憂理
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憂理
@yorunoyuri.bsky.social
君と私で月に帰る。言葉を散らして月光を摘み取る。詩の死骸を掻き集める。
私たちはとうに透明な壁にぶつかり、ひび割れから命の光が漏れている。私の手が君の肌を摩っても銀河みたいに冷たいのに、君は秘密の病名を囁き続ける。生きていく約束を破った亡霊となって停滞した私たちを、不条理が天使の羽のように包み込んでいる。淘汰された、と分かったから抵抗しなかった。
November 26, 2025 at 11:35 AM
「助けてって言えないって知っていたよ」黒い羊は夜の群れからこぼれた。星がひとつ迷子になったみたいに、正しい場所を知らないまま歩き続ける。白い夢を抱けず、名前のない色で、明日の輪郭を汚していく。黒い羊はひそやかに未来へ噛みついた。何も変わらず痛みを選んで生きていく、光も手放して。
November 24, 2025 at 9:39 AM
希望を一つ砕いた夜に、あなたはまだ光のように歩いていた。私以外は誰も見ていないのに、煌めく風はあなたの名前を撫でていった。世界が終わる音がしたから、罪も罰もきっと朝には溶ける。泣くことは悪くないよ。希望を生むことが痛くても、あなたが生きていることは、それ以上に静かな奇跡なんだよ。
November 20, 2025 at 2:12 PM
悲劇の花を見た気がして、目を閉じた。甘い香りが胸の奥でほどけていく。遠くで硝子が割れる音、それが夢か分からない。眠りと目覚めの境目で、世界は優しく、少し毒がある。触れたら痛いほど冷たい手を差し出されるたびに、私は生まれ直すふりをする。永遠とはきっと、綺麗に息を止める練習のこと。
November 18, 2025 at 8:56 AM
あなたの声が、少し遅れて胸の奥で壊れる。木の葉がひとつ、未来のように落ちた。風が僅かに冷たくて気が滅入る。心の不規則さを労うように、夕焼けは哀れみを照らしている。ねえ、それでもあなたは、どうしてそんな顔で泣くの。見ないようにしても見えてしまう。秋の始まりは、光よりも重たい。
November 15, 2025 at 10:57 PM
青い野原に白い光が落ちた。遠くに立つ電柱みたいな希望は誰のものだったのだろう。身体は冷たすぎて痣をなぞっても、もう痛くない。地平線は背景になる、私が悲しむのはもう最後にしよう、何度も思った。世界はこれから始まるように花のふりをして色を掻き集める。この静けさの全部が嘘だと叫びたい。
November 12, 2025 at 12:30 PM
普通になりたい、と言えなかった。無意識の歩行、風に撫でられて形を失くすたび、あなたの言葉が遠くで微笑んだ。異質な強さなんて欲しくなかった、ただここで空気を吸って、同じ光を見て、花の色を分け合いたかった。世界は静かに回り続け、時間を止めてくれなかった誰かを恨んだ。弱くて、惨めだ。
November 9, 2025 at 4:06 PM
エメラルドの夢は息をしている。風よりも静かに、心臓よりも確かに。朝の光をほどいて、葉の影を優しく撫でる。羨望より沈黙で満たされた世界、それがこの色の中だ。冷たくもあたたかくもない、ただ生命を許す光。誰かの涙が落ちても、全てを包みこむようにゆらめいている、祈りよりも美しい沈黙だ。
November 6, 2025 at 3:24 PM
大丈夫って言って欲しい、こんなに行き詰まった私を見ても、貴方には優しくして欲しいと希望を抱いていた。素っ気なく輝き続ける星では足りない夜。早く全てから消えて無くならないと、なんて思う私の真面目な義務感を誉めてよ。ほら居場所は無い。何も解釈する余地なく、二人で逃げよう、そう言って。
November 4, 2025 at 7:05 AM
湖は息をせず、ただ光だけが揺れている。指先で触れたら壊れてしまう。やさしい冷たさ。空の色が溶けて境目が消える。静けさの奥に、まだ言葉になる前の記憶が沈んでいる。誰のものでもない青が混ざって、世界は透き通っていく。私はただ、それを見ている。眼差しは音のない祈りみたいに怯えていた。
November 1, 2025 at 11:44 PM
映画館の暗闇で、私たちはまだ誰でもなかった。光が流れ、知らない人生の涙が頬を通過する。拍手のない夢。エンドロールはまるで人生みたいに長くて、名前の知らない人が次々と消失する。出口の明かりが世界を少しずつ思い出させ、風の音が台詞みたいに響くなかで、私はやっと、物語の外で呼吸をする。
October 30, 2025 at 3:36 AM
無音の中で、誰かが私の世界を裏返している。風景が透けて、私はその影に座る、何かを待つ。呼吸のたびに悲しみは粒子になって離れていく。ようやく名前を呼ばれたとき、空気が純白に輝いた気がして私は微笑んだ。記憶の端が焦げて、最後に痛みがあったことを忘れた指先が、まだ幼い未練を探している。
October 27, 2025 at 10:19 PM
透明な箱に閉じ込められ、全部光っているのに暗い支配。世界は静かにまばゆい。君の影も針で留められ、私の隣で微笑んで固まっていた。ああ、思ったよりも心地よい。乱れずに済んだ色彩が凛と時を止めた。全てを知っていた、これが自分の望みだって。優しさよりも諦めが、確かに私たちを永遠にした。
October 25, 2025 at 10:38 PM
朝の光がやわらかく刺さるたびに、心の端がひび割れていく。まだ壊れてないふりをして、呼吸を整えれば、薄紫のカーテンが幻惑的に風に揺れて世界をぼかしていく。誰にも触れられないように願って隠した小さな夢の星、作り物の静けさのなかで崩れていく。優しい光ほど、痛みを隠すのが上手だと思った。
October 23, 2025 at 10:51 PM
夜にしか会えない恋人は、朝になるたび消えて、夜が来ればまた笑って現れる。私は君を失ったこともなければ、得たこともなくて、触れようとすれば骨のように冷たい幻影。言葉を交わせば嘘になるのに、どうして心臓は脈打ってしまうのだろう。永遠なんてないと知っているのに、君を繋ぎとめてしまう。
October 21, 2025 at 10:30 PM
光だけが知ってる、この部屋の透明な絶望。たぶんもう傷じゃない、最初からなかったものが悪夢になる。呼吸は遠く花はとうに死んでるのに、まだそこにいるふり。誰も知らない終わりに、私だけが知ってるさよならの声さえ溶けない。ただ透明な壁に囲まれて、私はまだ生きてるふり。後悔と、それだけ。
October 20, 2025 at 9:04 AM
何かの合図のように赤信号は、わたしの未来を止めない。夜の青に熱い傷、帰り道にも溶けてない苦いチョコレートが一枚。神様と誰かの気遣いによって生きている。あの赤が消える瞬間を、わたしはまだ生きていたい。横断歩道の白線は、冷たすぎる紙切れだ。この街全部、誰のものでもないから安心して。
October 18, 2025 at 7:55 AM
水槽の向こうで魚たちは途切れなく泳ぎ続けている。余韻にゆるやかに響く愛の言葉は静か。私たちの孤独は硝子に映り、重なり合うことなく隣り合う二人の沈黙。私の内なる波は、同じ光を浴びながらも君と交わらない。仮定の幸せは水の青に溶けもせず、ただ別々の作られた深海を秩序良く見つめている。
October 15, 2025 at 10:48 PM
白い薔薇の群れが私を見つめている。花びらはすべて夢の亡霊みたいで触れれば溶けてしまう。誰もそのやわらかさを知らない。空気は青く歪んでいて、深呼吸をすれば心臓が静かに沈んでいく。君の光だけが微かに残って、私の呼び声は不明瞭に途切れてしまった。今は、薔薇たちは私より長く息をしている。
October 13, 2025 at 3:38 PM
酸素のかわりに涙を吸い込んで、胸の奥の腐敗を確かめている。言葉なんて信じられなくて、でも君の声だけは水みたいに喉を流れ落ちる。落胆に眠れない夜に爪を噛んで、赤く腫れた心臓のかけらを誰にも見せられなくて、夢の中でだけ私たちは青い花を抱きしめて、どうかこのまま、目を覚まさないで。
October 11, 2025 at 9:13 AM
朝焼けの空から咲いた薔薇の花びらが、私の夢を塗り替えていく。光の粒が瞼に落ちて痛いほど眩しい。それは誰かの涙のようで、でも私の鼓動だった。ねえ、この世界はもう戻れないくらい甘くて苦い。それは私たちのささやかな秘密で、そして誰も知らない始まりの合図だった。鮮やかだね、私たちの夢は。
October 8, 2025 at 11:43 AM
花が顔を覆う。目隠しの光が頬を撫でる。なりたい自分になりたくて、チュートリアルからやり直しだ。静かに咲き、静かに散る。この瞬間は、誰かの夢の欠片。風が運ぶ、花びらの記憶。触れられない、でもそこにいる。色が溶けて、境界が消える。ただそこに、花がある。美しくなりたかった、でも叶うよ。
October 4, 2025 at 10:25 PM
静かに息を吸い込むたびに、肺の奥底に溜まった冷たい夜の空気と、いつまでも消えない小さな光が混じり合っていくのを感じる。それは誰も知らない、私だけの透明な毒だ。無感動に生きていこうと決意した日を思い出しては、延命の虚しさに赤い首元をさする。罪悪感が混ざり合う、早く終わりたいのに。
October 1, 2025 at 9:20 AM
僕らの呼吸は少しずつ溶けていく。目を閉じれば命が砕けて、眩しいはずの絆を裏切った。君の指先は白すぎて、触れられるたびに世界の色が剥がれてしまう。存在の空白を信じられない鳥たちは、翼を重ねて互いの死を確かめている。壊れることだけを未来のように抱いている僕は、君の手を取れなかった。
September 27, 2025 at 11:03 PM
もう誰もいない街にふたりだけ、楽しみ方を忘れた公園で、崩れかけたブランコが軋む音だけが正しい。空が真っ赤な夕焼けに溶けていくのは、私たちの秘密の傷口が開いたせいだ。呼吸をするたびに、胸の奥で何かが壊れていく。それが生きていること。私たちは壊れたままただそこにいる。それだけで十分。
September 25, 2025 at 10:50 PM