ここでは今はぼ喜多(ぼ攻×喜多受固定厨)しか語らん
「それでも、この手を繋いでいたい、から」
きっと私はとうの昔に知ってしまったから、離れるのが怖いし、もどかしかったんだと思う。だから。
「全部含めて、これが誰かを好きになると言うことなんだろうな、って私は思うんだ――喜多ちゃんのことが好き、ずっと答えを待っててくれて、ありがとう」
「っ……」
「それでも、この手を繋いでいたい、から」
きっと私はとうの昔に知ってしまったから、離れるのが怖いし、もどかしかったんだと思う。だから。
「全部含めて、これが誰かを好きになると言うことなんだろうな、って私は思うんだ――喜多ちゃんのことが好き、ずっと答えを待っててくれて、ありがとう」
「っ……」
これは寝ろと言われてる
これは寝ろと言われてる
「……ごちそうさま」
そう私が言うと、彼女は熟れたトマトのように真っ赤で固まっていて少しだけおかしかった。ついでに取り上げたポッキーもそのまま食べたらもっと驚かれた。
「……ごちそうさま」
そう私が言うと、彼女は熟れたトマトのように真っ赤で固まっていて少しだけおかしかった。ついでに取り上げたポッキーもそのまま食べたらもっと驚かれた。
「それって喜多ちゃんとささささん?」
「さっつーとは腐れ縁なだけよ」
「どう違うんですか……」
「それより私はひとりちゃんとお友達なんだけど……」
「あっはい、そうですね」
「もう!他に言うことないの!?」
「他ですか?……ってただ言わせたいだけですよね」
「だってひとりちゃんあんまり言ってくれないから」
「うっ……」
「ねぇねぇ、ひとりちゃん」
「なんですか……郁ちゃん」
「私とひとりちゃんは、何?」
「恋人です、だからお友達ではありません」
「ふふ……」
「満足してくれた?」
「うーん、もっと言ってくれたら嬉しいわ」
「これ以上何を言えと……」
「それって喜多ちゃんとささささん?」
「さっつーとは腐れ縁なだけよ」
「どう違うんですか……」
「それより私はひとりちゃんとお友達なんだけど……」
「あっはい、そうですね」
「もう!他に言うことないの!?」
「他ですか?……ってただ言わせたいだけですよね」
「だってひとりちゃんあんまり言ってくれないから」
「うっ……」
「ねぇねぇ、ひとりちゃん」
「なんですか……郁ちゃん」
「私とひとりちゃんは、何?」
「恋人です、だからお友達ではありません」
「ふふ……」
「満足してくれた?」
「うーん、もっと言ってくれたら嬉しいわ」
「これ以上何を言えと……」
必要とされたかった
皆に優しくされて
世界に愛されて
居るだけで、優しくされるのってどんな気分なんだろう?きっとすっごく毎日が楽しいって思える、そんな気がする。
――ただ存在を許して欲しい。
ここに居てくれ、そう言って欲しかった。無条件に必要される人生と、世界から弾かれない人生、それが当たり前に感じられる人生が、欲しかったんだと思う。
だから。
「あなたじゃなきゃダメなの」
そう言われた時、私の中でこぼれ落ち続けた願いがすくい取られたような感覚に涙が溢れて止まらなかった。
必要とされたかった
皆に優しくされて
世界に愛されて
居るだけで、優しくされるのってどんな気分なんだろう?きっとすっごく毎日が楽しいって思える、そんな気がする。
――ただ存在を許して欲しい。
ここに居てくれ、そう言って欲しかった。無条件に必要される人生と、世界から弾かれない人生、それが当たり前に感じられる人生が、欲しかったんだと思う。
だから。
「あなたじゃなきゃダメなの」
そう言われた時、私の中でこぼれ落ち続けた願いがすくい取られたような感覚に涙が溢れて止まらなかった。
久しぶりに聞いた彼女の声は普段よりも暗く、何だが少し消え入りそうな声だったから私はギターをストラップから外してスタンドに立てかけた。
「また、頑張り過ぎてない?」
『……さぁね、どうかしら』
「ちゃんと寝てる?」
『寝てるわよ、多分』
「多分って……」
『すぐ起きちゃうから仕方ないの』
「っ……」
『だから帰って来たら沢山褒めてよ』
「……いつもごめんね、帰ったら沢山褒めるし甘やかすから」
『ふふ……お土産楽しみにしてるから』
「センスはいつも通りだから期待しないでね」
『ひとりちゃんから貰うものなら何でも嬉しいわよ』
久しぶりに聞いた彼女の声は普段よりも暗く、何だが少し消え入りそうな声だったから私はギターをストラップから外してスタンドに立てかけた。
「また、頑張り過ぎてない?」
『……さぁね、どうかしら』
「ちゃんと寝てる?」
『寝てるわよ、多分』
「多分って……」
『すぐ起きちゃうから仕方ないの』
「っ……」
『だから帰って来たら沢山褒めてよ』
「……いつもごめんね、帰ったら沢山褒めるし甘やかすから」
『ふふ……お土産楽しみにしてるから』
「センスはいつも通りだから期待しないでね」
『ひとりちゃんから貰うものなら何でも嬉しいわよ』
「自分でも何でかよく分からないの」
喜多ちゃんはそうして少し困ったように笑ってた。魂現が出てるから本能からなのかな。でもその気持ちは分からなくもない、だって私も、ほんのちよっと甘えたくなる。そんな時に同じ行動をしてる気がする。だからこうした時は手を止めてうんと甘やかすようにしてる。喜多ちゃんも最初は驚いてたけど慣れてくると気持ち良さそうに
「自分でも何でかよく分からないの」
喜多ちゃんはそうして少し困ったように笑ってた。魂現が出てるから本能からなのかな。でもその気持ちは分からなくもない、だって私も、ほんのちよっと甘えたくなる。そんな時に同じ行動をしてる気がする。だからこうした時は手を止めてうんと甘やかすようにしてる。喜多ちゃんも最初は驚いてたけど慣れてくると気持ち良さそうに
(そうは言っても、相手が覚えていなければ意味は無い、よね)
後藤ひとり、今世では男として生まれ、前世で恋人だった彼女に絶賛片思い中。何故今世で恋人じゃないのかと言うと、彼女は――記憶無しでした。いや、普通は記憶なんて引き継げない訳だしコレが当たり前。けれど私(僕)を含めて虹夏ちゃんとリョウさん、星歌(店長)さんにきくりお姐さんが記憶有りで、正直彼女だけ無いというのが無理ゲーすぎる。
「ぼっちちゃんならきっと、今世でも喜多ちゃんを振り向かせられるよ!」
「ぼっち、負けるな」
とまぁ、2人は励ましてくれる。
(そうは言っても、相手が覚えていなければ意味は無い、よね)
後藤ひとり、今世では男として生まれ、前世で恋人だった彼女に絶賛片思い中。何故今世で恋人じゃないのかと言うと、彼女は――記憶無しでした。いや、普通は記憶なんて引き継げない訳だしコレが当たり前。けれど私(僕)を含めて虹夏ちゃんとリョウさん、星歌(店長)さんにきくりお姐さんが記憶有りで、正直彼女だけ無いというのが無理ゲーすぎる。
「ぼっちちゃんならきっと、今世でも喜多ちゃんを振り向かせられるよ!」
「ぼっち、負けるな」
とまぁ、2人は励ましてくれる。
「前はこうして私の方がほんの少しだけ背が高かったでしょ? それに全然目を合わせてくれようとしなかったから、大変だったわ」
「ああ、その節は大変ご迷惑を……あの、それが何か……」
「んー、今じゃ見下ろすばかりだから階段からひとりちゃんを見るとちょうどいいなって思って」
「なるほど」
トントン……と私の後に段差を上がる音が、心臓の鼓動と重なる。
「前はこうして私の方がほんの少しだけ背が高かったでしょ? それに全然目を合わせてくれようとしなかったから、大変だったわ」
「ああ、その節は大変ご迷惑を……あの、それが何か……」
「んー、今じゃ見下ろすばかりだから階段からひとりちゃんを見るとちょうどいいなって思って」
「なるほど」
トントン……と私の後に段差を上がる音が、心臓の鼓動と重なる。
「ひとりちゃーん、いい加減に押入れから出て来てー」
「嫌です、今日は絶対に出ませんから!」
このやり取りを喜多ちゃんが来る度にやってる。そして結局は私が力負けして引きずり出されるんだ。ミジンコ以下が陽キャに勝てるはずが無い。
「陽キャは関係無いわよ」
「エスパー!?」
「今日はそこの海に行きましょ」
「え?」
「だって水の中なら暑くないでしょ」
「っ……」
喜多ちゃんはそう言って私の手を引く。
「ひとりちゃーん、いい加減に押入れから出て来てー」
「嫌です、今日は絶対に出ませんから!」
このやり取りを喜多ちゃんが来る度にやってる。そして結局は私が力負けして引きずり出されるんだ。ミジンコ以下が陽キャに勝てるはずが無い。
「陽キャは関係無いわよ」
「エスパー!?」
「今日はそこの海に行きましょ」
「え?」
「だって水の中なら暑くないでしょ」
「っ……」
喜多ちゃんはそう言って私の手を引く。
「郁ちゃん、ありがとう」
そう伝えたら当然分からないって顔をする彼女に、小さく笑って何でもないと言っては後ろから抱きしめた。料理中は止めてと言われてたけれど、今この気持ちは収まりそうにない。するとスイッチを切る音がした。郁ちゃん?そうして問いかける前にぎゅっと抱きしめ返される。
「今日はハグの日なんだって」
「郁ちゃん、ありがとう」
そう伝えたら当然分からないって顔をする彼女に、小さく笑って何でもないと言っては後ろから抱きしめた。料理中は止めてと言われてたけれど、今この気持ちは収まりそうにない。するとスイッチを切る音がした。郁ちゃん?そうして問いかける前にぎゅっと抱きしめ返される。
「今日はハグの日なんだって」
「ひとりちゃんって偶に重たいこと言うわよね」
「嫌ですか?」
「ううん、寧ろ嬉しい。私だけだと思ってたから」
彼女の瞳は鈍い光を灯しながら私を見る、そこに映る私も、同じ顔をしていた。
「ひとりちゃんって偶に重たいこと言うわよね」
「嫌ですか?」
「ううん、寧ろ嬉しい。私だけだと思ってたから」
彼女の瞳は鈍い光を灯しながら私を見る、そこに映る私も、同じ顔をしていた。
……ひとりちゃんに会いたい。
恋人になってからは、毎日彼女と会うのが楽しみで、少しでも同じ時間を過ごせることが、本当に嬉しくて仕方なくて。相変わらず突拍子のない言動はあるが、その不器用な優しさに私は――救われている。取り繕う必要がない、ありのままの自分を、晒せるから。
ピンポーン。
ふとインターホンが鳴ったので思考を打ち切って立ち上がる。
……ひとりちゃんに会いたい。
恋人になってからは、毎日彼女と会うのが楽しみで、少しでも同じ時間を過ごせることが、本当に嬉しくて仕方なくて。相変わらず突拍子のない言動はあるが、その不器用な優しさに私は――救われている。取り繕う必要がない、ありのままの自分を、晒せるから。
ピンポーン。
ふとインターホンが鳴ったので思考を打ち切って立ち上がる。
「(ジミヘンみたい)」
なんて言えるはずもないから代わりに苦笑いする。その考えを見透かされたのか、次の瞬間にはがぶりと甘噛みされた。おかげで私も魂現を引っ張り出されてしまい、恨めしげに睨んだら、狼は静かに目を細める。
それはまるで、獲物を捕らえんばかりに獰猛な――そして、懇願するような眼をしていた。
「っ……挑発、してるんですね」
その問いに狼は、尾を振るだけだった。
……ああ本当に酷い獣(ヒト)だ。
「(ジミヘンみたい)」
なんて言えるはずもないから代わりに苦笑いする。その考えを見透かされたのか、次の瞬間にはがぶりと甘噛みされた。おかげで私も魂現を引っ張り出されてしまい、恨めしげに睨んだら、狼は静かに目を細める。
それはまるで、獲物を捕らえんばかりに獰猛な――そして、懇願するような眼をしていた。
「っ……挑発、してるんですね」
その問いに狼は、尾を振るだけだった。
……ああ本当に酷い獣(ヒト)だ。
「ねぇ……き、喜多ちゃん……」
「んー?なぁに?」
「そろそろ着替えないと……これ、借り物だし……」
「……もうちょっとだけ、だめ?」
「いやだめじゃな……いやいやいやダメですって」
「むー……ひとりちゃんだって私の方ずっと見てたクセに」
「ぅ……だって……」
見慣れない格好な上に、立派に業務をこなす姿がカッコ良くて何度も目を奪われてしまうし、彼女は本当に何でも着こなしちゃうから、ズルい。
「ねぇ……き、喜多ちゃん……」
「んー?なぁに?」
「そろそろ着替えないと……これ、借り物だし……」
「……もうちょっとだけ、だめ?」
「いやだめじゃな……いやいやいやダメですって」
「むー……ひとりちゃんだって私の方ずっと見てたクセに」
「ぅ……だって……」
見慣れない格好な上に、立派に業務をこなす姿がカッコ良くて何度も目を奪われてしまうし、彼女は本当に何でも着こなしちゃうから、ズルい。
無価値なものなので消します
無価値なものなので消します