ゆべ
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ゆべ
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30↑ものかき◆3L雑多◆SaGa/FF/JOJO/吸死/mgbk/ﾂｪﾚ/OP◆CP＆左右完全固定派◆F/Bご自由に◆CoC/マダミス◆🐯❤️‍🔥にお熱◆実ｼ兄🎮wkbn🎸品行ඞ最推し🦅
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紅葉狩り( ᐛ )🍁
November 22, 2025 at 4:33 AM
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あぶねえあぶねえ 新コさんを見逃すところだったぜ❤️‍🔥
November 20, 2025 at 12:04 PM
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職業柄手先が器用で秋刀魚をきれいに骨だけ残してぺろりと平らげるロくん、「すげえなロォ、こんなの『猫もまたいで』行っちまうぜ」とコさんに褒められそのときはわらって流してたけど、コさんのとこ（西）ではああいう時に言うのか……と後でひとり知識を深めるロくん（北/まずい魚の意）のローコラ
November 11, 2025 at 3:42 PM
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ひと段落した祭壇〜( ᐛ )🐯❤️‍🔥
November 5, 2025 at 1:45 PM
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ローコラ/天衣無縫（最終頁）
のくちびるが、やさしい弧を描いてはおれだけを見つめている。あんたも、よく似合ってる。白すぎる頬を撫で、そう告げようと、いつからかずっと噛みしめていた歯を浮かせた、その時になってようやく、口の中が血の味で満たされていたことに気がついた。 （……不老不死、か──） 　脳裏によぎったその、いまいましいはずの単語に、心の臓がいやな軋みかたをする。知らぬ間に、つけ牙が粘膜を傷つけていたことも、それに気づかぬほど深く沈みこんでいたことも、いまはどうだって良かった。あの、かつての能力では己が命を使い果たさねば成せなかったそれを、この姿をした「怪物」は、鋭い牙で噛むというただそれだけで、己と同類を増やすというかたちでもって成し遂げるのだという。 「……ロー？」 　彼の、きらめく金髪を隠すフードをゆるやかに上げる。惑う彼の、そのなまじろく太い首筋を引く。脇の下から広い背に片腕を回し、布地をずらして、灯火に晒した首元へ、ひとつ、くちづけを落とす。 　ぴく、と、身じろいだ彼は、しかし、背をおだやかに抱いてはこの頭に頬を寄せた。 「……噛まねえの？」 「……痛くしたくねえ」 「なんだよ」 　あんなに、めちゃくちゃにしてくるときもあるくせに。いかにもおかしそうに、そんなことをあけすけに口にする彼に、痛かったこともあったのかと思わず問えば、あるかよ、とより愉しそうに声を崩して抱きしめてくれる。そのやわらかな力 が、たしかなあたたかさが、ああ、ああ、きっとおれは、どうしたとて、彼を、理外の二度目だとて、今度こそありのままで生を歩んでくれる、そのままの彼を、あいさずにはいられないのだと、思い知らせて、いつしかの離別にこごえるこころさえ、じんわりと溶かしていくのだ。 　遠く、ステージのほうから、フィナーレを迎えた音がする。 「ありがとうな」 　おれのために、あすこから離れたろ、おまえ。髪を撫でつけ、ささめいてくれる彼の、重なる慧眼が、この胸に深く深く沁み込んでいく。ショーの演出に感嘆しながらも、彼がかすかに眉を寄せていたのは、どちらかといえば静けさを好むこともそうだが、おそらく過分な音響がその上背のために鼓膜へと直撃していたからであった。ひょっとしたら続きを観たかったかと、うっすら浮かんでいた懸念さえ拭い去ってくれる彼に、この胸の「怪物」を、すぐにそのとほうもないあたたかさでくるんで手懐けてしまう彼に、おれはとうとう、その背に回した腕で、きつくきつく抱きしめて、そうして、そのほほえみにくちづけずにはいられなかった。 　懐の中で端末が震え出す。きっとこちらの不在に気づいたであろう友からの連絡だと察したものの、あと五分だけ、と、おれはあいつらの勘の良さに任せることにした。 天衣無縫 2025.10.31
October 31, 2025 at 3:07 PM
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ローコラ/天衣無縫（転生現パロ/全６頁、続きはリプ）

Xのローコラ版マンスリーお題様
x.com/lc_1month?s=...
より「歳の差」でﾊﾛｳｨﾝ🎃な一本🐯❤️‍🔥ｽﾍﾞﾘｺﾒﾅｶｯﾀ…

「……痛くしたくねえ」
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　テーマパークの夜の雑踏に紛れて歩く。深秋のこの時期は毎年、おどろおどろしい異形の化物や呪われた人形、狂気の殺人鬼や大鎌の死神など、夜を妖しげに彩る役者たちがいわゆるグリーティングとしてそこいらを歩き回っており、目が合えば近づいてパフォーマンスを披露してくれる。 「やっぱりおまえ、様になりすぎてて逆にびっくりさせてちまってるんじゃあねえか」 「そんなわけあるか。あんたの迫力にびびってんだろ」 　黒いローブをまとい大鎌を持った巨漢の彼が、フードの下から、この顔を覗きこむようにしておかしげにわらうのに、苦虫を噛み潰したような気分で首を振る。共に来園した腹心の友らに、今日は白いブラウスで来てください、とあらかじめ強く念を押され、わけもわからず頷いてしまったのが運の尽きであったのだ。パークもある程度回り尽くし、酒を混ぜた早めの夕飯を済ませた直後、友らが意気揚々とリュックから取り出した仮装道具の数々に額を押さえたのも、もはや二時間ほど前のことである。 　渋る間もなくあれよあれよと言う間に、ベストだのクラヴァットだの立ち襟のマントだのを着せられ、髪は勝手にオールバックに撫でつけられて固められた。つけ牙に色のわるい口紅まで乗せられ、それだけですっかり疲れきったこの姿を、数歩離れて眺めなおした、シャチとペンギンのあのほとんど嬌声のような歓声は、どれだけ窓硝子に映る自分を見たところで理解できない。 おれが吸血鬼の姿に仕立て上げられている間に、彼は彼でベポに言われるがまま死神の姿に変貌させられていたらしい。気恥ずかしそうにはにかむくちびるの、いつものはっとするローズマダーはどこかで見たような色のわるい暗色に塗り替えられていた。おれの視線に気づいたのかにやりとしたペンギンに、おそろいにしておきましたよ、と耳打ちされてとっさに振り払ってしまったものだから、どちらにそれを先に塗ったのかを聞きそびれたのがいささか悔やまれる。 　ひとにはこれだけの手間をかけたというのに、自分たちはといえばフランケンシュタインに狼男に魔法使い、という取り合わせを、ヘアピンやカチューシャや帽子にローブだけで済ませているのだからわけがわからない。せめてもう少しそれらしくしろ、とねじ巻きのピンをつけたベポの毛皮にペンで雑な傷痕を描くことで溜飲を下げることにしたが、ああ、写真を撮るだけ撮った友らは、それきり、日も暮れて広場で始まったステージに釘付けになっているのだ。最初こそ彼とショーを眺めてはいたものの、思ったよりも頭に響くスピーカーの音量と長引きそうなそれに、見上げた赤いひとみに目配せをしてはそっとその場を離れて、いまに至る。 「やっぱり、そんなにこわいかなァ、おれ」 　仕事には便利だが、こういうふざけた格好して本気でこわがられんのは、ちょっとなあ。夜闇に燐光で骨格の浮かび上がる手袋をした指で、苦笑した彼がいつもよりもさらに青白く白粉をはたかれた頬を掻く。黒いフードに覆われた、厚い白金の前髪は左目を隠すようにふわりと寄せられ、右目の上からちらりと、普段は見えないまろい額が 覗いていた。 「……おれは、そういう、隙が無いほうがいいと思ってる」 「……何回も言うが、おまえだけだって」 　わるい虫だなんだとか言いてえんだろ。口からまろびでた馬鹿正直さはきっと、先ほど軽く摂取した酒精のせいだろう。あきれたような声を出した彼が、揶揄もにじませて指の背で頬をかまってくる。おまえに心配かけるほど、伊達に歳は食ってねえよ。藍で彩ったままのまなじりにやわらかく小皺を寄せ、この頭を撫でては、ワックスで固められた髪が崩れたのを見てとったのだろう。わるい、と年甲斐もなく慌てふためく彼に、おれは、べつにいい、とその手を取りながらも、医者としてずっと向かい合い続けると決めたはずの死から、繰り返し目を逸らし続けている己を自覚せずにはいられないのだ。 　彼とおれの、埋められない時の隔たりが、狂おしいほどに憎らしい。この成人した手に余る、あたたかで巨大な手も、次第に肉が薄れて余る皮の皺が寄り、骨がやせ細りおれとおなじくらいまでちいさくなっては、いつしか温度を宿さなくなってしまうのだ。それはおおよそ、ほとんど必ずと言っていいほどにおれの肉体よりも先に起こることで、いつかの彼の最期を考えれば、とほうもなく幸福な幕引きであると、今度こそそれをこの目で見送ることができるなど僥倖にほかならないと、そう諭す冷静な自分はたしかに存在するというのに、そんなことはいやだと、彼のいない生をもう二度と味わいたくはないのだと、そう喚きちらす利己的な自分もまた、ここに、たしかに存在してしまうのだ。 ステージの音響からは充分に遠ざかってはいるものの、非日常に浮かれた人々が行き交う路地の、太めのガードパイプに彼が腰かける。あいつらには、気を遣わせちまったなあ。そう、この姿をあらためて眺めては、石畳に突いた大鎌に身を凭せかける彼に、懊悩に沈んでいた思考が引き上げられる。つい怪訝に眉をひそめていたのか、あれ、おまえは聞かれなかったのか、と彼が片目をしばたいた。 「おまえの仮装、なにがいいって聞かれたから、かっこよさそうだし吸血鬼が見てえなって言っちまったんだよ」 　そんなに気合い入れて準備してくるとは思わなかったがな。次々と衣装を見せられ、強引に上着を脱がされるおれに、彼が動揺するでもなく声をひっくり返してわらっていたのは、そういうことだったのかといまさらながらに納得する。友らが彼の仮装についておれに相談しなかったのは、きっと、その計画が彼だけでなく自分の身にも降りかかると、おれが勘づいてしまうのを避けたかったからに違いない。まったくくだらない節介を、と思えども、この身の頭の天辺から爪先までもをじいっと見つめる彼のレッドスピネルが、ほのかな街灯にきらりととろけるように潤って見えることに、これは撤回をせねばなるまいと胸の中の友らへと即座に手のひらを返す。 「すげえ似合ってる」 　かっこいいよ。主通路のほうから、役者が持つ張り子のチェーンソーの音が鳴り響く。なんだなんだと色めきたち、野次馬をしに向かう人々にも、おれたちは動く気にもならなかった。血色のわるさを表現した、青紫にも近いルージュのにじむ彼
October 31, 2025 at 3:07 PM
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見て 絶対的に自分用だが 満足している
October 26, 2025 at 9:34 AM
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しばらく置いていたあまりにもローコラすぎるやつ のんびりやって３時間くらいでできた( ᐛ )宝箱シーン作るときつらかった……
October 25, 2025 at 11:08 AM
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ローコラ/まじない
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　彼のドジは目に余る。 　前世からの体質とでも言うべきか、本人いわく死んでも治らなかった──冗談にしたとてろくでもないと唸ったのは記憶に新しい──それは、今世でもまた彼の全身に痛々しい傷痕を増やし続けている。いつかより持ち越したうっすらとした痕だけにとどまらず、まさに途切れることなく生傷が絶えないものだから、いつかでかい怪我をするぞと、口酸っぱく説教じみた忠言を常日頃から繰り返していたのが、ああ、いけなかったのだろう。 「あんた、自分は頑丈だから平気とでも思ってるだろ」 　今日も今日とてその、こしらえたての腕の擦り傷を覆うように軟膏を塗り、ガーゼを被せてやりながら、ほとんど癖のように軽く睥睨を投げる。最初こそ眉を下げた苦笑いとともに頬を掻いていた彼は、さすがに毎度のこととなると辟易していたのだろう。そのやわいくちびるの山を不服そうにすこし尖らせて、サージカルテープでガーゼを留めるこの手をじっと見つめている。 　流水で念入りに洗ったせいか、冷えてしまった皮膚へとしっかりテープを巻いて、患部をそっと上から撫ぜる。なァ、コラさん。そうつぶやいた瞬間、ちいさな嘆息がその鼻から漏れる音がした。 「わかったって、もう」 「……うっとうしかろうが、何度でも言うぞ」 「いいから。気ィつけりゃあいいんだろ」 　苛立ちをにじませ、さっとこの手から逃げるように腕を引っ込める彼から、意地の火が燃え移る。 そうは言っても最近は、おれに見つかったら面倒だからとこそこそひとりで処置をしていたくせに、と煮える腹のまま口を開きかけたおれは、不意に、彼の長い人差し指が、す、と立てられるその仕草に目を奪われていた。 　爪の整えられたしろい指先が、彼自身のくちびるに触れたかと思うと、そのまま、この口にも押し当てられる。 「『凪』」 　癇が立っているようなかんばせのまま、その赤いまなこに見下ろされる。たったそれだけで、指ひとつがそっと触れているこの口は完全に封じられていた。いつかの能力など、今生にはもう存在しないというのに、すっかり黙りこくったおれに、その眉間がさらに寄る。 「……なんでかかってくれるんだよ」 　ほかでもないあんたの術だからだと、口にするのも野暮で、ただただじっと、その複雑に揺るぐひとみを見つめ返す。彼はしばし、なにかを想ったようだった。これほど近くにいたとて知られざる胸の内を、その目に染み出させた彼は、ついぞ観念したように、肺の奥からの深いため息をつくのだ。 「……ちゃんとわかってるよ、おまえの言いてえことは」 　でも、それでドジが治りゃあ、ここまで苦労もしてねえんだ。傷をくるんだガーゼを自ら撫で、難儀な性質をぼやく彼に、ああ、彼は彼で思い悩んでいるのだと、いまさらながらに思い出す。普段の愛嬌は立ち消え、憂いの帯びた彫りの深いかんばせが、いまだ閉ざしたままのこの口に気づいては、もういいって、わるかった、と、その表面 を親指で撫ぜてくれるのに、おれは、いや、と、首を振っていた。 「おれも、わるかった」 　気にしてることを、毎回つつくような真似をして。触れてくれたその広い手を、追いかけて掬っては指を絡める。影の差す彼の双眸が持ち上がった。 「ただ……あんたに、怪我をしてほしくねえだけなんだ」 　そそっかしいあんたのことだってあたりまえにあいしているけど、だからこそ、あんたのいのちがおびやかされることが──おそろしくてたまらねえ。一瞬でもよぎる白雪が、この手に力をこもらせる。成長しきった手でも包みきれやしない彼の手は、それでもこの力を受け止めるように弛緩していた。弛緩して、しかし、そっと、指を曲げてはこの手に応えてくれていた。 「ロー……」 「だから、せめて、隠さないで、手当てはさせてくれ」 　あんまり、うるさく言わねえように、気をつけるから。声を詰まらせてこの名を呼ぶ彼に、気に病ませまいと望みを告げれば、う、と今度は突かれた図星に詰まってしまうのだからしかたがない。ああ、なんだよ、知ってたのか。まいったように歯噛みする彼に、ふたり暮らしで救急箱が出しっぱなしになってればだれでもわかる、という指摘は飲み込む。 　ごめんな。するりと、手がほどかれた。 「うるさいなんて……思ってねえよ」 　思ってねえから、手当ても──思ったことも、ぜんぶ言ってくれ。もう、あんなことしねえから。 おおきい、ぬくい両の手が、この頬を包んではゆっくりとさすっていく。この目を覗き込むそのまなざしは懸命であった。耳までくるむその皮膚の温度が、じんと沁みてくる。 　実感をくれようとしているのだと、すぐわかった。 「コラさん」 「うん」 「……魔法は、また、かけてくれてもいい」 　今度は、こうやって。屈んでくれていたその、首筋に手をかけてはあたたかなくちびるを奪う。弾けるようにその目をしばたいた彼は、ああ、とたんに、おまえなあ、などと、苦々しそうに、おもはゆそうに口を曲げるものだからいとおしくてならないのだ。くちづけを繰り返しながら、すこしばかり表面の冷えた、彼の頬を撫ぜる。コラさん、と、ささめけば、うん、と、やさしい声が返ってくる。 　ぬくもりを移せば失せずに宿る肌が、呼びかければ返る声が、ここにある。 「……なんでもねえ」 「なんだ、そりゃ」 　ふは、と破顔した彼が、こつりと額を寄せて、そっとこの背に傷のある腕を回してくれる。たしかに血の通ったその、おだやかな静謐を、おれはいつまでも、だいじにだきしめていたかった。 まじない 2026.10.24
October 23, 2025 at 3:57 PM
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かぼちゃのバスクチーズケーキ( ᐛ )ｳﾏｰ🎃🥮⁎.

x.com/mariegohan/s...
October 21, 2025 at 9:32 AM
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ロくんは左、コさんは右という強い意志
October 12, 2025 at 2:18 AM
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ローコラ/雄弁

ロくん誕生日おめでとう🎉🎉🎉なおはなし🐯❤️‍🔥

おまえって、案外、わかりやすいんだから。
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　ずっと、あんたがほしい、と、言えなかった。 　葡萄酒の瓶もほとんど空いてしまうほどにグラスを傾けた彼が、上機嫌で煙草をふかしている。こちらに気を遣ってか、秋も深まるこの季節に窓を開け、ふう、と外に煙を吐いては気が済んだのか火を消した彼は、いやあ、わるいわるい、とその長い脚で祝いの名残が並ぶ食卓へと戻ってきた。 「おまえの誕生日が祝えるなんて、こんなうれしいことはねえよなァ」 「何回同じこと言うんだよ」 「えェ？　そんなに言ってたか？」 「もう五回は言ってる」 　隣でグラスに残る赤紫を飲み干してはとぼける彼に指摘すれば、まあそれだけうれしいんだよ、と強引に片づけるその頬が赤い。彼が用意してくれていた小ぶりのホールケーキは、肴にするには甘ったるかったというのに、いまやこちらも大方なくなりかけているのは、おれが知らず知らず、この腹の底の懸想をすっかり埋めてしまおうとしていたからに違いなかった。 （……もう、充分すぎるくらい、もらっただろ） 　いのちも、こころも。あり得ざる再会を経てからは涙も、笑顔も、そして日々をともに過ごす時間だってもらっている。今日だってそうだ、同居をはじめて最初の誕生日だからと、軽い火傷を負いながらもこしらえてくれた夕飯も、ケーキも、あまつさえ上等な襟巻きのプレゼントだってもらったのだ。無論おれも数ヶ月前の彼の誕生日には相当に張り切った記憶こそあるが、こうしてふたり隣り合っては、純粋にこの身の生を繰り返し寿いでくれる彼には、どうしたとて到底報いきれている気がしない。 　それだから、いつからかこの胸の奥でくすぶりだし ていた劣情など、ぶつけられるはずもなかったのだ。これ以上、やさしい彼のこころを食いつぶすわけにはいかなかった。ほしいものは奪い取る、そんな海賊の尺度を彼に適用しようとするほど、彼の意志を無下にできたのならこんな懊悩には苛まれていない。 　やわらかくほどけた彼の横顔を見つめる。酒精にやや汗ばんではいるものの、グラスにボトルの中身をすっかり注いでしまう彼は生気に満ちていて、またも煉瓦色を含むそのくちびるはかすかに葡萄に染まっている。生傷こそ絶えないが仄白い首元にはさっと赤みが差し、しっかと上下する喉仏に、その食道を流れ落ちていく酒を幻視したおれは、途端におぼつかなくなりかけた手で自分のグラスを掴んでは同じ酒を煽った。 　ふ、と、笑みのこぼれる音に、隣を振り返る。 「なあ、ロー」 　両肘を机に置き、背を丸めてはこちらを向く彼が、目を細めるとともにそのささやかな金のまつ毛をゆるやかにふるわせて、この顔を覗き込むようにぐっと身を乗り出してくる。濃くなる煙草のにおいと埋まる距離に、強く叩き上げられる心臓を悟られまいと、なけなしの唾を飲み下して、逸らすのも惜しい対のピジョン・ブラッドに素直に吸い込まれる。 　一瞬、その狭い虹彩が、揺らいだように見えた。 （……なんだ？） 「……もう、ほしいものはねえのか？」 　かすかによどむような、ためらうような気配は、しかし、弧を描き直したくちびるに紡がれたことばがかき消していく。これほど懸命に祝ってもらったというのに、ほしいものなど、いったいなにがあるというのか。ねえよ、むしろ、もらいすぎたくらいだ。そう、彼の心遣いを賛美すれば、ああ、そうか、と、彼はおかしそうに破顔してくれるはずだったのだ。 　彼はなにも言わなかった。ほぼないにも等しい眉をかすかに下げ、どこかこまったように、いちどだけ机 に視線を落とした彼は、それでも口角を幾度も上げ直しながら、至近のこの目をじっと見つめた。 「……ほんとうに？」 　かすれた、低い声に滲むそれが、ああ、どうして、おそれであるような気がしたのだろう。煙に混じる彼のにおいが、いまにもそのぬくもりに触れてたしかめたくなってしまうあたたかなにおいが、鼻腔を通っては喉をからからに干からびさせていく。ロー。彼の、ふわりと癖に膨らんだ白金の前髪が、この額をかすめる。よく通った高い鼻梁が、わびしげな上目が、おれだけを捉えている。 （──知ってるのか？） 　まさか。期待と動揺がたちまち全身を駆け巡った。もとより浅くしか繰り返せなかった呼吸が、ろくに酸素を取り込むことすらままならなくなる。まさか、どうして。なぜ、いつから、どう思って。次々に浮かび上がっては散らばっていく疑問は、しかし、いまにも触れてしまいそうな彼のかんばせの近さに、かき集めることもできず吹き飛んでいく。おれの目はきっと、おもしろいほどに泳いでしまったのだろう。まるで祈るように固唾を飲んでこの返答を待っていた彼は、時が来たとばかりにわずかに身じろいだ。 「……いいのか」 　弾け飛びそうな心の腑を、抑えつけて、ほとんど上澄みだけの声を絞り出す。たったそれだけの、まるですがるような、泣きごとめいたことばだけで、彼は、ようやっと息を取り戻したかのように、緊張を走らせていたまなじりをゆるめるのだ。わらう彼の吐息が肌に触れる。しようがなさそうなまなざしが、しかしとろけてしまいそうな幸をまとって、いたずらに細められる。 　そこに映るのは、はじめからおれだけであったのだと、そう悟ったのは、このときのことであった。 「なんのことか、言ってくれなきゃあ──」 気づけば、ことばを欲しがる彼のくちびるを塞いでいた。これほど近づいていたというのに、肩を浮かせては豆鉄砲を食らったかのように目を白黒させた彼の、その頬へと手を滑らせる。 　ずっと、胸の奥に押しこめていた渇望に、陽が当たる。 「あんたが、ほしい」 　コラさん。手のひらで包んだ頬は、信じられないほどの熱を持っていた。じゅ、順序が、ちげえだろ。せっかくことばを差し出したというのに、はく、はく、と、重ねたばかりのくちびるを開閉させた末に飛び出してきたのはそんな台詞で、おまけに飛んでくるあまい睥睨にも、おれは、いちどきに訪れた安堵に、頬を崩してしまわずにはいられないのだ。 　ああ、コラさん。いいか。心臓が望むまま、熱すぎる頬を指で撫ぜる。 「……聞かなくたって、わかるって」 　おまえって、案外、わかりやすいんだから。負け惜しみのような、降参といったような声でおかしそうにわらった彼は、つんと尖った鼻先をこの鼻筋に擦りつけて、そのおおきな口唇でやさしいくちづけをくれた。 雄弁 2025.10.06
October 6, 2025 at 3:00 PM
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やっている 花京院もだしアバのURもたのしみにしている
October 2, 2025 at 3:50 PM
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ローコラよるあげ🐯❤️‍🔥BGMの着想元の詩も真ん中の節がふたりっぽいのでぺたり くちづけで締めは手癖なんだ…… 和歌の解釈についてはまた帰り道にでも話していろいろ思いを巡らせていてほしい
October 1, 2025 at 1:01 PM
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ローコラ/望月（転生現パロ/全３頁）

Xのローコラ版マンスリーお題様
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より「満月」とちょっぴり「旅」で一本🐯❤️‍🔥ｽﾍﾞﾘｺﾐ!!

「……たまには、わるくないだろ」
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　凪いだ夜の湖面を、彼とこの身を乗せた小舟が進んでいく。正面に腰かける彼の金髪は降り注ぐ月光を淡く吸いこんで、その仄白い輪郭さえほんのりと輝かせている。波紋を広げていく水面や星々の散らばる夜空を眺めつつ、ゆるゆるとオールを漕いでいた彼は、ふと、そのひとみをこちらへと向けた。 「こんなにのんびり舟に乗るなんて、はじめてかもしれねえな」 　きらめく赤いコランダムが、心底うれしそうに細められる。そのまなじりにはやさしく小皺が寄っていて、ああ、彼はきっと、いつかどこかのおれとともに嵐を越えた、あのすこしばかりの、されどほかのなにとも比べようのない旅のことを思い返しているのだろう。海に忌まれた身ひとつ、小脇に病身の子を抱え、生きろ、生きろと喉を枯らして繰り返しながら、北の凍りつく大時化を、ちっぽけな舟と腕一本で乗り切った。その腹の内に、尋常ならざる覚悟を携えて、彼は、ただただ彼の往く道の脇に転がってきた小石にすぎなかったおれに、なにもかもをくれた。 　ざ、と、遠くの木々が風に擦れる音がする。 「……たまには、わるくないだろ」 　あんた、それでなくとも、せっかちだから。歳を重ね、記憶を反芻すればするほど、当時の彼のこころもちを痛いほど実感したものだが、こうして世を転じてまで彼と邂逅し、本人を目の前に記憶を蘇らせてしまえば、喉が詰まるような思いがしてもしかたがないだろう。どうにかこじあけたそこを強引にふるわせて、余計な一言をつけ足す。 なんだよォ、と、口を曲げてみせる彼はしかし、すぐにその高い頬を緩ませてはオールを置いた。 　ぶれるこの目を、きっとこの胸を見透かした、やわらかなまなざしが見つめてくれる。 「……『この世をば我が世とぞ思ふ』、みたいなとこまではいけたのか？」 「……なんのはなしだ」 「それなりに海賊やってたんだろ？」 　『欠けたることも無し』って思うくらいには、好きにやれたんじゃあねえかって。伸ばした長い人差し指で、頭上の月を指しながら贔屓目の期待を紡ぐ彼に、思わず頬が崩れる。長年、為政者の驕りと解釈されてきたその『歌』が、近年ではただ宴と協調の慶びを表したものであるという解釈が出てきていることは、おそらく彼はさして知らないのだろう。話し出せばそちらに花が咲くに違いないが、しかし、それは、なにも、こんな静謐の満ちた湖の上でなくともかまわないのだ。 　ああ、まあ、おれにとっては、そうかもしれねえ。曲げて広げた両膝にそれぞれ肘をつき、この声をよく聞こうと背を丸めてくれている彼に、そう告げれば、やっぱり、とどうしてか自分ごとのようにしたり顔で頬杖をつくのがいとおしい。仲間も、力も、必要であったものは、ほしかったものは、あらかたそばに在った。それが、彼や、世間で言う、「この世のすべて」であるかは別として、それでもおれは、人事を尽くした生であったと、いまであっても断言できるのだ。 　でも。船底に落としていた目を上げる。彼が、ぱち、と、そのまなこをまたたいた。 「どうしたって、あんたは……手に入らなかった」 　だから、ずっと、欠けていた。だらりと下げら れたままの方の手を、そっと掬い上げては握る。彼は、頬杖をやめたようだった。 　水面に映る雄黄の名月が、風に吹かれて揺らめいている。 「……じゃあ、いまは、満月だな」 　そうだろ。やわく重ねられる手が、たしかな温度をもって、彼のほほえみを運びくる。わびしげな、せつなげな、されどしかたのなさそうな、そんな眉を下げたわらいかたをする彼に、おれは、ああ、とあふれんばかりに満ちた胸が決壊するより前に、伸びあがってはそこに在るくちびるへとくちづけた。 望月 2025.09.30 BGM：月の光/ドビュッシー
September 30, 2025 at 3:04 PM
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ローコラ/ほどけて瞳孔
すきなひとには瞳孔が開くというやつ
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　澄みきった青空にたたずむ彼の白金が、太陽のようにきらめいて見えた。それはただ、いまだ燦々と降り注ぐ日光を強く照り返しているだけであるとはわかっていても、雲ひとつないコバルトブルーを背にした彼は、あいもかわらずかがようままで、ふとこちらを振り返っては、その双眸を覆っていたサングラスを緩慢に取り払うのだ。 　光の射し込んだ、おだやかな真紅が、やわく細められる。 　まぶしいなァ。 　いつまでたっても。ゆるく弧を描くくちびるが、ちいさくそう動く。こっち来いよ、と、すぐになんでもないふうに声を張っては並びの良い歯を見せてくれる彼に、おれは、すでに駆け出していた心臓とともに、そのあたたかい手を取りに向かった。 ほどけて瞳孔 2025.09.23
September 22, 2025 at 3:43 PM
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最高でしたね……
September 2, 2025 at 3:13 PM
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来ている
September 2, 2025 at 5:34 AM
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ローコラ/融解（転生現パロ/全３頁）

Xのローコラ版マンスリーお題様
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より「かき氷」で一本🐯❤️‍🔥ｽﾍﾞﾘｺﾒﾅｶｯﾀ……

「……似合ってる」
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　からころと下駄が石を弾く軽やかな音がする。立ち並ぶ屋台を見下ろす神社に続く階段の中ごろ、浴衣に身を包んだ彼と、ここでいいか、とうなずきあっては端に寄って石段に腰を下ろす。すこし離れたとはいえ祭りの喧騒はいまだ近く、そこいらではおなじように座っては一息ついているひとびとがちらほらと談笑している。本来ならばいつものように救護所に駆り出される予定であったのが、今年くらいは代わりなさいと母に押し切られたのは、きっと、彼と通じあってから一度目の夏であることを、よくよく知られているからであった。 「いやあ、おれも警備が入るかと思ったけど、なくて助かったぜ」 　どのみち行くなら、いるだけで防犯になるしなって。からからとわらいながら、腿の上に置いたたこ焼きをひとつ、彼がおおきな口にひょいと投げ込む。とたん、あふ、と目を白黒させて両手で口を覆う彼がお約束にすぎて、おれは、さっき焼きたてって言われてたろ、と小言を言いつつも頬がゆるんでしまうのだ。滑り落ちそうなたこ焼きのトレーを、さりげなくこの腿に逃がす。じわりと涙目になりつつ、だってよお、などと口を曲げる彼がまたいとおしくて、いいから冷やせとばかりに彼のかき氷を指で差してやる。黄色のシロップがたっぷりとかかったそれは、彼の白金の髪よりもまぶしい蛍光の黄色をしていた。その手には細すぎるスプーンストローが、しゃくりと氷に突き刺さる。 （……毎度思うが、すげえ色だな） 「体にわるそうって思ってるだろ」 　さらりと落ちてきた声に、思わず顔を上げれば、にや、と下瞼を反らして口を開いていた彼が、彼にとってはちいさなちいさな氷の山を運んだところであった。いっそかぶりついてしまったほうがよほどちょうど良いだろうに、そんなひとくちだけでも目許を和ませる彼にどうしてか胸が落ち着かなくなって、自分もたこ焼きをひとつ口に放り込む。熱い。 「……あんたのすきな煙草よりはましだろうな」 　摂取許容量を考えれば、影響も微々たるもんだろうしな。適当に選んだ苺味のかき氷で舌を冷やしながら、出てくるのはそんな嫌味であるのだからしかたがない。う、と痛いところを突かれたとばかりに彼が顔をしかめる。だから、ここんとこ、ちょっと減らしてるだろ。まいったように、それでいてふてくされるように尖らせるくちびるが、いつもより赤く見えて、おれはとっさに帳の下りた空を見上げた。 　階段に沿って浮かぶ提灯の赤に照らされて、帽子のない彼の金髪が、ほんのりと橙がかっている。 「ロー？」 　じんわりと肌にまとわりつく、祭りのひといきれを押し流すように、ゆるやかな夜風が吹く。遠くから威勢の良い声が、はしゃぐ声が、わらい声がこだまする。からん、ころん、と、雑踏はこの耳に届いているというのに、この目はといえば、つ、と、彼の襟足から伝う一筋の汗にくぎづけになってしまうのだ。良い恰幅を包む麻へと吸い込まれていくそれに、視線を上げると、彼のあかいひとみが、はっとするようなあざやかさでこの目 に焼きついた。 　すぐ横の石段を、子どもたちが駆け下りていく。 「……向こうで、手持ち花火やれるってよ」 「……したいのか？」 「いや」 　浴衣、燃やしちまいそうだし。ふ、と逸れたまなざしが、遠ざかる子どもたちの背を見つめながら自嘲でもなく苦笑する。たしかに、もったいねえからな。しゃく、しゃく、と檸檬味を口にする横顔に向かってそう告げたというのに、彼はといえばそうそう、とストローをくわえながら意にも介さずわらうものだから、おれは、彼とおなじ方向を見つめては、重ねて真意を示さざるを得ないのだ。 「……似合ってる」 　隣の気配が、惑ったような気がした。からからに渇く喉に、我慢できずに氷をすくう。彼の頭巾のような色をしたあまったるいそれは、されどきんとしたつめたさが舌に溶けるにつれ中和されて、張りつきそうであった喉を潤していく。 　ロー。彼の、かすれた声がする。 「……黄色と赤って、よォ」 　混ざったら、オレンジになるかな。煌々とひかる祭りの景色に、彼の声がとける。おれのはほとんどピンクだが、という野暮は飲み込んで、やっとのことで重ねたその仄白い手は、おれとほとんどおなじ熱に浮かされていた。 融解 2025.08.31
August 31, 2025 at 3:14 PM
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ローコラ/愛に忠誠
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　生来よりなきむしであったという自覚はあるが、歳を食うとこうも涙腺が緩くなってしまうものか、と近頃はより一層実感する日々を送っている。それもこれも、この手があの日まもりたかったいとしごが、すっかり健康で精悍な一人前のおとなとなってこの身の前に現れるに飽き足らず、一生をともにしたいなどというとんでもない望みをぶつけてはあれよあれよとこのこころをほだしていったせいであるのだが、ああ、やはりなかなかどうして、彼がしずかに、されど伸びやかに生を謳歌しているさまを隣で見るにつけ、この目尻は湿ってしまうのだからしかたがない。 「……コラさん？」 　そしてそのたび、必ずと言っていいほど彼は気づくのだ。す、とこの顔を覗き込むその顔は気遣わしげで、頬を包むように伸ばされる手の指はよどみなくこぼれかけた雫を拭い去る。まるでこの身を苛むものはなにものであっても近づけさせまいとでも言うように、毎度すぐさま寄ってきてくれるのがいとおしくて、それが心配であるとわかっていてもなお、おれは頬がゆるんでしまってならないのだ。 「ナイトみてえだな」 　それか王子様か、猫。余計な二言は胸に秘め、髪を梳いてくれるその手に頭を寄せてやる。金色のひとみを見張ってはやわく細めた彼は、ああ、きっとまんざらでもなかったのだろう。性には合わねえな、と、片頬を上げつつも、この手を掬いあげては指先にくちづけを落としてくれた。 愛に忠誠 2025.08.30
August 30, 2025 at 10:08 AM
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ローコラ/ダーリン、心臓、焦点、芽吹き
タグのうち完成したやつ詰め合わせ
Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　ロシナンテ、と、なんの変哲もない買い出しのメモに、担当という体でさらりと書き添えられていた名に胸が跳ねる。いつも愛称で呼んでくれる彼が、よもや真名までもを正確に把握してくれていたとは、思ってもみなかった——などと、そんなことを言ってしまえば、きっとあてつけのように、ことあるごとに真名を呼ばれたりいろんなところに書き記されたりしてしまうのだろう。しかしそれはきっと意地というわけでもなく、ただこの胸に、彼が彼の熱情を運びたいという、それだけが原動力であるということさえ予測できてしまうのだから、おれもいよいよ彼の愛に染められきってしまっている。 「ん、コラさん」 　それ、もういらないだろ。用が済んでもどことなく繰り返し見つめていたせいか、しわの寄った紙を奪われそうになって、さっと手を逃がす。ぱち、と鋭いまなこをめずらしく大きくしばたいた彼に、なにかしら言いわけを紡ごうとして、おれは、どうしようもなく舌をもつれさせてしまうのだ。 「お……おまもりに、するから」 　ぽかん、と、硬直した彼に、あまりにも余計なことを言ったと自らのドジに歯噛みする。そそくさと紙を折りたたむ間にもなにかしらを察したらしい彼は、キャベツ安売り祈願にはいいかもな、と、わざとらしくにやついてはおとなしくおれに鼻をつままれた。 ダーリン 2025.08.18 Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 「ばかなもんだって思うだろ」 　自分でもわかってる。この手首を掴んだままの彼の手は、灼けつきそうなほどの熱を宿していた。諭そうと床に膝をついてしまったのが運の尽きであったろうか、ほとんど高さの揃った視線は、それだけに鮮烈で、自嘲の笑みが失せる瞬間までをも、この目は捉えてしまうのだ。 「いくらでも、よみがえれちまったんだ」 　どんなに血反吐を吐いたって、地を這いずったって、あんたを想うかぎり、思い出せるかぎり、目が醒めるような、生き返るような気分になった。むざむざ手放したくなかった。がむしゃらにあんたがくれた心臓を、最期まで使い潰してしまいたかった。 　彼の手が、この手をぐいと引く。平をその、たくましくなった胸に押し当てるように、両手を上から重ねられる。 　金色のまなざしが、この顔を見据えた。祈るかのように。 「——だから、行くな」 　いまは、あんたが、おれの心臓なんだ。 心臓 2025.08.19 BGM：心臓/TOOBOE Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　近頃、夜が近づくとよく目がかすむ。生来より少ない色素のせいか、それとも単純に寄る年波のせいか、ああ、きっとどちらもであるのだろう。目薬ってあったっけ、と衣食住を共にしている彼に問えばどうした、と問い返されるのに、正直に症状を告げる。 「あまりひどいようなら、早めに診せに行くんだぞ」 「おまえじゃあだめか？」 「餅は餅屋って言うだろ」 　たしかに、総合診療みてえなこともしてたが。前世での船医の仕事を指しているのだろう、持ってきてくれた目薬をさすおれに鼻紙も渡してくれる彼が、この隣に腰かけては、盛大にこぼした分を拭き取るおれを見上げている。そんな、数打ちゃ当たるみてえに。適当に五滴ほどずつ落としたのをしっかり見ていたらしい、あきれたようにそう嘆息をつく彼に、おれはでけえからいっぱい入ってもいいの、とうそぶいたものの、一滴しか入ってなかったろ、と即座の打ち返しに撃沈した。 「ぱちぱちしたか」 「したって」 「……まだ濡れてる」 　日に焼け、角張った手が伸びてきては、この目尻をそっと拭う。拭ったというのに、そのままそこに居座るその手は、まるでこの顔が彼から離れゆくのを許さぬように、頬をそっと撫ぜてくるのだ。まばたきを繰り返す。じわりと、ぼやけやすくなっていたその輪郭が、次第に、その線の明瞭さを取り戻していく。 「——見えてきたか？」 　いつもは硬いそのまなじりが、ふ、と、いたずらに緩む瞬間を、はっきりと見た。 「……もっと、近くがいいなァ」 　深々と射止められた胸のまま、めずらしく見え見えの魂胆に乗って駄々をこねてやる。このくらいか。彼が長椅子の上で正座をする。もっと。彼がすこし、腰を浮かせる。もっと。彼が、膝立ちになる。 　頬の手がうなじに滑り、額同士が、鼻先が、吐息が触れる。 「……さっさと、キス、し」 　ろ。焦れた挙句に遮られ、重なるくちびるに易々と満たされる。薄目を開ければしてやったりと下瞼を反らしている彼がいとおしくて、おれはついばまれる口でもってわらいださずにはいられなかった。 焦点 2025.08.24 Unauthorized use, reproduction, or AI learning is prohibited. 無断使用・無断転載・AI学習禁止 　いつかこそ薬草として触れたこともあったとはいえ、花を愉しむ趣味はおろか、贈るなどといった行為からはとほうもなく縁遠い存在であると、我ながら自覚はしていたし、さして興味もなかったはずであったのだ。彼だって、こうして好い仲となったにも関わらずいかにもロマンチックな雰囲気は苦手らしく、すぐにまぜっ返しはじめてしまうのが玉に瑕であるのだから、べつにいままでとあえて変わる必要もないかと、内心でそんな結論を出したばかりであった矢先に——これだ。 「……え？」 　え、それ、もしかして、おれに。なにをとちくるってしまったのか、自分でもわからない。ふと目に入った華やかな紅色をしたアネモネに、どうしてか彼のいとしいかんばせが重なったのだ。気づけば一輪、包んでもらっては握りしめて帰宅し、差し出した先の彼は、唖然としてこの手と顔を見比べている。ルージュの落としたくちびるがひくりと浮きかけて、その下瞼が反ってしまいそうになっているのを認めた瞬間、いちどきに押し寄せてくる羞恥と後悔は、しかし、伸びてきたおおきな手に花が渡るのを目の当たりにしたとたんになりを潜めた。 　しげしげと、あざやかな唐紅が、やわらかなほほえみとともに、くるりと花を回して八方から眺めている。 「……うれしいもんだなァ」 　知らなかったぜ。むずむずと、気恥ずかしそうに、しかしうれしそうに、くしゃりとわらっては花の香をかぐ彼に、この胸までもがあつくとけていく。ありがとうな。頬を撫でてくれるその手のぬくもりに、おれは、そっと上から手を重ねてはその平にくちづけた。 芽吹き 2025.08.30 赤いアネモネの花言葉：きみを愛する
August 30, 2025 at 10:06 AM
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⑱ローコラ🐯❤️‍🔥/OP
完成５
August 29, 2025 at 11:00 PM
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⑰ローコラ🐯❤️‍🔥/OP
完成してしまった４
August 29, 2025 at 3:16 PM
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⑯ローコラ🐯❤️‍🔥/OP
August 28, 2025 at 3:22 PM
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⑮グライグ👞🍴/ｴﾌｴﾌ15
多分これ初出しのはずのやつ もったいない精神
August 26, 2025 at 5:19 PM