ジジジジ――。
海辺の町に響くセミの声が、波の音と重なって耳を満たしていた。
夏休み最後の日、少年は海沿いの道をさまよっていた。
潮風はけだるい熱を帯び、手には十円玉が何枚も汗に濡れて握られている。
辿り着いた堤防のそば、公衆電話のガラスの箱がぽつんと立っていた。
少年は受話器を持ち上げ、硬貨を落とす。チャリン、と小さな音。
「……もしもし?」
受話器の向こうから聞こえたのは姉の声だった。
「まだ探してるの?」
「うん。きっと、どこかにいるはずなんだ。」
「その人って、誰なの?」
ジジジジ――。
海辺の町に響くセミの声が、波の音と重なって耳を満たしていた。
夏休み最後の日、少年は海沿いの道をさまよっていた。
潮風はけだるい熱を帯び、手には十円玉が何枚も汗に濡れて握られている。
辿り着いた堤防のそば、公衆電話のガラスの箱がぽつんと立っていた。
少年は受話器を持ち上げ、硬貨を落とす。チャリン、と小さな音。
「……もしもし?」
受話器の向こうから聞こえたのは姉の声だった。
「まだ探してるの?」
「うん。きっと、どこかにいるはずなんだ。」
「その人って、誰なの?」