、と抱きしめる。眠ったのを確認し、そっと脱出ポッドに入れて扉を締める。どこかの星で、お前だけでも。 #140字小説
January 27, 2026 at 11:30 AM
ふと夜空を見上げれば、そこに流れる一筋の流れ星。あっあっ何か願い事を、えーとえーと、あああどうしよう消えちゃう消えちゃう、なんでもいいから何か、待って待ってまだ、「消えないで!」それから一年経ちましたが、流れ星は変わらず空に輝いています。願いって本当に叶うんだね畜生。 #140字小説
January 26, 2026 at 11:36 AM
野良猫は楽して魚を食べたいと、動物園で独りぼっちのペンギンを連れ出した。「さあ魚を獲れ」と言うと、「泳いだことがなくて」かくして特訓の日々が始まる、共に食べ共に眠り、苦労を分かち合い、ついにペンギンが初めて魚を獲った時は抱き合って喜び、末永く仲良く暮らしましたとさ。 #140字小説
January 25, 2026 at 12:00 PM
前と同じ毛皮にして頂戴、と告げるとテーラーは目を丸くした。「皆様、前より良い物を選びますよ?」「いいの。あれを着ていた私を、あの人は愛していたのだから」毛皮を着替え、私は愛しい人に逢いに行く。「この子猫、三毛の柄が死んだマルにそっくり……うちの子になるか?」「にゃあ」 #140字小説
January 23, 2026 at 1:14 PM
泣いている女性にハンカチを差し出した。「大丈夫、推しが引退するだけなんで」と、小さい声で呟く。「全然"だけ" じゃないでしょう?」温かいお茶を買って渡す。「幸せになるならいいと思ってたのに、こんなに寂しいなんて」分かる、私もそうだった。復讐を遂げ、使役を解いた我が主に。 #140字小説
January 22, 2026 at 11:48 AM
永き平和な治世の祝いの場、一人の男が王の前に進み出た。「私は催眠術師です」「ほう、我に催眠術を掛けるか」「王に我が術は掛かりますまい」「謙遜はいらぬ」「先に今の術を解かなければ」「は」「君の治世の才で国は安定した。そろそろ家族の所に帰りたまえ」ぱん、と男が手を打った。 #140字小説
January 21, 2026 at 11:52 AM
家でweb会議中、「資料忘れた」と席を外した課長。やがてひょいと画面に猫が現れた。んなぁとカメラ目線で、皆が「猫?」と叫ぶと逃げてしまい。しばらくして、やあうっかり、と課長が戻った。「課長、猫飼ってたんですね!」皆可愛いとばかりいうが、尻尾……二股だったな?もしや、課長? #140字小説
January 19, 2026 at 1:20 PM
見知らぬ男が坊ちゃんを抱えて車に乗り込もうとする。怪我をしていたぼくを拾ってくれた坊ちゃん。散歩が終わったら、新しい首輪に替えようねと笑っていたのに。めりめりと、車の扉を引き裂いたぼくに、男がひっと声を失う。坊ちゃん、ぼくは、――私はずっと君の可愛い仔犬でありたかった。 #140字小説
January 18, 2026 at 11:19 AM