奇妙な世界
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短篇小説・翻訳小説・怪奇幻想小説大好きアカウントです。ファンタスティックなものが好み。読書ブログ「奇妙な世界の片隅で」をやってます。怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。ブックガイド系同人誌も作ってます。#日本怪奇幻想読者クラブを主宰しています。
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W・W・ジェイコブズの名作怪奇小説「猿の手」とその関連作品を紹介する同人誌『猿の手の物語ブックガイド』、以下の二店で販売中です。
怪奇小説好きには楽しい本だと思います。

サヴァ・ブックスさん
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享楽堂さん
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『猿の手の物語ブックガイド』 | CAVA BOOKS powered by BASE
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白井智之『名探偵のはらわた』(新潮社)を読了。

この世に甦ったかっての殺人鬼たちを追う探偵とその助手の冒険を描く連作ミステリ作品です。
ある者が行った召儺の儀式によって、甦った希代の殺人鬼たち七人。彼らは人間に取り憑き、大量殺人を繰り返していました。名探偵の助手となった「はらわた」こと原田亘は、探偵と共に殺人鬼たちを地獄に送り返す手伝いをすることになりますが…。

現代に甦った殺人鬼たちを止めようとする探偵とその助手が描かれるミステリ作品です。甦った殺人鬼「人鬼」たちは、昭和の実在した事件の犯人を模しているのが特徴です。
November 13, 2025 at 9:59 AM
Reposted by 奇妙な世界
RP タニス・リーのパラディスの秘録は「幻獣の書」と「堕ちたる者の書」しか読んだことがないのだけど、浅羽さんの翻訳はとりわけFTが素晴らしいので、二作とも神がかった最高の翻訳!!!「幻獣の書」もとても良いけど、「堕ちたる者の書」は濃密な耽美さと背徳感に溺れ眩惑される短編集で、よるべなく悪逆非道を尽くした女性が天啓を受け聖女になる「黄の殺意」がお気に入りです。
November 12, 2025 at 1:23 PM
そろそろ読みたいなということで、掘り出してきました。タニス・リーの<パラディスの秘録>シリーズ(創元推理文庫)です。
November 12, 2025 at 12:06 PM
芦花公園の長篇『パライソのどん底』(幻冬舎)を読了。

中学まで東京に住んでいた少年・相馬律は、祖父の面倒を見るために家族で森山群に引っ越してきていました。田舎の土地に辟易としていた律は、美しすぎる少年・高遠瑠樺に魅了されてしまいます。瑠樺との快楽に溺れる律でしたが、瑠樺が腹磯緑地から来ていることを知った周囲の人間たちは彼を避けていました。神社の「イミコ」だという女性・中山林檎は、瑠樺に魅入られている律はこのままでは死ぬと言いますが…。
November 12, 2025 at 10:20 AM
サラ・ピンスカー『いずれすべては海の中に』(市田泉訳 竹書房文庫)を読了。アメリカ作家ピンスカーによるSF・幻想短篇集です。

義手が道路とつながっており奇妙な感覚を覚える男の物語「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」、夢の中の子供たちを迎えにいく「母親」たちの物語「そして我らは暗闇の中」、漂流していたロックスターと彼女を助けたゴミ拾いの女性の不思議な交流を描く「いずれすべては海の中に」、祖母そっくりに作られたアンドロイドと家族を描く「彼女の低いハム音」、死者の声を再現する人形の家をめぐる「死者との対話」、セイレーンを避けようとする船乗りと船に乗ることになった少年を描く「孤独な船乗りはだれ一人」、
November 9, 2025 at 9:07 AM
サラ・ピンスカーの短篇集『いつかどこかにあった場所』(市田泉訳 竹書房)を読了。幻想味の強いSF短篇集です。

虚言癖のある女性が思い出したある子供向け番組から不気味な出来事が起こり始める「二つの真実と一つの嘘」、人間そのものを国旗として掲げる制度を描いた「われらの旗はまだそこに」、本物の魔術を行うには代償が必要だった…という「宮廷魔術師」、事件のために全ての仕事が休業している街で自由を取り戻そうとする「今日はすべてが休業してる」、飛び込むと人が消えてしまう池をめぐる「センチュリーはそのままにしておいた」、管理された介護施設から脱走した老女の逃避行を描く「ケアリング・シーズンズからの脱走」、
November 8, 2025 at 11:53 PM
イスマイル・カダレ『砕かれた四月』(平岡敦訳 白水Uブックス)を読了。

20世紀初頭のアルバニア高地。この地域の人々の生活は、復讐を絶対とする古い掟によって支配されていました。数十年前から繰り返されてきた家同士の復讐で兄を失ったベリシャ家の男ジョルグは、クリュエチュチェ家の人間ゼフを殺し、さらに復讐される側となってしまいます。協議によってジョルグは30日間の休戦の猶予をもらっていました。
一方、アルバニアを訪れていた作家ベシアンは新妻ディアナを伴っていましたが、旅をする過程で夫婦の間の溝は深まってきていました。死を宣告されたジョルグの存在を知ったディアナはジョルグに惹かれつつありました…。
November 8, 2025 at 10:23 AM
フェリシア・ヤップの長篇『ついには誰もがすべてを忘れる』(山北めぐみ訳 ハーパーBOOKS)を読了。

成人した人間が短期記憶しか持てなくなってしまった世界。人類は一日しか記憶を保持できない「モノ」と二日間記憶を保持できる「デュオ」に分かれていました。人間たちは毎日日記をつけ、それによって「事実」を学習していたのです。
わずかな数しかいない「デュオ」は社会の上層階級とされ、「デュオ」と「モノ」との結婚には問題があるとされていました。「デュオ」である作家のマーク・ヘンリー・エヴァンズは、「モノ」であるクレアと結婚していましたが、二人は倦怠期に陥っていました。
November 7, 2025 at 12:43 PM
ーシャ・アランゴ『悪徳小説家』(浅井晶子訳 創元推理文庫)を読了。

世界的ベストセラー作家のヘンリーは、妻のマルタを愛してはいたものの、自分をデビューさせた編集者のベティとも愛人関係にありました。ベティから妊娠したことを告げられたヘンリーは、妻と別れることを考えますが、彼女と別れられない理由がヘンリーにはありました…。

妻と愛人との三角関係で二進も三進もいかなくなった作家の男が犯罪を犯してしまう…というサスペンス作品です。
世界的ベストセラー作家ヘンリーは、妻のマルタの他に愛人のベティとつきあっていたものの、ベティが妊娠したことから、その関係性が崩れていくことになります。
November 5, 2025 at 9:57 AM
フィリップ・ホセ・ファーマー『恋人たち』(伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫SF)を読了。未来社会の性と宗教を語ったSF作品です。

西暦三〇五〇年、世界はアイザック・シグメンこと<前駆者>が作り出した宗教的な管理社会となっていました。厳しい戒律により、日々の生活も制限されていたのです。
言語学者ハル・ヤロウは、その反抗的な態度のため道徳評定が悪くなっていました。妻とも折り合いの悪い中、最高位の聖職者から、言語学者として惑星オザゲンに行くようにとの指示を受け、それを受け入れることになります。
オザゲンにはウォグという虫のような外見の異星人が暮らしていました。
November 4, 2025 at 10:39 AM
高橋良平編『最初の接触 伊藤典夫翻訳SF傑作選』(ハヤカワ文庫SF)より、フィリップ・ホセ・ファーマー「キャプテンの娘」を読了。

月の貨物宇宙船から乗組員が一人失踪し、同時に船長の娘デビーが発作を起こしたことが分かります。呼ばれたゴーラーズ医師はデビーを診察しますが、その体からは魚のようなにおいがしていました。船長は、ゴーラーズ医師が娘を調べるのをよく思っていないようでしたが…。

これまたファーマーらしい、性を扱ったSF作品。潔癖な戒律を持つ宗教と、それに反するような行動を人間に取らせてしまうある原因が描かれます。
November 3, 2025 at 11:41 AM
フィリップ・ホセ・ファーマー『奇妙な関係』(大瀧啓裕訳 創元推理文庫)を読了。性、異星生物との接触、宗教などをテーマにした特異なSF短篇集です。

「母」
歌手として活躍していたエディは妻のポリーナと離婚し、学者である母と共に宇宙への探検に出ますが、惑星ボードレールに不時着することになります。親子はそれぞれ土着の巨大な生物に囚われてしまいます。殻を作り固定して動かなくなっているその生物<母>は、自身の体内で子供を育てるらしいのです。その生物は、動くものを「雄」として捉えており、エディもまたそうした役目を期待されているようなのですが…。
November 3, 2025 at 12:00 AM
アダム・スタイン、ザック・リポフスキー監督『ファイナル・デッドブラッド』(2025年 アメリカ・カナダ)を観ました。「ファイナル・デスティネーション」シリーズの第6作です。

大学生のステファニーは、ずっと悪夢に悩まされていました。それはアイリスという女性が、恋人と共に出来たばかりのタワー「スカイビュー」に昇るものの、そのタワーが崩れ沢山の人々と共に死んでしまう…という夢でした。アイリスとは祖母アイリスのことではないかと考えたステファニーは、祖母の行方を父親や伯父に尋ねるものの、変わり者で縁を切っているとして彼らからは情報を教えてもらえません。
November 2, 2025 at 11:33 PM
雨穴『変な地図』(双葉社)を読了。謎の地図をめぐる伝奇ミステリ作品です。

2015年、大学生の栗原は、意外な事実を知ります。学者だったという彼の祖母が、正体不明の古地図を握りしめたまま、自死を遂げていたというのです。その古地図には、7体の妖怪が描かれていました。亡き母親もまた、祖母の過去を調べていたことを知った栗原は、地図の謎を探るために旅に出ますが…。

著者の『変なシリーズ』に登場する設計士・栗原の青年時代を描いたスピンオフ作品となっています。今までのシリーズでは、クールで超然とした感じで描かれていた栗原の、家族との関係性やその過去が描かれるという意味でも興味深いですね。
November 2, 2025 at 9:12 AM
カミ『三銃士の息子』(高野優訳 ハヤカワ・ミステリ)を読了。フランスのユーモア作家カミによる、三銃士の息子が冒険を繰り広げるというユーモア冒険小説です。

1680年、ダルタニャン、アトス、ポルトス、三銃士全員の性質を受け継いだ〈三銃士の息子〉は、ダルタニャンの従者だったプランシェの養女ブランシュ=ミニョンヌに魅了され、彼女を守ろうとします。ブランシュ=ミニョンヌの母親はかって牛の仮面をかぶった謎の男に暴行され、その父親も殺されていました。スペインの闘牛士キュウリモミータが過去の事件の謎の手がかりを持っていることを知った〈三銃士の息子〉とその従者ミロムたちは、旅に出ることになりますが…。
November 2, 2025 at 1:22 AM
ジェラルド・ジョンストン監督の映画『M3GAN/ミーガン 2.0』(2025年 アメリカ)を観ました。

優れた人工知能を持つロボット・ミーガン(M3GAN)が暴走した結果、破壊されてから二年後、ミーガンの開発者であるジェマは有名になり、AIの監視を求める活動を行っていました。
流出したミーガンのデータから作られた軍用ロボットのアメリアは自我を持ち、自分の開発に関わった人々の殺害を続けていました。アメリアを止めるため、ジェマは再度ミーガンのボディを作り、ミーガンを復活させようとしますが…。
October 31, 2025 at 11:55 PM
平井和正『月光学園』(出版芸術社)を読了。学園をテーマにしたSF・幻想小説を集めた作品集です。

暴力的な不良に牛耳られた学園で騒動に巻き込まれた転校生を描く「悪徳学園」、見る者の精神を操る魔性の女教師を描いた「魔女の標的」、母親に性教育される息子の物語「ママの性教育(セクササイズ)」、過酷な戦争の夢を見続ける学生の物語「夢のふたつの顔」、超能力を身につけた赤ん坊が世界を意のままにしていくという「赤ん暴君」、古い洋館に引っ越してきた謎めいた美女に恋する少年を描く「美女の青い影」、異世界の生命体によって肉体を作り替えられた女生徒を描く「転生」を収録しています。
October 31, 2025 at 11:51 PM
トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』(服部桂訳 ハヤカワ文庫NF)を読了。18世紀後半に現れた、チェスを指す自動人形(オートマトン)をめぐる歴史的な事実をまとめたノンフィクションです。

1770年、ウィーン宮廷で女帝マリア・テレジアに仕える官吏ヴォルフガング・フォン・ケンペレンが発明したという、チェスを指す自動人形(オートマトン)。中東風の衣装をまとったその人形は「ターク(トルコ人)」と呼ばれることになります。
対戦する相手に応じて異なったチェスさばきを行うその技量に人々は驚かされ、欧米各地で興業が催されたといいます。
October 30, 2025 at 11:24 AM
アグスティナ・バステリカの長篇『肉は美し』(宮﨑真紀訳 河出書房新社)を読了。人肉食が当たり前となった世界を舞台にしたディストピアホラーSF作品です。

動物感染症のパンデミックの結果、畜肉が食べられなくなり、世界的な食糧危機が発生した近未来。移民や貧民の人肉の闇取引が横行するなか、政府は、食料としてヒトの飼育・繁殖・屠畜を合法とすることになります。
食肉を扱う企業は、家畜化されたヒトを繁殖させ、食料として加工していました。家畜化されたヒトは〈頭〉と呼ばれていたのです。クレイグ食肉処理工場の重役マルコスは、〈頭〉を解体し、〈特級肉〉として出荷する仕事を生業としていましたが、
October 29, 2025 at 10:36 AM
イギリスの詩人・小説家ウォルター・デ・ラ・メアの傑作集『デ・ラ・メア ショートセレクション 運命の時計』(金原瑞人訳 理論社)を読了。詩的で繊細な物語が集められています。

「アーモンドの木」
傲岸で気まぐれな父親にその妻と息子のニコラスは翻弄されていました。隣人であるグレイ家の若い女性ジェインのもとに父親が通っているのを知った妻は憤りますが、ニコラスはジェインに魅了されていました…。
気まぐれな父と貞節な母、そして若く魅力的な女性の三角関係を息子の視点から描いた作品です。母に同情し、父に反感を持つものの、父の愛人であろうジェインに対しては魅了されている面もある…。
October 28, 2025 at 12:09 PM
雨宮酔の長篇『夢詣』(角川ホラー文庫)を読了。見続けると死んでしまう夢の呪いを描いたホラー作品です。

霊能力を持つ母親を自死で失った過去を持つ精神科医・紙森千里は、見続けると死に至る夢を見ると訴える女性患者と出会います。夢の中では海から洞窟に入り、その中で奇妙な儀式に参列しているというのです。女性患者は訴え通り、突然死してしまいます。
同じような内容の夢を見続けているという別の患者もが突然死してしまった後、紙森もまた聞いていたのと同じような夢を見るようになっていました。夢が死に至る夢だと認識した紙森はその呪いを解く方法を探し始めます。
一方、オカルトライターの伊東壮太は、
October 27, 2025 at 11:17 AM
セルジョ・トーファノ『おやつにキャベツ』(橋本勝雄訳 英明企画編集)を読了。イタリア作家トーファノによる、ユーモアとナンセンスにあふれた童話集です。

勇猛果敢な騎士の鎧が脱げなくなったことからトラブルが起こる 「無敵の隊長ウグッチョーネ・デッラ・スタニョーラ、自分自身の捕虜になる」、ハーフの両親とその祖父母が、子供にそれぞれの国の家庭教師をつけたことから子供が言葉を話せなくなってしまうという 「両親と四人の祖父母が喧嘩したためにアニチェートがどうなったか」、足が一本多く生まれた王がその体について悩み続けるという「足が一本多い王さま」、
October 27, 2025 at 10:59 AM
阿部拓児『アケメネス朝ペルシア 史上初の世界帝国』(中公新書)を読了。
2500年前に、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にまたがる「史上初の世界帝国」となったアケメネス朝ペルシア。その誕生から滅亡までを扱った本です。
ギリシャの歴史に関する記述があると、当時の大国であり脅威として語られるペルシア帝国なのですが、ペルシア側からの詳細な歴史が綴られています。
歴代の王たちを中心に歴史が語られていますが、名前はよく知られている王たちが何を行ったのかが分かって参考になりますね。カンビュセス二世の章では、藤子・F・不二雄の漫画作品でも知られる「カンビュセスの籤」のエピソードも語られています。
October 26, 2025 at 7:33 AM
アナトール・フランス『クランクビーユ』(杉捷夫ほか訳 白水社)を読了。著者の現代を舞台にした作品を集めた短篇集です。面白く読んだのは「クランクビーユ」「ピュトワ」「アドリエンヌ・ビュケ」「宝石」など。

「クランクビーユ」は犯罪者の疑いを掛けられて追い詰められてしまう男を描いた作品。
数十年も同じ野菜を売る仕事で生計を立ててきた初老の男クランクビーユ。売った品物の代金払いを待って立ち止まっていることを警官に見とがめられて、裁判にかけられてしまいます。罪にはならなかったものの、悪い評判が立った結果、商売が上手くいかなくなってしまいます。クランクビーユの心は荒んでいきますが…。
October 23, 2025 at 11:52 AM
アナトール・フランス『ジャック・トゥルヌブローシュのコント アナトール・フランス小説集10』(今日出海ほか訳 白水社)を読了。
フランスの作家アナトール・フランスの短篇を集めた作品集です。歴史に材を取った作品が集められていますが、その時代も様々、起こる事件や味わいも様々です。

コンスタンティノープルを訪れたシャルルマーニュ大帝と重臣たちが法螺を吹いて楽しんでいたところ、それを王に聞かれてしまい、法螺を実現しなければいけない羽目に陥るという「オリヴィエの法螺」、零落し困窮する男女の生きる日常を描いた「カササギの奇蹟」、
October 22, 2025 at 11:28 AM