#この瞬間俺は誕生日を手にする
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えるほど簡素なメッセージに彼の忙しさを知る。 　今までだって一人の誕生日はいくらでも過ごしてきた。だというのに、なんだって今日はこんなにも持て余すのだろうか。 　コロコロと手の中でスマホを転がして、目を閉じる。 　休みだからだろうかと思ったが休みと誕生日が被ることなんて何度もあった。 　そもそもイサミの誕生日は夏の終わりに当たる時期だ。祝われる事の方が少ない。 　この数年で自分はいつのまにか当たり前に行われるサプライズを生活の一部にしていたらしい。 「早く帰ってこいよ」 　メッセージ画面を睨みつけ呟く、何故か気を遣われて明日は休みだ。いっそこのまま寝てやろうと目を閉じてみると、次の瞬間ドカン！と家が揺れた。 「なんだ！？！？」 　飛び起きて慌てて玄関を開け、外に飛び出す。 　暗がりの中、微かに見えた巨体が一瞬強く光って収束する。それはあまりにも見覚えのある光景だ。 「あいつ……！」 　一度部屋に戻り大判のタオルを鷲掴み、サンダルを引っ掛けその光の元に向かう。 　案の定光の元にはワタワタとしている黒い影があり咄嗟にタオルをかけてやった。 「なにしてんだ！ばかやろう！」 　怒鳴った先にいるのは一人の男。九メートルのロボでもどデカい空飛ぶ機械でもない。全ての原因たるルイス・スミスその人だ。 「……バレたか？」 「バレるもなにもお前変身したな！？」 「……まぁ、それは……許可はとったさ！」 　苦し紛れの言い訳をするその顔が情けない顔をしてる事は暗がりでも分かってしまう。何を言おうとスミスが全裸である以上言い訳は意味を成さない。 　イサミが渡したタオルを体に巻き付ける男を見下ろしながら、次に何を言おうかと考える。 　しかし、それよりも早く飛び上がったスミスに今は何時だと聞かれて怒りはどこかに飛んでいってしまった。 「え……」 「だから！今何時だ！？アメリカから飛んできたが時差があることをすっかり忘れてた！JAPANはまだ日付越えてないか！？」 「いや……二十二時前だ……」 　あまりの勢いと圧に家を出る直前に見た時刻を思い出し答える。全てが突然、全てがスミスのペースでイサミはただただ呆然とする。 　暗闇の中でも爛々と光るグリーンアイは夜だというのに生気に満ちていた。 「おい、スミ」 「Happy birthday イサミ！」 「え」 「電話もできなかったし直接伝えられなかったから！あぁ、よかった！間に合った！家に入ろう。クラッカーもケーキも無いけれどいい？」 　素肌にタオルを巻いたスミスに腕を引っ張られ気付けばイサミの身体は家の中まで押し込められていた。 　裸の男が外にいるよりは遥かにマシだが、この状況はまだ飲み込めていないままだ。 　それでも明るいところでスミスを見れば、徐々にスミスが自分のために会いにきてくれた。という事実を実感できる。 「明日は休み？俺は明日は休みをもぎ取ってきたぜ。もし休みならデートしよう！ケーキも食べにいけばいい！盛大に祝おう！」 　全裸だし、髪は乱れてるし、一日演習をしていたせいか髭は少し伸びているし、全裸だし。 　何も格好がつかないのにそれはどこまでもイサミの恋人らしくて胸の奥から湧き上がってくる。 　腹から始まって、胸をいっぱいにして、喉を押し上がってやってくる。これは間違いなく『嬉しい』だ。 「お前、馬鹿だなぁ」 　気恥ずかしさというフィルターを通した感情は少し誤魔化すような出力の仕方をされる。勿論そんなものはスミスもよく理解している。 　すっかり前髪が降りたイサミの頭を撫でてそのままぐっと両手で頬を掴む。力強いそれは苦しさもあるがそれ以上にスミスの存在を感じさせてくれた。 　本当は寂しかった。 　突然空いた予定を埋めるやり方も忘れるぐらいもうスミスと過ごすのが当たり前で、そう思う自分の我儘さも甘えも全部思い知ったのだ。 　勿論、それを上手く言葉に出来るわけもなく。感極まったままその体にしがみつく。 　頭上から聞こえる確かな呼吸が、何よりもプレゼントだった。
August 31, 2025 at 1:18 PM
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普通の複座スミイサ(複座ルイイサ)
自分の誕生日までは世界はモたないだろうと思いクリスマスに祝う複座スミイサの骨組み。
***　Etiamsi mors nos partem　***
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たくさんの犠牲を払って、ＡＴＦは最新式のティタノストライドに賭けた。 米日共同開発の複座式。米軍側からは俺と、日本軍（自衛隊、だったか）のイサミ・アオが選ばれた。 俺は意気揚々とイサミに手を差し出した。 「ルイス・スミスだ。バーではすまなかったな。これからは相棒としてよろしく頼むよ、アオ三尉」 「あ、あぁ……よろしく。アオ・イサミだ」 「俺のこと忘れてない？　酷いなあ」 死の谷の影を歩く 現世の境を漂う 命の縁を堰き止める 微力な抵抗 均衡がおとずれる瞬間など一瞬もなく 弄ばれていると感じた 人類がどこまで諦めないのかを てのひらの上で転がされている 初日、イサミが言った。 「試されている気がする」 俺はわからなかった。 七度目の出撃でやっと理解した。 課されたノルマをこなす 演習のように 神はギリギリ越えられない試練を用意する そう思えば、異星人たちには優しさがあると言える 人類が何処まで出来るのかを淡々と示し続ける 箱庭だ。 地獄の。
May 15, 2025 at 4:47 PM
yomosugara06.bsky.social
いぬかいくん誕生日おめでとう！ということで、春コミで無料配布した犬影無配小説をWeb再録します。結ばれない二人の話なので、苦手な方はご遠慮ください。
「黎明讃歌」というお話のifビターエンドとして書いたものなので、そちらを読んだほうが分かりやすいです。単体でも読めないことはないです！
　目玉焼きなんて、半分眠っていてもうまく作れる。 　実家にはいつでも大量のキャベツと卵があって、小腹が空くとよく自分で目玉焼きを作り、白飯の上に乗っけて食べていた。数えきれないくらい作ってきたから、卵は片手で割れるし、白身が広がりすぎないようにフライパンへ落とせるし、黄身の火の通り具合だって自由自在だ。 「今日も美味しそう」 　手伝いをするでもなくダイニングテーブルから呑気な声をかけるこの男は、固焼きギリギリの半熟を、塩胡椒だけで食べるのが好きだと言った。一番技術が必要で、一番めんどくさい焼き方。だけど今の俺は、それだって片目をつぶっていても作れる。熱湯を注ぐだけのインスタント味噌汁とレンジで温めた冷凍ご飯を添えれば、朝食の完成だ。 「いただきます」 「いただきます」 　手を合わせて短く挨拶をしてから、黙々と食べ進めていく。もうすぐ昼食に近い時間だが、あと一時間、空腹に耐えるのは辛い。あっという間に食べ進めて、最後に取っておいた半熟の黄身をご飯の上に載せた。 　それまで黙っていた犬飼が、ふいに、言う。 「おれ、この部屋に来るのは今日で最後にする」 　ぷつ、と、薄膜が破ける。 　流れ出した黄色が米粒の上を流れていく。 　クソ、一番楽しみな瞬間を、コイツのせいで邪魔された。 「好きなひとができたんだ」 　視線を手元から目の前の男に移した。犬飼はいつも黄身を崩さない。周りの白身だけ綺麗に食べて、一口で放り込んでしまう。今日だって、すこしも唇を汚さずに頬張ってしまった。 「今までもたまに出来てたじゃん、好きなヤツ」 「今回は本気なの」 　醤油差しを手に取って、どろどろに崩れた卵の上に数滴足らす。よく混ぜてから勢いよくかきこんだ。今日も当たり前に美味い。良い火の加減で、卵かけご飯のような旨味もある。 　ふう、と俺がひと息ついたのを見計らったかのように、犬飼は言葉を続けた。 「なるべくずっと誠実でいたいから、もうカゲとは二人で会えない」 　腐れ縁じみた付き合いはずいぶん長かった。未練や後悔はない。昨日の夜が最後なら先に言っとけよ、という若干の苛立ちはあるが、その程度だ。寂しさも悲しみもない。引き止めるつもりはなかった。 「分かった」 　何も言わず、犬飼は静かに頷いた。これで二人の間には何もない。もともと何もないようなモンだったが、か細い糸も切れてしまった。 　最後に残しておいた味噌汁を啜る。塩分で誤魔化した奥行きのない味。擦り切れてしまった日常の味。 「おれ、いつかはカゲのこと、好きだったよ」 　知ってたよ、クソ野郎。 　お前が俺を好きだってことも、それを自覚してないことも、気づいたときには削れて摩耗して惰性に成り下がったことも、ぜんぶぜんぶ知ってる。だけど俺はそれを口にしなかった。相手の心を土足で踏み荒らすのが嫌になったのはいつからだろう。 「あっそ」 「うん、そう」 　食べ終わった食器を重ねて、シンクへ運ぶ。食器洗いは犬飼の仕事だ。後からやってきた男が袖を捲り、大して量のない洗い物を片付けていくのを隣でぼうっと見守った。これで最後。コイツのために目玉焼きを作るのも、丁寧に茶碗を洗う横顔を見るのも、別れぎわに玄関でキスをするのも、今日で最後。 　ずっと、楽しかったな。 　素直にそう思えた。一緒にメシを食って、あんまり話はしなくて、しょうもないことですぐにケンカして、肌に触れて目を見たらすぐどうでもよくなって、そういう、二人きりで過ごす時間は悪くなかった。犬飼や周りのヤツらが言う好きも恋も愛もよく分からないが、幸せだとかガラにもないことを感じる瞬間があった。俺みたいな人間でも、ほんの一瞬でも、他人と深く繋がることができた。あの雨の夜、お前がノックしたのが俺の部屋に繋がるドアで良かった。そんなこと、教えてやる義理はないけれど。 「せーぜー頑張れば、クソ犬」 　本気で好きだっていうヤツのために心を尽くして、誠実であり続けて、信頼関係を築いて、俺のことなんて忘れて、死ぬまで幸せにいればいい。俺もお前の残したものを抱いて、食って、死ぬまで楽しく生きてやる。 「ありがとう。カゲと一緒にいられて、楽しかったよ」 　そういえば、いつか、ある女の子にこれと同じことを言われたことがあった。だけどあの時の言葉とはずいぶん違って聞こえる。冷たく突き刺すような痛みじゃなく、柔らかく抱きしめられるような感覚。 　茶碗にこびりついた半熟卵も、洗剤とスポンジを使えば跡形もなく洗われていく。俺は喉の奥だけで笑って、すこしの間、目を閉じた。蛇口から流れる水の音は、いつかの雨の音とは似ても似つかない。
May 1, 2025 at 1:05 PM
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拙い言葉で状況を伝える。 「爆発まであとどれくらいだ、答えろクソモブ」 「海の上で死にたかったんだ。だけれど一人で死ぬのは寂しいから、できるだけ多くの人と」 「答えろ！」 　爆豪くんが尋問している声が、電話の向こうにも聞こえたらしい。海の上とは言え、桟橋で渡れる程度の距離である。すぐに救命ボートを手配するとのことであった。未だに混雑しているカフェの入り口を見ると、泳いで非難している人が数人見受けられた。泳げない距離ではないだろう。だが泳ぎ切る自信はない。そう考えていると、船やヘリコプターがこちらへ来るのが見えた。テレビで見たことのあるヒーローの姿もいる。救かりそう、そう思った瞬間だった。 「ナマエ！」 　爆豪くんがわたしを呼ぶ声と、大きな爆発音が響いたのは同時だった。自分の身体が、宙に浮くのを感じた。 ； 「……っ、いたた、」 「ナマエ！」 　この人がわたしの名前を呼ぶのは珍しいなあ。そんな場違いなことを思った。窓ガラスは割れ、周りは火の海となっている。今にも建物は崩れてしまいそうだ。これは泳げないかもだなんて、悠 長なことを言っている場合ではないかもしれない。 「怪我は」 「たぶん、平気。爆豪くんは、」 「舐めんな。早くここから出るぞ」 「ど、どうやって」 　あたりを見渡すが、煙で何も見えない。爆豪くんは呟く。 「ヘリも船も、この状況じゃ近づけねえだろ。泳げるか」 「……たぶん」 「無理だろーな」 「泳ぐよ！」 　煙を吸っているからか、意識が朦朧とする。泳ぐと言ったが、現実的に岸まで泳ぎ切れるわけがないだろう。わたしの様子を見て、爆豪くんは呟いた。 「テメェを担いで飛ぶ」 「……は！？飛ぶ！？何言ってんの！？無理に決まって、」 「個性使えば余裕だわ」 「ま、まって！」 「あ？」 「爆豪くん怪我してるでしょ！個性使ったらダメなんでしょ！？」 「ンなこと言ってる場合じゃねーだろ」 「三日はダメって聞いた！だから、」 「うるせえ暴れんな」 「ちょ、」 　爆豪くんは強引にわたしの身体を荷物の様に担ぎ上げたあと、呟いた。 「しっかり捕まってろ。俺から離れようとしたら、殺すぞ」 「……っ、うん、」 　空を飛んだのは、生まれて初めてだった。そんな詩的な感想が生まれるはずもない。ただ必死で、爆豪くんの背中にしがみつく。離れないように。 　〝「いつか、きちんと、彼の手を離してあげないとって、思います」〟　なぜだか、自分がかつて八木さんに呟いた言葉を思い出した。どうしてこんな時に思い出したのだろう。わからないが、わたしはいずれ彼の手を離さなければならないのに。それなのに、今はこんなにも強くしがみついている。彼の掌を犠牲にして。そんな自分が堪らなく嫌で、だけれど――、 　あなたが好きで仕方がないと、思ってしまった。あなたの時折見せる優しさに触れるたびに、あなたの好きなところを見つけるたびに、心が痛んで仕方がない。その痛みに慣れてしまう前に、わたしはあなたの手を離せるのだろうか。 ； 「怪我は！？大丈夫だった！？」 「うるせえ心配するんじゃねえ」 「心配するよ！彼女なんだから！」 「……」 　あの後、病院よりもリカバリーガールに見てもらう方がいいという彼に従い学校へ戻った。保健室から出てきた爆豪くんは、わたしの言葉に意外だとでも言うかのように目を瞬かせている。 「大きな声出してごめん。あと、せっかくのお誕生日だったのにごめんね」 「そういえばそうだったな」 「ケーキも結局食べられなかったし……」 「仕方ねえだろ」 　爆豪くんは特段嬉しそうでもなく、普段通りのテンションである。わたしは言っていなかった言葉を呟く。きっと彼の表情もテンションも、揺るがないことはわかっているけれど。 「爆豪くん」 「あ？」 「お誕生日おめでとう」 「……あァ」 　少しだけ表情が柔らかくなったような気がするのは、気のせいだろうか。気のせいであってほしい。また、心が痛んでしまうから。
April 20, 2025 at 3:59 AM
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#hrakプラス
💥の誕生日デートに敵が現れる話

※ナマエ固定、謎時間軸、なんでも許せる方向け、拙宅設定、再放送
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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「scandal」、「lonelyohseven」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「爆豪くん」 「あ？」 「どうしたのそれ」 「何でもねーわ、ジロジロ見てんじゃねえ」 「いや見るよね」 　待ち合わせに現れた彼の両方の掌には、仰々しく包帯が巻かれている。これでは今日のデートで手は繋げない……どころではない。仰々しすぎる。そもそも彼が人前で手を繋いで歩いてくれることはないのだが。 「どう見ても大怪我じゃん。今日のデート辞めとく？」 「うるせーな平気だわ！俺を心配するんじゃねえ！」 「気が立ってるなあ。反抗期かね」 「ババアみてーな口調やめろ！」 　怪我のことに触れたのは地雷だったのだろうか。こっそりノールックで事情に詳しそうな彼のクラスメイトに連絡を入れる。返信が速そうだという理由で選んだ電気くんは、期待通り返事が早かった。彼にばれぬように液晶画面をチェックする。どうやら先日の授業で色々あったらしく、個性を無理に使い掌を負傷したらしい。リカバリーガールからは、少なくとも３日は個性の使用を禁止されているとのこと。熱くなることはあっても何やかんや色々考えている爆豪くんにしては珍しい。何か彼の地雷を踏みぬくような出来事があったのだろうか。詮索しても仕方がないので、わたしは彼を見つめて呟く。 「手、繋げないね」 「繋がねーわ」 「それもそうか。じゃあ行こうか」 　４月２０日。日曜日。爆豪くんのお誕生日である今日は、ここから少し離れた雰囲気のいいお店を予約してある。が、この怪我では食事がとれるのだろうか。わたしは呟く。 「ちなみにご飯はどうやって食べるの？」 「フツーに食える。掌がアレなだけで指先は動く」 「掌がアレ」 「あ？何か文句あんのか」 「食べられなかったら食べさせてあげようかなって」 「はァ？寝言は寝て言え」 　相手が彼のクラスメイトだったら、きっと殺すだとか死ねだとか言われているのだろうなあ。彼女であるわたしにはまだマイルドな言葉遣いなのかなあ。まあ何でもいいか。そう思いながらわたしは電車の乗り換えを調べることにした。 ； 「……気合が入りすぎだろ」 「いいじゃんたまには。今日は特別だからね」 「……」 　爆豪くんは、お店の外観を見て若干引いている。今日のお店は、海に浮かぶように作られたカフェである。客席側は全てガラス張りになっており、どの席に座ってもオーシャンビューを楽しめるらしい。船をイメージしているらしい外観はとても フォトジェニックだし、海の上に作られているので桟橋を渡るというのもなんだかデートっぽくて素敵である。一言であらわすと、非日常が過ぎる。そんな感じである。 「敷居が高すぎんだろどう考えても」 「お昼は割とリーズナブルなんだよ、大丈夫大丈夫」 「……」 「この間株でちょっと稼いだから大丈夫」 「金の出所を心配してるわけじゃねーわ！！」 　場所のチョイスを間違えただろうか。焼肉の方がよかったかなあ。だけれど予約をしているのだから仕方がない。焼肉はまた食べに行けばいい。そう思いながら彼を宥めつつお店に入る。ちなみにデザートにケーキを出してもらう手はずにはなっているが、あまり仰々しいサプライズにはしないようにとお願いしてある。店内のお客様全員でハッピーバースデーを歌うだとか、そういった展開になったら絶対に爆豪くんは暴れる。フラッシュモブなんて地雷中の地雷だろう。 ； 　包帯を巻いていたとしても器用に食事を終えた爆豪くんに感心したところまではよかった。デザートのケーキを待っている間までは、本当に幸せだったのだ。そう、外で大きな爆発音が聞こえるまでは。 ； 「全員手を挙げろ！人質がどうなってもいいの か！」 　ナイフを人質の首元に突きつけているその男は、敵というよりは自棄になった素人というような風貌であった。素人一人ならば、人質がいると言えど仮免を持っている爆豪くんの〝敵〟になるはずもない。爆豪くんは個性も使わずにその素人の隙をつき、数秒でその場を収めた。問題は、その後である。 「大人しくしろクソモブ。警察には通報した」 「……ははっ、」 「あ？」 「通報しても意味はない。唯一ある橋は爆破した。この店にも、爆弾を仕掛けてある。全員死ぬ」 「……あ？」 「自分も死ぬつもりだった。もうすぐここは木端微塵になる」 　その男の演説を聞いた瞬間、カフェの中はパニックとなった。客もスタッフも関係なく入口はごった返している。わたしは敵を拘束している彼に近づき、呟く。 「ば、爆豪くん」 「ナマエ、警察に連絡しろ」 「わ、わかった」 　正直わたしもパニックになっているところであるが、震える手で警察へ連絡をする。落ち着け。経営科といえども、雄英の生徒なのだから、気丈でいないといけない。深呼吸をして、唇を開き、
April 20, 2025 at 3:59 AM
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誕生日にsbさんから貰ったマグカップを自分の不注意で割ってしまったchrくん、絶望のあまりその場に座り込み、小1時間経った頃にsbさんが「美味しい紅茶買うてきたでェ！」と言って帰宅し、さらに追い打ちをかけられて泣きそうになる。

キッチンで小さくなってるchrくんを見つけたsbさんが、マグカップのかけらを見た瞬間全てを理解して「chrくん怪我ない？大丈夫やで！形あるものは壊れるもんや。思い出はまた新しく作ろ！な！」って震える肩を抱いてやると鼻水をすする音が聞こえる。

「手、傷つくから触らんとってな。俺がやるから。大事にしてくれてたんやね。ありがとう」となるべく聞こえないふりをするsbさん。
April 16, 2025 at 2:37 PM
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留文 文食満／潮騒を聞く
（左右不定ですのでお好きなほうで。どちらとも読めそうなものが苦手な方は読まないで下さい）
潮騒を聞く 　潮江文次郎は、夏に生まれた男だ。潮江という名字が夏を思わせるから、はじめて誕生日を聞いたとき、妙に納得したのを覚えている。誕生日に、納得も何もないのだが。 「あっついな」 「そうだな」 　装束に汗が滲んで鬱陶しい、と思う季節になったら、俺は同時に、鬱陶しい男のことも思い出す。毎年のことだった。しかし、件の男が夏生まれであることを思い出す瞬間は、自分が汗をかくときだけではなかった。 「まだ終わんないの。それ」 「ああ」 「ふうん」 会計室を通りかかったとき、文次郎ひとりだけの気配がそこにあったから、なんとなく、その戸を開けてしまった。額や首筋に汗を滲ませて算盤を打っているところを見ていると、いつも、それを自らの手で拭いたいと思ったり、舐めて、塩っぱいなって言いたい、と思ったりした。塩っぱさの向こう側にある、この男 の皮膚の感触そのものを、舌で感じ取りたいと、思ったりした。別にこの男に夏が似合うと思うわけではない。鍛錬しているさまは確かに暑苦しいが、からりと明るい男でもないだろう。俺には特に。それなのに夏は、いつも俺に、潮江文次郎という男を突きつける。俺ばかりが会いたかったみたいで癪だし、俺だって暇じゃないし、と会計室を出ようと立ち上がる。随分長いこと、この男を眺めてしまったような気がした。 「行くのか？」 「え？　ああ」 「何しに来たんだ」 「……」 　俺はなんとなく言葉に詰まった。別に用があって来たわけではない。 「何しに来たと思う」 「はあ？知るか」 　俺は立ったまま屈んで、汗の浮かぶ文次郎の首筋を舐め上げた。 「っ、うわ！」 「っはは。本当に塩っぱい」 「は……？　おいちょっと待て。帰るな」 　そのまま会計室を出ようとした俺の腕を、慌てて文次郎が掴む。 「はあ。何だよ」 「何だよって何だよ。いきなり人の首を舐めておいて」「お前だって舐めることあるじゃん」 「……黙れ」 　文次郎は唸るように言ったのち、俺の腕を掴んだまま、視線を泳がせはじめた。 「本当に何だ？まあ舐めといてアレだけど」 「……いや。お前が部屋に入ってきたから……勝手に、終わるまで、待っててくれるんだと、思って、いた」 「なるほど。待っててやろうか？」 　顔を真っ赤にした文次郎につい気分が良くなって、意地の悪い問いをしてしまう。 「……お前は本当に、」 赤い顔のまま睨みつけて来たって、愛いだけだった。 「あはは。悪い悪い。そうだな、お詫びにさっきの問の答えを与えてやろう」 　何しに来たんだ、の答えだ。 「はあ」 「お前のせいで、夏が好きだからだ」 「……はあ？」 「それから、悪いが少し用事がある。俺が欲しけりゃお前が訪ねて来るんだな」 　戸惑う男の顔を見て、満足して会計室を出た。せいぜい頭を悩ませて、計算に集中できなくなるといい、と思った。
March 19, 2025 at 3:31 AM
nenemutarou1.bsky.social
ラレを描きつつ　俺らの寮長は未成年のガキに手を出すだろうか……？らぎーが手を出す分には良いのだろうか？という心が少なからずあったんですが

らぎーは誕生日を迎えたら成人🎊！！！だということがわかったので　大笑顔です

誕生日を迎えた瞬間に襲いにいくラレ描きます🎉🎉🎉
March 14, 2025 at 9:08 AM
ogrytk.bsky.social
「スウィートデイズ」kiis（2/3）
バレンタインにちなんで書いたSS「スウィートデイズ」（kiis）を文庫ページメーカーで画像化したものの5枚目です。以下にその本文を記します。 　とはいえ、毎年違う方法を選んでいればさすがにネタも尽きてくる。去年カイザーの誕生日とクリスマスを初めて一緒に過ごせたこともあって、今年は思いきってストレートな手段を取ることにした。 「それは、俺のためのチョコレートか」 「そうだよ」 「自分でも食ってんのに？」 「バレンタインだって思うと、無性にチョコ食べたくなるんだよな」 　全部ほしかった？　と訊けば、不本意そうな沈黙が返ってくる。きっと半分外れで半分当たり。自分も食べればプレゼント感が薄れて、カイザーのプレゼントに対する抵抗感を減らしてやれると思ったのだが、名案だった、とは言えないようだ。 　ステアリングに腕を置いたカイザーの横顔は固い。どうしたものかと思っていると、カイザーがおもむろにシートベルトを外した。ドアを開けて車を降りようとするのを、潔は腕を掴むことで慌てて引き止める。 「どこ行くんだよ」 バレンタインにちなんで書いたSS「スウィートデイズ」（kiis）を文庫ページメーカーで画像化したものの6枚目です。以下にその本文を記します。 「花買ってくる」 「はぁ？　いいって！　もう売ってないだろたぶん」 　軽い気持ちで種明かしをしたのだが、かえって気を遣わせてしまったらしい。いまから花を調達する必要なんてない。店だってとうにしまっているだろう。今日だけ特別に開いている店があったとしても、もう品揃えに期待はできないはずだ。 「ずっとごちそうしてくれてんじゃん。充分だよ。ていうかお前のほうが断然金かかってるし」 「金額の問題じゃねぇ」 　カイザーは納得がいかないようだ。こんなんじゃ足りない、俺の気が済まない、と力強いまなざしで訴えられる。こんなふうに見つめられても愛おしさが増すばかりなのだが、潔がそう告げたところでカイザーはきっと引き下がりはしないのだろう。 　反論に窮しているうちに、カイザーがさらに距離を縮めてくる。詰め寄ってくる美貌に目線を彷徨わせた潔は、ふと視界に収まったものに手を伸ばした。 バレンタインにちなんで書いたSS「スウィートデイズ」（kiis）を文庫ページメーカーで画像化したものの7枚目です。以下にその本文を記します。 「わざわざ買いにいかなくたって、花ならここにあるだろ」 　首筋に咲いた青薔薇をつついてやる。いい匂いもするし、と鼻を寄せてやれば、耳元に重苦しい溜息が届いた。そこまで呆れられるようなことを言っただろうか。 「世一」 　小言を浴びせられる覚悟を決めたところで、後頭部に添えられた手に引き寄せられた。 　触れるだけのキスで、潔はカイザーに手渡したチョコレートの香りを知る。せっかくなら味も堪能したくなって、離れていこうとするカイザーを青薔薇に添えた手で引き留めた。まもなく訪れた甘美なくちづけに酔いしれる。 「それに」 「……ん？」 「帰ったら家に、いっぱい花届いてるし」 　基本的にファンからの贈りものは受け取る方針を掲げている潔に対して、クラブチームのフロントは自宅までの配送手配を請け負ってくれている。バレンタインデーにちなんだプレゼントのうち、いくつかは夕方ごろ自宅に運びこまれてい バレンタインにちなんで書いたSS「スウィートデイズ」（kiis）を文庫ページメーカーで画像化したものの8枚目です。以下にその本文を記します。 た。花束はありったけの花瓶に生けて、フラワーアレンジメントはテーブルやカウンターに置いてある。至るところが薔薇を始めとする鮮やかな花々で飾られていた。帰宅した瞬間、きっと嗅ぎ慣れない花の香りが鼻腔を満たすことだろう。 　鋭い舌打ちに想像を打ちきられる。ようやく機嫌を治したかと思えば、すぐに気分を害させてしまったようだ。 「帰ったら覚えてろよ」 　他の薔薇なんかいらないって、思い知らせてやる。 　耳朶に触れた唇から紡がれた艶めいた低音が、熱い吐息とともに肌を炙る。ん、と喘ぎとも答えともつかない声を落とせば、それすらも寄越せとばかりに噛みつかれた。 　潔のことで頭がいっぱいになったカイザーに、充溢と陶酔に染まった吐息を零す。それもまもなく奪われて、蕩けるようなくちづけを交わしていく。 　チョコレートを食べきるまでに、いったい何回キスをすることになるんだろう。 　立てた予想が外れても当たっても、潔にとっては嬉しい結果となるに違いない。カイザーから贈られるものはなんだって、潔を甘く満たしてくれるだろうから。
February 14, 2025 at 3:27 PM
ichiinao.bsky.social
拙作「二千年後のワンダーランド」に収録されている、「ワンス・アポン・ア・タイム」と地続きのお話ですが、こちら単体でもよんでいただけます〜。よろしければ☺️
「お前が腹いっぱい食べたいだけじゃないのか」 　あ。ハンジが身をすくめると、ペロリと舌を出してみせた。 「バレたか」 「バレバレだ」 　リヴァイはため息を落とすと、貸せ、と手を差し出した。へ？　目を丸くしているハンジの手から紙袋を奪うように引き取ると歩き出す。 「どこの店に行きたいんだ」 「いいの？」 「ついでだ」 　やった！　ハンジが踵を弾ませる。 　クリスマスマーケットに行かない？　とハンジに誘われたのは休暇に入ってすぐのことだった。家には帰らないのかと聞くと、医者であるハンジの父は大流行している感冒症のせいでてんてこまいらしく、帰ってくるなと言われたとのことだった。 　リヴァイとお揃いのマフラー（これはどちらもハンジお手製で、リヴァイへの 誕生日プレゼントだ）に鼻先を埋めるとハンジは首を傾げた。 「そういや、リヴァイは家に帰らなくてよかったの？」 「ああ」 「誕生日なのに？」 「別に。誕生日だからどうってこともない」 　今年は帰らない。電話越しにそう告げると、そうか、と淡々とした声が返ってきた。じゃあ一緒に礼拝に行けないな。 「伯父さん、ひとり暮らしなんだろ？　さみしがってない？」 「さみしがるわけなんかあるか。どうせ帰ったって礼拝に行くぐらいですることなんてないし」 「へぇ、信心深いんだな」 「全然。クリスマスだけだ。普段は教会なんて寄り付きもしねぇ」 　リヴァイ。行くぞ。手を引かれながら町外れにある小さな教会へ向かう。その教会の地下にあるガランとした大きな礼拝堂は、昔、女神が作ったといわれていた。ぼんやりと光る壁。広間の中央に祀られた、鎖に繋がれた女神像。 　ほら、来い。 　礼拝が終わるとケニーはいつも教会の外でリヴァイを抱きしめた。なぜケニーがそんなことをするのかわからなくて、けれどやけに真面目ぶったケニーの表情に嫌だということもできず、毎年、チクチクした髭が頬に当たってくすぐったいのを我慢していたぐらいの記憶しかない。 「どうせあいつだって、俺が帰ってこない方が自由だし、気楽だ」 　それに、という言葉は飲み込む。 　独身貴族からいきなりコブつきだ。酒を飲むたび繰り返された、おどけるような言葉を思い出す。まったく、クシェルときたらやっかいごとを押し付けてくるのだけは昔からやたらうまかったよ。 　礼拝にだって、俺みたいなコブとじゃなく、誰か他の人と行けばいいんだ。 　ふふん。ハンジが鼻を鳴らす。 「なんだ」 「あなたはいつもほんの少し言葉が足らないからなぁ」 「どういう意味だ」 「別に。あ、ねぇトッテム通りの店に行ってみたいな」 　歌うような声に導かれ石畳の道を歩く。丸いピカピカのボタンがついた揃いのマントにチェックのズボン。どこからか響いてくるブラスバンドの音色と歌声を聞きながら、はぁ、と白い息を吐きだす。クリスマスを来週に控えた街は楽しげな喧騒と弾けんばかりの期待に満ち満ちていた。肌を、肺をピリピリと刺すような冷気に交じる、刺激的なスパイスと甘いバニラの匂い。あ、りんご飴だ！　ハンジが声を上げると駆け出す。見ればもう真っ赤なりんご飴を手に、ご満悦な様子で笑っている。まったく、しょうがない。ふと空を見上げる。急速に光を失っていく青と、淡いピンクに染まる雲。そろそろ寮に戻らなければ。夕暮れが近い。声をかけようとした瞬間、ハンジが声を上げる。 「見てリヴァイ、回転木馬だ！」 　風に乗って流れてくる手風琴のメロディに引き寄せられるように回転木馬を眺める。艶々と輝く馬に馬車、それに優雅な曲線を描くブランコ。子どもたちの高い笑い声が三角屋根に響く。 「なんだ」
December 24, 2024 at 2:59 PM
raku1012.bsky.social
1/2）年齢逆転旗主クリスマス直前スペシャル
アドベントカレンダーを旗さんにおくる主くんの話 https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「クリスマス直前スペシャル（年齢逆転旗主）」、「@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「これ、旗野さんにプレゼント」 　もう何年も思い続けてきた想い人と、ついに恋人になって初めての１２月。こうして恋人になれたことが未だ信じられない俺に、大学生活も慣れてきた年下の恋人は、そう言って少し大きめの箱を渡してきた。 「わ、大きいね。なに？」 「開けてみて」 　ワクワクしながら開けてみれば、そこには可愛らしいアドベントカレンダーが入っていて、思わず目を瞬いた。 「アドベントカレンダー？」 「そ。中身は俺が入れた」 「えぇ！　な、何が入ってるの？」 　一つ一つの箱は手のひらサイズもないのだけれど、これが１２月毎日分あるのだ。その中身を、全部この子が選んだくれたと思えば一瞬で舞い上がってしまう。全部。この子が。逆上せた頭で、思わず前のめりになって聞いてしまった俺に、年下の恋人は呆れたように笑う。 「それ聞いちゃうの？　わからないのが良いんじゃないの、こういうのは」 「そ、そうなんだけど…」 　うわあ、うわあ、と呟きながら、手の中のカレンダーを見下ろす。紙で出来たこの箱が、光り輝く宝箱のように思えてくる。早く開けたいけど、ずっと開けずに取って置きたいような。 　きっと俺はこの一ヶ月、毎日浮足立って仕方がなくなってしまうだろう。誕生日月でもあり、年の瀬であり、クリスマスがある月ではあったが、今までの俺には他の１１か月とさほど変わらなかった１２月が、今年は恐ろしく幸せな一ヶ月になりそうだった。 「…開けていい？」 　つい先ほど１２／１になった。土曜日だったから、今日は俺の家にお泊りで。最近配信が始まった映画を見ていたので少し遅くなったが、二人とも風呂に入り、なんとなくそういう雰囲気になっていた時間。だけど少しも我慢できなくて、上目遣いに伺えば、よくしゃべる子にしては珍しく黙ってうなずいて。 　飴玉一つでも、クッキー一枚でも、この子から貰えるものはなんでも心が弾け そうになるほど嬉しい。ワクワクとした気持ちで、ガラスの箱を開けるような慎重さで、そっと箱を引き出して。 　そして箱の中に入っているものを見た瞬間、俺はぎょっとして声を上げた。 「え！！」 　思わず、目の前の年下の恋人を見る。視線の先では、目をそらし、そっぽを向いた可愛い顔があって。けれど、その耳がほんのり赤いのが目に映って、ぐわ、と鳩尾が熱くなるような気がした。 　もう一度、持ったままの箱の中を見下ろす。 　そこには。 「これって…その…」 　急激に乾いた喉を潤すように、こくりと喉を鳴らす。そっと壊れ物を扱うように箱の中から掴み上げたそれ。パッケージは、見慣れた小さな真四角のシンプルなシルバーのモノであったが、その表にうっすらと『つぶつぶ』だのと書いてあって。普段使っているスキンは、その辺のコンビニやドラッグストアで売っているような普通のモノだったが、これは少し違うようで。 「……まあ、偶には、そういうのもいいかなって」 　目をそらしたままの年下の恋人がそんな刺激的なことをいうものだから、俺は箱の中から出てきたかとんでもない爆弾を握り締め、耳まで真っ赤にしたまま、ごくりとつばを飲み込んだ。 　 　そんな怒涛の展開で始まった俺の初めてのアドベントカレンダーだったが、そんな俺の頭を沸騰させるようなものは早々出てこず、その後はちょっとしたチョコや、コーヒーのドリップバックが入っていたりして、俺はほっこりしたりにっこりしたり、ほんの少しばかりがっかりしたりして幸せにすごしていた。 「昨日の箱から出てきたコーヒー美味しかったよ」 「旗野さん、コーヒー好きだったなあと思って」 　あの衝撃の初日からまた一週間弱、週末のお泊りデーにやってきてくれた彼が笑う。 　何でもないような顔で何気なくそう言ってくれるが、そうやって俺の好みを覚えてくれていることが嬉しかった。そうして、俺のことを考えて一つ一つ入れて
December 15, 2024 at 12:57 PM
fujiiroaoi1224.bsky.social
【Cosplay/原神】

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あの炎をもう一度
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ガイア・アルベリヒ

#コスプレ #コスプレイヤー #Cosplay #cosplayer #原神コスプレ #原神cos #この瞬間俺は誕生日を手にする
December 14, 2024 at 11:18 PM
noumimol.bsky.social
ちはつちワンドロワンライ
第2回お題：『文化祭・学園祭』（3/3）
最後バカップルやっちゃってます(笑)
なおナチュラルに巻桐も成立しちゃってる気がしますが、あちらもあちらで16日に色々あったようです(笑)

そして本来のセトリというか進行表と、実際行われた挙動ですwぶち壊しもいいとこですwww

※Xにも同じもの掲載済みです
「愛してるーーー！！」 　そして最後の、土屋さんの。 「愛して、るーーー…！！」 　１番後ろの俺の方だけを見て、土屋さんは。歌い上げて居たんだ。両の手を突き出して、想いの丈をぶつけるかのような溢れるような表情で。それを直球で受けて、はくはくと俺はただ、何も言えずに、彼の気持ちを、きっと受けとったのだ。特等席で。 　息が、止まるかと思った。 　そうか……土屋さんは、この為だけに、絶対に絶対に今日だけは来てと。言っていたのだ。なぜ正面最後尾なのか。それも全部、この瞬間に、解けた。俺に、この歌を届ける為だったのだ。 「土屋さん……和季さん！！」 　気が付くと俺は立ち上がり、ただ、真正面を見つめていた。俺が見つけた、俺のただ一人の相棒にして、恋しい人。そうして思わずステージ上へ、隣の栗田の制止も聞かずに、他の観客もぶっちぎって、気が付くと誰も止められないままに駆け上がってしまった。 「千早くん！！　千早くん！！　僕、上手く歌えたかな？」 　そうして俺は思わずステージ上の、歌姫ランカ、を抱き締めていた。土屋さんは、全力疾走よりもキツイであろう歌い終わりの荒い息のままで、フライングしてしまった僕を、咎める事無く、嬉しそうに抱き留めて居た。 「ふふっ、何や、何だかんだいって、やっぱ直球って効くんやなあメガネ君にも。オモロ。昨日 もそんでゴリラがステージ上乱入して、わやくちゃなってもーたんよ（笑）」 　興味深そうに、実験の目でステージ上で抱き合う俺らを見ていたシェリル桐島さん。うわっっ？！ 　ゴリラって、俺が巻田と一緒の行動を？！　恥ずかしすぎる…そう思うも桐島さんは俺にマイクをポイッと渡して来て、 「歌え。本来ならアンコールに用意した曲もあったんやけど、こないな雰囲気で俺と土屋くんが歌ってもシラケるだけやろ。あとは仲良う、小手指でしっぽり締めたってや。ほな。俺はゴリラ弄るンに忙しいんや」 　そうして衣装のまま、ヒョイとステージを降りて、真っ直ぐと最後尾の席へと向かっていく。そうして手だけこちらへ振り、去っていく。 「アハハ、それじゃまたね、桐島くん！　千早くん、一緒に、これから始まる曲、歌える？？」 　イントロを聞いて、ああ、と思い当たった。 「マクロスフロンティアから、『ライオン』、ですね。パート分けは自信ありませんが、メロディは大丈夫です。それじゃ一緒に、行きますよ土屋さん！」 「うん、行こうか、千早くん！」 　そうして僕らは手を繋いで、観客へ向き直り、一緒に歌い始めたのだった。 １７日小手指セトリ ①星間飛行（土屋さんソロ） ②突撃ラブハート（桐島さん＆土屋さん） ③サヨナラノツバサ（桐島さん＆土屋さん、ラストサビ順番は逆でラスト愛してるは土屋さん） 【アンコール】 ④ライオン（桐島さん＆土屋さん、アンコールのためパート分けせず土屋さんメインで） ⑤ハッピバースデーの歌（サプライズ。土屋さんお誕生日おめでとうなので。舞台上で野球部より主将の山田くんが代表して花束贈呈） →乱入者千早とのデュエットへ変更、⑤はもはやカットで千早へと帰りに花束が渡された
November 18, 2024 at 4:41 PM
h1-r0k-1j.bsky.social
気付いた時には誕生日終わってたやな…
猫と遊んだり、好きな音楽聴いたり、友達とゲームしたり…色々あったけれど一番楽しかったのは 炊きたてのお米を手に乗っけて「あっちぃあっちぃ！」言いながらおにぎり握っていた時やった。
何よりもそれだけに集中してただひたすらに間違いなく美味しいお米を食べる瞬間の幸せを想像しながら握っていた一時、その一時を過ごせた自分に おめでとうと ありがとうを送る。
明日からもまた元気に生きようや！俺！
October 21, 2024 at 4:47 PM
ymnbkai.bsky.social
友達の誕生日に贈ったやつ（掲載許可済）

#御沢
夏の、匂いがする。 　青く高い空と、砂糖菓子のような白い雲。 　ジリジリと土を焦がす熱が足元から立ち上ってきて、くらりと目眩を覚えた。 　軽く首を振って見据える18.44m先には、言葉無く俺を呼ぶ強い琥珀の輝きがある。 　ここに来いと構えられた黄色いミットは、今この場でただ一つの導であるかのように俺を待ち構えていた。 　あと一球。あとたった一球で終わる。 　……終わってしまう。 　それは決して悪いことではなくむしろ祝福すべきことなのに、心の奥底で終わってほしくないという思いがじわりと滲んだ。 　まだここで野球をしていたい。 　御幸先輩とする野球を終わらせたくない。 　そう思うけれど、投手のエゴよりももっと独善的で身勝手極まりない我儘が許されるわけもなく、御幸先輩の手が最後の投球のサインを形作った。 　きっと今先輩は、出会ったときと同じいたずらっ子のような顔で笑っているんだろう。 　顔を見なくても、言葉を交わさなくても伝わる感情に、釣られるように口角が上がった。 　二人で作り上げたナンバーズ、その最高の球を求める相棒にゆっくりと頷き、下半身から上半身、背中、肩、腕、指先と、丁寧に力を伝えていく。 　少しの感傷に蓋をして、さあ、あのミットへ俺の全力を。 　手を離れた白球がミットへ吸い込まれるように収まり、乾いた高い音を響かせた。 　これで、終わり。 　勝利の喜びと、終わってしまった寂寥。 　相反する感情で動けない俺の元に、御幸先輩がマスクを外しながら勢いよく駆け寄ってくる。 「さわむら！」 　夏の日差しに煌めく琥珀色の瞳が眩しくて目を細めた瞬間、勢い良く抱え上げられた。 「わっ、御幸先輩、あぶなっ！」 「ははっ！　やったな！　さわむら！」 　殆ど変わらない身長なのに、軽々と俺を抱き上げる力強い腕が熱い。 「先輩、おれ……」 　つんと鼻の奥が痛くなって、視界が歪んだ。 　もっとこの人の相棒でいたかった。もっと一緒に居たかった。 　夢を叶えた喜びよりも惜しむ気持ちの方が強いのは、俺が御幸先輩のことを相棒以上に思っているからだ。 「沢村……」 　ゆっくりと下ろされながらぽろぽろと涙を溢す俺を見た御幸先輩が、驚いたように目を見張り、ふっと柔らかく笑った。 「沢村、また一緒に野球しよう」 「っ……はい！」 　硬い指で目の淵を拭われて、またの約束をしてくれる。それが俺と同じ想いじゃなくても、また俺を相棒にしてくれる、また俺と同じ時間を過ごしてくれる。 　その約束が嬉しくて、涙が止まらなくなった。 「泣くほど嬉しい？」 「なっ……」 　にやりと笑われて、一気に恥ずかしさが駆け巡る。本当にこの人は性格が悪い。 「う、れしい……です、よ」 　そう言って顔に集まる熱をごまかすように、御幸先輩の肩に頭を押し付ける。 　とんでもなく恥ずかしいけれど、今少しくらい素直になっても良いはずだ。 「お前……」 　御幸先輩が何かを言いかけた瞬間、遅れて駆けつけたチームメイト達が飛びかかるように俺たちに抱きついてきた。 　口々に勝利の喜びを叫び、肩を叩き合い、その中心で揉みくちゃにされていく。 　その間も御幸先輩の腕は俺の背に回ったままで、まるで抱きしめられているみたいな体勢にどきどきと胸が高鳴るのは、不可抗力だ。 「沢村、あとで、な」 　ぼそっと耳に吹き込むように言った御幸先輩は、夏の匂いがした。
October 19, 2024 at 9:19 AM
fukuenomajinai.bsky.social
❤彼と復縁できた
　復縁のおまじないを伝授して頂き、それから頻繁に連絡が来るようになり、彼とデートする事ができました。
　付き合ってた時と変わらず映画見たり、ディナーに行ったり‥彼は私に全てを尽くして下さいました。
　夜中に起き、スマホを手にした瞬間……復縁を願う彼から突然LINEがありました。
　内容は『俺の誕生日に何で電話もLINEもしなかった??しろよー!!』
　『原宿に明日一緒にいくぞ!!!』『俺の家族がお前に逢いたがってるから、たまにはウチに来いよ』などなど…笑いもいれながら言われ…嬉しくて嬉しくて涙がポロポロ出ました。
　何も出来ずワガママだったのを彼に謝りました。
September 11, 2024 at 4:50 AM