近・現代俳人の秀句鑑賞本。私はいわゆる「句集」や識者によるガイドも読むが、どちらかというと忌憚のない感想や好事家が集まっていろいろ言い合う体の本が好みなので、そういう味のある本書はたいへん楽しめた。思ったこといろいろ言いたい(笑)。
近・現代俳人の秀句鑑賞本。私はいわゆる「句集」や識者によるガイドも読むが、どちらかというと忌憚のない感想や好事家が集まっていろいろ言い合う体の本が好みなので、そういう味のある本書はたいへん楽しめた。思ったこといろいろ言いたい(笑)。
小型・薄手の写真集。あべのハルカスのある風景を日常として生活しているものにとって、ものすごく楽しめた1冊。あのあたりから撮ってるなーということがわかるだけに、それぞれの写真が撮影された季節や天候とあいまって、あーこの時、確かにここで暮らしていたのだなという実感する。ハルカスを主題に、生活によりそった良い写真集。
小型・薄手の写真集。あべのハルカスのある風景を日常として生活しているものにとって、ものすごく楽しめた1冊。あのあたりから撮ってるなーということがわかるだけに、それぞれの写真が撮影された季節や天候とあいまって、あーこの時、確かにここで暮らしていたのだなという実感する。ハルカスを主題に、生活によりそった良い写真集。
辞典として、実際に役立つようなものではない。また、覚えるほど読んだと思っていた小説(『吾輩は猫である』とかね)も、言葉だけを取り上げられるとどういう文脈だったか記憶が心許ない。
しかし、パラパラ見ていてこんなに楽しい本もめったにないんじゃないかな。いちいち「ほぉ~」と感心の声が出る。原典に当たるために、だいぶ青空文庫で検索かけた。
辞典として、実際に役立つようなものではない。また、覚えるほど読んだと思っていた小説(『吾輩は猫である』とかね)も、言葉だけを取り上げられるとどういう文脈だったか記憶が心許ない。
しかし、パラパラ見ていてこんなに楽しい本もめったにないんじゃないかな。いちいち「ほぉ~」と感心の声が出る。原典に当たるために、だいぶ青空文庫で検索かけた。
「吾輩は猫である」が好きな人間にとっては特別な俳人である安藤橡面坊。迷亭くんが越智東風くんを伴って洋食を食べに行く際に「トチメンボー」として登場する。
日本派の純客観的写生主義の句でくせがなく、妙な俳号とうらはらに俳句自体はすんなりと楽しめる。
大阪にいたこともあったようなので、ここに出てくる「松虫塚」は大阪市阿倍野区の松虫にあるあの松虫塚なのだろうか。松虫通をぶちぬいた工事の際にも、何とか残されていますよ、歩道はかなり狭くなったけど。
「吾輩は猫である」が好きな人間にとっては特別な俳人である安藤橡面坊。迷亭くんが越智東風くんを伴って洋食を食べに行く際に「トチメンボー」として登場する。
日本派の純客観的写生主義の句でくせがなく、妙な俳号とうらはらに俳句自体はすんなりと楽しめる。
大阪にいたこともあったようなので、ここに出てくる「松虫塚」は大阪市阿倍野区の松虫にあるあの松虫塚なのだろうか。松虫通をぶちぬいた工事の際にも、何とか残されていますよ、歩道はかなり狭くなったけど。
古書店でなんとなく手にした。読まれる機会に反して論じられる機会が少ない夏目漱石の「坊っちゃん」という小説が中学生にどうとらえられていたかを、アンケートや読書感想文の傾向などから探っている。これが実に面白い。
発行が1980年、今から45年前である。示されるいろんな結果や傾向に「へえ~…」と思いつつ、令和の現代「坊っちゃん」なり漱石作品って中学生にどれくらい読まれてるのか、そっちが気になった。
古書店でなんとなく手にした。読まれる機会に反して論じられる機会が少ない夏目漱石の「坊っちゃん」という小説が中学生にどうとらえられていたかを、アンケートや読書感想文の傾向などから探っている。これが実に面白い。
発行が1980年、今から45年前である。示されるいろんな結果や傾向に「へえ~…」と思いつつ、令和の現代「坊っちゃん」なり漱石作品って中学生にどれくらい読まれてるのか、そっちが気になった。
『漱石くまもとの句 200選』 坪内稔典
以前熊本に旅行したとき、長崎次郎書店で買った。稔典先生の言いたい放題のコメントが楽しい、教師&俳人時代の漱石の句集。
『漱石くまもとの句 200選』 坪内稔典
以前熊本に旅行したとき、長崎次郎書店で買った。稔典先生の言いたい放題のコメントが楽しい、教師&俳人時代の漱石の句集。
『漱石くまもとの句 200選』 坪内稔典
以前熊本に旅行したとき、長崎次郎書店で買った。稔典先生の言いたい放題のコメントが楽しい、教師&俳人時代の漱石の句集。
『漱石くまもとの句 200選』 坪内稔典
以前熊本に旅行したとき、長崎次郎書店で買った。稔典先生の言いたい放題のコメントが楽しい、教師&俳人時代の漱石の句集。
ど どんぐり 寺田寅彦/中谷宇吉郎
く 黒と白の猫 小沼丹
し シャーリー 森薫
よ 夜の蝉 北村薫
の ノリーのおわらない物語 ニコルソン・ベイカー
あ 阿房列車 内田百閒
き 北は山、南は湖、西は道、東は川 クラスナホルカイ・ラースロー
ど どんぐり 寺田寅彦/中谷宇吉郎
く 黒と白の猫 小沼丹
し シャーリー 森薫
よ 夜の蝉 北村薫
の ノリーのおわらない物語 ニコルソン・ベイカー
あ 阿房列車 内田百閒
き 北は山、南は湖、西は道、東は川 クラスナホルカイ・ラースロー
落語速記と文学との関係のとどまらず、その周辺のダイナミックな動きを語るエンタメ一大絵巻。しかも語り口の面白いこと!ちょくちょく挟まれるツッコミや本音(安藤鶴夫への「思うところ」(笑))がおかしくて。
演芸速記黎明期、特に速記者側の話なんて初めて聞いたし、黒岩涙香から乱歩にいたる流れはNHKカルチャーラジオでの風間賢二氏の講座を思い出す。明治から昭和にかけてのエンタメ文学の大きなうねりが見えるようでめちゃくちゃ面白い!
落語速記と文学との関係のとどまらず、その周辺のダイナミックな動きを語るエンタメ一大絵巻。しかも語り口の面白いこと!ちょくちょく挟まれるツッコミや本音(安藤鶴夫への「思うところ」(笑))がおかしくて。
演芸速記黎明期、特に速記者側の話なんて初めて聞いたし、黒岩涙香から乱歩にいたる流れはNHKカルチャーラジオでの風間賢二氏の講座を思い出す。明治から昭和にかけてのエンタメ文学の大きなうねりが見えるようでめちゃくちゃ面白い!
100分de名著テキストの単行本化。ラッセルの幸福論についてのざっくりとした紹介としては、とてもわかりやすい。想像するに既読のアランの幸福論よりも、このラッセルの幸福論の方が、普段の私自身の考え方に近そうだ。ともあれ本体を読まななー。残りの1冊、ヒルティの幸福論は多分読まない。長いもん。
100分de名著テキストの単行本化。ラッセルの幸福論についてのざっくりとした紹介としては、とてもわかりやすい。想像するに既読のアランの幸福論よりも、このラッセルの幸福論の方が、普段の私自身の考え方に近そうだ。ともあれ本体を読まななー。残りの1冊、ヒルティの幸福論は多分読まない。長いもん。
著者の「専門の研究者ではない一人の言語好き」という立場ならではの、幅広い言語学の話が繰り広げられる。楽しい。素人向け言語学本によくあるネタではなく、独自の研究や体験に基づいた話に感心。
リモート飲み会の話で思ったが、テレビの自転車ロードレースはコロナ禍以降リモート解説が増えた。いろいろな人に解説を頼めるし、コストもかからないのだろう。が、スタジオにいる実況とのやりとりに妙な間が開いたり言葉がかぶることが多く圧倒的に聞きづらい。なんとかならんか、あれ。
著者の「専門の研究者ではない一人の言語好き」という立場ならではの、幅広い言語学の話が繰り広げられる。楽しい。素人向け言語学本によくあるネタではなく、独自の研究や体験に基づいた話に感心。
リモート飲み会の話で思ったが、テレビの自転車ロードレースはコロナ禍以降リモート解説が増えた。いろいろな人に解説を頼めるし、コストもかからないのだろう。が、スタジオにいる実況とのやりとりに妙な間が開いたり言葉がかぶることが多く圧倒的に聞きづらい。なんとかならんか、あれ。
待望の第2弾。待ってた!ホント適度な短さの、気の利いたコラム集。今回はルーカスとミルンによいものが多かった。リンドの「論争好き」や「思うだに震える」は、同感であり過ぎて面白いですまなかったり。また各編に訳者によるコメントがあって楽しめる。(ときに、蛇足では?ってのもあるが)きっと折につけ再読するわ、この本。
待望の第2弾。待ってた!ホント適度な短さの、気の利いたコラム集。今回はルーカスとミルンによいものが多かった。リンドの「論争好き」や「思うだに震える」は、同感であり過ぎて面白いですまなかったり。また各編に訳者によるコメントがあって楽しめる。(ときに、蛇足では?ってのもあるが)きっと折につけ再読するわ、この本。
相変わらず上から目線ですぐにいらだちを顔に出す可愛げのないスーパー弁護士フィデルマだが、卑劣な犯罪者への容赦のない裁量は胸がすくようだ。ただ、頼りないただの関係者への尋問は、もうちょっと手心を加えてください。(笑)
今回の謎はどれも想像がつきやすいものだったが、ちゃんとアイデアがあるうえに何より読みやすい。知らん国の知らん時代の話なのに、話がするする入ってくる。過去作もそうだが、各短編ごとに登場人物や舞台、展開がうまく整理されている。訳もよいのだと思う。
相変わらず上から目線ですぐにいらだちを顔に出す可愛げのないスーパー弁護士フィデルマだが、卑劣な犯罪者への容赦のない裁量は胸がすくようだ。ただ、頼りないただの関係者への尋問は、もうちょっと手心を加えてください。(笑)
今回の謎はどれも想像がつきやすいものだったが、ちゃんとアイデアがあるうえに何より読みやすい。知らん国の知らん時代の話なのに、話がするする入ってくる。過去作もそうだが、各短編ごとに登場人物や舞台、展開がうまく整理されている。訳もよいのだと思う。
倒叙のラジオドラマ用クイズ的ミステリ短編集。謎解き部分は時代やお国柄のせいでわかりづらかったり、図が欲しいと思うものが多い。それより物語部分がけっこう雑で、遺産目当てで伯父を殺すとか、金貸しやゆすり屋を殺すとかそんなのばっかり。「そこはそれでええねん!」て感じが逆に笑える。
倒叙のラジオドラマ用クイズ的ミステリ短編集。謎解き部分は時代やお国柄のせいでわかりづらかったり、図が欲しいと思うものが多い。それより物語部分がけっこう雑で、遺産目当てで伯父を殺すとか、金貸しやゆすり屋を殺すとかそんなのばっかり。「そこはそれでええねん!」て感じが逆に笑える。
御用の伝兵衛の頭も切れるし腕も立つ、実務をこなす感じが、アーチー・グッドウィン的で面白い。ラス前の短編でいきなり出てきて探偵役を張るお才もたいそう魅力的なキャラで、著者も源内・伝兵衛路線よりこっちのほうがいいな~と思ったんじゃないかと想像したり(笑)。
御用の伝兵衛の頭も切れるし腕も立つ、実務をこなす感じが、アーチー・グッドウィン的で面白い。ラス前の短編でいきなり出てきて探偵役を張るお才もたいそう魅力的なキャラで、著者も源内・伝兵衛路線よりこっちのほうがいいな~と思ったんじゃないかと想像したり(笑)。
第一部名言篇は、宮下訳の「エセー」からの抜き出し。ぶつ切り感は否めないが、元が元なだけにこういうのもありか。ただ、テーマに合わせていろんな章から集めているものと、一つの章から連続して取り上げているものは性質が違うのでは。
第一部名言篇は、宮下訳の「エセー」からの抜き出し。ぶつ切り感は否めないが、元が元なだけにこういうのもありか。ただ、テーマに合わせていろんな章から集めているものと、一つの章から連続して取り上げているものは性質が違うのでは。
エセーに関しては以前から興味をもってて周辺をうろうろしている。みすず書房の「エセー抄」をはじめいくつか読んだが、中では本書がほどよくまとまっていて私にはちょうどよい。本文抜粋とその解説で一項目約4ページ×40項目。まさしく「寝るまえ5分」にぴったり。
もちろん「エセー」本体には手を出せていない。いや、さすがにあの内容であのボリュームは、素人が気軽に読むにはハードルが高すぎるて。
エセーに関しては以前から興味をもってて周辺をうろうろしている。みすず書房の「エセー抄」をはじめいくつか読んだが、中では本書がほどよくまとまっていて私にはちょうどよい。本文抜粋とその解説で一項目約4ページ×40項目。まさしく「寝るまえ5分」にぴったり。
もちろん「エセー」本体には手を出せていない。いや、さすがにあの内容であのボリュームは、素人が気軽に読むにはハードルが高すぎるて。
観覧車からの少年の消失というわかりやすい謎と、端正な謎解き。そしてそれが解かれてからのもう一段階のサスペンスはうまい。ラストも気持ちいい。が、全体的には楽しめなかった点も多い。
たとえば、子供ものの宿命といえる「子供たちの話を大人がちゃんと聞いてくれない」ことへのストレス。特に本作の場合、主人公のASD設定がそれに拍車をかけている。話をスムーズに進めすぎないための常套手段なのだろうが、正直まどろっこしいのは否めない。
観覧車からの少年の消失というわかりやすい謎と、端正な謎解き。そしてそれが解かれてからのもう一段階のサスペンスはうまい。ラストも気持ちいい。が、全体的には楽しめなかった点も多い。
たとえば、子供ものの宿命といえる「子供たちの話を大人がちゃんと聞いてくれない」ことへのストレス。特に本作の場合、主人公のASD設定がそれに拍車をかけている。話をスムーズに進めすぎないための常套手段なのだろうが、正直まどろっこしいのは否めない。
エッセンシャル版とは何ぞや。「いいとこ見つくろって!」ってやつですね。そもそも岩波文庫版(神谷幹夫訳)と集英社文庫版(白井健三郎訳)を読んでるのにいるか?と思うのだが、まぁ買っちゃいましたわ。
アランの文章はときに読み取りづらいし、短縮要約版はそれはそれでパラパラ気軽に読み返しやすいんじゃないかなと思った次第。実際たいそう読みやすい。名言日めくりを見てるみたいであんまり深みは感じないが、ま、それはそれで。
エッセンシャル版とは何ぞや。「いいとこ見つくろって!」ってやつですね。そもそも岩波文庫版(神谷幹夫訳)と集英社文庫版(白井健三郎訳)を読んでるのにいるか?と思うのだが、まぁ買っちゃいましたわ。
アランの文章はときに読み取りづらいし、短縮要約版はそれはそれでパラパラ気軽に読み返しやすいんじゃないかなと思った次第。実際たいそう読みやすい。名言日めくりを見てるみたいであんまり深みは感じないが、ま、それはそれで。
全国路面電車ガイド。情報量は多くないが、写真がきれいでパラパラ見ていて楽しい。ちなみにオールカラー。行ったことないところも多い。あー、また旅行しよ!(涼しくなったらね)
いつも「古書店」「商店街」「路面電車」の3つをベースに散歩旅行を考えてる私にはうれしい一冊。一方、路面電車を日常風景として見ている身としては「レトロ」の言葉はピンとこない。ともあれ、これをもとに乗ったことのない電車とその土地への旅情がふくらむのですよ。
全国路面電車ガイド。情報量は多くないが、写真がきれいでパラパラ見ていて楽しい。ちなみにオールカラー。行ったことないところも多い。あー、また旅行しよ!(涼しくなったらね)
いつも「古書店」「商店街」「路面電車」の3つをベースに散歩旅行を考えてる私にはうれしい一冊。一方、路面電車を日常風景として見ている身としては「レトロ」の言葉はピンとこない。ともあれ、これをもとに乗ったことのない電車とその土地への旅情がふくらむのですよ。
すさまじい本だ。「モルグ街~」や「盗まれた手紙」と比べて中途半端な立ち位置の短編「犯人はお前だ」を解き明かし、ポーが仕込んでいた、そして発表以降だれも気づけなかった真実にはじめて到達したかもしれない批評。おそろしや。
私はポーの熱心な読者ではないが、本書の記述を読み進めるにつれ、確かにポーが用意していた真実に近づくと感じる圧倒的説得力。200年前の先進的な作家が「ようやく気づく人がでたか」とにやりとしている顔が想像できてしまうのがすごい。おそろしや。
いや、著者はポーに「君、考えすぎやで」といわれてるかもしれんけど(笑)。
すさまじい本だ。「モルグ街~」や「盗まれた手紙」と比べて中途半端な立ち位置の短編「犯人はお前だ」を解き明かし、ポーが仕込んでいた、そして発表以降だれも気づけなかった真実にはじめて到達したかもしれない批評。おそろしや。
私はポーの熱心な読者ではないが、本書の記述を読み進めるにつれ、確かにポーが用意していた真実に近づくと感じる圧倒的説得力。200年前の先進的な作家が「ようやく気づく人がでたか」とにやりとしている顔が想像できてしまうのがすごい。おそろしや。
いや、著者はポーに「君、考えすぎやで」といわれてるかもしれんけど(笑)。