こんな日は、玄関の戸や窓がまるでノックするかのように物音を立てることがある。
風のせいだと分かっているのに、音に釣られて水木は玄関の様子を見に行ったが、そこには案の定誰もいない。三和土には自分の影だけが伸びている。
二週間前、ゲゲ郎が「古い友人に会ってくる」とだけ言い残して出かけて行き、そのまま戻って来なくなっていた。
夕飯時には戻ってくると思ったが戻って来ず、方々探して回ったがどこにもおらず、手がかりもない。
何度目か分からない深い溜息を吐いて居間に戻ってくると、卓袱台で読み書きの練習をしていた鬼太郎がちらりとこちらを見た。
こんな日は、玄関の戸や窓がまるでノックするかのように物音を立てることがある。
風のせいだと分かっているのに、音に釣られて水木は玄関の様子を見に行ったが、そこには案の定誰もいない。三和土には自分の影だけが伸びている。
二週間前、ゲゲ郎が「古い友人に会ってくる」とだけ言い残して出かけて行き、そのまま戻って来なくなっていた。
夕飯時には戻ってくると思ったが戻って来ず、方々探して回ったがどこにもおらず、手がかりもない。
何度目か分からない深い溜息を吐いて居間に戻ってくると、卓袱台で読み書きの練習をしていた鬼太郎がちらりとこちらを見た。
こんな日は、玄関の戸や窓がまるでノックするかのように物音を立てることがある。
風のせいだと分かっているのに、音に釣られて水木は玄関の様子を見に行ったが、そこには案の定誰もいない。三和土には自分の影だけが伸びている。
二週間前、ゲゲ郎が「古い友人に会ってくる」とだけ言い残して出かけて行き、そのまま戻って来なくなっていた。
夕飯時には戻ってくると思ったが戻って来ず、方々探して回ったがどこにもおらず、手がかりもない。
何度目か分からない深い溜息を吐いて居間に戻ってくると、卓袱台で読み書きの練習をしていた鬼太郎がちらりとこちらを見た。
雪が降った日の夜というのは殊更冷え込む。
今年三歳になる鬼太郎の羽毛布団の中に、手ぬぐいで厳重に包んだ湯たんぽを仕込んでいると、側で見ていたゲゲ郎が不思議そうに言った。
「のう水木。幽霊族はどんなに寒い所でも生きていけるのじゃぞ」
「そうなのか? じゃあこんなにしたら暑いだろうか」
眉根を寄せて心配しながら言うと、ゲゲ郎は穏やかに笑って首を横に振った。
「暑さも感じぬが……温かい、心地良いとは感じるじゃろう」
「そうか。それなら良かった」
すやすやと寝息を立てる鬼太郎の柔らかい毛を撫で、ようやく寝かしつけを終えると、水木はかじかむ手を擦り合わせながら隣の部屋の火鉢に当たりに行った。
雪が降った日の夜というのは殊更冷え込む。
今年三歳になる鬼太郎の羽毛布団の中に、手ぬぐいで厳重に包んだ湯たんぽを仕込んでいると、側で見ていたゲゲ郎が不思議そうに言った。
「のう水木。幽霊族はどんなに寒い所でも生きていけるのじゃぞ」
「そうなのか? じゃあこんなにしたら暑いだろうか」
眉根を寄せて心配しながら言うと、ゲゲ郎は穏やかに笑って首を横に振った。
「暑さも感じぬが……温かい、心地良いとは感じるじゃろう」
「そうか。それなら良かった」
すやすやと寝息を立てる鬼太郎の柔らかい毛を撫で、ようやく寝かしつけを終えると、水木はかじかむ手を擦り合わせながら隣の部屋の火鉢に当たりに行った。